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古
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ふ
ふりがな文庫
“
古
(
ふ
)” の例文
樹木千載を
古
(
ふ
)
る時は魂ありて人の形を取るかと心中驚異に感じながら進み立ち問答致しますると、孫呉の兵法にも通じおるような始末。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
像の
古
(
ふ
)
りたるは
色褪
(
いろあ
)
せて、これを圍める彩畫ある板壁さへ、半ば朽ちて地に
委
(
ゆだ
)
ねたれど、中には
聖母兒
(
せいぼじ
)
の
丹粉
(
にのこ
)
猶
鮮
(
あざやか
)
かなるもなきにあらず。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
場所、東京、山の手の一隅、造作いやしからねど
古
(
ふ
)
りたる三間程の貸家建の茶の間、ささやかなれど掃き浄められて
見好
(
みよ
)
げなる庭を前にす。
好い手紙
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
年来住み
古
(
ふ
)
るしたる住宅は隣家
蔦屋
(
つたや
)
にて譲り受け
度旨
(
たきむね
)
申込
(
もうしこみ
)
有之
(
これあり
)
、其他にも相談の口はかかり候えども、
此方
(
こちら
)
に取り極め申候。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
土蔵の中は
塵
(
ちり
)
の落ちる音も聞こえそうに静かだった、梅雨明けの湿った空気は、物の
古
(
ふ
)
りてゆく甘酸い匂いに染みている。
お美津簪
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
と言うと、「さへづる春は」(
百千鳥
(
ももちどり
)
囀
(
さへづ
)
る春は物ごとに改まれどもわれぞ
古
(
ふ
)
り
行
(
ゆ
)
く)とだけをやっと小声で言った。
源氏物語:06 末摘花
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ずゐぶん
古
(
ふ
)
るいものですが、アイチャンキャラ侯の先祖が、これを取つてからのち、
或時
(
あるとき
)
、外敵にせめられて、一時これを占領されたことがありました。
ラマ塔の秘密
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
右手
(
めて
)
に
提
(
ひっさ
)
げたる
百錬鉄
(
ひゃくれんてつ
)
の
剣
(
つるぎ
)
は霜を浴び、月に映じて、
年紀
(
とし
)
古
(
ふ
)
れども
錆色
(
せいしょく
)
見えず、仰ぐに日の光も寒く輝き候。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかにも着實さうで、
羊羹色
(
やうかんいろ
)
の紋附と共に、何んの疑念も不平もなく、忠義一途に世に
古
(
ふ
)
りた姿です。
銭形平次捕物控:195 若党の恋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
折れ朽た雑草に、積り
古
(
ふ
)
りた落葉に、霙の解け
滲
(
にじ
)
む陰惨な音は、荒れ果てた曠野一面に響くかと思われた。そしてまた、薄黒い北風が、なお一層激しく吹きつのって来た……
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
そこに
年
(
とし
)
古
(
ふ
)
る蝙蝠が棲んでいるのを発見したというような実話がいくらも伝えられている。
薬前薬後
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
人
(
ひと
)
も
無
(
な
)
き
古
(
ふ
)
りにし
郷
(
さと
)
にある
人
(
ひと
)
を
愍
(
めぐ
)
くや
君
(
きみ
)
が
恋
(
こひ
)
に
死
(
し
)
なする 〔巻十一・二五六〇〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そんな時には顔が小く見えて、眼もしおらしい眼になった。後には
種々
(
いろん
)
なことから自暴酒を飲んだらしかったが、酒を飲むと溜らない大きな顔になって、三つ四つも
古
(
ふ
)
けて見えた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
月の光に
影
(
かげ
)
暗
(
くら
)
き、
杜
(
もり
)
の繁みを
徹
(
とほ
)
して、
微
(
かすか
)
に燈の
光
(
ひかり
)
見ゆるは、げに
古
(
ふ
)
りし庵室と覺しく、隣家とても有らざれば、
闃
(
げき
)
として死せるが如き夜陰の靜けさに、
振鈴
(
しんれい
)
の
響
(
ひゞき
)
さやかに聞ゆるは
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
槖駝師
(
うえきや
)
が
剪裁
(
せんさい
)
の手を尽した小庭を通って、
庫裡
(
くり
)
