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益々
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ますます
ふりがな文庫
“
益々
(
ますます
)” の例文
私もそのふしぎな山と、山の上にある青い池のことで、
益々
(
ますます
)
いろいろなことを考えられてくるので、しずかに山をながめていました。
不思議な国の話
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
孔雀
(
くじゃく
)
のような夫人のこの盛粧はドコへ行っても目に着くので沼南の顔も自然に知られ、沼南夫人と解って
益々
(
ますます
)
夫人の艶名が騒がれた。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
午後になってから
益々
(
ますます
)
雲が多くなった、岳に近づいた
所為
(
せい
)
もあろうがどうも空模様が面白くない。
唯
(
た
)
だ割合に雲が高いので心丈夫だ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
先生はこの頃になって酒を
被
(
こうむ
)
ること
益々
(
ますます
)
甚
(
はなは
)
だしく倉蔵の言った通りその言語が益々荒ら荒らしくその
機嫌
(
きげん
)
が
愈々
(
いよいよ
)
難
(
むず
)
かしくなって来た。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
遊牧の民族は子孫の
益々
(
ますます
)
多きを加うるに従って、従来の狭小なる土地に生活し十分に食を
充
(
み
)
たすことを得ずして、草原に走って行った。
東西両文明の調和を論じて帝国の将来に及ぶ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
キセルの
羅宇
(
ラオ
)
は仏印ラオス産の竹、羅宇竹から来た名であるが、キセルは羅宇竹に限るなどと称して通は
益々
(
ますます
)
実質を離れて枝葉に走る。
デカダン文学論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それにこの高原の空気と自給自足の労働とが、よほど健康にも
好
(
よ
)
かったらしく、たださえ頑丈な身体が
益々
(
ますます
)
丈夫そうになっていた。
由布院行
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
然
(
しか
)
し、坊さんは笑おうともしないで
益々
(
ますます
)
恐い顔をして、今度は這い出したばかりで、ズボンの泥を払っている森君の方を向いて云った。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
その摺付木を、かなり豊富に持っている様子を見ると、
益々
(
ますます
)
これはただ者ではない——と七兵衛は、その辺にも注意が向きました。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
唖然
(
あぜん
)
となっていた私は思わず微苦笑させられた。それを見ると青木は
益々
(
ますます
)
乗り気になって、片膝で寝台の端まで乗り出して来た。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
白山は
益々
(
ますます
)
はっきりして来ました。さっきの白帆が
大分
(
だいぶ
)
大きくなって、しまきが沖の方からだんだんこちらに近づいて来ました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
何故あの時
叱咤
(
しった
)
して追い帰さなかったのか。背後に同じ調子でついて来る高城の重い足音を耳に止めながら、宇治は
益々
(
ますます
)
心が沈んで来た。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
少
(
すこ
)
しも
長
(
なが
)
く、おせんを
引
(
ひ
)
き
止
(
と
)
めておきたい
人情
(
にんじょう
)
が、
互
(
たがい
)
の
口
(
くち
)
を
益々
(
ますます
)
軽
(
かる
)
くして、まるく
囲
(
かこ
)
んだ
人垣
(
ひとがき
)
は、
容易
(
ようい
)
に
解
(
と
)
けそうにもなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
彼はそれでも黙っている、すると他の生徒等は
益々
(
ますます
)
乱暴を働いて、彼が腰をかけているベンチを
不意
(
ふい
)
に引張って、彼を板の間に尻餅を突かせる。
蝋人形
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これを見たる若きビルダデはあからさまにヨブの罪過を断定して、彼に肉迫した。ヨブは
益々
(
ますます
)
心を痛めるのみであった。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
“孫永才よ、子供達よ、大きくなれ、偉くなってくれ……祖国よ、お前も激しい
試煉
(
しれん
)
を超えて
益々
(
ますます
)
偉大になってくれ”
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
いつか、日本
倶楽部
(
クラブ
)
で、初めて閣下の崇高なお姿に接して以来、
益々
(
ますます
)
