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むちゅう
ふりがな文庫
“
夢中
(
むちゅう
)” の例文
明
(
あ
)
くる
日
(
ひ
)
、
敏
(
とし
)
ちゃんは、
学校
(
がっこう
)
へいくと、
休
(
やす
)
みの
時間
(
じかん
)
に、
運動場
(
うんどうじょう
)
の
砂場
(
すなば
)
で、
小山
(
こやま
)
といっしょに
砂鉄
(
さてつ
)
を
取
(
と
)
るのに
夢中
(
むちゅう
)
になっていました。
白い雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
『ぼくと恋愛だって!』と、この男は
叫
(
さけ
)
びました。『そいつはさぞかし
愉快
(
ゆかい
)
だろうな! 見物人は
夢中
(
むちゅう
)
になって
騒
(
さわ
)
ぎたてるだろうよ!』
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
次の瞬間、ぼくは
夢中
(
むちゅう
)
であなたの肩を
叩
(
たた
)
き、出来る限りのやさしさを
籠
(
こ
)
め、「秋ッペさん泣くのはおよしよ。もう横浜が近いんだ」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
宗「左様か、ウヽン……煩悩経にある睡眠、あゝ
夢中
(
むちゅう
)
の
夢
(
ゆめ
)
じゃ、実に怖いものじゃの、あゝ悪い夢を
視
(
み
)
ました、悪い夢を視ました」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
次郎君が立ちあがるときはいつもそうなのですが、
今日
(
きょう
)
は自分の作文に
夢中
(
むちゅう
)
になっているので、よけいそういうことになります。
決闘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
しかるに
言
(
い
)
おうと
云
(
い
)
う
望
(
のぞみ
)
は、
終
(
つい
)
に
消
(
き
)
えず
忽
(
たちまち
)
にして
総
(
すべて
)
の
考
(
かんがえ
)
を
圧去
(
あっしさ
)
って、こんどは
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
、
熱切
(
ねっせつ
)
に、
夢中
(
むちゅう
)
の
有様
(
ありさま
)
で、
言
(
ことば
)
が
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
草の上へねころんでふざけると、しろ公は
夢中
(
むちゅう
)
になりすぎて、林太郎の手や足に
歯
(
は
)
あとがのこるほどかみつきます。そんなとき
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
私はその子の名前を呼んだ。その子はしかし私の方を
振
(
ふ
)
り向こうともしなかった。それほど自分の遊びに
夢中
(
むちゅう
)
になっているように見えた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
おしゃべりに
夢中
(
むちゅう
)
になっていた村人たちは、その男がいつのまにか、その
部屋
(
へや
)
から
玄関
(
げんかん
)
にでてきていたのに、いっこうに気づかなかった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
「ああ、面白かった。おれはもう、毒もみのことときたら、全く
夢中
(
むちゅう
)
なんだ。いよいよこんどは、
地獄
(
じごく
)
で毒もみをやるかな。」
毒もみのすきな署長さん
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
切られたかと思ったほど痛かったが、それでも
夢中
(
むちゅう
)
になって逃げ出すとネ、ちょうど
叔父
(
おじ
)
さんが帰って来たので、それで
済
(
す
)
んでしまったよ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
夢中
(
むちゅう
)
で
振
(
ふ
)
り
払
(
はら
)
ったお
蓮
(
れん
)
の
片袖
(
かたそで
)
は、
稲穂
(
いなほ
)
のように
侍女
(
じじょ
)
の
手
(
て
)
に
残
(
のこ
)
って、
惜
(
お
)
し
気
(
げ
)
もなく
土
(
つち
)
を
蹴
(
け
)
ってゆく
白臘
(
はくろう
)
の
足
(
あし
)
が、
夕闇
(
ゆうやみ
)
の
中
(
なか
)
にほのかに
白
(
しろ
)
かった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
そうしたらぼくのそばに
寝
(
ね
)
ているはずのおばあさまが何か黒い
布
(
きれ
)
のようなもので、
夢中
(
むちゅう
)
になって戸だなの火をたたいていた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そう思うと、すっかりうれしくなって、その人のほうへ
夢中
(
むちゅう
)
でかけていきました。心配のあまり、
胸
(
むね
)
がドキドキしています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
思わず飛上って
総身
(
そうしん
)
を震いながらこの大枝の下を一散にかけぬけて、走りながらまず心覚えの奴だけは
夢中
(
むちゅう
)
でもぎ取った。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
次には
夢中
(
むちゅう
)
になって
喝采
(
かっさい
)
しました。そしてお金が雨のように投げられました。ハムーチャは得意になって、なおいろんな物を煙にしてみせました。
手品師
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そして、そうした
