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竈
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かまど
ふりがな文庫
“
竈
(
かまど
)” の例文
毎晩のように
竈
(
かまど
)
の前に
藁把
(
わらたば
)
を敷いて自分を暖まらしてくれた、お松が居ないので、自分は始めてお松はどうしたのだろうかと思った。
守の家
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ほとんど腐朽に瀕した肉体を抱えてあれだけの戦闘と事業を遂行した巨人のヴァイタルフォースの
竈
(
かまど
)
から
迸
(
ほとばし
)
る火花の一片二片として
子規の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
誰も居ないお勝手、
竈
(
かまど
)
で書いたものを燒いて居ると、いきなり、後ろへ錢形平次が立つて居たのです。二人の顏は近々と逢ひました。
銭形平次捕物控:048 お藤は解く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
主人の貪欲不人情、
竈
(
かまど
)
の下の灰までも
乃公
(
だいこう
)
の物なりと絶叫して傍若無人ならんには、如何に従順なる婦人も思案に余ることある可し。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
同じ
竈
(
かまど
)
の御飯をたべて、時にはたつた二人ぎりで三日も四日も留守番をさせられた仲であるのに、あんまり無愛想過ぎるではないか。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
そしてあたり一帯を焼野原としてしまって、その上、人間や動物を丸呑みにしておいて、それから腹の中の
竈
(
かまど
)
で料理をするのでした。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
石の
竈
(
かまど
)
に備えつけの
鍋
(
なべ
)
で持って来た
糒
(
ほしいい
)
をもどし、干味噌をまぜた雑炊を作って
喰
(
た
)
べた。そしてひと休みするとすぐにまた出発した。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
臼
(
うす
)
もころがして
來
(
き
)
ました。お
餅
(
もち
)
にするお
米
(
こめ
)
は
裏口
(
うらぐち
)
の
竈
(
かまど
)
で
蒸
(
む
)
しましたから、そこへも
手傳
(
てつだ
)
ひのお
婆
(
ばあ
)
さんが
來
(
き
)
て
樂
(
たの
)
しい
火
(
ひ
)
を
焚
(
た
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
帽子に着いている血の
染
(
しみ
)
と、急拵えの石の
竈
(
かまど
)
と、その
傍
(
わき
)
に落ちていたセリ・インデヤ人の毒矢とを見れば、ジョン少年の運命は知れる。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「茶を火にかける」建物は百尺に百五十尺、長く低い
竈
(
かまど
)
の列(竈というよりも大きな釜が煉瓦に取りかこまれ下に火を入れる口がある)
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
右馬
(
うま
)
の
頭
(
かみ
)
の
菟原
(
うばら
)
ノ
薄男
(
すすきお
)
はとある町うらの人の住まない廃家の、はや虫のすだいている冷たい
竈
(
かまど
)
のうしろに
屈
(
こご
)
まって、
匿
(
かく
)
れて坐っていた。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
次の日は早朝から家を出て、また引っ返して
籬
(
かき
)
の外から窺っていると、一人の少女が甕の中から出て、
竈
(
かまど
)
の下に火を焚きはじめた。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
淡路街道と
丁字
(
ていじ
)
形になる追分から北へ走って、
林崎
(
はやしざき
)
のひろい塩田の闇に、
潮焼
(
しおやき
)
小屋の
竈
(
かまど
)
のけむりが並木越しに白く眺められた頃である。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あはれ聞きも及ばぬ奇怪の讓位かなとおもはぬ人ぞなかりける。
一秋毎
(
ひとあきごと
)
に細りゆく民の
竈
(
かまど
)
に立つ烟、それさへ恨みと共に高くは
上
(
のぼ
)
らず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
わしは
竈
(
かまど
)
に火をたきてゐたりしゆゑすぐに
床
(
ゆか
)
の下へにげ入り、ばゞさまと母さまと
おと
(
弟
)
がなくこゑをきゝて
念仏
(
ねんぶつ
)
申てゐたりといふ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
おつぎは
浴衣
(
ゆかた
)
をとつて
襦袢
(
じゆばん
)
一
(
ひと
)
つに
成
(
な
)
つて、
笊
(
ざる
)
に
水
(
みづ
)
を
切
(
き
)
つて
置
(
お
)
いた
糯米
(
もちごめ
)
を
竈
(
かまど
)
で
蒸
(
む
)
し
始
(
はじ
)
めた。
勘次
(
かんじ
)
は
裸
(
はだか
)
で
臼
(
うす
)
や
杵
(
きね
)
を
洗
(
あら
)
うて
檐端
(
のきば
)
に
据
(
す
)
