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馴
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な
ふりがな文庫
“
馴
(
な
)” の例文
これは、はじめのうちたれも手つだってくれるものはなし、ずいぶんつらいしごとでした。でも、
馴
(
な
)
れるとなんでもなくなりました。
ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)
(新字新仮名)
/
ガブリエル=シュザンヌ・バルボ・ド・ヴィルヌーヴ
(著)
ここに一例としてインド産のピゾン一種人に
馴
(
な
)
るる
状
(
さま
)
を示す(図略す)。これは身長二丈余に達する事あり。英人のいわゆる
岩蛇
(
ロック・スネーク
)
だ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
しるべの
燈火
(
ともしび
)
かげゆれて、
廊下
(
らうか
)
の
闇
(
やみ
)
に
恐
(
おそ
)
ろしきを
馴
(
な
)
れし
我家
(
わがや
)
の
何
(
なに
)
とも
思
(
おも
)
はず、
侍女
(
こしもと
)
下婢
(
はした
)
が
夢
(
ゆめ
)
の
最中
(
たゞなか
)
に
奧
(
おく
)
さま
書生
(
しよせい
)
の
部屋
(
へや
)
へとおはしぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
家内が傍で大笑いするので、私もつい釣り込まれて笑ってしまったが、あの万年筆は使い
馴
(
な
)
れていたものだけに残念でならなかった。
平次と生きた二十七年
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
田舎に
馴
(
な
)
れてきた自分らがこの中で暮らすことはきまりの悪い恥ずかしいことであると、二人の女は車から
下
(
お
)
りるのに
躊躇
(
ちゅうちょ
)
さえした。
源氏物語:19 薄雲
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
この
一聯
(
いちれん
)
の前の二句は、初心の
新発意
(
しんぼち
)
が冬の日に町に出て
托鉢
(
たくはつ
)
をするのに、まだ
馴
(
な
)
れないので「はち/\」の声が思い切って出ない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
へやには、
青
(
あお
)
い
鳥
(
とり
)
が、かごの
中
(
なか
)
で、じっとしていました。よく
馴
(
な
)
れていて、
船長
(
せんちょう
)
の
顔
(
かお
)
を
見
(
み
)
ると
鳴
(
な
)
きました。
船長
(
せんちょう
)
は
鳥
(
とり
)
のそばへ
寄
(
よ
)
って
船の破片に残る話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いや、私は事によったら
盗賊
(
とうぞく
)
になるかも知れない。しかし不幸にしてまだ私は正義と人道とを商品に取扱うほど悪徳に
馴
(
な
)
れていない。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雷雨が激しいので、高谷君にはとても判らなかったが、風雨に
馴
(
な
)
れている丸山は勇造がどこかへ出て行く足音を聞きつけたと見える。
麻畑の一夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
女房 水に目のお
馴
(
な
)
れなさいません、貴女には道しるべ、また土産にもと存じまして、これが、(手に
翳
(
かざ
)
す)その燈籠でございます。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
全体の趣向も平凡なれども、かくこの趣向の平凡に聞ゆるは、いくばくかこの歌を見
馴
(
な
)
れ聞き馴れたるにも因るべければそは論ぜず。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「何も驚くことはありやしない。此の臭を
嗅
(
か
)
ぎ
馴
(
な
)
れて
平氣
(
へいき
)
になツて了はなけア、自分で自分の
存在
(
そんざい
)
を
保證
(
ほよう
)
することが出來ないんだ。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
彼は人
馴
(
な
)
れないところがあるとともにまた、誘惑されやすい社交的なところがあった。そのうえコレットにたいしては弱味があった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すべての行動が、いかにも
馴
(
な
)
れ切った世界に、大したエネルギーを
費
(
ついや
)
すことなしに、いとも正確にすすめられてゆくという風に見えた。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
鼻と、口を
手拭
(
てぬぐい
)
でしっかと
結
(
ゆわ
)
えてもムーンと鼻の穴から、頭へ突きぬけるような臭気が、
噎
(
む
)
せるようだった。
馴
(
な
)
れても同じだった。
工場新聞
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
しまいには
馴
(
な
)
れて、おさく師匠が見えてから電話で知らして貰い、悦子が稽古している間に
