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獅子
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しし
ふりがな文庫
“
獅子
(
しし
)” の例文
その大男が、
獅子
(
しし
)
の
吠
(
ほ
)
えるような声でしゃべっているのですが、何を言っているのかサッパリわかりません。日本語ではないのです。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
恐ろしき六月十八日の様はよみがえってき、人工の記念の丘は消え、何かのその
獅子
(
しし
)
の像も消散し、戦場はまざまざと現われて来る。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
鬼子の最も怖ろしい例としては、明応七年の昔、京の東山の
獅子
(
しし
)
が
谷
(
たに
)
という村の話が、『
奇異雑談集
(
きいぞうだんしゅう
)
』の中に詳しく報ぜられている。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
幾頭の
獅子
(
しし
)
の
挽
(
ひ
)
ける車の上に、
勢
(
いきおい
)
よく突立ちたる、
女神
(
にょしん
)
バワリアの像は、先王ルウドヰヒ第一世がこの
凱旋門
(
がいせんもん
)
に
据
(
す
)
ゑさせしなりといふ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は純金の
獅子
(
しし
)
を立てた、大きい象牙の玉座の上に度々太い息を
洩
(
も
)
らした。その息は又何かの拍子に一篇の抒情詩に変ることもあった。
三つのなぜ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
お前は何歳で
獅子
(
しし
)
に救われ、何歳で強敵に
逢
(
あ
)
い、何歳で
乞食
(
こじき
)
になり、などという予言を受けて、ちっともそれを信じなかったけれども
苦悩の年鑑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
こは大なる
母衣
(
ほろ
)
の上に書いたるにて、片端には彫刻したる
獅子
(
しし
)
の
頭
(
かしら
)
を
縫
(
ぬ
)
ひつけ、片端には糸を
束
(
つか
)
ねてふつさりと揃へたるを結び着け候。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
怎麼
(
いか
)
に
他
(
かれ
)
獅子
(
しし
)
(畑時能が飼ひし犬の名)の智勇ありとも、わが大王に
牙向
(
はむか
)
はんこと
蜀犬
(
しょっけん
)
の日を
吠
(
ほ
)
ゆる、愚を極めし
業
(
わざ
)
なれども。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
が、憤怒に心の狂いかけていた勝平にとっては、最後の
通牒
(
つうちょう
)
だった。彼は、寝そべっていた
獅子
(
しし
)
のように、猛然と腰掛から離れた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
アフリカの天国ではおそらくゴリラや
獅子
(
しし
)
が温順で、南洋の天国では多分空いっぱいにバナナがぶら下がっていることであろう。
我らの哲学
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
もっとも石屋の方では
主
(
おも
)
に石塔のようなものを彫っているが、時には
獅子
(
しし
)
、狐、どうかすると観音などを彫っていることもある。
幕末維新懐古談:78 谷中時代の弟子のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「牛や象を見たまえ、皆菜食党だ。体格からいったら
獅子
(
しし
)
や
虎
(
とら
)
よりも優秀だ。肉食でなければ営養が取れないナゾというのは愚論だよ。」
鴎外博士の追憶
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
どうでえ、
手前
(
てめえ
)
できのいい女郎に、子供を生ませて——とこう眺めていると、鼻は
獅子
(
しし
)
鼻、歯は
乱杭
(
らんぐい
)
、親の因果が、子に報いって
面
(
つら
)
だなあ
大岡越前の独立
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
女は例のごとく過去の
権化
(
ごんげ
)
と云うべきほどの
屹
(
きっ
)
とした
口調
(
くちょう
)
で「犬ではありません。左りが熊、右が
獅子
(
しし
)
でこれはダッドレー
家
(
け
)
の紋章です」
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
立ちなおろうとしたが、もがけばいっそう
絡
(
から
)
みつくばかり。あわてた与吉が、自分の半纒をかぶって
獅子
(
しし
)
舞いをはじめると……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
吠えるように雑兵は
罵
(
ののし
)
る。それはただ逃げたがっている
焦躁
(
しょうそう
)
にすぎないが、
獅子
(
しし
)
の
乳児
(
あかご
)
には敵の心を
量
(
はか
)
ることなどできなかった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水夫たちは、
笑
(
え
)
みを浮かべて、火夫たちに
挨拶
(
あいさつ
)
しながら通った。それは、まるで、目をさました
獅子
(
しし
)
