所々ところ/″\)” の例文
くもくらからう……みづはものすごしろからう……そら所々ところ/″\さつ藥研やげんのやうなひゞがつて、あられなかから、銀河ぎんがたまくだくがごとほとばしる。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
したがつて出來上できあがつたものには、所々ところ/″\のぶく/\が大分だいぶいた。御米およねなさけなささうに、戸袋とぶくろけたての障子しやうじながめた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
直腸部に填充した脱脂綿が所々ところ/″\血に汚れて、うねくつて露出してゐる外には何も殘らなかつた。
実験室 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
「滿韓所々ところ/″\」抔が君の氣色を害したのは左もあるべきだと思ふ。然し君から輕佻の疑を受けた余にも、眞面目な「土」を讀む眼はあるのである。だから此序を書くのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かくいてはいてはみすること五六回ごろつかいにして次第しだいおとろつひんでしまつた。あとには所々ところ/″\ちひさな土砂とさ圓錐えんすいのこし、裂口さけぐち大抵たいていふさがつてたゞほそせんのこしたのみである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
と口惜しいから松五郎にかぶり附きに掛ると、松五郎は少しく柔術やわらの手を心得て居りますから、茂之助の胸倉をとらえて押してきますと、の辺には所々ところ/″\に沼のような溜り水が有ります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
鼠が吐き出した英雄の心の臓は、失恋でもしたやうに所々ところ/″\破けてゐたさうだ。
風情ふぜい一段いちだんで、みぎはには、所々ところ/″\たけひく燕子花かきつばたの、むらさきはなまじつて、あち此方こちまたりんづゝ、言交いひかはしたやうに、しろはなまじつてく……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その小高こだか所々ところ/″\に、したから石段いしだんたゝんで、てららしいもんたかかまへたのが二三軒目げんめいた。平地ひらちかきめぐらして、點在てんざいしてゐるのは、幾多いくらもあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
所々ところ/″\で、——釣臺つりだいいてくれました主人あるじこゑけてをしへますのを、あゝ、冥途めいどみちも、矢張やつぱり、近所きんじよだけはつたまちとほるのかとおもひました。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さうなると、今迄は気がかなかつたが、じつに見るに堪えない程醜くいものである。毛が不揃むらびて、あをすぢ所々ところ/″\はびこつて、如何にも不思議な動物である。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひたいひろの大きな仏教に縁のある相である。ちゞみ襯衣しやつの上へ脊広せびろを着てゐるが、脊広せびろ所々ところ/″\しみがある。せいは頗る高い。瘠せてゐる所が暑さに釣り合つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あなのやうな眞暗まつくら場末ばすゑ裏町うらまちけて、大川おほかはけた、近道ちかみちの、ぐら/\とれる一錢橋いちもんばしふのをわたつて、土塀どべいばかりでうちまばらな、はたけいけ所々ところ/″\侍町さむらひまち幾曲いくまがり、で
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
高い窓のそとから所々ところ/″\に樹が見える。そらも少し見える。遠くからまちおとがする。三四郎は立ちながら、学者の生活は静かで深いものだと考へた。それで其日は其儘帰つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くも所々ところ/″\すみにじんだ、てりまたかつつよい。が、なんとなくしめりびておもかつた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「滿韓所々ところ/″\」抔が君の氣色を害したのは左もあるべきだと思ふ。然し君から輕佻の疑を受けた余にも、眞面目な「土」を讀む眼はあるのである。だから此序を書くのである。
「土」に就て (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
をんなつた、土蜘蛛つちぐもごとく、横這よこばひに、しやがんだなりで、さかをずる/\とつては、つてはて、所々ところ/″\一本ひともと一輪いちりん途中とちうてた、いろ/\のはなつてはぎ、めるやうにいでは
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「それもさうだ」と頗る曖昧な返事をして、又肩を並べてあるした。正門を這入ると、急にまへが広くなる。大きな建物が所々ところ/″\に黒く立つてゐる。其屋根やね判然はつきり尽きるところからあきらかなそらになる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それはにしきふくろ這入はいつた一しやくばかりのかたなであつた。さやなにともれぬ緑色みどりいろ雲母きらゝやうなもので出來できてゐて、その所々ところ/″\が三ヶしよほどぎんいてあつた。中身なかみは六すんぐらゐしかなかつた。したがつてうすかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)