夙川
(
しゅくがわ
)
から
駈
(
か
)
け付けると云うようにした。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
朝食をすますと夫婦は十年も前から住み
馴
(
な
)
れているように、平気な顔で畑に出かけて行った。二人は仕事の手配もきめずに働いた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「苦しいおもいには
馴
(
な
)
れてる」喜兵衛は歯をむき出した、「二十年ちかいあいだに、死ぬより苦しいおもいを幾十たびとなく味わった」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その晩エミリアンは、宿屋の主人に頼んで、黒い大きなマントを
拵
(
こしら
)
へてもらひ、なほ、よく
馴
(
な
)
れた子豚を一匹かりてきてもらひました。
エミリアンの旅
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
さて死すれば妻子、
眷属
(
けんぞく
)
、朋友、家財、万事をもふりすて、
馴
(
な
)
れたるこの世を永く別れ去りて、ふたたびかえり来ることあたわず。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
馴
(
な
)
れ馴れしく野良猫の足もとまで進んで行く、ああ危ない、噛み殺されはしないかと心配したが、野良猫は少しも危害を加えない。
百姓弥之助の話:01 第一冊 植民地の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
買物らしい買物はたいてい
神楽坂
(
かぐらざか
)
まで出る例になっていたので、そうした必要に
馴
(
な
)
らされた私に、さした苦痛のあるはずもなかったが
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つづく砂浜の路を、彼は一散に
駈
(
か
)
けつけて行った。彼らがつくったシップの部落には、目を閉じていても辿りつくほど
馴
(
な
)
れていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
この温い自然の
懐中
(
ふところ
)
に、若い良寛さんは生活をはじめた。しかし良寛さんの心は、温い
和
(
なごや
)
かな玉島にすぐ
馴
(
な
)
つくわけにはいかなかつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
馴
(
な
)
れて来ると、観客の笑い声だけでなく、囁き声やら、赤ん坊の泣き声まで、はっきり聞えて来て、かえってうるさいそうである。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
母親も今更住み
馴
(
な
)
れた東京を離れたくはなかった。彼女はこの
界隈
(
かいわい
)
でも、娘によって楽に暮らしている家のあることを知っていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
闇
(
やみ
)
に
馴
(
な
)
れた蛾次郎のひとみには、ようようそこの屋根うらが、
怪獣
(
かいじゅう
)
のような
黒木
(
くろき
)
の
梁
(
はり
)
に
架
(
か
)
けまわされてあるのが
薄
(
う
)
っすらわかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
細君の千鶴子も不具者同士の話題に
馴
(
な
)
れて、いつも朗らかに調子を合わせていた。二人は、よそ眼にも羨ましい程の親友だった。
二人の盲人
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
三、四カ月ここで働いていると、
大抵
(
たいてい
)
の学生はいつの間にか真空に
馴
(
な
)
れて、10
-6
ミリの真空が普通になってくるのであった。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
売上げの勘定に
馴
(
な
)
れている子たちも多かったので、話はよくきいていたが、なぜ
褒
(
ほ
)
めたかという質問には答えが満足でなかった。
旧聞日本橋:04 源泉小学校
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
犬も猫も、井戸が深いので今までは墜ちこんでも嘗めるような水音しかしないのに、それは、聞き
馴
(
な
)
れない大きい水音であった。
風琴と魚の町
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
不吉な聯想であるが、どうせ来るべく決定的なものなら予習的に今からさうした場面に
馴
(
な
)
れ親しんで置くのもよからうと思つた。
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
看護にも
馴
(
な
)
れ、実枝は重吉の病気以来好きで始めた内職の毛糸あみものがだんだん人々に受けられて、春になっても仕事はつきなかった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
と
狡
(
ずる
)
くはにかんで、書斎の方へ暫く逃げていたのだ。かの女には、それがもう十分規矩男が自分に
馴
(
な
)
れて甘えて来た証拠のように思えた。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