閣下に対する私の敬慕の念が高くなったのです。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
倘
(
も
)
し并せて返納せば、
益々
(
ますます
)
不恭に
渉
(
わた
)
らん。因って今、領受し、薄く
土宜
(
どぎ
)
数種を
晋
(
すす
)
め、以て報謝を表す。
具
(
つぶ
)
さに別幅に録す。
却
(
しりぞ
)
くるなくんば幸甚なり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
と、片里は少人の心持が、自分の思う方へと傾いてゆくのに
益々
(
ますます
)
よろこばされて、
煽
(
あお
)
り立てるように言うのでした。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
僕は近頃、博物館について
益々
(
ますます
)
疑惑を抱くようになった。便利といえばこれほど便利なものはない。
僅
(
わず
)
かの時間で尊い遺品の数々に接することが出来る。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
益々
(
ますます
)
雄弁
(
ゆうべん
)
に「ほんとに
嫌
(
いや
)
らし。山田さんや高橋さんみたいに、
仰山
(
ぎょうさん
)
、
白粉
(
おしろい
)
や紅をべたべた
塗
(
ぬ
)
るひといるからやわ」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
このRのくわしいちゅう
釈
(
しゃく
)
を聞いてから、舞台を見ると、そこにはまた一層の味わいがあった。そして見れば見る程、
益々
(
ますます
)
深く百面相役者の妙技に感じた。
百面相役者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
そこへもってきて清川と熱田とかはモットそれを分らなくするために努力しているのだから、
益々
(
ますます
)
むずかしい。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
幸い、ぼくは母方の祖父の友人の世話で現在の会社に入れて貰いました。その頃から
益々
(
ますます
)
兄と仲が悪く、蔵書一切を売って旅に出ようと決心したりしました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そぞろに
門附
(
かどづけ
)
を怪しんで、
冥土
(
めいど
)
の
使
(
つかい
)
のように感じた如きは幾分か心が乱れている。
意気張
(
いきばり
)
ずくで死んで見せように到っては、
益々
(
ますます
)
悩乱
(
のうらん
)
のほどが思い
遣
(
や
)
られる。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
然るに音楽やバレーの如きは、近代に於て
益々
(
ますます
)
栄えたのみならず、古代中世のものに比して、却って著るしく感情的になり、浪漫的、幻想的に傾向して来た。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
生前かくも人に愛せられたショパンが、死後百年、
益々
(
ますます
)
世界の敬愛を集めているのは興味の深いことである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
しかし太郎右衛門の家には田畑もないのに、子供が一人
殖
(
ふ
)
えたので、貧乏は
益々
(
ますます
)
貧乏になりました。しかし太郎右衛門は一度も不平を言ったことがありません。
三人の百姓
(新字新仮名)
/
秋田雨雀
(著)
父権が重んぜられかつ階級が
益々
(
ますます
)
尊ばれるようになって、初めて父系の血統を神聖視する思想を生じた。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
自然はその発展の段階を昇るに従って
益々
(
ますます
)
多くの個性に分化する。そのことは
闇
(
やみ
)
から光を求めて創造する自然の根源的な欲求が
如何
(
いか
)
なるものであるかを語っている。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
けれども幸に
和蘭
(
オランダ
)
船は沈みもせずに
通
(
とおっ
)
たが、ソレがなか/\大騒ぎになって、世の中は
益々
(
ますます
)
恐ろしい事になって来た。所でその
歳
(
とし
)
の六月十日に緒方洪庵先生の不幸。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
又一方風は
益々
(
ますます
)
強くなるばかりで一向に静まりそうにもなく、その強風は時々火炎を遠い所へ吹き飛ばして又新しく火事を起して益々火事は広がって行くのであった。
現代語訳 方丈記
(新字新仮名)
/
鴨長明
(著)
結構な御馳走が次から次へ運ばれるにつれて、私の心は
益々
(
ますます
)
不快になった。人間は人情を食べる動物である。折角御馳走になりながら、私の舌に
長
(
とこし
)
えに苦味を残した。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
「そういった時勢だからみんな苦しい。ぼくらのような一小説書きでもそれが労働者の立場にたっていると、
却々
(
なかなか
)
ラクでない、これからも
益々
(
ますます
)
ひどくなるだろう——」
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