に行く。誰も居ない。尾の少し
欠
(
か
)
けた
年
(
とし
)
古
(
ふ
)
りた木魚と
小槌
(
こづち
)
が掛けてある。二つ三つたゝいたが、一向出て来ぬ。四つ五つ
破
(
わ
)
れよと
敲
(
たた
)
く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
御覧ぜられませ、小藩ながらこの本丸にも、三世の年月が
古
(
ふ
)
り居りまする。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先づ
大網
(
おほあみ
)
の湯を
過
(
すぐ
)
れば、
根本山
(
ねもとやま
)
、
魚止滝
(
うおどめのたき
)
、
児
(
ちご
)
ヶ
淵
(
ふち
)
、
左靱
(
ひだりうつぼ
)
の険は
古
(
ふ
)
りて、
白雲洞
(
はくうんどう
)
は
朗
(
ほがらか
)
に、
布滝
(
ぬのだき
)
、
竜
(
りゆう
)
ヶ
鼻
(
はな
)
、
材木石
(
ざいもくいし
)
、
五色石
(
ごしきせき
)
、
船岩
(
ふないわ
)
なんどと
眺行
(
ながめゆ
)
けば、
鳥井戸
(
とりいど
)
、
前山
(
まえやま
)
の
翠衣
(
みどりころも
)
に染みて、
福渡
(
ふくわた
)
の里に
入
(
い
)
るなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
狼のこゑはいとはね住み
古
(
ふ
)
りて世にわびしきは
雨漏
(
あまもり
)
の音
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
嗚呼、
物
(
もの
)
古
(
ふ
)
りし
鳶色
(
とびいろ
)
の「
地
(
ち
)
」の
微笑
(
ほゝゑみ
)
の
大
(
おほ
)
きやかに
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
これやこの 遥けくも
古
(
ふ
)
りにし伝え
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
古
(
ふ
)
りし
代
(
よ
)
埴安姫
(
はにやすひめ
)
が
手
(
た
)
すさびより
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
白梅に住み
古
(
ふ
)
りたりといふのみぞ
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
古
(
ふ
)
りたる殻は 消ゆるとも
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
拝領の
一軸
(
いちぢく
)
古
(
ふ
)
りし
牡丹
(
ぼたん
)
哉
(
かな
)
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
古
(
ふ
)
りてやぶるゝ壁のごと
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
けれども僕位世の
中
(
なか
)
に
住
(
す
)
み
古
(
ふ
)
るした年配の人間なら、あの記事を見て、すぐ事実だと思ひ込む
人許
(
ひとばかり
)
もないから、
矢
(
や
)
っ
張
(
ぱり
)
若い人程正直に迷惑とは感じない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
柵結いたる井戸ひとつ、
銀杏
(
いちょう
)
の
古
(
ふ
)
りたる樹あり、そがうしろに人の家の土塀あり。
此方
(
こなた
)
は裏木戸のあき地にて、むかいに小さき
稲荷
(
いなり
)
の堂あり。石の鳥居あり。木の鳥居あり。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこに年
古
(
ふ
)
る蝙蝠が棲んでいるのを発見したというような実話が幾らも伝えられている。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
わが
里
(
さと
)
に
大雪
(
おほゆき
)
降
(
ふ
)
れり
大原
(
おほはら
)
の
古
(
ふ
)
りにし
里
(
さと
)
に
降
(
ふ
)
らまくは
後
(
のち
)
〔巻二・一〇三〕 天武天皇
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
おやじは
古
(
ふ
)
り行く家に、必死と若さを欲していたのだ。あれほど愛していたおまえのお母さんが
歿
(
な
)
くなって間もなく、いくら人に勧められたからとて、聖人と
渾名
(
あだな
)
されるほどの人間が
直
(
す
)
ぐ若い後妻を
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かつての上方
女形
(
おやま
)
、
雀右衛門
(
じゃくえもん
)
の住居であったと聞くこの宿。お勝手や細廊下に働く人影も、小庭に
古
(
ふ
)
りた竹のすがたも、みな道頓堀の名女形といわれた主のかたみかと、なんとなく
朝寒
(
あさざむ
)
のいじらしい。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「日の光
林藪
(
