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うる
ふりがな文庫
“
美
(
うる
)” の例文
身振りや音調のあらゆる誇張は、それがたとい無意識的なものであっても、単純でなく
美
(
うる
)
わしくない何かのように彼女の気を害した。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
いかに時頼、
人若
(
ひとわか
)
き間は皆
過
(
あやま
)
ちはあるものぞ、萌え
出
(
い
)
づる時の
美
(
うる
)
はしさに、
霜枯
(
しもがれ
)
の哀れは見えねども、
何
(
いづ
)
れか秋に
遭
(
あ
)
はで
果
(
は
)
つべき。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
英雄志を抱いて黄泉に入る
悲涼
(
ひりょう
)
愴凄
(
そうせい
)
の威を如何にも
美
(
うる
)
わしく詠じ出したもので、三百年後の人をして
猶
(
なお
)
涙珠
(
るいじゅ
)
を弾ぜしむるに足るものだ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それで日本人の書は非常に
美
(
うる
)
わしく、親しみがあるので、結局、日本人にとって、日本の書が一番
相応
(
ふさ
)
わしいものということになります。
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
冗談じゃない。どうしてあの虹が、そんな蓋然性に乏しいものなもんか。偶然か……それとも、レヴェズの
美
(
うる
)
わしい
夢想
(
イマージュ
)
だ。
言
(
ことば
)
を
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
▼ もっと見る
わが
青年
(
わかもの
)
の名を
田宮峰二郎
(
たみやみねじろう
)
と呼び、かれが住む
茅屋
(
くさや
)
は丘の半腹にたちて
美
(
うる
)
わしき庭これを囲み細き流れの北の
方
(
かた
)
より走り来て庭を貫きたり。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その一々の叙述について述べる時なきを
遺憾
(
いかん
)
とするが、十九—二十五節の馬(軍馬)の描写の如きは最も
美
(
うる
)
わしきものである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
『あゝ、
柳川
(
やながは
)
さん、
妾
(
わたくし
)
は、
貴方
(
あなた
)
と
此世
(
このよ
)
で
御目
(
おめ
)
に
掛
(
か
)
からうとは——。』と
言
(
い
)
つたまゝ、
其
(
その
)
美
(
うる
)
はしき
顏
(
かほ
)
は
私
(
わたくし
)
の
身邊
(
しんぺん
)
を
見廻
(
みまは
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
博士 ……この女思込みし事なれば、身の
窶
(
やつ
)
るる事なくて、毎日ありし昔のごとく、黒髪を結わせて
美
(
うる
)
わしき風情。……
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人はますます団結的な気持になり、うちそろって銭湯に行き、野呂は僕の背中を、僕は野呂の背中を流してやりました。げに
美
(
うる
)
わしきは友情です。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
同情はもちろん
美
(
うる
)
わしい心のあらわれであります。同情なくては真の解放は、到底できうべきものではありません。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
私は踊りに関しては門外漢だから論じられぬが、
美
(
うる
)
わしき舞子が、美わしく装うて、美わしき背景の前に、美わしく舞うたのはさすがに美わしかった。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
秋の夕日に清の乗つた
俥
(
くるま
)
の輪がきら/\と輝いて、希望に充ちた清の眼には確かに
美
(
うる
)
はしいものゝ一つであつた。
若芽
(新字旧仮名)
/
島田清次郎
(著)
彼らは
相見互
(
あいみたがい
)
に
扶
(
たす
)
けあい、心と心とのやりとりをもって、より強く
美
(
うる
)
わしく、生きる道を知っていたからだった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
農鳥山の鳥形の
美
(
うる
)
わしいことを、自分に説いてくれたのは、前に引合に出した友人N君である、N君は早稲田文科の出身で、創作に俊秀の才を抱きながら
雪の白峰
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
緯度三十度にわたる海岸、世界で最も
美
(
うる
)
わしい最も豊饒なそれでいてこれまで無人の境と選ぶところがなかったこの海岸が、みるみる富裕な文明国と化した。
汽船が太平洋を横断するまで
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
そういう
燦然
(
さんぜん
)
たる現象を、おそらく人間の内部の最も
美
(
うる
)
