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雲雀
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ひばり
ふりがな文庫
“
雲雀
(
ひばり
)” の例文
と、ふとした
機
(
おり
)
に、彼はその大きな柳の樹の根元の
草叢
(
くさむら
)
の中に
雲雀
(
ひばり
)
の巣を見つけ出したのであった。彼は躍り上るようにして喜んだ。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
雜木林
(
ざふきばやし
)
の
間
(
あひだ
)
には
又
(
また
)
芒
(
すゝき
)
の
硬直
(
かうちよく
)
な
葉
(
は
)
が
空
(
そら
)
を
刺
(
さ
)
さうとして
立
(
た
)
つ。
其
(
その
)
麥
(
むぎ
)
や
芒
(
すゝき
)
の
下
(
した
)
に
居
(
きよ
)
を
求
(
もと
)
める
雲雀
(
ひばり
)
が
時々
(
とき/″\
)
空
(
そら
)
を
占
(
し
)
めて
春
(
はる
)
が
深
(
ふ
)
けたと
喚
(
よ
)
びかける。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それはあたかも燃ゆる
荊
(
いばら
)
に似ていた。そしてこの燃えたつ盆地のまん中から、種子と日光とに酔った一羽の
雲雀
(
ひばり
)
が舞い上がっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
雲雀
(
ひばり
)
が方々の空で鳴いている。多くはこれも自分の畠を持っていて、
他処
(
よそ
)
へ出て行かぬ時ばかり、最も自由に
囀
(
さえず
)
り得るものらしい。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
万葉集の歌「うらうらと照れる春日に
雲雀
(
ひばり
)
あがり心悲しも独し思へば」や「
妹
(
いも
)
がため貝を拾ふと津の国の
由良
(
ゆら
)
の
岬
(
みさき
)
にこの日暮しつ」
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
だんだん近づいて見るとコハ
如何
(
いか
)
に……それは人間の姿をした
雲雀
(
ひばり
)
で、オシャベリ姫の姿を見付けるとビックリして立ち止まりました。
オシャベリ姫
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
かぐつちみどり
(著)
と言って天の一方を見上げながらおかあさんがいのりますと、そこに
蝶
(
ちょう
)
のような羽ばたきをさせながら、小さな
雲雀
(
ひばり
)
がおりていました。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
百姓ってなんてばかなんでございましょう、そんな
綽名
(
あだな
)
なんかをつけて。あの児は
雲雀
(
ひばり
)
というよりか
蝙蝠
(
こうもり
)
によけい似ていますのに。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
雲雀
(
ひばり
)
は死んだように黙ってしまい、菜の花も青い麦も雪の下だった。
万延
(
まんえん
)
元年のこの日は、江戸表だけの天変地異ではなかったのである。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは、お
日様
(
ひさま
)
が
温
(
あたたか
)
く
照
(
て
)
っているのを
見
(
み
)
たり、
雲雀
(
ひばり
)
の
歌
(
うた
)
を
聞
(
き
)
いたりして、もうあたりがすっかりきれいな
春
(
はる
)
になっているのを
知
(
し
)
りました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
雲雀
(
ひばり
)
が高く舞い上がるを見て、その真下まで這い行き口を
擡
(
もた
)
げて毒を吐かば、雲雀たちまち
旋
(
かえ
)
り堕ちて蛇口に入り、餌食となると書いた。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
男
(
をとこ
)
の
裾
(
すそ
)
を
見出
(
みだ
)
ししかば、ものをも
言
(
い
)
はず
一嘴
(
ひとくちばし
)
、
引咬
(
ひつくは
)
へて
撥
(
は
)
ね
飛
(
と
)
ばせば、
美少年
(
びせうねん
)
はもんどり
打
(
う
)
つて、
天上
(
てんじやう
)
に
舞上
(
まひあが
)
り、
雲雀
(
ひばり
)
の
姿
(
すがた
)
もなかりしとぞ。
妙齢
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
花の木には
鶯
(
うぐいす
)
のような小鳥が枝から枝を飛んでいた。
雲雀
(
ひばり
)
のようにきりりんりんと鳴きながら空にあがって往く小鳥もあった。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
いいや、あの
黄金
(
こがね
)
の原から飛び上がってくるのかと思った。次には落ちる雲雀と、
上
(
あが
)
る
雲雀
(
ひばり
)
が十文字にすれ違うのかと思った。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
切株畑のなかでは、私が一足踏み出すごとに、ものうげな
雲雀
(
ひばり
)
が一羽飛び出す。彼らはみんな一緒になり、ぐるぐる飛び回る。
博物誌
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
陽炎
(
かげろう
)
のたち昇る春の日に、
雲雀
(
ひばり
)
の
囀
(
さえず
