“家(け)” の例文
ルネツサンス芸術の保護者であつた貴族メデイチ家(け)の霊廟をサン・ロレンツオ寺(じ)に訪(と)うてミケランゼロの建築に良(やゝ)久しく陶然とした。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
僕はもちろん辟易(へきえき)しました。いや、そればかりではありません。ペップやチャックの笑い声を後ろにゲエル家(け)の客間を飛び出しました。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
石井一家(け)では河田翁のうわさは時おり出て、『今何をしているだろう』『ほんとにあんな気の毒な人はない』など言われていたのである。
二老人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
女は例のごとく過去の権化(ごんげ)と云うべきほどの屹(きっ)とした口調(くちょう)で「犬ではありません。左りが熊、右が獅子(しし)でこれはダッドレー家(け)の紋章です」
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
スモーランド家(け)のすぐ近くにある、いちばん上の段は、だいぶぶんが、やせた土地で、小石がいちめんにちらばっています。
すれば、當國(このくに)の風習通(ならはしどほ)りに、顏(かほ)は故(わざ)と隱(かく)さいで、最(いっち)良(よ)い晴衣(はれぎ)を着(き)せ、柩車(ひつぎぐるま)に載(の)せて、カピューレット家(け)代々(だい/\)の古(ふる)い廟舍(たまや)へ送(おく)られさッしゃらう。
そういう点に於(おい)て「グリーン家(け)の惨劇(さんげき)」以来、血に乾いている探偵小説の読者には、きっと受けることだろうと思うんだ。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
死にゃあいいんだろう? どうせ僕は、野中家(け)の面(つら)よごしなんだから、死んで申しわけを致しますですよ。(崩れるように、砂の上にあぐらを掻(か)き)
春の枯葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
されば夫婦の間は、何時か不和(ふわ)になツて、父は虐(ぎやく)待する、母は反抗する、一家(け)の粉統(ごだ/\)は事(とし)と共に募(つの)るばかりであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
井上八郎は、すでに出稽古先を二家(け)も持っていた。井上だけではない、塚田孔平も、稲垣定之助も、庄司、大羽など、上位者のほとんどがそうであった。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
大江家(け)は 菅原家と倶(とも)に 朝廷(てうてい)に累世(だい/\)する儒臣(じゆしん)なり。しかるに 菅神を崇称(あがめたゝへ)たる事件(くだん)の文の如し。是以(こゝをもつて)凡(すべて)文道に関(あづかる)者此 御神を崇(あがめ)ざらんや、信ぜざらんや。
若くから氏上(うじのかみ)で、数十家(け)の一族や、日本国中数万の氏人から立てられて来た家持も、じっと対(むこ)うていると、その静かな威に、圧せられるような気がして来る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
「堂上お味方二十七家(け)、事いよいよに迫りますれば、京方すべてを含みます」と左馬頭がそれに応じる。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「香具山は畝火を愛(を)しと」の解と共に永久不滅である。但し、拾穂抄(しゅうすいしょう)に既に、「誰が家(け)か持たむ」の説があるが、「笥」までは季吟(きぎん)も思い及ばなかったのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
妻は茶道に造詣(ぞうけい)が深い。少くとも京都へ行って、千家(け)の表だか裏だかの免状を貰って来ている。姪に教えていたが、嫁に行ってしまったので差当りお弟子さんがない。
四十不惑 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
間がよくば御(ご)三家(け)大藩(たいはん)に召抱へられるか、上樣の御師匠番にもなれる方だが、ちよいと氣の迷ひで一と口頬張つたばかりに、あの鳥モチのやうな女にへばり附かれて
