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人中
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ひとなか
ふりがな文庫
“
人中
(
ひとなか
)” の例文
地図は持っているが、
田鶴子
(
たずこ
)
さんにしても僕にしてもそれを
人中
(
ひとなか
)
で拡げて見て
態〻
(
わざわざ
)
お上りさんの広告をする気になれないから不便だ。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
始めて親に離れ故郷に別れて、
人中
(
ひとなか
)
の生活をする者の胸のうちには、或いはもう一度「子ども」の感じが
蘇
(
よみがえ
)
って来るのではあるまいか。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そういった
人中
(
ひとなか
)
の商売は
黒人
(
くろと
)
のことですから、万事に抜け目がなく、たとえば売り
溜
(
だ
)
めの銭などは、バラで
抛
(
なげう
)
って置いてある。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「何せい、
七歳
(
ななつ
)
ぐらいからあの居酒屋へ奉公しておりますので、馬方やら、この辺の
紙漉
(
かみす
)
きやら、旅の衆に、
人中
(
ひとなか
)
で
揉
(
も
)
まれておりますでな」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「着物がないですか。羽織と
袴
(
はかま
)
くらいどうでもしますたい。ちと
人中
(
ひとなか
)
へも出るがよかたい先生。有名な人に紹介して上げます」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
言訳は
後
(
のち
)
にしまするとて手を取りて引けば弥次馬がうるさいと気をつける、どうなり勝手に言はせませう、
此方
(
こちら
)
は此方と
人中
(
ひとなか
)
を分けて伴ひぬ。
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
日頃君江はカッフェーの
人中
(
ひとなか
)
で、もしその時分のお客と顔を見合せた場合、自分の取るべき態度については予め考えていないことはなかった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
いかに御時勢とは言え、のこのこ
人中
(
ひとなか
)
に出て、しかも教育会! この世に於いて最も崇高にして
且
(
か
)
つ厳粛なるべき会合に顔を出して講演するなど
男女同権
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
第一、
人中
(
ひとなか
)
で牛が殺せる! と言うんで、貧乏人の子供でちょいと腕っぷしの強いやつは、争って闘牛士を志願する。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「全く、お雪ちゃん、このごろ、めっきり暗くなったようだね、ちっとも
人中
(
ひとなか
)
へ
面
(
かお
)
を見せないじゃないか」
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人中
(
ひとなか
)
へも会話へも他人を肩で押し分けて(精神的にも肉体的にも)割込んでゆく押の強いたちであった。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
「
人中
(
ひとなか
)
へ
出
(
で
)
ていますと、
気
(
き
)
を
使
(
つか
)
って、がまんをしますし、まだ
年
(
とし
)
のいかないのに、かわいそうです。」
波荒くとも
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
身体
(
からだ
)
はといったら僕よりも大きいほどの大女、赤ら顔で縮れっ毛で
団子鼻
(
だんごッぱな
)
のどんぐり
眼
(
まなこ
)
と来ていますから何ぼ何でも東京へ連れて来て僕のワイフですと
人中
(
ひとなか
)
へ出せません。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
僕は、
人中
(
ひとなか
)
へ出る時は、大抵、洋服を着てゆく。
袴
(
はかま
)
だと、
拘泥
(
こうでい
)
しなければならない。繁雑な日本の étiquette も、ズボンだと、しばしば、大目に見られやすい。
野呂松人形
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と
名告
(
なの
)
りながらぴったり
振冠
(
ふりかぶ
)
った時は、水司又市も驚いたの驚かないの、
恟
(
びっく
)
り致して少し
後
(
あと
)
へ
退
(
さが
)
る。往来の者も驚きました。
人中
(
ひとなか
)
で始まったから、はあと皆
後
(
あと
)
へ
下
(
さが
)
りました。
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だが、またある折は
化
(
ばけ
)
たつもりでだまかしておいて貰ひます。それではづかしげもなく
人中
(
ひとなか
)
へも出ます。化粧といふのは
他目
(
ひとめ
)
を
賺
(
ごまか
)
すのではなく自分の心を化しなだめるのです。
鏡二題
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
人中
(
ひとなか