マイナイソースや外のソースを一々拵らえるのは大層面倒のようにいう人がありますけれども
畢竟
(
ひっきょう
)
馴
(
な
)
れないから面倒に思うので
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
書物
(
しょもつ
)
の学問だけでは実際に
迂
(
うと
)
くなると思うから、僕が
要
(
い
)
るような顔をして実は子供に運転と使用とを
馴
(
な
)
らさせるために買った
云々
(
うんぬん
)
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それで毎日学校へ行くのに、例の服を着て出なければならないのに、変てこで困りましたが、しまいには
馴
(
な
)
れて着て出ました。
幕末維新懐古談:65 学校へ奉職した前後のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
こうして、何事をも素直に受け
納
(
い
)
れやすい少年は、いつとは知れず父の思想に感化され、父のような考え方に
馴
(
な
)
れさせられているのだった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「気狂いのくせにバタが欲しいなんて斯んな
僭越
(
せんえつ
)
な奴があるでしょうか、ねえ
貴方
(
あなた
)
……」ひどく
馴
(
な
)
れ馴れしく斯う言い乍ら
母
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼はその不眠と熱のためであるらしい幻聴に彼自身を
馴
(
な
)
らそうとした。そして子供たちが「鳩ぽっぽ」で遊ぶようにそれで遊ぼうとしていた。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
わちきが
廓
(
くるわ
)
へはいりぞめ、そのおりちょうど清吉さんも商用で江戸表に参られて
遊里
(
さと
)
へ足をはいりぞめに、ふと
馴
(
な
)
れそめたのが深間にはいり
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
生
(
う
)
みの
親
(
おや
)
のことも
忘
(
わす
)
れて、こゝのお
二人
(
ふたり
)
に
馴
(
な
)
れ
親
(
した
)
しみましたので、
私
(
わたし
)
はお
側
(
そば
)
を
離
(
はな
)
れて
行
(
い
)
くのが、ほんとうに
悲
(
かな
)
しうございます
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
「何かよい
考
(
かんがえ
)
はないかねえ。お父様は今までにそんなことに
馴
(
な
)
れていられないから、ひどく苦にしていらっしゃるのだが。」
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
それが順々に
大気都姫
(
おおけつひめ
)
と、親しそうな
挨拶
(
あいさつ
)
を交換すると、
呆気
(
あっけ
)
にとられた彼のまわりへ、
馴
(
な
)
れ馴れしく
手
(
て
)
ん
手
(
で
)
に席を占めた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼
(
かれ
)
は
反目
(
はんもく
)
して
居
(
ゐ
)
るだけならば
久
(
ひさ
)
しく
馴
(
な
)
れて
居
(
ゐ
)
た。
然
(
しか
)
し
彼
(
かれ
)
は
從來
(
じゆうらい
)
嘗
(
かつ
)
てなかつた
卯平
(
うへい
)
の
行爲
(
かうゐ
)
に
始
(
はじ
)
めて
恐怖心
(
きようふしん
)
を
懷
(
いだ
)
いたのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
というのは、この馬はよく
馴
(
な
)
れた馬でしたが、私を見て山が動きだしたように、びっくりしたものですから、たちまち後足で立ち上ったのです。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
そのうち、どうしたことか、いつも
馴
(
な
)
れきつてゐる森の中で、すつかり
路
(
みち
)
をまよつて、どうしても出られなくなりました。
幸坊の猫と鶏
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
次第に
馴
(
な
)
れて来て、しまいには夜中看護婦が
眠
(
ねむ
)
っている間一代のうめき声を聴くと、寺田は見よう
見真似
(
みまね
)
の針を一代の腕に打ってやるのだった。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
台所でいそいそと
馴
(
な
)
れない煮たきに心をくばっている哀れな妻の姿が眼に入ると、近藤にはまた別な感情が湧いてくる。
霧の蕃社
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
そうして彼は日毎に見
馴
(
な
)
れすぎているこの墓地が、常と違って振向いても見たくなかったので、直ぐカーテンを引いた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
馴
漢検準1級
部首:⾺
13画
“馴”を含む語句
馴染
手馴
幼馴染
顔馴染
馴致
馴鹿
磯馴松
馴合
馴々敷
見馴
馴々
昔馴染
不馴
水馴棹
居馴染
聞馴
馴染客
住馴
人馴
雅馴
...