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併
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しか
ふりがな文庫
“
併
(
しか
)” の例文
併
(
しか
)
し、其は我々の想像の領分の事で、
而
(
しか
)
も、歴史に見えるより新しい時代にも、
尚
(
なほ
)
村々・国々の主権者と認められた巫女が多かつた。
国文学の発生(第二稿)
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
併
(
しか
)
し少年は大きな身体を不器用に丸めて、俯向いたまま、むつと口を噤んでゐた。暫くしてから、困つたやうに、筆を玩びはじめた。
傲慢な眼
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
併
(
しか
)
しこれは直接音楽と関係のある筋ではなく、その位の事なら、まだ他にも
沢山
(
たくさん
)
あるだろうと思う、例えばヴァイオリンの胴の中に
探偵小説と音楽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
併
(
しか
)
し草平氏は他人から気の毒だと同情される資格は充分にあります。これは平塚さんよりもずつとお人よしだと云ふことであります。
妾の会つた男の人人
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
それからまた、近頃の教科書には本文とは大した関係のない
併
(
しか
)
し見た眼に綺麗なような色々の図版を入れることが
流行
(
はや
)
るようである。
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
暫
(
しばら
)
くすると、彼の手がおじおじと、今抛り出したばかりの写真の方へ伸びて行った。
併
(
しか
)
し広げて
一寸
(
ちょっと
)
見ると、又ポイと抛り出すのだ。
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
曝露するであろうが、
併
(
しか
)
し謎と問題とにみちた自身の領域に於ては神の如きエイ智であり聖紀の宝賜でありまた奇蹟を行うの力である
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
併
(
しか
)
し
猟夫
(
かりゅうど
)
が此の様子を見て居りはせぬかと絹川の方を眺めますれど、只水音のみでございまして往来は絶えた真の夜中でございます。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼とても
芸妓
(
げいしや
)
と飲む酒の
甘
(
うま
)
い事は知つて居やう、
併
(
しか
)
し一度でも
然
(
さ
)
う云ふ場所へ足を向けた事の無いのは友人が皆不思議がつて居る。
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
併
(
しか
)
しそれから間もなく父は眼をわずらって、両眼とも見えなくなってしまいましたので、校長の役をも退かなくてはならなくなり
メンデレーエフ
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
併
(
しか
)
しこちらは落第しても平気だが先方は婦人のことだからというので一日文枝さんがそれとなく誘い出し口実を設けてつれてきた。
結婚
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
併
(
しか
)
しその頃は時間はあっても金がないから、あるものを費やして、ないものを包んでおいた。今日この頃のように月夜のこともあった。
鹿山庵居
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
併
(
しか
)
し、次の情景が私達を更に
愕
(
おどろ
)
かした。不意の闖入者と花子とが
緊
(
ひし
)
と抱き締めて、ものも云わずに黒い地面にうずくまったからである。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
○
画
(
ゑ
)
をかく人々、字をかく人々に告ぐ。お金を払つて買つて下さるは、まことに
難有
(
ありがた
)
いお方なり。
併
(
しか
)
しながら大抵は、わからぬ奴なり。
青眼白頭
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
併
(
しか
)
し何かゞ居るのだと幼い心が感じた。さうだ。何かゞ息を潜めて、すべての暗い所に俺を見張つてゐるのだ。俺の隙、俺の死を!
