“遺:のこ” の例文
“遺:のこ”を含む作品の著者(上位)作品数
吉川英治38
野村胡堂22
岡本かの子12
夏目漱石10
幸田露伴8
“遺:のこ”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語4.9%
文学 > 日本文学 > 詩歌0.9%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆0.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
帆村はねて園長ののこしていった上衣のボタンの特徴を手帳に書き留めて置いたことが役立って大変好運だと思った。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と自分は答えたが、まだ余っている餌を、いつもなら土にえて投げ込むのだけれど、今日はこの児にのこそうかと思って、
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
抽斎の日常生活に人に殊なる所のあったことは、前にも折に触れて言ったが、今のこれるを拾って二、三の事を挙げようと思う。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
余は是等の事實は、モールス氏の説の如く、貝塚をのこせし人民が時としては人肉をくらひし事有りしを証するものと考ふ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
颯々さっさつと墨のような松風の中に、何やら無念をのこしているような、客間のかすかにまたたいていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、彼の林崎夢想流は、不滅の光茫こうぼうのこして行ったし、その誕生の森、林崎明神は今もそのまま現存している。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
このことについては、青年時代秀吉とのあいだに一挿話そうわのこしているが、いまはそれをいっているいとまはない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういう僕のわがままをわがままなりに通してくれるものは、云うまでもなく父がのこして行ったわずかばかりの財産である。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昔し巌頭がんとうぎんのこして、五十丈の飛瀑ひばくを直下して急湍きゅうたんおもむいた青年がある。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
従つて書かなくては済まない、のこさなくては悪いと思ふ事以外には一画といへどみだりに手を動かす余地がない。
艇長の遺書と中佐の詩 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
青木淳ののこしてった手記の言葉が、太陽の光にさらされたように、何の疑点もなくハッキリとわかって来た。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
さいはもとのまゝでのこつてゐるものがたくさんあり、ふる日本人につぽんじんんでゐたところは
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
操行に高潔にして、業務に勤勉なるこの人の如きは、まことに尊き亀鑑きかんを後世にのこせしものとこそ言うべけれ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
おまえたちのうち誰でも、この場に死んだとして、今まで描いたものを後世にのこして恥じないだけの自信があるか、どうだ。
ドモ又の死 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
務の頭の中は死を追う焦慮と、妻子をのこして死んで往く悲しみと、脚下あしもとをすくわれたような恨みで混乱していた。
白っぽい洋服 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ただ、その間に飛石のようにぼつぼつと地方的な逸話だとか、他の武人と試合った話とかが、たまたまのこされているに過ぎない。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしのこっているその墨蹟物も、まったく、限られていて、ほとんどが、晩年、熊本に落着いてからの筆蹟ばかりといってよい。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ムーソルグスキーの荒削あらけずりな作品に手を入れて、名作を我らにのこしてくれたのはもう一つの手柄てがらである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
のこるお家族の人々も、さだめし肩身がお広かろう。日頃のおたしなみの程もうかがわれる。次の戦にはあやかりたいものよ。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
細川藤孝は、晩年、幽斎ゆうさいとも号して、細川藩にとって中興ちゅうこうの祖ともいえる業績をのこした人物である。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
指さきでそれを軽くおさへると、それらの小さな虫は、青茶色の斑点をそこにのこして消えせてしまふほどである。
しかし、秀吉がその愛児秀頼に、この難攻不落の名城をのこしたことは、かえって亡滅の因を遺したようなものである。
大阪夏之陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
幻の空に消えてのこるはうらみばかり、ここにせめては其面影おもかげうつつとどめんと思いたち
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
音次郎は内懷中深く忍ばせた財布の中の、三十兩の小判に氣がのこる樣子でしたが、今更それはどうすることも出來ません。
見よ或はかの棄てられし恨をのこし、或はこの奪はれしかなしみひ、前の恨の消えざるに又新なる悲を添ふ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その時、彼は久しぶりで自分の生れた家を見たばかりでなく、父ののこした蔵書を見せようと云う母の後にいて裏庭の方へ出た。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そうすると、それではあの時郷里にのこったものが、今の彼らがこのように別れがたく思う寂しさに包まれたのであろう。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
「これが雪舟ののこした庭です。何かかう大きなものをつかんで、非常な力でそれを壓搾してあるやうに見えますが——」
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それを寺にのこしておいて、永く、自分の憂愁とともに、源次郎の霊をとむらってもらおうと発願したものであった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佐渡さどの島は色々と古い言葉ののこっている土地であるが、彼処あそこにもまだコキバシまたはコイバシという名だけはあった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それから、N氏は金沢にいる間に、色々の家にのこっている古い時代からの九谷の精密な摸写もしゃをつくって見たいといっていた。
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
弦楽四重奏曲の形式を整え、幾十曲の名作をのこして、後世のために室内楽の宝庫を打ち建てたハイドンの功績は大きい。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
旅客の姿のほとんど全く絶えてしまった停車場へ、ひとりのこされることになったお島は、兄を送っていった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ええ、まあボツボツ集めてます……なんにも子供にのこして置く物もありませんから、せめて書籍ほんでも遺そうと思いまして……」