)
りをききつつ、私のいつも思い出すのは、「春の野に菫摘まむと来し
吾
(
われ
)
ぞ野をなつかしみ一夜
宿
(
ね
)
にける」
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
私は彼女の顔を見ながらあねさん
被
(
かぶ
)
りが似合うだろうと思い、空に
雲雀
(
ひばり
)
の
囀
(
さえず
)
る畑の中にいる彼女の働く姿を容易に想い浮かべることができた。
朴歯の下駄
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
白味を含んだ蒼い空から、銀笛の音色を思わせるような、
雲雀
(
ひばり
)
の声が降って来る。そうしてヒラヒラと野路からは、絹糸のような
陽炎
(
かげろう
)
が立つ。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
峠の上には
雲雀
(
ひばり
)
が舞い、木立の中では
鶯
(
うぐいす
)
が、気味の悪いほど長い息で鳴いている。そして木の
下萌
(
したもえ
)
は露に重く、馬の
草鞋
(
わらじ
)
はびっしょりと濡れる。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
友人がさっそくメニューの裏に鉛筆で五線を引いてやると、その上にサラサラと書いたのが、有名な「聴け聴け
雲雀
(
ひばり
)
」の高朗な名歌曲であった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
珈琲
(
コーヒー
)
が出された。貴婦人たちは紳士たちが入つて來てから、
雲雀
(
ひばり
)
のやうに快活になつて、話は
活々
(
いき/\
)
と面白く榮えて行つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
すぐ
眼
(
め
)
の下には、熱海駅前の雑踏や、小学校のグランドに飛びまわっている子供らの声が、
雲雀
(
ひばり
)
の
囀
(
さえず
)
るように聞こえる。
謎の女
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
一面の砂丘のうねりの所どころに、丈の高い
葭
(
あし
)
の繁みがあつて、そのかげで
雲雀
(
ひばり
)
が、何か含み声でしきりに啼いてゐた。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
その青年は貧しくて破れた服を着ていたけれど、ひるまず天来の快活をもって理想を説き、盛んに議論し自らを空の
雲雀
(
ひばり
)
や野の
百合
(
ゆり
)
と比べました。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
が、其処へはいるや否や、
雲雀
(
ひばり
)
、目白、文鳥、
鸚哥
(
いんこ
)
、——ありとあらゆる小鳥の声が、目に見えない
驟雨
(
しゅうう
)
か何かのように、一度に私の耳を襲った。
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
風はまだ身を切るように冷たいのに、早春の高い空で
雲雀
(
ひばり
)
が気ぜわしく鳴く。なにもかもいっぺんにやってくる春だ。
葡萄蔓の束
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
まだ道のほとりには、ぺんぺん草の小さな三角の実が見られ、うすぐもりの空には、季節おくれの
雲雀
(
ひばり
)
が
囀
(
さへづ
)
つてゐた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
公園の芝生がはちきれそうな緑をたたえて、住宅区域の空に
雲雀
(
ひばり
)
の声がする。ライラックが香って、樹の影が濃い。
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
爰
(
ここ
)
には又、野の鳥も住み隠れました。笹の葉蔭に巣をつくる
雲雀
(
ひばり
)
は、老いて春先ほどの勢も無い。
鶉
(
うずら
)
は人の通る物音に驚いて、時々草の中から飛立つ。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
春の野に、
盛花
(
もりばな
)
の様な百花が乱れ咲いていた。空には白い雲がフワリと浮んで、
雲雀
(
ひばり
)
がほがらかに鳴き交していた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
雲雀
(
ひばり
)
の唄う声をまねているくらいで、あの彼女が持ち前のキキという
帛
(
きぬ
)
を裂くようなはげしい声はあげないのだ。
探巣遅日
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
小川の魚を
掬
(
すく
)
っては百姓達に怒鳴りちらされ、
雲雀
(
ひばり
)
の巣を探っては、
肥
(
こえ
)
びしゃくで追っかけまわされた。そんな苦々しい思い出ばかりが
湧
(
わ
)
いてくる。——
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
まづ歌ひつゝ空に漂ふ
可憐
(
いとほし
)
の
雲雀
(
ひばり
)
が、やがて自ら
最後
(
をはり
)
の
節
(
ふし
)
のうるはしさに
愛
(
め
)
で、心足りて
默
(
もだ
)
すごとく 七三—七五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
小雨ほと/\
雲雀
(
ひばり
)
の歌まじり、眼もさむる緑の麦畑に
紅帯
(
あかおび
)
の娘が白手拭を冠って静に働いて居るを見ては、歌か句にならぬものか、と
色彩
(
いろ
)
故に苦労する。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
