“不機嫌:ふきげん” の例文
“不機嫌:ふきげん”を含む作品の著者(上位)作品数
太宰治7
ロマン・ロラン7
紫式部5
堀辰雄4
芥川竜之介4
“不機嫌:ふきげん”を含む作品のジャンル比率
文学 > フランス文学 > 小説 物語23.1%
文学 > フランス文学 > 小説 物語(児童)15.4%
文学 > 英米文学 > 小説 物語3.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
そして、彼女としばしば会っていたので、しだいに遠慮しなくなってきたから、彼はもう自分の不機嫌ふきげんさを隠さなかった。
自分は兄の解釈にひどく感服してしまった。「それは面白い」と思わず手をった。すると兄は案外不機嫌ふきげんな顔をした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その新たな不運は彼をますます不機嫌ふきげんになしたが、幸いにも、同乗者を途中でたいてい降ろしてゆくことがすぐにわかった。
が幸いにもラインハルト夫妻は、彼の不機嫌ふきげんを面白がりながらも、このうえ馬鹿な真似まねをしないようにさした。
彼は不機嫌ふきげんになって、演奏の誤りを短気に指摘しながら、小さな弟子でしに向かって意趣晴らしをするのであった。
オリヴィエが来ないことを聞くと、ジャックリーヌはすぐに、不機嫌ふきげんないらだった悲しいがっかりした様子になった。
あばたづらは、たいそう不機嫌ふきげんかおつきをしてかえってくると、少年しょうねんかっていいました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ベロヴゾーロフは、軍服のボタンをきちんとかけて、真っ赤な顔をして、不機嫌ふきげんすみの方にすわっていた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
と、夫人は、いつに似げなく鞏固きょうこに、忠興の不機嫌ふきげんが納まるまで、手をつかえたきり哀願をやめなかった。
いつもの癖で、起きぬけの庸三は顔の筋肉のこわばりがれず、不機嫌ふきげんそうな顔をして、長火鉢の側へ来て坐っていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
支那人のボオイはますます仏頂面ぶっちょうづらをしだして、その男のために中央の円卓子の上を不機嫌ふきげんそうに片づけ始めた。
旅の絵 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
枕元まくらもとの引出しにある。」僕は仰向に寝たまま顔をしかめて言った。あきらかに僕は不機嫌ふきげんだった。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「つくしは、いないよ。ついさっき、事務所へ行った。」と答えてやったら、急に不機嫌ふきげんになり、言葉まですこぶるぞんざいに、
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
不機嫌ふきげんに仰せられて宮は横になっておしまいになった。夕霧の手紙は宮の御迷惑になるようなことを避けて書かれたものであった。
源氏物語:39 夕霧一 (新字新仮名) / 紫式部(著)
シューラはいつも不機嫌ふきげんな時によくするくせで、ちょっと顔をしかめながら、さもしゃくだというような調子ちょうしで、
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
彼は醜い顔をしかめながら、ことさらに彼等をおびやかすべく、一層不機嫌ふきげんらしい眼つきを見せた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
不機嫌ふきげんに、急にだまり合ったまま雑夫の穴より、もっと船首の、梯形ていけいの自分達の「巣」に帰った。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
そういう不機嫌ふきげんな愚痴の最中に、突然、また快活な様子が騒々しく大袈裟げさに現われてくるのであった。
しかしクリストフは不機嫌ふきげんな様子をして、話を進めてゆこうともせず、一言二言の答えをするばかりだった。
ハム。「どうだっていいよ、そんな事は。僕は不機嫌ふきげんになった。君もそんな固くるしい言いかたをするという事を、はじめて知ったよ。」
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
黙ってうなずいた陳の顔には、その上今西に一言いちごんも、口を開かせない不機嫌ふきげんさがあった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「よかないわ。貴方あなた不機嫌ふきげんになられて、ダンスを見る気分も壊れてしまったわ。だからお誘いしたら素直に来て下さるものよ。」
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
母は笑顔えがおを見せもしないで、不機嫌ふきげんな顔付をして、元のところへ置いて来るように言いつけた。
しかし翌朝になって、クリストフが稽古を授けに来た時には、彼女はがっかりして、顔だちにはしまりがなく、顔色は曇り、不機嫌ふきげんだった。
僕はこの芸術家たちを喧嘩けんかさせては悪いと思い、クラバックのいかにも不機嫌ふきげんだったことを婉曲えんきょくにトックに話しました。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
などとお言いになり、宮は不機嫌ふきげんになっておいでになったが、客殿のほうへ行って御面会になった。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
かれはおだやかにクリストフをながめ、その不機嫌ふきげんな顔を見て、微笑ほほえんでいった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
