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みせ
ふりがな文庫
“
見世
(
みせ
)” の例文
今もいま、師匠のかけがえのない
好
(
い
)
い芸を、心の中で惜んでいたのに、このお
爺
(
じい
)
さんは
見世
(
みせ
)
ものの中へ出すのか——と思ったからだ。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「あつしは北の國で、歌舞の菩薩の
張
(
は
)
り
見世
(
みせ
)
を一と廻り拜んで、向柳原へ歸つて寢てしまひましたよ。月待ちと
洒落
(
しやれ
)
るほどは金がねえ」
銭形平次捕物控:255 月待ち
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
若旦那
(
わかだんな
)
が
鯱鉾立
(
しゃっちょこだち
)
して
喜
(
よろこ
)
ぶ
話
(
はなし
)
だと、
見世
(
みせ
)
であんなに、
大
(
おお
)
きなせりふでいったじゃないか。あたしゃ
口惜
(
くや
)
しいけれど
聞
(
き
)
いてるんだよ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
一度は村の
見知
(
みし
)
り
越
(
ご
)
しの若者の横顔を
張
(
は
)
り
見世
(
みせ
)
の前でちらと見た。一度は大高島の
渡船
(
とせん
)
の中で村の学務委員といっしょになった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
心が外へ
見世
(
みせ
)
を出しているところを描くんだから、見世さえ手落ちなく観察すれば、身代はおのずからわかるものと、まあ、そうしておくんだね。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
今だから、何もかもいえるのだが、その頃このわしは、広海屋さんと同業の、手がたい
見世
(
みせ
)
の奉公人でありましたのさ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
呼出し
取調
(
とりしら
)
べ
有
(
あり
)
しに一
向
(
かう
)
右體の
怪我人
(
けがにん
)
見當らざる
由
(
よし
)
を申により又外々の名主へ掛り尋けるに
下谷
(
したや
)
廣小路
(
ひろこうぢ
)
に
道達
(
だうたつ
)
とて表へは
賣藥
(
ばいやく
)
見世
(
みせ
)
を出し
置
(
おき
)
外療醫
(
ぐわいれうい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
無蓋車を降りて、車掌に
暇乞
(
いとまごひ
)
して、きよろ/\と見廻して、それから向ふの
酒瓶
(
さかびん
)
の絵看板の出てゐる
見世
(
みせ
)
の方へ行つた。
固
(
もと
)
より酒を飲みにぢやない。
椋のミハイロ
(新字旧仮名)
/
ボレスワフ・プルス
(著)
また夢のようだけれども、今見れば
麺麭
(
パン
)
屋になった、
丁
(
ちょう
)
どその
硝子
(
がらす
)
窓のあるあたりへ、幕を絞って——暑くなると夜店の中へ、
見世
(
みせ
)
ものの小屋が
掛
(
かか
)
った。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
裏道傳
(
うらみちづた
)
ひ
二町
(
にちやう
)
三町
(
さんちやう
)
町名
(
ちやうめい
)
は
何
(
なに
)
と
知
(
し
)
れねど
少
(
すこ
)
し
引
(
ひ
)
き
入
(
い
)
りし
二階建
(
にかいだて
)
に
掛行燈
(
かけあんどん
)
の
光
(
ひか
)
り
朧々
(
ろう/\
)
として
主
(
ぬし
)
はありやなしや
入口
(
いりぐち
)
に
並
(
なら
)
べし
下駄
(
げた
)
二三足
(
にさんぞく
)
料理番
(
れうりばん
)
が
欠伸
(
あくび
)
催
(
もよ
)
すべき
見世
(
みせ
)
がゝりの
割烹店
(
かつぽうてん
)
あり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
わたしの家と申しましても、三度目の火事に遇つた後は
普請
(
ふしん
)
もほんたうには参りません。焼け残つた土蔵を一家の
住居
(
すまひ
)
に、それへさしかけて仮普請を
見世
(
みせ
)
にしてゐたのでございます。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
帰って来るとその翌日指環の真珠が
直
(
す
)
ぐ抜けて落ちましたからその
見世
(
みせ
)
へ行って
小言
(
こごと
)
を申しますと今度は主人が出て来て、日本製の品はドウも足が弱くって中の石が抜けたがります