ゑた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その他
竈
(
かまど
)
の神を祭る
荒神棚
(
こうじんだな
)
に、木製の陽物を供える習慣の地方の多かったのも、これを道祖神の信仰と混同した結果であろうと思われる。
オシラ神に関する二三の臆説
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
其中に這入ると
蓆
(
むしろ
)
が敷いてあって、其奥に一人の人が居て手桶に汲んだ水が置いてある他に、
竈
(
かまど
)
や、鍋や釜などが置いてあった。
富士登山
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
餘程
(
よほど
)
の
大火
(
おほび
)
を
焚
(
た
)
かなければ、
馬籠
(
まごめ
)
にて
見
(
み
)
たる
如
(
ごと
)
き
跡
(
あと
)
を
遺
(
のこ
)
すものでない。
竈
(
かまど
)
とか、
爐
(
ろ
)
とか、それ
位
(
くらゐ
)
の
火
(
ひ
)
の
爲
(
ため
)
に
出來
(
でき
)
たのでは
恐
(
おそ
)
らくあるまい。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
その大なる
竈
(
かまど
)
のまわりに席を有しない人々も——野心家、利己主義者、空疎な
遊蕩
(
ゆうとう
)
児なども——その色
褪
(
あ
)
せた反映に身を暖めようとする。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
畝
(
あぜ
)
も畑もあったものじゃありません、
廂下
(
ひさしした
)
から土間の
竈
(
かまど
)
まわりまで、鰯を詰込んで、どうかすると、この石柵の上まで敷詰める。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この家の古い建築の仕方から見れば、いま食卓の据えてある土間の奥に
竈
(
かまど
)
が
築
(
きず
)
かれていて、朝夕に赤い火が燃えていたものと推測される。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
竈
(
かまど
)
には火燃えて、鍋の裡なる食は煮え上りたり。長き卓あり。市人も田舍人も、それに倚りて、酒飮み、
醃藏
(
しほづけ
)
にせる豚を食へり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
東側のたき口は西洋
竈
(
かまど
)
風に煉瓦を積んで造ってあったし、北側の隅には現在の尼僧が常用するコンクリート造りの長州風呂が設けてあった。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
通りの酒屋は貧乏徳利を下げて来る。小僧は
竈
(
かまど
)
の下と
据風呂
(
すえぶろ
)
の釜とに火を燃しつける。活気はめずらしくがらんとした台所に満ちわたった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
そのうちに、臭いを気にする連中が、あとからあとへと起きてきて、てんでに
廂
(
ひさし
)
を見上げたり、炊きつけたばかりの
竈
(
かまど
)
の下を気にしたりした。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
古風な
竈
(
かまど
)
に茶釜を懸けて湯を沸かしていたお婆さんは、一時に押寄せた大勢の客に、
転手古舞
(
てんてこまい
)
を演じていたのも無理はない。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
隣の者が驚いてその家へ往って見ると、
竈
(
かまど
)
の中で
種種
(
いろいろ
)
の
書類
(
かきつけ
)
や道具でも焼いたのか、その中に箱の燃えさしや紙の燃えさしが散らばっていた。
水面に浮んだ女
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そうして、かの執事は伯爵家とはまったく無関係の魔法使いで、あの廃宅のうちに何か魔法の
竈
(
かまど
)
を作っているのではないかとも思われてきた。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
心の水は
沸
(
に
)
え立ッた。それ
朝餉
(
あさがれい
)
の
竈
(
かまど
)
を跡に見て跡を追いに出る
庖廚
(
くりや
)
の
炊婢
(
みずしめ
)
。サア鋤を手に取ッたまま尋ねに飛び出す畑の
僕
(
しもべ
)
。家の中は大騒動。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
だから羊皮紙に湯をかけて丁寧に洗い、それから
錫
(
すず
)
の
鍋
(
なべ
)
のなかへ頭蓋骨の絵を下に向けて入れ、その鍋を炭火の
竈
(
かまど
)
にかけた。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
野営地の跡が、二カ所あった、石を畳み上げて、
竈
(
かまど
)
が拵えてあるので、それと知れたのだ、偃松の
薪
(
たきぎ
)
が、半分焦げて、二、三本転がっている。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
これに
供養
(
くよう
)
をして
悦
(
よろこ
)
ばせて返す必要があったとともに、家々の常の火・常の
竈
(
かまど
)
を用いて、その食物をこしらえたくなかった。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
他方には、同じ
竈
(
かまど
)