いそいそとした蝶子を見るなり「阿呆やな、お前の一言で何もかも滅茶苦茶や」不機嫌ふきげん極まった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
十組のお仕置きが全部すんでから、また改めて皆にお呼び出しがあり、一同不機嫌ふきげんのふくれつらでお白州にまかり出ると、板倉殿はにこにこ笑い、
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
めづらしいこと此炎天このえんてんゆきりはせぬか、美登利みどり學校がくかうやがるはよく/\の不機嫌ふきげん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まだ未練気にそう云ってる不機嫌ふきげんの教授に訣れを告げて、復一は中途退学の形で東京に帰った。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
弟も、あれは、大学へはいったばかりのころでありましたが、姉さん、大丈夫かい? 等と、ませた事を言って、不機嫌ふきげんな様子を見せていました。
きりぎりす (新字新仮名) / 太宰治(著)
ミンナはまだ寝腫ねはれっぽい眼をし、不機嫌ふきげんらしい様子をして、遅く出て来るのだった。
妻の顔は昨夜からひきつづいている不機嫌ふきげん苛々いらいらしたものをたたえていた。
美しき死の岸に (新字新仮名) / 原民喜(著)
ジャックリーヌのやや不機嫌ふきげんそうな専心的なきれいな顔の上に、またオリヴィエの楽しげなぼんやりしてる眼の中に、つぎの思いが読み取られるのだった。
不機嫌ふきげん春重はるしげかおは、桐油とうゆのように強張こわばっていた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そういう状態が一月し、二月するうちに、笠原は眼に見えて不機嫌ふきげんになって行った。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
と源氏は不機嫌ふきげんな妻に告げて、寝室をそっと出たので、女房たちも知らなかった。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
これは一つは唯継事ただつぐこと近頃不機嫌ふきげんにて、とかく内を外に遊びあるき居り候処さふらふところ、両三日前の新聞に善からぬ噂出うはさいで候より
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼は穏かにクリストフを眺め、その不機嫌ふきげんな顔を見、微笑ほほえんで言った。
芳子はちらと時雄の顔をうかがったが、その不機嫌ふきげんなのが一目で解った。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
といううちにも取分けてお政は不機嫌ふきげんていで、少し文三の出ようが遅ければ、何を愚頭々々ぐずぐずしていると云わぬばかりに、此方こちらめつけ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と取り次がせた。守は自分の家へ時々出入りするとは聞いているが、前へ呼んだこともない男が、何の話をしようとするのであろうと、荒々しい不機嫌ふきげんな様子を見せたが、
源氏物語:52 東屋 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「君はあまり他人の援助を求めすぎる」と、僧は不機嫌ふきげんそうに言った。「そして特に女にだ。いったい、そんなのはあてにならぬ援助だということがわからないのかね?」
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
プルチネッラがすっかり不機嫌ふきげんになっているときでも、コロンビーナだけはこの男をほほえませることのできる、いや大笑いをさせることのできるただひとりの人でした。
若林は不機嫌ふきげんそうに言ったが、お神はあの翌朝晴子が親のうちへ行ったことを、春よしのお神から聞いていたので、じきに察しがつき、若林の顔に暗示的な目を注いだ。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうして最初に沈黙を破ったのは、それまで私のために気づかって、かえっていつまでもそれを気にしすぎていることで一層私を不機嫌ふきげんにさせていた、不幸な少女の方だった。
幼年時代 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
紳士の不機嫌ふきげんが、クルミさんの心を鞭打むちうったのだ。が、そればかりではない。もう一つ大きな理由があったのだ。クルミさんは、紳士の右手を、はじめて見たのである。
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
玉目三郎は幾らか不機嫌ふきげんに、背を向けている人夫を呼んだ。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
博士は何となく不機嫌ふきげんに、盃をがちゃんと台の上に置いて、
良平もそう云われた時にはすっかり不機嫌ふきげんを忘れていた。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
内大臣はそれきりおたずねはしないのであるが宮を非常に恨めしく思っていた。夫人には雲井の雁の姫君の今度の事件についての話をしなかったが、ただ気むずかしく不機嫌ふきげんになっていた。
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「云ひません。」彼れは彼れ独特なそして極く秘密な闇の観照を私から発見された事にひどいはぢらひを感じてゐるらしく、その羞らひは彼れの心を多少とも不機嫌ふきげんへと転じた如くであつた。
