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蹌踉
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よろ
ふりがな文庫
“
蹌踉
(
よろ
)” の例文
「
俺
(
おいら
)
あ
可厭
(
いや
)
だぜ。」と押殺した
低声
(
こごえ
)
で
独言
(
ひとりごと
)
を云ったと思うと、ばさりと
幕摺
(
まくず
)
れに、ふらついて、隅から
蹌踉
(
よろ
)
け込んで見えなくなった。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
勘次は怒りのために
慄
(
ふる
)
え出した。と、彼は黙って秋三の顔を横から
殴打
(
う
)
った。秋三は
蹌踉
(
よろ
)
めいた。が、背面の藁戸を掴んで踏み停ると
南北
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
片手を幽霊のようにブラ下げたままフラフラとパーポン氏の前に
蹌踉
(
よろ
)
めき寄って来て、心持ちだけお辞儀をするようにグラグラと頭を下げた。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
やがて
蹌踉
(
よろ
)
めく足に階段を踏み締めたのであったが、ただ耳鳴りがして頭がかっかとして何を思考する力とてもなかった。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
そして
蹌踉
(
よろ
)
け出した。年老いたる二三の漁夫は心配さうに小走りに走つて往つて、この暴れる神體を宥めようとした。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
▼ もっと見る
余は飛んで行って横手から長三を突き飛ばした、自分ながら我が力に驚いた、長三は倒れんとするほどに
蹌踉
(
よろ
)
めいた。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ボートルレは思いがけない発見に
蹌踉
(
よろ
)
めきながら外へ出た。彼が伯爵邸へ帰ってくると、彼へ手紙が来ていた。見ると次のようなことが書いてあった。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
立
(
た
)
ちながら
袴
(
はかま
)
の
裾
(
すそ
)
を
踏
(
ふ
)
んで
蹌踉
(
よろ
)
けては
驚
(
おどろ
)
いた
容子
(
ようす
)
をして
周圍
(
あたり
)
を
見
(
み
)
るのもあつた。
恁
(
か
)
ういふ
作法
(
さはふ
)
をも
見物
(
けんぶつ
)
の
凡
(
すべ
)
ては
左
(
さ
)
も
熱心
(
ねつしん
)
らしい
態度
(
たいど
)
で
拜殿
(
はいでん
)
に
迫
(
せま
)
つて
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
全身の弾力を一時に失って椅子の中へ
蹌踉
(
よろ
)
めき倒れ、しばらくあらぬ方をキョトンと
睜
(
みは
)
っていた。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
廊下で何だか
蹌踉
(
よろ
)
けるような
跫音
(
あしおと
)
がして、間もなく『戸を開けて、戸を開けて』という声がするものですから、きっと
貴郎
(
あなた
)
が御気分でもおわるいかと思って、戸を開けますと
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
彼は雪のなかを
蹌踉
(
よろ
)
めきながら進み行く人のように、その荷車の後ろへ
従
(
つ
)
いて行った。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
彼はいきなり男の腰を力
任
(
ま
)
かせに突いた。男の身体はゆらゆらと
蹌踉
(
よろ
)
めいたと思ったら、そのまま欄干を越えて、どさりと一階の客席の真中に墜落してしまった。わーっ! という叫び声。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
藤沢は
唸
(
うな
)
って、
蹌踉
(
よろ
)
めいて、ばたりと倒れた。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
蹌踉
(
よろ
)
めくままに静もりを保ち
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
しかし、彼の身体は左右に二足三足
蹌踉
(
よろ
)
めくと、滴る血の重みに倒れるかのようにばったりと地に倒れた。彼は再び起き上った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
(畜生さあ、鳴かねえ鶯なら絞殺して附焼だ。)と愛吉はちらつく
眼
(
まなこ
)
、二三度
撲
(
なぐ
)
りはずして、
独
(
ひとり
)
で
蹌踉
(
よろ
)
けざまにまた
揮上
(
ふりあ
)
げた。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
病み疲れてヘトヘトになりかけている彼にとっては、その把手に
縋
(
すが
)
って押して歩く方が、手ぶらで
蹌踉
(
よろ
)
めき歩くよりも
遥
(
はる
)
かに楽な気持ちがした。
童貞
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
二足三足
蹌踉
(
よろ
)