わしい不可思議を、ジャヴェルは知ったであろうか。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
竹の柵に押し並んだ見物の頭の上から、花婿人形と花嫁人形の、
美
(
うる
)
わしく着飾った胸から上が見えていた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
何故といふに、それらの行ひの最も
美
(
うる
)
はしいところは、その行ひを隱さうと欲するところにあるからだ。
パスカルの言葉
(旧字旧仮名)
/
ブレーズ・パスカル
(著)
また、捲毛の
美
(
うる
)
わしい少女は泣きくずれながら、父の腕にすがって、声を惜しまずかきくどくのでした。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
もとよりその生長は、いつでも正しさや深さや
美
(
うる
)
わしさを目標として進むべきなのは言うを
俟
(
ま
)
ちません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そのそばに小さくなってシクシクと泣いているのは、十六七の小娘で、
眉目
(
みめ
)
美
(
うる
)
わしさや、
抜群
(
ばつぐん
)
の可愛らしさからみても、それはお君の妹のお吉でなければなりません。
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
機縁
(
きえん
)
は熟して、その年十月十七日
神甞祭
(
かんなめさい
)
の日に、玉の如く
美
(
うる
)
わしくはないが、玉の如く丸い男の子が出生した。日どりの
関係
(
かんけい
)
は、神さまがよくさばいていたのである。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
……新しいブリキ鑵の快よい光! 山本山と銘打った紅いレッテルの
美
(
うる
)
わしさ! 彼はその刹那に、非常な珍宝にでも接した時のように、軽い
眩暈
(
めまい
)
すら感じたのであった。
子をつれて
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
あの初冬の若葉は一年を通して樹木の世界を見る最も
美
(
うる
)
わしいものの一つだ。「冬」はその年も槇の緑葉だの、紅い実を垂れた万両なぞを私に指して見せた。万両の実には白もある。
三人の訪問者
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ナニ
此奴
(
こやつ
)
ら、
服装
(
なり
)
こそ
美
(
うる
)
わしけれ、金持ちでこそあれ、
高
(
たか
)
の知れたもののみである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
さては五色まばゆき
蜀錦
(
しょくきん
)
のいろなるなど、蔭になりたる壁より浮きいでて
美
(
うる
)
わし。
文づかい
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
最早こゝでペンを
擱
(
さしお
)
かねばなりません。願わくば神あなたの
寂寥
(
せきりょう
)
を慰めて力を与え玉わんことを。願わくばあなたの晩年が、彼
露西亜
(
ろしあ
)
の
美
(
うる
)
わしい夏の
夕
(
ゆうべ
)
の様に穏に美しくあらんことを。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
阿古屋の珠は年古りて其うるみいよいよ深くその色ますます
美
(
うる
)
はしといへり。わがうた詞拙く
節
(
ふし
)
おどろおどろしく、
十年
(
とゝせ
)
經て光失せ、
二十年
(
はたとせ
)
すぎて
香
(
にほひ
)
去り、今はたその姿大方散りぼひたり。
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
美
(
うる
)
わしい天上の夢から、汚ないどぶの中へ叩き落されたような
幻滅
(
げんめつ
)
である。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
見よ、彼等の夫婦手を執り合って外出する時の有様などは、如何にも
睦
(
むつま
)
じげに
美
(
うる
)
わしく、楚々衣にも
堪
(
た
)
えぬらしい妻を
良人
(
おっと
)
が
扶
(
たす
)
けて、
喃々
(
なんなん
)
私語して歩いているところを見ては殊勝であることを。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
自然そのままの
汚
(
けが
)
れのない清純な女性の
形象
(
かたち
)
をとってこの
現世
(
おつつよ
)
に存在している、いわばそれは若竹の精霊だ。
微塵
(
みじん
)
の悪徳もなく、
美
(
うる
)
わしい天然の姿のままで。それはあの竹林の中に生きている。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「木製の人形」が引込むと、次はプログラムに
随
(
したが
)
って、「シャンソン 朝顔の歌」それから「ダンス
美
(
うる
)
わしの
宵
(
よい
)
」いずれも彼女は出ない。「シャンソン 遥かなるサンタ・ルチア」も出ない。
間諜座事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
丁度今しも手なし美人は
美
(
うる
)
はしい哀れげな声で御詠歌を唄つてゐた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