アリア人の孤独 (新字旧仮名) / 松永延造(著)
現に定雄は、千枝子と自分との間に挟まれて、不機嫌ふきげんそうにとぼとぼ歩いている子の清の足つきを見ていると、いつまで二人の歩みにつづいて来られるものかと、絶えず不安を感じてならなかった。
比叡 (新字新仮名) / 横光利一(著)
これは四馬剣尺の不機嫌ふきげんなときの特徴である。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だから僕は、このごろ毎日、不機嫌ふきげんなんだ。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
そして彼は幾日いくにち不機嫌ふきげんだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
と照彦様は急に不機嫌ふきげんになってしまった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
寝冷ねびえせし人不機嫌ふきげんに我を見し
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
相手は急に不機嫌ふきげんな顔になって、
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
云ふ迄もなく母は不機嫌ふきげんだつた。
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
「改心のついでに、その足もとに散らばっているお金を拾い集めたらどうだ。」と六右衛門は、八つ当りの不機嫌ふきげんで、「これだって天下の宝だ。むかし青砥左衛門尉藤綱あおとさえもんのじょうふじつなさまが、」
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
たとへば、誰かをどなりつけようとして、口をあけかかつた瞬間しゆんかん、平次の冷たい眼にであふと、急にどなる元気がなくなつて、「もういいからあつちへ行け。」と相手に不機嫌ふきげんさうにいふのでありました。
鳥右ヱ門諸国をめぐる (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
不機嫌ふきげんそうな声でした。
おさん (新字新仮名) / 太宰治(著)
形は正しく目賀田さんでも、金と魂いと入代って心こゝにない貞之進が、不機嫌ふきげんそうに勝手の間の入口に立って、何ですと慳貪けんどんに問懸けるを、秋元の女房は下から上へじろりと見て、お坐んなさいと自分の座を少しさがり
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
そうして私はすれちがいざま、その老人の焦点しょうてんを失ったような空虚うつろ眼差まなざしのうちに、彼の可笑おかしいほどな狼狽ろうばいと、私を気づまりにさせずにおかないような彼の不機嫌ふきげんとを見抜みぬいた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
何故なぜなら、私の蝋燭の光りがそれほど揺れなくなった時分には、ただ、三枝が壁ぎわの寝床に寝ているほか、そのまくらもとに、もうひとりの大きな男が、マントをかぶったまま、むっつりと不機嫌ふきげんそうに坐っているのを見たきりであったから……
燃ゆる頬 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「ルヰザも私も矢張り家庭教師を始終しよつちゆうからかひましたの。でもそれはいゝ人で、どんな事でも我慢して、ちつとも怒るなんてことはありませんでしたのよ。私たちにだつて決して不機嫌ふきげんになぞなりませんでしたわ。さうだつたわねえ、ルヰザ?」
しかし私の病気はつのってきて——ああ、アルコールのような恐ろしい病気が他にあろうか! ——ついにはプルートォでさえ——いまでは年をとって、したがっていくらか怒りっぽくなっているプルートォでさえ、私の不機嫌ふきげんのとばっちりをうけるようになった。
黒猫 (新字新仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
銀子が芳町へ出たての時分、母は彼女をつれて町の医者にてもらったことがあったが、医者は母親を別室に呼び、不機嫌ふきげんそうに、あんなになるまでうっちゃっておいて、今時分連れて来て何になると思うのかと叱るので、母はその瞬間から見切りをつけていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あの子は、なくなった父を好きでして、大学へはいるようになっても、休暇でお城へ帰ると、もう朝から晩まで父のお居間にいりびたりでした。子供のころには、なおひどくて、ちょっとでも父が見えなくなると、もう不機嫌ふきげんで、どこへいらっしゃったかと、みんなに尋ね廻って閉口でした。
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
それは、いつもの通りに、古代の人のような帽子ぼうし——というよりはかんむりぎ、天神様てんじんさまのような服を着換えさせる間にも、いかにも不機嫌ふきげんのように、真面目まじめではあるが、いさみの無い、しずんだ、沈んで行きつつあるような夫の様子ようすで、妻はそう感じたのであった。
鵞鳥 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ところが或日あるひのこと、自分の生んだ子の子良しりやうが来て、おつさんはぜいつもそんな不機嫌ふきげんな顔をしてゐるのですか、ときますから、実はわたしはお隣りのすけさんや、八さんのおかみさんとはちがつた天人であるから、故郷ふるさとの天へ帰りたくてたまらないのでと言つてきかせました。
子良の昇天 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)