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
料理茶屋の物を盗む前に
云
(
い
)
う通り
御霊
(
ごりょう
)
の植木
見世
(
みせ
)
で万引と疑われたが、疑われる
筈
(
はず
)
だ、緒方の書生は本当に万引をして居たその万引と云うは、
呉服店
(
ごふくや
)
で
反物
(
たんもの
)
なんど云う念の
入
(
いっ
)
た事ではない
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
初めは
生
(
いき
)
た亀ノ子と
麩
(
ふ
)
など売りしが、いつか張子の亀を製し、首、手足を動かす物を棒につけ売りし由。総じて
人出
(
ひとで
)
群集
(
ぐんしゅう
)
する所には皆玩具類を売る
見世
(
みせ
)
ありて、何か
思付
(
おもいつ
)
きし物をうりしにや。
江戸の玩具
(新字旧仮名)
/
淡島寒月
(著)
李
(
すもも
)
盛る
見世
(
みせ
)
のほこりの暑かな
万乎
(
まんこ
)
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「そうだ、おせんちゃん。
帰
(
けえ
)
る
時
(
とき
)
にゃ、みんなで
送
(
おく
)
ってッてやろうから、きょう
一
(
いち
)
ン
日
(
ち
)
の
見世
(
みせ
)
の
話
(
はなし
)
でも、
聞
(
き
)
かしてくんねえよ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その頃、村の
尽頭
(
はづれ
)
に老婆と一緒に駄菓子の
見世
(
みせ
)
を出して、子供等を相手に、亀の子焼などを
商
(
あきな
)
つて、辛うじて其日の生活を立てて行く女があつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
する
桝屋
(
ますや
)
久藏と云者と尋ねしに其頃新店なれども
評判
(
ひやうばん
)
よきにや直に知ければ吾助は大いに
悦
(
よろこ
)
び
先
(
まづ
)
見世
(
みせ
)
に行て樣子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
画工
(
ゑかき
)
はね、
心
(
こゝろ
)
を
描
(
か
)
くんぢやない。
心
(
こゝろ
)
が
外
(
そと
)
へ
見世
(
みせ
)
を
出
(
だ
)
してゐる
所
(
ところ
)
を
描
(
か
)
くんだから、
見世
(
みせ
)
さへ
手落
(
ておち
)
なく観察すれば、
身代
(
しんだい
)
は
自
(
おのづ
)
から
分
(
わか
)
るものと、まあ、さうして置くんだね。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
父親の
見世
(
みせ
)
の、子飼いの手代の癖に、当の主人を死地におとしいれた、長崎屋三郎兵衛はどうだ?
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
やがて、十八九年も
経
(
た
)
ったろう。
小児
(
こども
)
がちと毛を伸ばした中僧の頃である。……秋の招魂祭の、それも
真昼間
(
まっぴるま
)
。両側に小屋を並べた
見世
(
みせ
)
ものの中に、一ヶ所目覚しい看板を見た。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
中番頭
(
ちゅうばんとう
)
から
小僧達
(
こぞうたち
)
まで、一
同
(
どう
)
の
顔
(
かお
)
が一
齊
(
せい
)
に
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
の
方
(
ほう
)
へ
向
(
む
)
き
直
(
なお
)
った。が、
徳太郎
(
とくたろう
)
は
暖簾口
(
のれんぐち
)
から
見世
(
みせ
)
の
方
(
ほう
)
を
睨
(
にら
)
みつけたまま、
返事
(
へんじ
)
もしなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
で、今度は通りのまん中を自分はひやかしに来た客ではないというようにわざと
大跨
(
おおまた
)
に歩いて通った。そのくせ、気にいった女のいる
張
(
は
)
り
見世
(
みせ
)
の前は注意した。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
中は
勧工場
(
かんこうば
)
のように真中を往来にして、
同
(
おなじ
)
く勧工場の
見世
(
みせ
)
に当る所を長屋の上り口にしてある。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
孫一
(
まごいち
)
も
其
(
そ
)
の