純潔にして
生氣
(
せいき
)
あり、はた
美
(
うる
)
はしき「けふ」の日よ
白鳥
(旧字旧仮名)
/
ステファヌ・マラルメ
(著)
草うるはしき岸の
上
(
うへ
)
に、いと
美
(
うる
)
はしき君が
面
(
おも
)
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
見おこせたまへ
盞
(
さかづき
)
を、げに
美
(
うる
)
はしき
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
かつて
美
(
うる
)
わしく
宏
(
おお
)
いなる
宮殿
(
みやい
)
——
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
神にませばまこと
美
(
うる
)
はし
那智
(
なち
)
の滝
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
美
(
うる
)
わしくも
怖
(
おそろ
)
しきは浮世なれ
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
美
(
うる
)
はしの 髪切虫よ
髪切虫
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
正直や良心や真実や静かな仕事や静かな喜び、それでもなお詩的たるを失わないそれらの、
美
(
うる
)
わしい中流人士的魂の朗らかな凡庸さ。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
僕
(
ぼく
)
は
先生
(
せんせい
)
と
對座
(
たいざ
)
して
四方山
(
よもやま
)
の
物語
(
ものがたり
)
をして
居
(
ゐ
)
ながら、
熟々
(
つく/″\
)
思
(
おも
)
ひました、
世
(
よ
)
に
美
(
うる
)
はしき
生活
(
せいくわつ
)
があるならば、
先生
(
せんせい
)
の
生活
(
せいくわつ
)
の
如
(
ごと
)
きは
實
(
じつ
)
にそれであると
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
今
(
いま
)
其
(
その
)
美
(
うる
)
はしく
殊勝
(
けなげ
)
なる
夫人
(
ふじん
)
が、
印度洋
(
インドやう
)
の
波間
(
なみま
)
に
見
(
み
)
えずなつたと
聞
(
き
)
いては、
他事
(
ひとごと
)
と
思
(
おも
)
はれぬと、そゞろに
哀
(
あわれ
)
を
催
(
もよう
)
したる
大佐
(
たいさ
)
は、
暫時
(
しばらく
)
して
口
(
くち
)
を
開
(
ひら
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
頬をペタペタ
叩
(
たた
)
かれるような気持をしながらも、ここまで来ると、岩石の
美
(
うる
)
わしき衰頽と壊滅は、古城の廃趾のように、寂びを伴って、その石なだれの尖端は
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
この語の前半はまことに
美
(
うる
)
わしき心情を示した語として有名であるが、実はそれは誤訳である。「彼れ我を殺すとも我は彼を待ち望まず」と改訳すべきである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
信長は、椅子をさして、床几と
称
(
よ
)
んだ。
美
(
うる
)
わしい
天鵞絨
(
びろうど
)
と
密陀塗
(
みつだぬり
)
のような塗料をもって造られてある。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幼君
(
えうくん
)
御機嫌
(
ごきげん
)
美
(
うる
)
はしく、「よくぞ
心附
(
こゝろづ
)
けたる。
予
(
よ
)
も
豫
(
かね
)
てより
思
(
おも
)
はぬにはあらねど、
別
(
べつ
)
に
然
(
しか
)
るべき
戲
(
たはむれ
)
もなくてやみぬ。
汝
(
なんぢ
)
何
(
なん
)
なりとも
思附
(
おもひつき
)
あらば
申
(
まを
)
して
見
(
み
)
よ。」と
打解
(
うちと
)
けて
申
(
まを
)
さるゝ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
天は何ぜなれば揃いも揃った極重悪人に、かくも
美
(
うる
)
わしき肉体を附与し給うたのであろう。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
倫理學説が其の價値を認めずとするも、忠臣義士は長へに忠臣義士たり、孝子烈婦は長へに孝子烈婦たり、人間の最も
美
(
うる
)
はしく貴むべき現象たることに於ては毫も渝るところ無き也。
美的生活を論ず
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
“美”の解説
この記事では美(び、el: καλόν カロン、la: venustas, bellus、fr: beauté、en: beauty)について解説する。
(出典:Wikipedia)
美
常用漢字
小3
部首:⽺
9画
“美”を含む語句
美人
美味
美女
美麗
甘美
華美
優美
美貌
美術館
美酒
美妙
美男
虞美人草
美男子
美神
美鳥
褒美
美濃
美作
美々
...