の中のすべての魂の清浄なる焔。彼方には暗黒、此方には影。しかも明るみに満ちた影であり、光輝に満ちた明るみである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
猫はその音の高まる度に、
琥珀
(
こはく
)
色の眼をまん
円
(
まる
)
にした。
竈
(
かまど
)
さへわからない台所にも、この時だけは無気味な燐光が見えた。
お富の貞操
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これもからからと音を立てるほど凍り果てた仕事着を一枚一枚脱いで、
竈
(
かまど
)
のあたりに掛けつらねて、ふだん着に着かえる。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「わたしが自分で
遣
(
や
)
ります。」こう云って、エルリングは左の方を指さした。そこは
龕
(
がん
)
のように
出張
(
でば
)
っていて、その中に
竈
(
かまど
)
や
鍋釜
(
なべかま
)
が置いてあった。
冬の王
(新字新仮名)
/
ハンス・ランド
(著)
内部は半分は土間で、つくりつけの
竈
(
かまど
)
が二つ並んでおり、その隅にやはり竈の上にのっけて固めた工合の風呂釜がある。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
お仙は外に背中を向けて豆を
挽
(
ひ
)
いている。野袴をつけた若者が二人、畠の道具を門口へ転がしたまま、
黒燻
(
くろくすぶ
)
りの
竈
(
かまど
)
の前に
踞
(
しゃが
)
んで煙草を
喫
(
の
)
んでいる。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
茶は川水を
汲
(
く
)
んで来て石の
竈
(
かまど
)
に
薬鑵
(
やかん
)
掛けて沸かすので、食ひ尽した重箱などはやはりその川水できれいに洗ふてしまふ。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
太い古い土台木を
跨
(
また
)
いで這入ると、広い薄暗い台所の正面に、ぴかぴか、塗りの光る腰の高い
竈
(
かまど
)
が三つ程も火附口を並べて
厳
(
いか
)
めしく据えられてある。
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
(四八)
齊
(
せい
)
の
軍
(
ぐん
)
をして
魏
(
ぎ
)
の
地
(
ち
)
に
入
(
い
)
り十
萬
(
まん
)
の
竈
(
かまど
)
を
爲
(
つく
)
らしめ、
明日
(
みやうにち
)
は五
萬
(
まん
)
の
竈
(
かまど
)
を
爲
(
つく
)
らしめ、
又
(
また
)
明日
(
みやうにち
)
は三
萬
(
まん
)
の
竈
(
かまど
)
を
爲
(
つく
)
らしむ。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
白い腰障子、灰いろの
竈
(
かまど
)
、うず高くつまれた土細工のとりどりに、すぐその裏をながれる隅田川のしずかな水の光が、あかるくさむざむと匍上った。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
土焼
(
どやき
)
の
竈
(
かまど
)
や
七厘
(
しちりん
)
、
炮烙
(
ほうろく
)
、または
厨子
(
ずし
)
などにもしっかりした形のものを作ります。仙台の人たちはこの窯の雑器をもっと重く見るべきでありましょう。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
女児の心得をよくするマジナイに、
狗
(
いぬ
)
の肝を取って土にまぜ、
竈
(
かまど
)
を塗るときは必ず孝順のものになるというのもある。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
おほくにぬしが、白兎を
劬
(
いたは
)
つた様に、此
帝
(
ミカド
)
にも、民の
竈
(
かまど
)
の「仁徳」がある。此帝の事蹟では、儒者の理想に合する部分だけが、強調して現されてゐる。
万葉びとの生活
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
忠太郎 (垣の内へ入り、
竈
(
かまど
)
を
楯
(
たて
)
に往来から見えぬように位置し)ゆうべここの門口まで一緒に来た忠太郎という男の事を、
兄
(
にい
)
さんは話さなかったか。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
だが、もし知り得ることの出来るものがあったとすれば、それは饅頭屋の
竈
(
かまど
)
の中で、漸く
脹
(
ふく
)
れ始めた饅頭であった。
蠅
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その隣りでは真っ裸になったパン焼きの奴隷が、頭から足の先まで白い粉を被って、火気の為めに瞼を赤く火照らし
乍
(
なが
)
ら、パンを
竈
(
かまど
)
の中へ入れている。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「わしの鉱山には坑道もなにもないが、それでも
竈
(
かまど
)
くらいの熔鉱炉もある……それで結構二人や三人が食べるのに不自由はない……月に何度か、ほら」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
“竈(かまど)”の解説
かまど(竈)は、穀物や食料品などを加熱調理する際に火を囲うための調理設備。
(出典:Wikipedia)
竈
漢検準1級
部首:⽳
21画
“竈”を含む語句
土竈
竈馬
焼竈
竈辺
塩竈
病竈
竈山
瓦斯竈
竈場
大竈
石竈
竈神
庭竈
炭焼竈
泥竈
竈河岸
炭竈
土泥竈
七竈
竈屋
...