讀書どくしよ)” の例文
新字:読書
寢轉ねころんで讀書どくしよしてゐる枕頭まくらもとにお行儀げうぎよくおちんをしてゐる、しかつてもげない、にはへつまみす、また這入はいつてくる、汚物をぶつをたれながす、下女げぢよおこる。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
これは、ひと讀書どくしようへばかりではない。んでも、自己じここしゑてかゝらなければ、をとこでもをんなでも、一しやう精神上せいしんじやう奴隷どれいとなつてんでほかいのだ。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
親友しんいう送出おくりだして、アンドレイ、エヒミチはまた讀書どくしよはじめるのであつた。よるしづかなんおとぬ。ときとゞまつて院長ゐんちやうとも書物しよもつうへ途絶とだえてしまつたかのやう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
讀書どくしよいたづらに人の憂患わづらひすのみのなげきは、一世いつせい碩學せきがくにさへあることだから、たん安樂あんらくといふ意味から云ツたら其もからうけれど、僕等はとても其ぢや滿足出來ないぢやないか。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
まへはまだないのかえ、と障子しようじそとからこゑをかけて、おくさまずつとたまへば、室内うちなるをとこ讀書どくしよつむりおどろかされて、おもひがけぬやうなあきがほをかしう、おくさまわらふてたまへり。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
書物しよもつむのはごくわる御座ございます。有體ありていふと、讀書どくしよほど修業しゆげふさまたげになるものはやうです。私共わたくしどもでも、うして碧巖へきがんなどみますが、自分じぶん程度ていど以上いじやうところになると、まる見當けんたうきません。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
教育にして的無く、教育を受くるものにして的とすべきところを知らざれば、讀書どくしよ佔畢てんひつは、畢竟蚊虻の鼓翼に異ならず、雪案螢燈の苦學も、枉げて心を勞し身を疲らすに過ぎざるものであらう。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
これではじつ仕方しかたがない、其故それゆゑわたくし生徒せいとむかつて常々つね/″\まをしてります。何事なにこと自分じぶん研究けんきうして御覽ごらんなさい、研究けんきうして自分じぶん難問なんもん解釋かいしするやうにさい。これはあなが讀書どくしよのみにかぎりません。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
あゝいふ先生せんせい教育けういくされるのだとおもふと、いよいよ我々われ/\は、婦人ふじんのために、讀書どくしよ必要ひつえうおもはざるをない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
讀書どくしよかれ病的びやうてき習慣しふくわんで、んでもおよれたところものは、れが縱令よし去年きよねん古新聞ふるしんぶんらうが、こよみであらうが、一やうえたるもののやうに、屹度きつとつてるのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おそおほしと慇懃いんぎんなり、このほどはお不快ふくわいうけたまはりしが、最早もはや平日へいじつかへらせたまひしか、お年輩としごろには氣欝きうつやまひのるものとく、れい讀書どくしよはなはだわろし、大事だいじ御身おんみ等閑なほざりにおぼしめすなと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれどもうちいては、讀書どくしよ思索しさくも、まる出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれ其後そのゝち讀書どくしようちにも、睡眠ねむりいてからも、イワン、デミトリチのことあたまかららず、翌朝よくてうさましても、昨日きのふ智慧ちゑある人間にんげんつたことをわすれること出來できなかつた
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いま女子教育ぢよしきよういく賛成さんせいといひがたきこヽろよりおそのにも學校がくかうがよひせたくなく、まわみちでもなき歸宅かへりがけの一時間じかん此家こヽりては讀書どくしよ算術さんじゆつおもふやうにをしへてれば記憶きおくもよくわかりもはや
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)