悲哀
(
ひあい
)
に満ちた感覚が、なんとも言えず
嬉
(
うれ
)
しかったのだ。わたしはそれに
夢中
(
むちゅう
)
になっていたのだ! ……
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
『まあ
何
(
なん
)
という
不思議
(
ふしぎ
)
な
世界
(
せかい
)
があればあったものでございましょう!』と
私
(
わたくし
)
はわれを
忘
(
わす
)
れて、
夢中
(
むちゅう
)
になって
叫
(
さけ
)
びました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
クリストフは
弾
(
ひ
)
くのに
夢中
(
むちゅう
)
になっていて、何を
弾
(
ひ
)
いてるのやらさっぱりわからなかったので、知らないと
答
(
こた
)
えた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しめたッと寺田が呶鳴ると、莫迦ッ! 追込馬が鼻に立ってどうするんだと、うしろの声も
夢中
(
むちゅう
)
だった。鼻に立ったハマザクラの騎手は鞭を使い出した。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
というのは、わたしは自分のしごとに
夢中
(
むちゅう
)
になっていましたから。つまりわたしは、かえるを打つために使うくるみの
枝
(
えだ
)
をおろうと、
一生
(
いっしょう
)
けんめいでした。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
とさけびながら、
夢中
(
むちゅう
)
でかけ
出
(
だ
)
しますと、
山風
(
やまかぜ
)
がうしろからどっと
吹
(
ふ
)
きつけて、よけい火が大きくなりました。
かちかち山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「ええ。だけれど、江戸の
伝法
(
でんぼう
)
肌だけに気が強くて、大事な用を帯びているのだから、是非、親分を呼び返してくれ、後生だ、頼みだ、と
夢中
(
むちゅう
)
にまでいっているのだよ」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、今も昔も変わらぬ真理は、恋は思案のほか——お蓮さまは、モウモウ源三郎に
夢中
(
むちゅう
)
なんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その英文学というものはどんなものかとお
尋
(
たず
)
ねになるかも知れませんが、それを三年専攻した私にも何が何だかまあ
夢中
(
むちゅう
)
だったのです。その頃はジクソンという人が教師でした。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それはそうかもしれない。しかし本気ぶりがちがうよ。自分の考えだけに
夢中
(
むちゅう
)
になって、国民の地についた日常生活のことなんか、まるで忘れてしまっているような本気では困るね。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
玄関
(
げんかん
)
の食卓には、墓場から盗って来たのであろう
桃
(
もも
)
色の
芍薬
(
しゃくやく
)
が一輪コップに差してあった。二人は
夢中
(
むちゅう
)
で食べた。実に美しくつつましい
食慾
(
しょくよく
)
である。彼女は犬のように満ちたりた眼をしている。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
「ジョキンジョキンジョキンでした。あとは
夢中
(
むちゅう
)
です」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ねずみは
夢中
(
むちゅう
)
で あとから走る。
魔法の笛
(新字新仮名)
/
ロバート・ブラウニング
(著)
子供
(
こども
)
らはいろんなことをいって、
議論
(
ぎろん
)
をしましたが、また、そんなことは
忘
(
わす
)
れてしまって、みんなは
遊
(
あそ
)
びに
夢中
(
むちゅう
)
になりました。
海のかなた
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
それに私はさっきから自分の印象をまとめようとしてそれにばかり
夢中
(
むちゅう
)
になっていたので、そんな唸り声にふと気づく
度毎
(
たびごと
)
に
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
達二はどこまでも
夢中
(
むちゅう
)
で追いかけました。そのうちに、足が何だか
硬張
(
こわば
)
ってきて、自分で走っているのかどうか
判
(
わか
)
らなくなってしまいました。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
手許
(
てもと
)
の
火鉢
(
ひばち
)
に
載
(
の
)
せた
薬罐
(
やかん
)
からたぎる
湯気
(
ゆげ
)
を、千
切
(
ぎ
)
れた
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の
片脚
(
かたあし
)
のように、
頬
(
ほほ
)
を
引
(
ひ
)
ッつらせながら、
夢中
(
むちゅう
)
で
吸
(
す
)
い
続
(
つづ
)
けていたのは
春重
(
はるしげ
)
であった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ニールスはみんながあんまり
夢中
(
むちゅう
)
になっているので、おかしくてたまらず、笑ったひょうしに笛を
落
(
おと
)
してしまいました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
そういうと、おかあさんはいきなり