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「慨世憂国の士をもって発狂の人となす、に悲しからずや」とは父がその木小屋にのこした絶筆であったという。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
正太は紀文がのこしたという翫具おもちゃの話なぞを引いて、さすがに風雅な人は面白いところが有る、とも言った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それらの西洋風建築は大阪では何んといっても川口町本田あたりの昔の居留地に最も多く、現在もかなりのこっている。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
ひそかに決する処あり、いざさらば地方に遊説して、国民の元気をおこさんとて、坂崎氏には一片いっぺんの謝状をのこして
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
へん明治めいぢ初年はじめまでのこつてつた、大仏餅だいぶつもち餅屋もちやがありました。
ここにすなはちそののこりのひるの片端もちて、待ち打ちたまへば、その目にあたりて、打ち殺しつ。
この船のやぶれたるもちて、鹽を燒き、その燒けのこりの木を取りて、琴に作るに、その音七里ななさとに聞ゆ。
こういう図柄は仮令たとえ簡単なものでも、祖先がのこしてくれたものでありますから、大切にされねばなりません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
神津右京うきやうの正室は十四になる總領の吉彌をのこして早く死に、今は雇人あがりの妾お江野といふのが萬事世話をして居ります。
その『弘仁式』は、嵯峨さが天皇の弘仁年間に出来たもので、今は亡びてしまいましたけれども、幸にその目録だけがのこっております。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
下吏となって長くひざを俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年にのこそうとしたのである。
山月記 (新字新仮名) / 中島敦(著)
床の間には、父忠寛と同時代の人で、しかも同村に生れた画家えかきのこした筆が古風な軸に成って掛っている。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
夜具などは後でどうでもなると思ったが、少しばかりの軟かい着替えや手廻りの物を、芳太郎の目の前にのこしておくのは不安心であった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
嘉永四年正月二十三日に寿美が死し、五月二十四日に九歳の環が死し、六月十六日に玄碩が死し、跡にはわずかに六歳の鉄がのこった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
のこつてゐた土臺どだいくひから想像そう/″\して湖上住居こじようじゆうきよ小屋こやいたものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「生縄一家の用心棒、磯貝先生は、話に今ものこっている笹川繁蔵ささがわしげぞうの処の平手酒造ひらてみきよりもえらい方だ」
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
しかし昔はそれがあったものと見えて、「紫の一もとゆえに武蔵野の、草はみながらあわれとぞ見る」という有名な歌がのこっている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
……ところで、奴が死んでみると、俺たち彼の仲間は、奴の作品を最も正しい方法で後世にのこす義務を感ずるのだ。
ドモ又の死 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
現に江戸の風俗詩川柳せんりうに、小便組をんだ洒落れた短詩が、數限りなくのこつてゐるのを見ても、その盛大さがわかります。
自分の言ふだけのことを言ひのこして、振りきるやうに庄司しやうじの家を立出でました。錢形平次は、何にか思ふことがあつたらしく、
「あとにのこるお子が御成人の後のためにも、やはりここへお抱き申しあげて来たほうがよろしいかとぞんじますが」
日本名婦伝:谷干城夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では、可惜あたらこの地に、御先祖がおのこしあった門地を、あなたは御自身の代で、滅亡に導くお考えですか」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
行動の結果から見て、はなはだしいくいのこさない過去をかえりみると、これが人間の常体かとも思う。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この学士の記念の絵葉書が、沢山飯山の寺にのこっていたが、熱帯地方の旅の苦みを書きつけてあったのなぞはことに、私の心を引いた。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
友吉おやじの云いのこした言葉が、マザマザと耳に響いて来て、ペンを持つ手がブルブルと震え出すようになった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼女は寺小屋風が多分にのこった小学校に学んだり、三味線、二絃琴にげんきんの師匠にも其処そこで就いた。
そのくさむらを根にして洞窟どうくつ残片ざんぺんのようにのこっている焼け落ちた建物の一角がある。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
かつひとたび節を屈して不正の法に従うときは、後世子孫に悪例をのこして天下一般の弊風をかもしなすべし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
概してこれを言えば、わが輩の職務は今日この世にり、わが輩の生々したる痕跡をのこして遠くこれを後世子孫に伝うるの一事にあり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
(巧拙は問うところでない、供養の心もちが、菩提ぼだいへとどけば足りるのだ。——今夜のうちに彫り上げて、この寺にのこしてゆこう)
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして現今でもこの遺風は田舎にのこっていて祭礼の時にのろくもいが馬に乗るところが稀にあるようであります。
ユタの歴史的研究 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
彼女をめぐる無数の男女の召使までも、また、太閤ののこしたあらゆる物も——愛情までも、その焦土しょうどへ投げこんでしまった。
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「爺の云いのこしたこと、一言もあまさず、信長の胸にみてぞ。終生忘れはおかぬぞよ。詫びは、それしかない。それしかない。……」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は母の記念のためにここで何か書いておきたいと思うが、あいにく私の知っている母は、私の頭に大した材料をのこして行ってくれなかった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宿帳だか、書画帖しょがちょうだか判然しないものの、第三頁に記念をのこす事にせまって来た。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
わかれげなばさまたげ多からむをおもんぱかり、ただわずかに一書を友人にのこせるのみ。
突貫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
罪人ざいにん石山いしやまの絶頂から生きながら棄てた断崖も名所としてのこつて居るさうだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
彼は、みずからの血におのが汗をしぼりこんで、この水火の秘文ひもんをしたためのこしているのではないか!