の第一声のようでもあった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「はてな。あの穴は何だらう。
獅子
(
しし
)
のほらあなかも知れない。少くとも竜のいはやだね。」と先生はひとりごとを言ひました。
鳥箱先生とフウねずみ
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
老博士の
卓子
(
テーブル
)
(その
脚
(
あし
)
には、本物の
獅子
(
しし
)
の足が、
爪
(
つめ
)
さえそのままに使われている)の上には、毎日、
累々
(
るいるい
)
たる瓦の山がうずたかく積まれた。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
絢爛
(
けんらん
)
な色彩の古画の諸仏、
羅漢
(
らかん
)
、
比丘
(
びく
)
、
比丘尼
(
びくに
)
、
優婆塞
(
うばそく
)
、
優婆夷
(
うばい
)
、象、
獅子
(
しし
)
、
麒麟
(
きりん
)
などが四壁の紙幅の内から、ゆたかな光の中に泳ぎ出す。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「なんだ、
獅子
(
しし
)
さん、
大
(
たい
)
そういばったが、それだけのことか。ごみのように
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばされるどころか、このとおり
貧乏
(
びんぼう
)
ゆるぎもしないよ。」
物のいわれ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
若
(
も
)
しそこに越えることの出来ない
溝渠
(
こうきょ
)
があるというならば、私は
寧
(
むし
)
ろ社会生活を破壊して、かの
孤棲
(
こせい
)
生活を営む
獅子
(
しし
)
や
禿鷹
(
はげたか
)
の習性に依ろう。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
子分の
獅子
(
しし
)
っ
鼻
(
ぱな
)
の竹造を連れて、一夜をここに明かしたのであったが、今も今、帰ろうと立ちかけた矢先に、聞き捨てならぬ珍しい話だった。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
話さないでもお前は大底しつてゐるだらうけれど今の傘屋に奉公する前はやつぱり己れは角兵衛の
獅子
(
しし
)
を冠つて歩いたのだからと打しをれて
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
愚かなるわれら
杞人
(
きひと
)
の
後裔
(
こうえい
)
から見れば、ひそかに
垣根
(
かきね
)
の外に忍び寄る
虎
(
とら
)
や
獅子
(
しし
)
の大群を忘れて油虫やねずみを追い駆け回し
時事雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私に
獅子
(
しし
)
の役をやらしてください。
雛
(
ひな
)
に
餌
(
え
)
をやる
女鳩
(
めばと
)
のように、私はやさしく
吼
(
ほ
)
えてみせます。
鶯
(
うぐいす
)
かと思われるように、私は吼えてみせます。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
広太郎にとっては一生懸命、相手の
右手
(
めて
)
の膝のあたりへ、太刀先をつけて構え込んだ。いわゆる、「
獅子
(
しし
)
のほら
出
(
いで
)
」である。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
この自分は街にやって来る
獅子
(
しし
)
の笛を遠方からきいただけでも真青になって逃げて行ったが、あの頃の恐怖の純粋さと、この今の恐怖とでは
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
狐
(
きつね
)
と
獅子
(
しし
)
。一四八四年版。William Caxton 印行本、第四巻。原寸大。British Museum 蔵。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ばあちゃんは歯がお
神楽
(
かぐら
)
の
獅子
(
しし
)
を見るようにずらりと金歯であった。私はいまでも金歯の目立つ人を見ると、このばあちゃんのことを思い出す。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
鰐
(
わに
)
、
駝鳥
(
だちょう
)
、
山羊
(
やぎ
)
、
鹿
(
しか
)
、
斑馬
(
しまうま
)
、象、
獅子
(
しし
)
、その他どれ程の種類のあるかも知れないような毒蛇や毒虫の実際に
棲息
(
せいそく
)
する地方のことを話し聞かせた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
友次郎は少し
獅子
(
しし
)
ッ
鼻
(
ぱな
)
をうごめかし気味に、下水の端っこに
踞
(
しゃが
)
んだ八五郎の、あまり賢くなさそうな顔を見上げました。
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
湯呑
(
ゆのみ
)
の
獅子
(
しし
)
の尾にこの赤を使ってあったが、余り立派なので、買いたくて
耐
(
たま
)
らなかったが、五円いくらというので、
止
(
よ
)
して帰ったのを覚えている。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
牢屋のまわりの森のなかは、鳥や
獣
(
けもの
)
でいっぱいでした。