父の死
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
併
(
しか
)
し外には何の被害もなかったので二人相談の上、塔を箱の中に戻し、硝子は風で落ちた事にして知らぬ顔をして居たのであった。
真珠塔の秘密
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「ただ懇意にとは?……勿論……いや、
併
(
しか
)
し、どう云ったらよいか……どっちみち、私は、これ迄に、一人の女しか知らないので」
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして花柳界としての神楽坂の繁昌振りをのぞいて見たい欲望をも感ずるのであるが、
併
(
しか
)
し惜しいことにはもう時間が遅くなった。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
と吉三郎の声色を使ったので、皆は
鬨
(
どっ
)
と吹出してしまった。
併
(
しか
)
しそれでも福太郎はまだ腑に落ちない顔で口真似をするかのように
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
併
(
しか
)
し
此
(
この
)
場を立ち上がって、あの倒れている女学生の所へ行って見るとか、それを
介抱
(
かいほう
)
して
遣
(
や
)
るとか云う事は、どうしても遣りたくない。
女の決闘
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
併
(
しか
)
し大阪に行けば中津の倉屋敷で賄の代を払う事にして、
是
(
こ
)
れも
船宿
(
ふなやど
)
で
心能
(
こころよ
)
く承知して呉れる。悪い事だが全く贋手紙の功徳でしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
信ぜぬて、
併
(
しか
)
し今日の詮索は先ず是だけで沢山だ、是から帰て僕の室へ来、何か一口
喫
(
た
)
べ給え、此後の詮索は明日又朝から掛るとしよう
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
立通
(
たてとほ
)
し
指替
(
さしかへ
)
の大小并びに具足迄
省愼置
(
たしなみおか
)
るゝ程の
氣質
(
きしつ
)
にては
勿々
(
なか/\
)
此金子を受取ざるも
道理
(
もつとも
)
なり
併
(
しか
)
しながら某しも一人の
娘
(
むすめ
)
を
賣
(
うつ
)
て昔しの恩を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「勿論それはさうだらう。僕が弁護士になつてもさうだらうと思ふ。
併
(
しか
)
し磯貝なんぞは患者を選んで取るといふぢやあないか。」
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
武は、モウ
成人
(
おとな
)
になつて、此湖水などへは舟で幾度も遊びに来たことが有り升。
併
(
しか
)
し其後鼻で
釣
(
つり
)
をしたといふ
噂
(
うはさ
)
は、一度もきこえません。
鼻で鱒を釣つた話(実事)
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
併
(
しか
)
しさう思つてしまへば、子供を見るためにかうして時々この家へ来ると云ふことも同じ無駄なことであらうと苦笑するのです。
遺書
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
然うしたら社會の人として、
或
(
あるひ
)
は
安楽
(
あんらく
)
な
生活
(
せいくわつ
)
を
爲
(
な
)
し
得
(
う
)
るかも知れない。
併
(
しか
)
し精神
的
(
てき
)
には、
全
(
まつた
)
く
死
(
し
)
んで了ツたのも
同
(
おな
)
じことなんだ!
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
汲ませ玉へやといふ先に家の
大
(
おほい
)
なるに合せ奮發したる茶代の高
此
(
こゝ
)
に至ツて光を放ちぬ
併
(
しか
)
しながら此家は
夫是
(
それこれ
)
の事に拘はらず山を祝ふて酒を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
併
(
しか
)
し大きく乱立している熔岩の多くには
木振
(
きぶり
)
のいいひねた松が生え熔岩そのものも皆
紫褐色
(
しかっしょく
)
に十分さびており、それに
蘚苔
(
せんたい
)
が
鎖
(
とざ
)
していて
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
偶々
(
たまたま
)
感じ候故
序
(
ついで
)
に申上候。荒木令嬢の事、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
相迎
(
あいむかえ
)
候事と決心仕候。
併
(
しか
)
し随分苦労の種と存候。夜深く相成候故
擱筆
(
かくひつ
)
仕候。草々不宣。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
併
(
しか
)
し白い太陽は尚もじりじりとあらゆるものを照りつけ続けていた。そして路面からの反射光線は室内にまで火矢のように躍り込んでいた。
三稜鏡:(笠松博士の奇怪な外科手術)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
併
(
しか
)
し斯うした商売の人間に特有——かのような、陰険な、他人の顔を
正面
(
まとも
)
に視れないような変にしょぼ/\した眼附していた。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
動物学上から云へば、猫の立つて歩くのも
或
(
あるい
)
は当然の事かも知れぬ。
併
(
しか
)
し我々俗人は
之
(
これ
)
をも不思議の一つに
数
(
かぞ
)
へるのが
慣例
(
ならい
)
だ。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
併
(
しか
)
し下から見上げて考えた程危険では無かった。岩は堅くて凹凸がある。五分の手懸り足懸りも安全に生命を保障して呉れる。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
