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主人
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あるじ
ふりがな文庫
“
主人
(
あるじ
)” の例文
そのあたらしい
主人
(
あるじ
)
というのが、眉毛に火がついたように、古い貸しの取り立てをはじめている。この高音のほうも、その一つだろう
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
主人
(
あるじ
)
と妻と
逗留
(
とうりゅう
)
に来て居る都の娘と、ランプを隅へ
押
(
お
)
しやって、螢と螢を眺むる子供を眺める。
田圃
(
たんぼ
)
の方から涼しい風が吹いて来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「エアさんはそこにゐますか。」と
主人
(
あるじ
)
は、半分席から立上つて、入口の方を見まはしながら
訊
(
たづ
)
ねた。私は
扉
(
ドア
)
の傍にまだ立つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
かくて
海辺
(
かいへん
)
にとどまること
一月
(
ひとつき
)
、一月の間に言葉かわすほどの人
識
(
し
)
りしは片手にて数うるにも足らず。その
重
(
おも
)
なる一人は宿の
主人
(
あるじ
)
なり。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
御數奇屋橋の御呉服所
主人
(
あるじ
)
三島屋
祐玄
(
いうげん
)
樣が殺されましたよ。公儀御用の家柄だ、下手人がわからないぢや濟むまいから、直ぐ平次を
銭形平次捕物控:205 権三は泣く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
ではあるが、半田屋の
主人
(
あるじ
)
、後日に至って、アアあの時にお断り申さなんだら好かッたと後悔する事が出来ると思うが。それでも好いか
備前天一坊
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
仮の叔父なる赤城の
主人
(
あるじ
)
は大酒のために身を損いて、その後病死したりしかば、一族同姓の得三といえるが、家事万端の後見せり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
などと言って、さすがに真正面から促すのでなく、
主人
(
あるじ
)
の注意を引こうとするようなことを言う声が聞こえた。中将の君や
木工
(
もく
)
などは
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
床屋の
主人
(
あるじ
)
は
政治談
(
せいぢばなし
)
の好きな、金が溜つたら
郷土
(
くに
)
へ帰つて、県会議員になるのを、唯一の希望に生きてゐる男だ。私は訊いてみた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
客は
愕然
(
がくぜん
)
として急に左の膝を一
ト
膝引いて
主人
(
あるじ
)
を一ト眼見たが、直に身を伏せて、
少時
(
しばし
)
は
頭
(
かしら
)
を上げ得無かった。然し
流石
(
さすが
)
は老骨だ。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
かれこれと
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
っている
中
(
うち
)
にも、お
互
(
たがい
)
の
心
(
こころ
)
は
次第
(
しだい
)
次第
(
しだい
)
に
融
(
と
)
け
合
(
あ
)
って、さながらあの
思出
(
おもいで
)
多
(
おお
)
き
三浦
(
みうら
)
の
館
(
やかた
)
で、
主人
(
あるじ
)
と
呼
(
よ
)
び、
妻
(
つま
)
と
呼
(
よ
)
ばれて
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
だが彼とても単に
勤倹
(
きんけん
)
な
主人
(
あるじ
)
であった時代もあるのだ! 妻もあれば子供もあって、隣村の地主たちが訊ねて来ては食事を共にしたり
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
所謂伊沢分家は今の
主人
(
あるじ
)
徳
(
めぐむ
)
さんの世となつたのである。以下今に
迨
(
いた
)
るまでの家族の婚嫁生歿を列記して以て此稿を
畢
(
をは
)
らうとおもふ。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
主人
(
あるじ
)
や客をはじめ、奉公人の膳が
各自
(
めいめい
)
の順でそこへ並べられた。心の好いお仙は自分より
年少
(
としした
)
の下婢の
機嫌
(
きげん
)
をも
損
(
そこ
)
ねまいとする風である。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると鶴屋の
主人
(
あるじ
)
もついついその話につり込まれて六、七年前に
大酒
(
たいしゅ
)
で身を
損
(
そこ
)
ねた先代の
親爺
(
おやじ
)
から度々聞かされた話だといって
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ボンボン時計を
修繕
(
なほ
)
す禿頭は硝子戸の中に俯向いたぎりチツクタツクと音をつまみ、本屋の
主人
(
あるじ
)
は蒼白い顔をして空をただ
凝視
(
みつ
)
めてゐる。
水郷柳河
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
階下