)
と来ては、女学校にさえ行く事が出来ない——と云っても、それが掛値なしの真実なのであるから、当然そこには家庭教師が必要となって、工阪杉江が招かれるに至った。
絶景万国博覧会
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そうでなくても
人中
(
ひとなか
)
へ出ると一層物が云えなくなる雪子は、こう云う席では「でございます」の東京弁で話すのがギゴチなくて、自然言葉の終りの方が
曖昧
(
あいまい
)
になるのであるが
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人中
(
ひとなか
)
でそんな書物を読んでいるのが気恥かしさに、図書館行きを止めようかと思った位で御座いましたが、そのうちに遺伝の事を書いた書物を何気なく読んでおりますと、私は又
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
やおら
人中
(
ひとなか
)
から立ち上がると、ずかずか葉子に突きあたらんばかりにすれ違って、すれ違いざまに葉子の顔を
孔
(
あな
)
のあくほどにらみつけて、聞くにたえない
雑言
(
ぞうごん
)
を高々とののしって
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
人中
(
ひとなか
)
へ這入るなり、幾らかの力と元氣とを得たいと云ふ願望が、私に歸つて來たのだ。かうした村の
鋪石道
(
しきいしみち
)
の上で、飢ゑに迫られて、氣を失ふなんて、恥しいことだと私は思つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
着物が違い言葉が違うと云う外には何も原因はないが、子供の事だから何だか
人中
(
ひとなか
)
に出るのを気恥かしいように
思
(
おもっ
)
て、自然、内に引込んで兄弟同士遊んで居ると云うような風でした。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
これに
反
(
はん
)
して
玉依姫系統
(
たまよりひめけいとう
)
の
方
(
かた
)
は
至
(
いた
)
って
陽気
(
ようき
)
で、
進
(
すす
)
んで
人中
(
ひとなか
)
にも
出
(
で
)
かけてまいります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「
人中
(
ひとなか
)
であんなに恥をかゝされちや黙つて
居
(
を
)
られない。さ、果し合ひをしよう。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ラエーフスキイがどこか
人中
(
ひとなか
)
にいるところを観察して見給え、すぐ眼につくことだ。なにか一般的な問題、たとえば細胞とか本能とかの話が出ているうちは、彼は隅に引っ込んで黙っている。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
捕
(
とら
)
へ
此乞食
(
このこじき
)
めと
人中
(
ひとなか
)
にて
散々
(
さん/″\
)
罵
(
のゝし
)
り
恥
(
はづか
)
しめければ今は四郎右衞門も
腹
(
はら
)
に
居
(
すゑ
)
兼
(
かね
)
大いに
憤
(
いきど
)
ほりけれどもとても
腕
(
うで
)
づくにては
叶
(
かな
)
ひ
難
(
がた
)
しと思ひ其日も
堪
(
こらへ
)
て歸りしが
不※
(
ふと
)
心付
(
こゝろづき
)
我
(
わ
)
が
日來
(
ひごろ
)
信心
(
しんじん
)
なす
金毘羅
(
こんぴら
)
へ
祈誓
(
きせい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
お光は今迄にもまして
人中
(
ひとなか
)
に出るを厭がり、男などが
戯言
(
ざれごと
)
云いかけても、ふいと
側
(
わき
)
を向いてしまう。其のかわり
両親
(
ふたおや
)
には今迄にもまして孝行をする。口数はきかないが、それはそれは
細
(
こまか
)
に心をつける。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「ワルソウへ行きや
人中
(
ひとなか
)
だ。消えて無くなりもすまい。」
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
我れも行く春の銀座の灯のもとを巴里の宵の
人中
(
ひとなか
)
として
註釈与謝野寛全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「分っているなら、なぜ、ツベコベとよけいな、おしゃべりをするのさ。
人中
(
ひとなか
)
で、お米の
方
(
かた
)
なんてふざけるともう阿波へ帰ってやらないからいい」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
人中
(
ひとなか
)
でしょう。私は真赤になってしまいました。安達さんが憤慨して、『君、失敬じゃないか?』って。オホヽヽヽ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その折から偶然銀座の
人中
(
ひとなか
)
でお千代に
袂
(
たもと
)
を引かれ、これが噂に聞く
街娼
(
がいしょう
)
だと思った処から、日頃の渇望を一時に
癒
(
いや
)
し得たような心持になったのである。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ぢや君は
人中
(
ひとなか
)