鷲
(
わし
)
や
狼
(
おおかみ
)
や
獅子
(
しし
)
のようなおそろしいのもまじっています。馬はおどろいてはねあがりました。
銀の笛と金の毛皮
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
熱帯地方の
砂漠
(
さばく
)
の中で、一疋の
獅子
(
しし
)
が昼寝をして居た。
肢体
(
したい
)
をできるだけ長く延ばして、さもだるさうに疲れきつて。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
山野における猛獣はすべて攻める獣であって、もし
獅子
(
しし
)
を攻める獣の王とすれば、守る獣の王はまさしく犬であります。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
同じ
獅子
(
しし
)
の
穴
(
あな
)
に入るにしても、相手が
己
(
おの
)
れを食らうなど思えばおそろしくなるが、この
獅子
(
しし
)
は
妄
(
みだ
)
りに人を
食
(
く
)
わぬことが分かれば、恐怖の念が去る。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それはすべてのものがそこへ入って行くが何ものもそこから出て来ないところの「
獅子
(
しし
)
の住む洞穴」ででもあるのか。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
どんな事でも後には引かぬという性格をあらわしているようで、その切れ目の長い眼の底には、
獅子
(
しし
)
でも睨み殺す光りが籠もっているように見える。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その頃祭日に国旗を出さぬと
獅子
(
しし
)
ならぬ志士があばれに来ると聞いて下町の横町などでは驚いて三越へ旗を買いに行ったという話をきいた事もあった。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
笑ひたくなるは無理はなし、されど
其処
(
そこ
)
を堪へるも
嗜
(
たしなみ
)
なり、親父が猿を使ふからは、今に奮発して
獅子
(
しし
)
を使つて見せてやると気に張を持て、ほい違つた
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
例えていえば、
鼡
(
ねずみ
)
のように弱そうなのには、
獅子
(
しし
)
のように強そうな名、瓦や土くれのような女の子にはルリやハリのような名をつけるというたぐいである。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
あなたがたはこの命令の
発布
(
はっぷ
)
者がどんな性格の人であるかを忘れはすまい。
獅子
(
しし
)
の意志は
鼠
(
ねずみ
)
にはわからない。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
「林を
出
(
いで
)
て
還
(
かえ
)
ってまた林中に入る。
便
(
すなわ
)
ち是れ
娑羅仏廟
(
さらぶつびょう
)
の東、
獅子
(
しし
)
吼
(
ほ
)
ゆる時
芳草
(
ほうそう
)
緑
(
みどり
)
、象王
廻
(
めぐ
)
る
処
(
ところ
)
落花
紅
(
くれない
)
なりし」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
彼は高価な寝台の彫刻に腹を当てて、打ちひしがれた
獅子
(
しし
)
のように
腹這
(
はらば
)
いながら、奇怪な哄笑を
洩
(
もら
)
すのだ。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
たとえば
闇
(
やみ
)
の底に
蹲
(
うずくま
)
ってかすかに息づいている
獅子
(
しし
)
、或は
猛虎
(
もうこ
)
の発散するエネルギーと香りを感じさせる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
十節、十一節は
獅子
(
しし
)
の
猛
(
たけ
)
きも亡ぶることあれば、不義者の亡ぶる如き当然のみとの意を表わしたのである。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
昨年『大阪新報』に、動物園の象と
獅子
(
しし
)
等に関する記事を掲げてあった。これ、もとより迷信療法である。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
牡鹿
(
おじか
)
が
獅子
(
しし
)
のそばにねているところや、殺されたものがむくむくと起き上がって、自分を殺したものを
抱擁
(
ほうよう
)
するところを、ちゃんと自分の眼で見届けたいのだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
その白と黒の毛色が、木々の中に
際立
(
きはだ
)
つて鮮やかに見えた。これこそベシーの
Gytrash
(
ガイトラッシュ
)
——長い毛と大きな頭とを持つた
獅子
(
しし
)
のやうな動物の姿だつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
“獅子”の意味
《名詞》
獅 子(しし)
ライオン。
ライオンをモチーフとした聖獣、幻獣。
勇猛な人の比喩。
(出典:Wiktionary)
獅
漢検準1級
部首:⽝
13画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“獅子”で始まる語句
獅子頭
獅子吼
獅子鼻
獅子奮迅
獅子舞
獅子王
獅子狩
獅子丸
獅子児
獅子口