彼等
(
かれら
)
の
石盤
(
せきばん
)
を
見越
(
みこ
)
せる
程
(
ほど
)
近
(
ちか
)
くに
居
(
ゐ
)
たので、
全然
(
すつかり
)
それが
分
(
わか
)
りました、『
併
(
しか
)
しそれは
何
(
ど
)
うでも
關
(
かま
)
はないわ』と
密
(
ひそ
)
かに
然
(
さ
)
う
思
(
おも
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
併
(
しか
)
し、
女人
(
によにん
)
堂を過ぎて平地になつた時には、そこに平凡な田舎村が現出せられた。駕籠のおろされた宿坊は、避暑地の下宿屋のやうであつた。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
全く弱つて
仕舞
(
しま
)
つた。
併
(
しか
)
しそこには僕のでない
汚
(
きたな
)
い下駄は一足あつたのである。それを欲しいと思つた。とりたいと思つた。
拊掌談
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
銀座の話がどうも飛んだ面倒な議論になったが、
併
(
しか
)
し銀座の事を考えるからは、モダンなりモダンガールなりの事を考えない訳にはゆかない。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
左様
(
さよう
)
に
豪勢
(
ごうせい
)
な(
併
(
しか
)
し不思議な)人気を
背負
(
しょ
)
っている金青年の心は一体誰の上にあったかというと、それは君江の上にあった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
併
(
しか
)
し、その佳味は、これら漁人の口に上ることは稀であつて、多く、隣の町へ運ばれて、多少の金と換へられるのである。
諏訪湖畔冬の生活
(新字旧仮名)
/
島木赤彦
(著)
併
(
しか
)
し相手は婦人づれであるから、確に自分の方が先に相違ないと思って、彼は工合のいゝ物蔭に立って眼を輝かしていた。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
珠運とか云う小二才はおのれだな
生
(
なま
)
弱々しい顔をして
能
(
よく
)
もお辰を
拐帯
(
かどわか
)
した、若いには似ぬ感心な
腕
(
うで
)
、
併
(
しか
)
し若いの、
闘鶏
(
しゃも
)
の前では
地鶏
(
じどり
)
はひるむわ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
併
(
しか
)
し、とにもかくにも其等の文章を通じて、文学をする者にとっての現在の問題というものが
朧
(
おぼろ
)
げながら判っては来た。
章魚木の下で
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
併
(
しか
)
し其後では必ず嫉妬心と憎悪とが
跟
(
つ
)
いて来る。
夫
(
そ
)
れが他人の夫人であるからだ。彼は
平常
(
いつも
)
の通り勝手な想像を胸に描いて此心持を消そうとした。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
良
(
りやう
)
さんお
約束
(
やくそく
)
のもの
忘
(
わす
)
れては
否
(
いや
)
よ。アヽ
大丈夫
(
だいじやうぶ
)
忘
(
わ
)
すれやアしなひ
併
(
しか
)
しコーツと
何
(
な
)
んだツけねへ。あれだものを
出
(
で
)
かけにもあの
位
(
くらゐ
)
願
(
ねが
)
つておいたのに。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
併
(
しか
)
しお前の歌は今日は非常に悲しいが、一たいどうしたことか? もし心配でもあるなら、
私
(
わたし
)
に打ち開けて話してくれ、王の力で出来ることなら
孝行鶉の話
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
全く驚き入りました。
申訳
(
もうしわ
)
け御座いません。
併
(
しか
)
し、御前、こんなふしだらな事を致しましたのも、要するに青木が、肺病の前途を悲観して、奈世を
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
併
(
しか
)
し
凡
(
すべ
)
てに
共通
(
けうつう
)
した
手法
(
しゆはふ
)
の
方針
(
はうしん
)
は、
由來
(
ゆらい
)
化物
(
ばけもの
)
の
形態
(
けいたい
)
には
何等
(
なんら
)
か
不自然
(
ふしぜん
)
な
箇所
(
かしよ
)
がある。それを
藝術
(
げいじゆつ
)
の
方
(
ちから
)
で
自然
(
しぜん
)
に
化
(
くわ
)
さうとするのが
大體
(
だい/\
)
の
方針
(
はうしん
)
らしい。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
平凡
(
へいぼん
)
な
會話
(
くわいわ
)
じやアないか。
平常
(
ふだん
)
なら
當然
(
あたりまへ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
だ。
併
(
しか
)
し
自分
(
じぶん
)
は
友
(
とも
)
と
別
(
わか
)
れて
電車
(
でんしや
)
に
乘
(
の
)
つた
後
(
あと
)
でも
氣持
(
きもち
)
がすが/\して
清涼劑
(
せいりやうざい
)
を
飮
(
の
)
んだやうな
氣
(
き
)
がした。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「そうだ、こんな速力の出る潜水艦は、春田式C・C・D号より
外
(
ほか
)
にはない。
併
(
しか
)
しどうしてあれを止めたら宜いだろう」
骸骨島の大冒険
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
併
常用漢字
中学
部首:⼈
8画
“併”を含む語句
併合
併呑
合併
乍併
併行
併発
併立
併用
金石併用期
越山併得能州景
立併
濫併
双方合併
兼併
併馬鈴芋
併行線
併植
併有
併存
併在
...