やぶ
)
しわかねばいそのかみ
古
(
ふ
)
りにし里も花は咲きけり」
源氏物語:50 早蕨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ひむがしのたふとき山の
陵
(
みささぎ
)
の松
邃
(
ふか
)
きところ
古
(
ふ
)
りし
霊廟
(
みたまや
)
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
日数
(
ひかず
)
へて我に
古
(
ふ
)
りたる
秋簾
(
あきす
)
かな
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
古
(
ふ
)
りにたる指のちからの
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
そのねがひ親や
古
(
ふ
)
りたる
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
百、二百、
簇
(
むら
)
がる騎士は数をつくして北の
方
(
かた
)
なる試合へと急げば、石に
古
(
ふ
)
りたるカメロットの
館
(
やかた
)
には、ただ王妃ギニヴィアの長く
牽
(
ひ
)
く
衣
(
ころも
)
の
裾
(
すそ
)
の
響
(
ひびき
)
のみ残る。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
柵
(
さく
)
結
(
ゆ
)
ひたる井戸ひとつ、
銀杏
(
いちよう
)
の
古
(
ふ
)
りたる樹あり、そがうしろに人の家の
土塀
(
どべい
)
あり。こなたは裏木戸のあき地にて、むかひに小さき
稲荷
(
いなり
)
の堂あり。石の
鳥居
(
とりい
)
あり。木の鳥居あり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
二
重
(
ぢゆう
)
の
上手
(
かみて
)
につゞける一間の家體は
細工場
(
さいくば
)
にて、三方に
古
(
ふ
)
りたる
蒲簾
(
がますだれ
)
をおろせり。庭さきには秋草の花咲きたる垣に沿うて荒むしろを敷き、姉娘
桂
(
かつら
)
廿歳。妹娘
楓
(
かへで
)
、十八歳。相對して
紙砧
(
かみぎぬた
)
を
擣
(
う
)
つてゐる。
修禅寺物語
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かけまくもあやにかしこし年
古
(
ふ
)
れる長崎のうみに
御艦
(
みふね
)
はてたまふ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
伊勢の海の深き心をたどらずて
古
(
ふ
)
りにし跡と波や消つべき
源氏物語:17 絵合
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
窻の
外
(
と
)
は
物
(
もの
)
古
(
ふ
)
りし
街
(
まち
)
、風湿める
香
(
かう
)
のぬくみに
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
鎌倉の
此処
(
ここ
)
に住み
古
(
ふ
)
り初日の出
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
君がなげきは
古
(
ふ
)
りたりや
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
尾上
(
おのえ
)
の松も年
古
(
ふ
)
りて
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
住み
古
(
ふ
)
るした家を引き払って、生れた町から三里の山奥に一人
佗
(
わ
)
びしく暮らしている。卒業をすれば立派になって、東京へでも引き取るのが子の義務である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
帯も長襦袢もこれに消えて、山深き処、年
古
(
ふ
)
る池に、ただその、すらりと雪を
束
(
つか
)
ねたのに、霧ながら
木
(
こ
)
の葉に
綾
(
あや
)
なす、
虹
(
にじ
)
を取って、細く
滑
(
なめら
)
かに美しく、肩に掛けて背に
捌
(
さば
)
き、腰に流したようである。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
長崎は石だたみ道ヴェネチアの
古
(
ふ
)
りし
小路
(
こうぢ
)
のごととこそ聞け
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
讚
(
ほ
)
めあげよ、かく
古
(
ふ
)
りてかく
全
(
また
)
けし。
新頌
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何事も
古
(
ふ
)
りにけるかな
古浴衣
(
ふるゆかた
)
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
“古”を含む語句
古家
中古
古人
往古
古本屋
反古
太古
古代
古木
古城
古昔
古井
古瓦
古婆
稽古
蒙古
古渡
古市
古文書
古典
...