停車場ていしゃじょう)” の例文
「もうじきわし停車場ていしゃじょうだよ」カムパネルラがこうぎしの、三つならんだ小さな青じろい三角標さんかくひょうと、地図とを見くらべていました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そのとき、ふと、かれは、いましもおもくるまけて、みせまえとおって停車場ていしゃじょうへゆきつつある、おとうと姿すがたみとめたのでありました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
丁度今頃いまごろ来るはずだった。こう思って柵の格子の間から、月の差している道を眺めた。停車場ていしゃじょうそばまで見えているのである。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
むかしの東海道の日坂にっさか宿しゅくは、今日では鉄道の停車場ていしゃじょうになつてゐない。今日のくだり列車は金谷かなやほりうち掛川かけがわの各停車場を過ぎて、浜松へ向つてゆく。
小夜の中山夜啼石 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
平素市中しちゅうの百貨店や停車場ていしゃじょうなどで、疲れもせず我先きにと先を争っている喧騒な優越人種に逢わぬことである。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
つぎの土曜日の二時の汽車で、セットへ着くはずにするからと言って来た。わたしは犬たちとジョリクールをれて、かれに会いに停車場ていしゃじょうまで行くことをゆるされた。
停車場ていしゃじょうの明かりで、彼が非常に蒼ざめて、興奮の余りブルブル震えていることが分かった。
黄色な顔 (新字新仮名) / アーサー・コナン・ドイル(著)
死人は岐阜市に発行する○○○○新聞という新聞の主筆しゅひつ——氏で、それはその夜停車場ていしゃじょう前の旅館に投宿して、訪問する処があると云って出かけて往ったものだと云うことが判ったが
雀が森の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ニールスがガチョウのせなかから見おろしますと、町や、農場のうじょうや、教会きょうかいや、工場こうじょうや、おしろや、停車場ていしゃじょうなどが、大小さまざまのかざりもののように、まきちらされているように見えました。
中央線でいうならば、山梨県は小仏こぼとけのトンネルからはじまり、向うは日野春ひのはる富士見ふじみの二つの停車場ていしゃじょうのなかほどでおわるのだが、見て行くうちに屋根の形がいつの間にかまるでかわってしまう。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そしてまれたは、おおきなかごにめられておくられるのですが、かれはそれをリヤカーにせて、いくたびとなく、停車場ていしゃじょうはこんだのであります。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
停車場ていしゃじょうへ馬車に乗って出掛けるはずの時刻より二時間も早く支度をしてしまって、長椅子に掛けて待っている。マリイも用がっくに済んでいる。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
われわれが新橋の停車場ていしゃじょうを別れの場所、出発の場所として描写するのも、また僅々四、五年間の事であろう。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
青森の町は盛岡もりおかぐらいだった。停車場ていしゃじょうの前にはバナナだの苹果りんごだの売る人がたくさんいた。待合室まちあいしつは大きくてたくさんの人が顔をあらったりものを食べたりしている。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
なにより先に刑務所けいむしょへ行って、父親にさようならを言うこと、それからてんでに荷物を持って別々べつべつの汽車に乗るために、別々の停車場ていしゃじょうわかれて行くという手順てじゅんを決めた。
なるほど停車場ていしゃじょうに着くとすぐに桜の多いのがたれの眼にも入る。路傍みちばたにも人家の庭にも、公園にも丘にも、桜の古木が枝をかわして繁っている。磯部の若葉は総て桜若葉であるといってもいい。
磯部の若葉 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
その二人は前晩ぜんばん泊った温泉町から電報を打って停車場ていしゃじょうもよりの家へ某事を頼んであるので、その家へ往ってを明かし、己の家へは翌朝の汽車で帰ったような顔をして帰ると云うことになっていた。
青い紐 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
沿海線えんかいせん沿うて、レールがはしっていました。小高こだかおかうえに、停車場ていしゃじょうがあって、待合室まちあいしつかぜきさらしになっています。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
停車場ていしゃじょうの屋根の下を出離れると、本当の昼の明りになった。なんというい天気だろう。それに向うには朝日に赤く染められた山々がそびえている。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
わたしは犬をひもでつないで、ジョリクールは上着の下に入れて、停車場ていしゃじょうかたすみに立って待っていた。わたしは身の回りに起こっていることはほとんど目にはいらなかった。
目下いずこの停車場ていしゃじょうの新聞売場にも並べられている小新聞を見ると、拙劣鄙褻せつれつひせつな挿絵とその表題とが、読者の目をくだけで買って読んで見ると案外つまらない事ばかりである。
裸体談義 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