土間
(
どま
)
へおり、
裏庭
(
うらにわ
)
へでていきました。林太郎はもう
夢中
(
むちゅう
)
になり、はだしのままおっかさんの後をおいかけました。
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
私
(
わたくし
)
はうれしいやら、
悲
(
かな
)
しいやら、
夢中
(
むちゅう
)
であの
娘
(
こ
)
を
両腕
(
りょううで
)
にひしとだきかかえたのでございます……。が、それまでが
私
(
わたくし
)
の
嬉
(
うれ
)
しさの
絶頂
(
ぜっちょう
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
ぼくたちは
夢中
(
むちゅう
)
になって「ポチ」とよびながら、ポチのところに行った。ポチは身動きもしなかった。ぼくたちはポチを一目見ておどろいてしまった。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
小さなハツカネズミたちは、いままでにそんな話を聞いたことがなかったので、
夢中
(
むちゅう
)
になって聞いていました。
モミの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
女の子は
夢中
(
むちゅう
)
で
一生懸命
(
いっしょうけんめい
)
逃
(
に
)
げますと、山の上からしばを
背中
(
せなか
)
にしょって
下
(
お
)
りて
来
(
く
)
るおじいさんに
出
(
で
)
あいました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
まあ、
邪魔
(
じゃま
)
しないでちょうだい。とにかく、すばらしい舞踏会なの。お客も
大勢
(
おおぜい
)
いて、それがみんな若くて、立派で、
勇敢
(
ゆうかん
)
で、みんな
夢中
(
むちゅう
)
で女王様に
恋
(
こい
)
しているの
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
たいへんきまりが
悪
(
わる
)
くなって、ぴたりと
遊
(
あそ
)
びを
止
(
や
)
めてしまった。そして窓のところへ走っていき、ガラスに顔を
押
(
お
)
しあてて、何かを
夢中
(
むちゅう
)
で
眺
(
なが
)
めてるような
風
(
ふう
)
をした。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
おや、また
往来
(
おうらい
)
だ。なんてまあ広い通りだろう。うかうかすると、ひきころされてしまうぞ。なにしろ、みんな
夢中
(
むちゅう
)
で、わめいたり、走ったり、車をとばしたりしているからな。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
口にしたこともないきたないことばを、おとなしい
執事
(
しつじ
)
が、めずらしく
吐
(
は
)
きすてた。つづいて、このやろう……このやろう、と
夢中
(
むちゅう
)
で
鉄棒
(
てつぼう
)
にステッキで、なぐりかかっていった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
と指さされた窓の
許
(
もと
)
へ、お君は、
夢中
(
むちゅう
)
のように、つかつか出て、硝子窓の
敷居
(
しきい
)
に
縋
(
すが
)
る。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
夢中
(
むちゅう
)
になっているうちに、ヒュッとなにかが、耳のそばをうなってかすりぬけた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こっちでは
拳
(
けん
)
を打ってる。よっ、はっ、と
夢中
(
むちゅう
)
で両手を振るところは、ダーク一座の
操人形
(
あやつりにんぎょう
)
よりよっぽど
上手
(
じょうず
)
だ。向うの
隅
(
すみ
)
ではおいお
酌
(
しゃく
)
だ、と徳利を振ってみて、酒だ酒だと言い直している。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
道々
(
みちみち
)
も一
分
(
ぷん
)
の
絶間
(
たえま
)
もなく
喋
(
しゃべ
)
り
続
(
つづ
)
けて、カフカズ、ポーランドを
旅行
(
りょこう
)
したことなどを
話
(
はな
)
す。そうして
大声
(
おおごえ
)
で
眼
(
め
)
を
剥出
(
むきだ
)
し、
夢中
(
むちゅう
)
になってドクトルの
顔
(
かお
)
へはふッはふッと
息
(
いき
)
を
吐掛
(
ふっか
)
ける、
耳許
(
みみもと
)
で
高笑
(
たかわらい
)
する。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それからの
享楽
(
きょうらく
)
を
妄想
(
もうそう
)
して、
夢中
(
むちゅう
)
で、合宿を引き上げる荷物も、いい加減に
縛
(
しば
)
りおわると、清さんが、「坂本さん、今夜は、家だろうね」とからかうのに、「
勿論
(
もちろん
)
ですよ」こう照れた返事をしたまま
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
今
(
いま
)
崖州に到る 事
嗟
(
なげ
)
く可し、
夢中
(
むちゅう
)
常に
京華
(
けいくわ
)
に在るが如し。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「君はまるで
夢中
(
むちゅう
)
だったね。」
二つの途
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
夢
常用漢字
小5
部首:⼣
13画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“夢中”で始まる語句
夢中遊行
夢中庵
夢中歩行者