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
西岡は不幸にして志も達せずに歿したが生前の主張が一つの果実を結んで、それが未亡人の手にのこされていた。
手すさびの観音像は、久しく旅包みに負って持ち歩いていたが、法典ヶ原にのこして来たので、今はそれもない。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梅菴は野狐にして僧、長斎一食なりとあって、何だか支那の小説にでもありそうな話だが、現に鳥啼花落がのこっているのだからしかたがない。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
是を漢土で黄泉とも呼んでいた冥界めいかいのことだと、信じて古人はこの記録をのこしたと言えるだろうか。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
茂七は下男部屋から淺草紙を二、三枚持つて來てくれました。比べて見ると、曲者ののこした紙と全く同じもの、斷ち口までピタリと合ひます。
そしていよいよ、出陣するにあたって、彼は、留守役の小出播磨守と三好武蔵守のふたりへ、こう云いのこした。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
火元と認定せらるる鰐淵方わにぶちかた塵一筋ちりひとすぢだに持出もちいださずして、あはれむべき一片の焦土をのこしたるのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あるいは疑う、太祖の人情に通じ、世故せいこに熟せる、まさにかくの如きの詔をのこさゞるべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
時計や指環などもとっくに亡くなって、汚れたパナマだけが、京橋で活動していた時分の面影をのこしていた。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
根堅ねがた名園めいゑんのこして年々ねん/\繁昌はんじやう、なみ/\の智恵ちゑ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
は、小三郎長治ながはる辞世じせいであった。また、まだうら若い彼の妻がのこした一首には、
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
先の内儀は、お吉お雪の二人の娘をのこして早く亡くなり、後添いのお国は連れ子の福松と一緒に入って、十年前から世帯を切盛りしております。
墓は深川亀住町かめずみちょう閻魔堂えんまどう地中じちゅうの不動院にのこって、戒名を參清自空信士さんせいじくうしんしと申します。
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
その竹翁の精神が、何時いつまでも書いた筆にのこって、こうして子孫に臨んでいるかのようにも見える。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この雄弁なる国会議員こそ、実に我が大岡越前守とひとしく、幾多裁判上の逸話をのこしたる著名の弁護士カラン(Curran)その人であった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
仮に死んでしまふ自分は瑕瑾かきんを顧みぬとしても、父祖の名を汚し、恥を子孫にのこしてはならない。
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
〔譯〕堯舜げうしゆん文王は、其ののこす所の典謨てんぼ訓誥くんかう、皆以て萬世の法と爲す可し。
この点については、伊波普猷いはふゆうさんという沖縄の学者も、すでに綿密な研究をのこしておられる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
『はい、まだ貴方の死を見ないで去るのが、心のこりのように、確かに、そう云って、逃げ退きました』
夏虫行燈 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今でも西蔵チベットその他の未開国には一婦多夫と女の家長権とが古代のおもかげのこしている。
私の貞操観 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
その男の扱い巧者で、先代ののこした雑賀屋の財産は、おせい様がふところ手をしているうちに、今じゃあもう、倍にはなっているだろうとのことだ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
かのせせらぎ長者のつま虎御前とらごぜんの話(同上四巻三三九頁)と相似たる話をのこしている。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
恋しい人を此の世にのこして死んだ人間が、草葉の蔭からその人の将来を絶えず見守ってやるように、自分は生きながら死んだと同じ心持になるのだ。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
うらむらくは其の叙するところ、けだいまだ十の三四をおわるに及ばずして、筆硯ひっけん空しく曲亭の浄几じょうきのこりて
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
足い切るのと云って人を不具かたわにするような御遺言状おかきもののこしたという御先祖さまが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今浅草寺ではこのお狸様を鎮護大使者として祀っています。当時私の父椿岳はこの祠堂しどうに奉納額をあげましたが、今はのこっていないようです。
寺内の奇人団 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
それがすなわち先に言うところの五十万年前の人間がのこして死んだ臼歯うすばの一きれである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
となして、その方角へ、敵を追求して行ったとしたら、全戦局は一変して、後の蜀も魏の歴史もまったくあのようにのこされてなかったであろう。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)