けた途端、女なぞの見るものではないと思ったのであろう、誰か嬢の前に立ち
塞
(
ふさ
)
がったものがある。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
吾亮は
蹌踉
(
よろ
)
めいてばたりと倒れた。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
怪飛
(
けしと
)
んだようになって、
蹌踉
(
よろ
)
けて
土砂降
(
どしゃぶり
)
の中を
飛出
(
とびだ
)
すと、くるりと
合羽
(
かっぱ
)
に包まれて、見えるは脚ばかりじゃありませんか。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
屈曲し、弾みがあり、転転としていく自分らのバスは、相当に危険な崖の上を風に吹かれて
蹌踉
(
よろ
)
めいているらしい。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
蹌踉
(
よろ
)
めきながら起ち上って、そして眼をつぶって差し出した私の手を探偵もしっかりと握ってくれた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
と取って引いた
外套
(
がいとう
)
の脇を離すと、トンと突いて、ひらりと
退
(
の
)
くや、不意に
蹌踉
(
よろ
)
めく葛木を、すっと立って、
莞爾
(
にっこり
)
見て
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若者の呼び声は、長羅の部屋の前を通り越して、
八尋殿
(
やつひろでん
)
へ突きあたり、そうして、再び彼の方へ戻って来た。長羅は
蹌踉
(
よろ
)
めきながら杉戸の方へ近寄った。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
と言うより早く
拳
(
こぶし
)
をあげて、その胸のあたりをハタと
撲
(
う
)
ちぬ。
背後
(
うしろ
)
に
蹌踉
(
よろ
)
けて渋面せしが、たちまち笑顔になりて
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
農夫にしては稀に鋭い頭脳で、着眼の非凡さは、およそ他の者など絶えず
蹌踉
(
よろ
)
めかせられて来つづけたことも、想像してあまりある。しかし、そんなことも知れたものだ。
夜の靴:――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
喚
(
わめ
)
くが、しかし、
一騎
(
いつき
)
朝蒐
(
あさがけ
)
で、
敵
(
てき
)
を
詈
(
のゝし
)
る
勇
(
いさ
)
ましい
様子
(
やうす
)
はなく、
横歩行
(
よこあるき
)
に、ふら/\して、
前
(
まへ
)
へ
出
(
で
)
たり、
退
(
すさ
)
つたり、
且
(
か
)
つ
蹌踉
(
よろ
)
めき、
且
(
か
)
つ
独言
(
ひとりごと
)
するのである。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大夫は妻の髪を掴んで引き伏せようとしたときに、再び新しい一人の足音が、
蹌踉
(
よろ
)
めきながら三人の方へ馳けて来た。それは
酒盞
(
うくは
)
を片手に持った長羅の父の君長であった。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
其時
(
そのとき
)
車
(
くるま
)
を
真中
(
まんなか
)
に、
案山子
(
かゝし
)
の
列
(
れつ
)
は
橋
(
はし
)
にかゝつた。……
瀬
(
せ
)
の
音
(
おと
)
を
横切
(
よこぎ
)
つて、
竹
(
たけ
)
の
脚
(
あし
)
を、
蹌踉
(
よろ
)
めく
癖
(
くせ
)
に、
小賢
(
こざか
)
しくも
案山子
(
かゝし
)
の
同勢
(
どうぜい
)
橋板
(
はしいた
)
を、どゞろ/\とゞろと
鳴
(
な
)
らす。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
膝に
搦
(
から
)
んだ
裳
(
もすそ
)
が落ちて、
蹌踉
(
よろ
)
めく袖が、はらりと、茶棚の
傍
(
わき
)
の
襖
(
ふすま
)
に当った。肩を引いて、胸を
反
(
そ
)
らして、おっくらしく、
身体
(
からだ
)
で開けるようにして、
次室
(
つぎ
)
へ入る。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
伸過ぎた身の
発奮
(
はず
)
みに、
蹌踉
(
よろ
)
けて、片膝を
支
(
つ
)
いたなり、口を開けて、
垂々
(
たらたら
)
と
濺
(
そそ
)
ぐと——水薬の色が光って、守宮の頭を
擡
(
もた
)
げて
睨
(
にら
)
むがごとき目をかけて、滴るや否や
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不意なれば
蹌踉
(
よろ
)
めきながら、おされて、人の軒に仰ぎ依りつつ、何事ぞと存じ候に、黒き、長き物ずるずると来て、町の
中央
(
なか
)
を一文字に貫きながら矢の如く
駈
(
か
)
け抜け候。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
其
(
そ
)
の
握拳
(
にぎりこぶし
)
で、
己
(
おの
)
が
膝
(
ひざ
)
を
礑
(
はた
)
と
打
(
う
)
つたが、
力
(
ちから
)
余
(
あま
)
つて
背後
(
うしろ
)
へ
蹌踉
(
よろ
)
ける、と
石垣
(
いしがき