一人
(
ひとり
)
だつたの……
此
(
こ
)
の
人
(
ひと
)
はね、
乳
(
ちゝ
)
も
涙
(
なみだ
)
も
漲
(
みなぎ
)
り
落
(
お
)
ちる
黒女
(
くろめ
)
の
俘囚
(
とりこ
)
と
一所
(
いつしよ
)
に、
島々
(
しま/″\
)
を
目見得
(
めみえ
)
に
𢌞
(
まは
)
つて、
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
には、
日本
(
につぽん
)
、
日本
(
につぽん
)
で、
見世
(
みせ
)
ものの
小屋
(
こや
)
に
置
(
お
)
かれた
事
(
こと
)
もあつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夷子棚
(
えびすだな
)
に
上置
(
あげおき
)
其夜
(
そのよ
)
は長兵衞方へ
禮
(
れい
)
に
行
(
ゆき
)
たりしが
此加賀屋長兵衞
(
このかがやちやうべゑ
)
と
云
(
いふ
)
は
元
(
もと
)
同町
(
どうちやう
)
の加賀屋
彌兵衞方
(
やへゑかた
)
へ十
歳
(
さい
)
の時
奉公
(
ほうこう
)
に來りて十年の
年季
(
ねんき
)
を
勤
(
つと
)
め
尚
(
なほ
)
禮奉公
(
れいぼうこう
)
十五年を
勤
(
つと
)
め
上
(
あげ
)
都合
(
つがふ
)
廿五
年
(
ねん
)
の
間
(
あひだ
)
見世
(
みせ
)
の事に心を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
見世
(
みせ
)
の手代、小僧、みんな逃げて行って、誰も防ぐものはない——ああ、滅茶滅茶だ! これというのも、みんな、あの広海屋の畜生のなせるわざ——あいつを、取り殺す! 食い殺す! さあ
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
十分のちには、清三の姿は
張
(
は
)
り
見世
(
みせ
)
にごてごてと
白粉
(
おしろい
)
をつけて、赤いものずくめの衣服で飾りたてた女の格子の前に立っていた。こちらの軒からあちらの軒に歩いて行った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
世を避けた仙人が
碁
(
ご
)
を打つ響きでもなく、
薄隠
(
すすきがく
)
れの
女郎花
(
おみなえし
)
に露の
音信
(
おとず
)
るる声でもない……
音色
(
ねいろ
)
こそ違うが、
見世
(
みせ
)
ものの囃子と同じく、気をそそって人を寄せる、鳴ものらしく思うから
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし自分の
見世
(
みせ
)
を
明
(
あ
)
け放しても苦にならないと見えるところが、少し都とは違っている。返事がないのに床几に腰をかけて、いつまでも待ってるのも少し二十世紀とは受け取れない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
釣り廊下を渡って正面の座敷を
覗
(
のぞ
)
くと、
骨董
(
こっとう
)
がいっぱい並べてあったので、何事かと思ったら、
北京
(
ペキン
)
へ買出しに行った道具屋が、帰り途にここで
逗留
(
とうりゅう
)
中の
見世
(
みせ
)
を張ったのだと分ったから
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見世
(
みせ
)
ものではない。こりゃ
牛鋪
(
ぎゅうや
)
じゃ。が、店を開くは、さてめでたいぞ。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
井深
(
いぶか
)
は日曜になると、
襟巻
(
えりまき
)
に
懐手
(
ふところで
)
で、そこいらの古道具屋を
覗
(
のぞ
)
き込んで歩るく。そのうちでもっとも
汚
(
きた
)
ならしい、前代の廃物ばかり並んでいそうな
見世
(
みせ
)
を
選
(
よ
)
っては、あれの、これのと
捻
(
ひね
)
くり
廻
(
まわ
)
す。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今度だって、珍らしい処を
見世
(
みせ
)
ものの気で呼んだんだからね。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
見世
(
みせ
)
ものに
成
(
な
)
る
女
(
をんな
)
ぢやないか。」
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
世
常用漢字
小3
部首:⼀
5画
“見世”で始まる語句
見世物
見世物小屋
見世物師
見世先
見世開
見世中
見世付
見世場
見世屋
見世庭