牛肉やら、羊肉やら、豚肉やら、なか/\立派な御馳走でしたが、大きさは、
雲雀
(
ひばり
)
の翼ほどもありません。一口に二つ三つは、すぐ平げることができます。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
峠の茶屋とか、「
雲雀
(
ひばり
)
より上に」の俳句なんぞを考えて来る人は
吃驚
(
びっくり
)
して了う。
偃松
(
はいまつ
)
と赤土と岩ばかりである。
可愛い山
(新字新仮名)
/
石川欣一
(著)
その翌日の昼さがり、大隅理学士は矢追村の東にある
雲雀
(
ひばり
)
が
丘
(
おか
)
という小高い
丘陵
(
きゅうりょう
)
をトコトコと登りつつあった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
わたしはそれを眺めやるごとに「
雲雀
(
ひばり
)
と刈り入れびと」の寓話や「種蒔く人」の
譬話
(
たとえばなし
)
、そのほかを思い出した。しかし今はかれらはすべて去ってしまった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
山脈の方の空に
薄靄
(
うすもや
)
が立ちこめ、空は曇って来た。すぐ近くで、
雲雀
(
ひばり
)
の
囀
(
さえず
)
りがきこえた。見ると、薄く曇った中空に、一羽の雲雀は静かに翼を
顫
(
ふる
)
わせていた。
永遠のみどり
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
雲雀
(
ひばり
)
より上にやすらふ峠かなと芭蕉が詠みしは此の鳥居峠なり雨は
合羽
(
かつぱ
)
の
裙
(
すそ
)
よりまくり上げに降る此
曲降
(
きよくぶり
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
きょうはまぶしいほどに晴れた日で、わたしは
雲雀
(
ひばり
)
の歌を聴きながら、乗馬靴に調子を取って
戞
(
かつ
)
かつとあたる帯剣の音を聴きながら、牧場を乗りぬけて行きました。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
彼は、
雲雀
(
ひばり
)
の
囀
(
さえず
)
る麦畑の間を歩きながら、竜一たちと、ほのかな希望を語りあったりするのであった。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
草むらの中から、ぱっと投げ上げられて、中空に上り下りしながら鳴く音を続けている
雲雀
(
ひばり
)
の群——。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
空はいよいようららかに晴れて、そこらの麦畑で
雲雀
(
ひばり
)
の声もきこえた。風の無い日で、煙草のけむりの真っ直ぐにあがるのを眺めながら、半七はしずかに云い出した。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
二人は連れ立つて華かな最後の夕陽に照らされて、
雲雀
(
ひばり
)
の歌の充ちた、熟れた葡萄の果や、濱撫子や、岸からの海の香やの薫る赤味がゝつた葡萄畠の中を歩き𢌞つた。
氷島の漁夫:01 氷島の漁夫
(旧字旧仮名)
/
ピエール・ロティ
(著)
春琴は明治十九年六月上旬より病気になったが病む数日前佐助と二人
中前栽
(
なかせんざい
)
に降り
愛玩
(
あいがん
)
の
雲雀
(
ひばり
)
の
籠
(
かご
)
を開けて空へ放った照女が見ていると盲人の師弟手を取り合って空を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ロミオ いや/\、
旦
(
あさ
)
を
知
(
し
)
らする
雲雀
(
ひばり
)
ぢゃ、ナイチンゲールの
聲
(
こゑ
)
ではない。
戀人
(
こひびと
)
よ、あれ、お
見
(
み
)
やれ、
意地
(
いぢ
)
の
惡
(
わる
)
い
横縞
(
よこじま
)
めが
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
の
裂目
(
さけめ
)
にあのやうな
縁
(
へり
)
を
附
(
つ
)
けをる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
瑠璃子は、勝平のさうした悩みなどを、少しも気が付かないやうに、
雲雀
(
ひばり
)
のやうに快活だつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
ただ暖かい野の朝、
雲雀
(
ひばり
)
が飛び立って鳴くように、冷たい
草叢
(
くさむら
)
の
夕
(
ゆうべ
)
、
蛼
(
こおろぎ
)
が忍びやかに鳴く様に、ここへ来てハルロオと呼ぶのである。しかし木精の答えてくれるのが
嬉
(
うれ
)
しい。
木精
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
重く垂れていた雲は次第に雲切れがして青空が
顕
(
あらわ
)
れ、五、六寸も伸びた麦畑の上では
雲雀
(
ひばり
)
が
長閑
(
のどか
)
に囀り、路傍には
菫
(
すみれ
)
、
蒲公英
(
たんぽぽ
)
、
草木瓜
(
くさぼけ
)
、などが咲いて、春は地上に遍かった。
春の大方山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
“雲雀(ヒバリ)”の解説
ヒバリ(雲雀、鸙、告天子、Alauda arvensis)は、スズメ目ヒバリ科ヒバリ属に分類される鳥類。春の鳥として世界各国で親しまれている。
(出典:Wikipedia)
雲
常用漢字
小2
部首:⾬
12画
雀
漢検準1級
部首:⾫
11画
“雲雀”で始まる語句
雲雀娘
雲雀毛
雲雀笛
雲雀骨
雲雀啼
雲雀奴
雲雀山痩右衛門