まもなくプラットホームの一れつ電燈でんとうが、うつくしく規則きそく正しくあらわれ、それがだんだん大きくなってひろがって、二人はちょうど白鳥停車場ていしゃじょうの、大きな時計とけいの前に来てとまりました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それは停車場ていしゃじょうじぶんの家の途中にある町であった。
指環 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
みちうえには、おもせて停車場ていしゃじょうにゆくくるまがつづいていました。また、停車場ていしゃじょうからほかへはこんでゆくくるまなどで、終日しゅうじつるがようにられたのであります。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人力車じんりきしゃから新橋の停車場ていしゃじょうに降り立った時、人から病人だと思われはせぬかと、その事がむやみに気まりがわるく、汽車に乗込んでからも、帽子を眉深まぶかにかぶり顔をまどの方へ外向そむけて
十六、七のころ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
停車場ていしゃじょうの方で、するどふえがピーと鳴りました。
めくらぶどうと虹 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかし、きゅうおもいたってきたので、通知つうちもしなかったから、このちいさなさびしい停車場ていしゃじょうりても、そこに、上野先生うえのせんせい姿すがたいだしようはずがなかったのです。
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
鉄道てつどうにつとめているおじさんが、みちとしたんだわ。あのボタンを停車場ていしゃじょうっていって、とどけてあげればよかった。」と、ゆりちゃんはおもったのです。
金色のボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとしれ、翌年あくるとしになると、不思議ふしぎうんがめぐってきました。汽車きしゃがこのむらとおって、停車場ていしゃじょうちかくにつといううわさがたつと、きゅうにあたりが景気けいきづきました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある田舎いなか停車場ていしゃじょう汽車きしゃがとまりました。その汽車きしゃは、きたほうくにからきて、だんだんみなみほうへゆくのでありました。どのはこにも、たくさんな荷物にもつんでありました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「これから停車場ていしゃじょうにいって、汽車きしゃるのだよ。こちらへきたら、また、あえるかもしれない。」
春さきの朝のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
東京とうきょうから、にいさんが、かえってくるというので、どもは、停車場ていしゃじょうへ、むかえにでました。
風七題 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ぼっちゃん、とおいのですよ。あっちの港町みなとまちです。もし、あっちへいらしたら、およりくださいね。わたしのうちは、停車場ていしゃじょうのすぐまえですから。」と、おばさんがおしえてくれた。
はたらく二少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このくまも、やはり毎日駆まいにちかけまわったやまや、たにや、かわのことをおもしているのかもしれませんでした。そのとき、ちょうど停車場ていしゃじょう構内こうないに、にわとりをさがしながらあるいていました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いよいよ、門出かどでがきました。かれは、停車場ていしゃじょうへのみちいそぎつつ、ふりかえって、一にちとしてなかったことのない、山々やまやまをながめました。くもていて、けんみねだけが、かくれていました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
昨夜さくや叔父おじさんが、荷物にもつって、停車場ていしゃじょうまでおくってくれました。けると、汽車きしゃは、広々ひろびろとした平野へいやなかはしっていました。車中しゃちゅうには、ねむそうなかおをしたおとこおんなっていました。
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
東京とうきょうからったのです。そして、つぎのつぎの、停車場ていしゃじょうりますの。」
青い星の国へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おお、どこかとおむらひとで、停車場ていしゃじょうへ、兵隊へいたいさんをおくっていくのだな。」
夜の進軍らっぱ (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここは、山間さんかんの、停車場ていしゃじょうちかい、まちかたちをした、ちいさなむらでありました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ああ、自由じゆうはなたれていて、しかも、はねすらちながら、それができないとは、なんというなさけないことだ……。」と、くまは、はがゆがりました。汽車きしゃは、いくつかの停車場ていしゃじょうにとまりました。
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くらみちを、おかあさんは、停車場ていしゃじょうほうかってあるいていました。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねえさんと、賢二けんじは、停車場ていしゃじょうまで、見送みおくっていきました。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)