)
も
天守
(
てんしゆ
)
も
霞
(
かすみ
)
に
揺
(
ゆ
)
れる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
脱いで提げたる道中笠、
一寸
(
ちょっと
)
左手に持換えて、紺の風呂敷、
桐油包
(
とうゆづつみ
)
、振分けの荷を両方、
蝙蝠
(
こうもり
)
の憑物めかいて、振落しそうに掛けた肩を、
自棄
(
やけ
)
に前に突いて
最一
(
もひと
)
つ
蹌踉
(
よろ
)
ける。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蝶吉は
躓
(
つまず
)
くように駒下駄を脱いで、
俯向
(
うつむ
)
けに
蹌踉
(
よろ
)
け込んで、障子に
打撞
(
ぶつ
)
かろうとして、肩を
交
(
かわ
)
し、
退
(
すさ
)
って、電燈を仰いで、
踏
(
ふみ
)
しめて立った。ほッという酒の息、威勢よく笑って
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
医師
(
せんせい
)
は、
蹌踉
(
よろ
)
けたように、雨戸を
背
(
うしろ
)
に、
此方
(
こなた
)
を向き替え、斜めに
隣室
(
となり
)
の蚊帳を
覗
(
のぞ
)
いた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
泥々に酔って二階へ押上って、つい
蹌踉
(
よろ
)
けなりに
梯子段
(
はしごだん
)
の欄干へつかまると、ぐらぐらします。屋台根こそぎ波を打って、下土間へ
真逆
(
まっさか
)
に落ちようとしました……と云った
楼
(
うち
)
で。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
踵
(
くびす
)
を
廻
(
めぐ
)
らすのを見も返らず、女は身を
斜
(
ななめ
)
にまた
蹌踉
(
よろ
)
けて、柳の下を抜けようとした。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
不可
(
いけ
)
ませんよ。」と半纏の襟を
扱
(
しご
)
きながら、お蔦が
襖
(
ふすま
)
から、すっと出て、英吉の肩へ手を載せると、
蹌踉
(
よろ
)
けるように振向く処を、入違いに床の間を
背負
(
しょ
)
って、花を
庇
(
かば
)
って膝をついて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
早や柵の上を
蹌踉
(
よろ
)
めき越えて、虚空を
掴
(
つか
)
んで探したのが、立直って、
衝
(
つ
)
と寄った。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どれも
抱着
(
だきつ
)
きもせず、足へも
縋
(
すが
)
らぬ。絶叫して目を覚ます……まだそれにも及ぶまい、と見い見い
後退
(
あとじさ
)
りになって、ドンと突当ったまま、
蹌踉
(
よろ
)
けなりに投出されたように
浅茅生
(
あさぢう
)
へ出た。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時に大浪が、
一
(
ひと
)
あて
推寄
(
おしよ
)
せたのに足を打たれて、気も
上
(
うわ
)
ずって
蹌踉
(
よろ
)
けかかった。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時
(
とき
)
に
大浪
(
おほなみ
)
が、
一
(
ひと
)
あて
推寄
(
おしよ
)
せたのに
足
(
あし
)
を
打
(
う
)
たれて、
氣
(
き
)
も
上
(
うは
)
ずつて
蹌踉
(
よろ
)
けかゝつた。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
蹌踉
(
よろ
)
けるやら、目も口も開かねえんで、何でえ! 田舎ものが神田の祭にはぐれやしめえし、人ごみにまごまごする事あねえ、火事に逃げるたあ何の事だと、おされて剣突を食う
癇癪
(
かんしゃく
)
まぎれに
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今時
(
いまどき
)
バアで
醉拂
(
よつぱら
)
つて、タクシイに
蹌踉
(
よろ
)
け
込
(
こ
)
んで、いや、どツこいと
腰
(
こし
)
を
入
(
い
)
れると、がた、がたんと
搖
(
ゆ
)
れるから、
脚
(
あし
)
を
蟇
(
ひきがへる
)
の
如
(
ごと
)
く
踏張
(
ふんば
)
つて——
上等
(
じやうとう
)
のは
知
(
し
)
らない——
屋根
(
やね
)
が
低
(
ひく
)
いから
屈
(
かゞ
)
み
腰
(
ごし
)
に
眼
(
まなこ
)
を
据
(
す
)
ゑて
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、幹事が今は
蹌踉
(
よろ
)
けながら手探りで立とうとする。子爵が留めて
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
不可
(
いけ
)
ません、
不可
(
いけな
)
い、不可いよ、」と
蹌踉
(
よろ
)
ける足を
引摺
(
ひきず
)
って
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“蹌踉”の意味
《名詞》
蹌踉(そうろう)
足元がよろめくさま。
(出典:Wiktionary)
蹌
漢検1級
部首:⾜
17画
踉
漢検1級
部首:⾜
14画
“蹌踉”で始まる語句
蹌踉々々
蹌踉蹌踉
蹌踉状