その一方、白丘ダリアは
益々
(
ますます
)
健康に輝き
頸
(
くび
)
から胸へかけての曲線といい、腰から下の飛び出したような
肉塊
(
にくかい
)
といい、まるで張りきった太い
腸詰
(
ちょうづめ
)
を
連想
(
れんそう
)
させる程だった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
淵の出来ている具合と、激流との関係をも叙しているから、全体が
益々
(
ますます
)
印象明瞭となった。前半を直線的に云い下したから、「淀める淀」と云って曲線的に
緊
(
し
)
めている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「市場
益々
(
ますます
)
険悪。——倉庫材木充満す。腐敗の恐れあれば、満身貴下の活動を切望す。——」
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
特
(
こと
)
に
洪武
(
こうぶ
)
の末に至っては、元勲宿将多く
凋落
(
ちょうらく
)
せるを以て、炳文は朝廷の重んずるところたり。今大兵を率いて北伐す、時に年六十五。
樹
(
き
)
老いて材
愈
(
いよいよ
)
堅く、将老いて軍
益々
(
ますます
)
固し。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何ともいえぬ苦しみだ、私は
強
(
し
)
いて心を
落着
(
おちつ
)
けて、耳を
澄
(
すま
)
して考えてみると、時は既に
真夜半
(
まよなか
)
のことであるから、
四隣
(
あたり
)
はシーンとしているので、
益々
(
ますます
)
物凄い、私は
最早
(
もはや
)
苦しさと
女の膝
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
厚化粧までしてもらったので、
妾
(
わたし
)
は
益々
(
ますます
)
この世に
思
(
おもい
)
が残って、参るところへ参られぬ始末なので
御座
(
ござ
)
います、
何卒
(
なにとぞ
)
方丈様の
御功徳
(
ごくどく
)
で、つゆも心残りなく、あの世に参れますよう
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
こつちで会はうとする人には、あせればあせるほど
益々
(
ますます
)
めぐり会へないものと見えます。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ここで
益々
(
ますます
)
研究を積んで学界に重んぜられていたのでしたが、一八七〇年に普仏戦争が起って、パリの都も混乱に陥ったので、止むなく郷里に帰って不自由ながらも研究を続けていました。
ルイ・パストゥール
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
彼の勧説にしたがって、この夜廻に
加
(
くわわ
)
った事を、
益々
(
ますます
)
悔んでいる様に見えた。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
若
(
も
)
し七
月
(
ぐわつ
)
二
日
(
か
)
以前
(
いぜん
)
のやうな
經濟状態
(
けいざいじやうたい
)
がその
儘
(
まゝ
)
に
持續
(
ぢぞく
)
したならば、あの
不安定
(
ふあんてい
)
なる
状態
(
じやうたい
)
は
進
(
すゝ
)
むに
從
(
したが
)
つて
益々
(
ますます
)
不安定
(
ふあんてい
)
になつて、
經濟界
(
けいざいかい
)
は
破壞
(
はかい
)
されるだらうと
云
(
い
)
ふことは、
確
(
たし
)
かな
事實
(
じじつ
)
と
考
(
かんが
)
へて
居
(
ゐ
)
る。
金解禁前後の経済事情
(旧字旧仮名)
/
井上準之助
(著)
その時ばかりは、そんな気が少しも出ない、何というてよいか、
益々
(
ますます
)
薄気味が
悪
(
わ
)
るいので、
此度
(
こんど
)
は手で強く払って歩き出してみた、が
矢張
(
やっぱり
)
蝶は前になり後になりして始終私の身辺に附いて来る
白い蝶
(新字新仮名)
/
岡田三郎助
(著)
こほろぎは
益々
(
ますます
)
身体
(
からだ
)
の工合が悪くなつたやうに思ひましたので尺取虫に
こほろぎの死
(新字旧仮名)
/
村山籌子
(著)
己
(
おれ
)
は次第に世と離れ、人と遠ざかり、
憤悶
(
ふんもん
)
と
慙恚
(
ざんい
)
とによって
益々
(
ますます
)
己
(
おのれ
)
の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
途中で道を失って、
何時
(
いつ
)
まで
経
(
た
)
っても出られない、
何処
(
どこ
)
をどう歩いたものか、この二時間あまりというものは、草を分けたり
蔓
(
つる
)
に
絡
(
からま
)
ったりして、無我夢中で道を求めたが、
益々
(
ますます
)
解らなくなるばかり
怪物屋敷
(新字新仮名)
/
柳川春葉
(著)
それからまた数年たって門附けは
益々
(
ますます
)
流行
(
はや
)
らなくなった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
収
益々
(
ますます
)
驚きますね、どうしてです。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
益
常用漢字
小5
部首:⽫
10画
々
3画
“益々”で始まる語句
益々面喰