(
した
)
の家族は幸福だった。そこの
主人
(
あるじ
)
は昨日、ムッシュウ・カシュウの勤めている役所に大変いい口を見つけて採用されたということだ。
フェリシテ
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
所は茅場町植木店、真の江戸子が住んでいる所……で、表向きは魚屋渡世、裏へ廻ると博徒の親分、それが
主人
(
あるじ
)
次郎吉の身分だ。
善悪両面鼠小僧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
日記をつけるのにも、岩野氏とか、泡鳴氏とか書いたのが、「君」となったが、三月ばかりするうちに、
主人
(
あるじ
)
という字になった。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
忠通もその後無妻であったので、美しいが上にさかしい藻は
主人
(
あるじ
)
の卿の寵愛を一身にあつめて、ことし十八の花の春をむかえた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、武蔵も誰かに教えられた通り、城太郎もまた、お通を
攫
(
さら
)
われたわけを告げて、此処へ泣きこんで来たところ、
主人
(
あるじ
)
の大蔵がいうには
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
永「おゝ手前あのなに何へ行って大仏前へ行ってな、
常陸屋
(
ひたちや
)
の
主人
(
あるじ
)
に
夜
(
よ
)
になったら
一寸
(
ちょっと
)
和尚が出て相談が有るからと云うて、早く行って」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
亡き
主人
(
あるじ
)
の大切にする気持から出たものであった、……どの株も今が咲きざかりで、あたりの空気は
噎
(
む
)
せるほども高雅な香りに満ちていた。
菊屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
余
(
よ
)
よびとゞめ、熊に助られしとは
珍説
(
ちんせつ
)
也語りて聞せ給へといひしに、
主人
(
あるじ
)
余
(
よ
)
が前に在し
茶盌
(
ちやわん
)
をとりてまづ一盃
喫
(
のめ
)
とて酒を
満盌
(
なみ/\
)
とつぎければ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その席亭の
主人
(
あるじ
)
というのは、町内の
鳶頭
(
とびがしら
)
で、時々
目暗縞
(
めくらじま
)
の腹掛に赤い
筋
(
すじ
)
の入った
印袢纏
(
しるしばんてん
)
を着て、突っかけ
草履
(
ぞうり
)
か何かでよく表を歩いていた。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だれがなんと言ったって、いまのところあなたはこの牧場の
主人
(
あるじ
)
なのだから、あなたがあの野郎を追い出す分にゃあだれも文句はねえはずだ
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
その当時、大江戸に、粋で鳴った鶯春亭の、奥まった離れには、もう、
主人
(
あるじ
)
役の長崎屋、古代杉の
手焙
(
てあぶ
)
りを控えて坐っている。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「ちょうど好い処へ来た、私はちょっと下の村まで往って来ねばならんから、留守居をしておくれ」と、
主人
(
あるじ
)
が云いました。
死人の手
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
徳蔵おじは大層な
主人
(
あるじ
)
おもいで格別奥さまを敬愛している様子でしたが、
度々
(
たびたび
)
林の中でお目通りをしてる処を木の影から見た事があるんです。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
主人
(
あるじ
)
に代って、
店頭
(
みせさき
)
に坐ってお客にお世辞を
振撒
(
ふりま
)
いたり、気の合った
内儀
(
かみ
)
さんの
背後
(
うしろ
)
へまわって髪を
取
(
とり
)
あげてやったりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかしその部屋に入った私が、まっ先に気づいたものは、部屋の片隅の小机の前に延べられた、クリスマス・ツリーの小さな
主人
(
あるじ
)
の
寝床
(
ベッド
)
だった。
寒の夜晴れ
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
「では、きまり次第に、その者をこの家まで向けてもらいたい、この家の
主人
(
あるじ
)
は、もと拙者の家来筋の者じゃ、不在でもわかるようにしておく」
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
渡邊の耳元へ
低声
(
こごえ
)
で
咡
(
ささや
)
いておいて、自分独りで二階へあがっていった、軈て低い春日の声に混って、
主人
(
あるじ
)
の太い声が
断片的
(
きれぎれ
)
に洩れて聞えてくる。
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
その
中
(
うち
)
に解かる折もあろうけに……とにも角にもその見付の宿の
主人
(
あるじ
)
サゴヤ佐五郎とかいう老人は中々の心掛の者じゃ。年の功ばかりではない。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ヒラメならぬマグロの刺身に、ごちそうの
主人
(
あるじ
)
みずから感服し、
賞讃
(
しょうさん
)