ぢや口は利けないんだね、困るだらう、と聞くから、何そんなに困りやしないと答へて置いた。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
なん
)
なりと
仰
(
おつ
)
しやれ、
言譯
(
いひわけ
)
は
後
(
のち
)
にしまするとて
手
(
て
)
を
取
(
と
)
りて
引
(
ひ
)
けば
彌次馬
(
やぢうま
)
がうるさいと
氣
(
き
)
をつける、
何
(
ど
)
うなり
勝手
(
かつて
)
に
言
(
い
)
はせませう、
此方
(
こちら
)
は
此方
(
こちら
)
と
人中
(
ひとなか
)
を
分
(
わ
)
けて
伴
(
ともな
)
ひぬ。
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
人中
(
ひとなか
)
へ出て森
兄
(
あに
)
いと云われるのも旦那のお蔭でござえやすから
何
(
ど
)
うか人間になりてえと思って、旦那の側に居りやすが、御恩送りは出来ねえから身体のきくだけは
稼
(
かせ
)
いで
御恩返
(
ごおんげえ
)
しをしようと思って
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
性質から云えばむしろ
人中
(
ひとなか
)
を
択
(
えら
)
ぶべきはずの彼には都合があった。彼は
膳
(
ぜん
)
の向うに
坐
(
すわ
)
っている下女に
訊
(
き
)
いた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
然
(
そ
)
うです。未だ/\先があります。私は上等です。しかし
人中
(
ひとなか
)
で
大切
(
だいじ
)
にされるようになっちゃお仕舞いです。何ならもう一遍下等へ後戻りをしたいものですな」
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
幕が動く。立見の
人中
(
ひとなか
)
から例の「変るよーウ」と叫ぶ声。
人崩
(
ひとなだ
)
れが狭い出口の方へと押合う
間
(
うち
)
に幕がすっかり引かれて、シャギリの太鼓が
何処
(
どこ
)
か分らぬ舞台の奥から鳴り出す。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私
(
わたし
)
の
父
(
ちゝ
)
といふは三つの
歳
(
とし
)
に
椽
(
ゑん
)
から
落
(
おち
)
て
片足
(
かたあし
)
あやしき
風
(
ふう
)
になりたれば
人中
(
ひとなか
)
に
立
(
たち
)
まじるも
嫌
(
い
)
やとて
居職
(
いしよく
)
に
飾
(
かざり
)
の
金物
(
かなもの
)
をこしらへましたれど、
氣位
(
きぐらい
)
たかくて
人愛
(
じんあい
)
のなければ
贔負
(
ひいき
)
にしてくれる
人
(
ひと
)
もなく
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「あなたは、
人中
(
ひとなか
)
において、私を
法螺
(
ほら
)
ふきと申されたが、それでは私も面目が立たないから、最前、やって見ろとおおせられた芸を、やむなくここで演じてみようと存じます。立ち会ってください」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
代助は神経質な
割
(
わり
)
に、子供の時からの習慣で、
人中
(
ひとなか
)
へ
出
(
で
)
るのを余り
苦
(
く
)
にしなかつた。宴会とか、招待とか、送別とかいふ機会があると、大抵は都合して出席した。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
幕
(
まく
)
が動く。
立見
(
たちみ
)
の
人中
(
ひとなか
)
から例の「
変
(
かは
)
るよーウ」と
叫
(
さけ
)
ぶ声。
人崩
(
ひとなだ
)
れが
狭
(
せま
)
い出口の
方
(
はう
)
へと
押合
(
おしあ
)
ふ
間
(
うち
)
に
幕
(
まく
)
がすつかり引かれて、シヤギリの
太鼓
(
たいこ
)
が
何処
(
どこ
)
か
分
(
わか
)
らぬ舞台の奥から鳴り出す。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
眞
(
ま
)
一
文字
(
もんじ
)
に
驅
(
か
)
けて
人中
(
ひとなか
)
を
拔
(
ぬ
)
けつ
潜
(
くゞ
)
りつ、
筆屋
(
ふでや
)
の
店
(
みせ
)
へをどり
込
(
こ
)
めば、三五
郎
(
らう
)
は
何時
(
いつ
)
か
店
(
みせ
)
をば
賣仕舞
(
うりしま
)
ふて、
腹掛
(
はらがけ
)
のかくしへ
若干金
(
なにがし
)
かをぢやらつかせ、
弟妹
(
おとうといもと
)
引
(
ひき
)
つれつゝ
好
(
す
)
きな
物
(
もの
)
をば
何
(
なん
)
でも
買
(
か
)
への
大兄樣
(
おあにいさん
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“人中”の解説
人中(じんちゅう または にんちゅう、Philtrum、la: philtrum、el: φίλτρον philtron)は、多くの哺乳類が持つ唇上部の溝で、鼻から上唇まで垂直に伸びる。裂状の鼻孔及び湿った鼻鏡とともに、哺乳類の原始的状態だと一般的に考えられている。
(出典:Wikipedia)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“人”で始まる語句
人
人間
人々
人気
人形
人数
人魂
人力車
人影
人目