し、ぼんやりしている居候にも少しくお酒をすすめ
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
愈々翌朝は出立といふ日の晩、三田が
主人
(
あるじ
)
の別れの會は、おりかの奉公して居る御靈さんの裏の午肉屋の二階で催された。
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
主人
(
あるじ
)
の留守に
断
(
ことはり
)
なしの外出、これを
咎
(
とが
)
められるとも申訳の詞は有るまじ、少し時刻は遅れたれど車ならばつひ一ト
飛
(
とび
)
、話しは重ねて聞きに行かう
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ところがそのテントの
主人
(
あるじ
)
はどう思ったものかいかに願ってみても泊めてくれない。もちろんその時には私の姿が恐ろしくあったろうと思います。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
此家
(
ここ
)
の隣屋敷の、時は五月の初め、朝な/\學堂へ通ふ自分に、目も覺むる淺緑の
此上
(
こよ
)
なく嬉しかつた
枳殼垣
(
からたちがき
)
も、いづれ
主人
(
あるじ
)
は風流を
解
(
げ
)
せぬ醜男か
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
世間の
氏上家
(
うじのかみけ
)
の
主人
(
あるじ
)
は、大方もう、石城など築き
廻
(
まわ
)
して、大門小門を
繋
(
つな
)
ぐと
謂
(
い
)
った要害と、装飾とに、興味を失いかけて居るのに、何とした自分だ。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
一所
(
ひとところ
)
の本屋の
主人
(
あるじ
)
である、
肥
(
こえ
)
太つた体へこてこてと着込んだ婆さんが僕をつかまへて「新しいロスタンの脚本なんかよりユウゴオ物をお読みなさい」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
却
(
かへつ
)
て
説
(
とく
)
吉兵衞は
宿
(
やど
)
りし
山家
(
やまが
)
の樣子何かに付て
疑
(
うたが
)
はしき事のみなれば
枕
(
まくら
)
には就けど
寢
(
ね
)
もやらず
越方
(
こしかた
)
行末
(
ゆくすゑ
)
のことを案じながらも
先刻
(
せんこく
)
主人
(
あるじ
)
の言葉に奧の一間を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その癖
下坐舗
(
したざしき
)
でのお勢の
笑声
(
わらいごえ
)
は意地悪くも善く聞えて、
一回
(
ひとたび
)
聞けば
則
(
すなわ
)
ち耳の
洞
(
ほら
)
の
主人
(
あるじ
)
と成ッて、
暫
(
しば
)
らくは立去らぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
文章の様子から見て若い書生の筆らしいが、女名前の
主人
(
あるじ
)
といひ、その家はてつきり素人下宿と思はれるのだ。
西東
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
案内の助役さん初め、宿の
主人
(
あるじ
)
、
園
(
その
)
さん、人夫などもこの熔岩流に添うた山道は何度も通っているが
誰
(
たれ
)
も熔岩流の中へ分け
上
(
のぼ
)
って見たものはないのだった。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
障子の無い
主人
(
あるじ
)
の居間は本箱の本までも見える。午後、主人が帰つて来て、暫くの間寝転んで其日の新聞を読んでしまふと、やがて机に対つて読書を始める。
秋の第一日
(新字旧仮名)
/
窪田空穂
(著)
待つ間
稍々
(
やゝ
)
久しくして
主人
(
あるじ
)
は扉を排して出で来りぬ、でつぷり
肥
(
ふと
)
りたる五十前後の
頑丈造
(
ぐわんぢやうづく
)
り、牧師が
椅子
(
いす
)
を離れての
慇懃
(
いんぎん
)
なる
挨拶
(
あいさつ
)
を、
軽
(
かろ
)
くも
顋
(
あご
)
に受け流しつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
翌晩われはポツジヨとヱネチア屈指の富人
某
(
それ
)
の家に會せり。こはわが
出納
(
すゐたふ
)
の事を托したる銀行の
主人
(
あるじ
)
なり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
二本榎
(
にほんえのき
)
に朝夕の烟も細き一かまどあり、
主人
(
あるじ
)
は八百屋にして、かつぎうりを
以
(
も
)
て
営
(
いとなみ
)
とす、そが妻との間に三五ばかりなる娘ひとりと、
六歳
(
むつ
)
になりたる小児とあり
鬼心非鬼心:(実聞)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
こゝの
主人
(
あるじ
)
重三郎
(
じゅうざぶろう
)
と
喜右衛門
(
きえもん
)
の丹念は、必ずや
開板
(
かいはん
)
目録を
拵
(
こし
)
らえてあることを、考えたからであった。
曲亭馬琴
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
“主人”の解説
夫(配偶者)への呼称や敬称のこと。「主人」や「ご主人」などがある。
(出典:Wikipedia)
主
常用漢字
小3
部首:⼂
5画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“主人”で始まる語句
主人公
主人夫婦
主人持
主人方
主人夫妻
主人組
主人衆
主人迄
主人顏