以啓達(けいたつ)令(せし)め候豫々(かね/″\)道中御奉行樣御觸(ふれ)有之候將軍家(け)御代替(だいがは)り御巡見使(じゆんけんし)松平縫殿頭(まつだひらぬひのかみ)樣梶川(かぢかは)庄右衞門樣御先觸(さきぶれ)參り來月(らいげつ)中旬頃(ちうじゆんごろ)御止宿(ししゆく)の由に御座候尤も此度は先々の御巡見とは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
松坂に深野屋佐兵衛と云う大商人(おおしょうにん)がある。そこへは紀伊国熊野浦(きいのくにくまのうら)長島外町の漁師定右衛門(さだえもん)と云うものが毎日魚(うお)を送ってよこす。その縁で佐兵衛は定右衛門一家(け)と心安くなっている。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
会(え)すれば則(すなわ)ち事(じ)同一家(け)、不会なれば万別千差、不会なれば事同一家、会すれば則ち万別千差。討つのもよい。忠孝両全の道じゃ。討たぬのもよい。神仏と心を同じゅうするものじゃ。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
生(い)きるように、楽しく生きるように頑固(がんこ)に出来上ってる、丈夫(じょうぶ)な騒々(そうぞう)しい荒(あら)っぽいクラフト家(け)の人たちの間にあって、いわば人生の外側(そとがわ)か端(はし)っこにうち捨てられてるこの弱い善良(ぜんりょう)な二人(ふたり)は
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
菅原家(け)から系図を引いて正しいもので、幕の内と称(とな)えるは、お大名がお軍(いくさ)の時、角力取を連れて入らしって旗持(はたもち)にしたという事でございます、旗持には力が要りますので力士が出まする者で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
この一家(け)に令孃(ひめ)ありと見(み)て心(こヽろ)を盡(つ)くす者(もの)なく、有(あ)るは甚之助殿(じんのすけどの)と我(わ)れ計(ばかり)なる不憫(いぢら)しさよ、いざや此心(このこヽろ)筆(ふで)に言(い)はして、時機(あは)よくは何處(いづこ)へなりとも暫時(しばし)伴(とも)なひ、其上(そのうへ)にての策(さく)は又(また)如何樣(いかやう)にもあるべく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
でもね、小父さん、大変なのよ、もしどうあっても道人様が、江戸へおいでにならなければ、山影様は云うまでもなく、水戸様はじめ御(ご)三家(け)まで、いえいえ徳川譜代大名、一統の恥辱になるそうで。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
わたくし共一家(け)が立ち行かなくなるのは、あの新聞のお蔭でございます。宅は検閲官といふものになりました、あの日から不為合(ふしあは)せになつたのでございます。毎日々々喧嘩があります。大声を立てる。
板ばさみ (新字旧仮名) / オイゲン・チリコフ(著)
マルリンクの一家(け)とも附合(つきあ)っていると見えるね。
当時十七歳だつた——家(け)の令嬢明子(あきこ)は、頭の禿げた父親と一しよに、今夜の舞踏会が催さるべき鹿鳴館(ろくめいくあん)の階段を上つて行つた。
舞踏会 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ベンヺ マーキューシオーどの、もう歸(かへ)らう。暑(あつ)くはある、カピューレット家(け)の奴等(やつら)が出歩(である)いてもゐる、出會(でっくは)したが最後(さいご)、鬪爭(けんくわ)をせねばなるまい。
大江家(け)は 菅原家と倶(とも)に 朝廷(てうてい)に累世(だい/\)する儒臣(じゆしん)なり。しかるに 菅神を崇称(あがめたゝへ)たる事件(くだん)の文の如し。是以(こゝをもつて)凡(すべて)文道に関(あづかる)者此 御神を崇(あがめ)ざらんや、信ぜざらんや。
それはスモーランド家(け)の前面にそって、八マイルほどのびています。そして、この階段をとおってバルト海までいこうとする人は、四マイルばかり歩かなければなりません。
所詮永(なが)い間の空想を實現させたので、無論父にも義母(はゝ)にも無斷だ。彼は此の突飛(とつぴ)極(きは)まる行動に、勝見の一家(け)をまごつかせて、年來(ねんらい)耐へに耐へた小欝憤(せうゝぷん)の幾分を漏(も)らしたのである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「成程、松浦家としてある。家(け)丈(だ)け余計だ。矢っ張り婆の見識が現れている」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
喰(くら)ふの勢ひ有(あり)とか寶澤は心中に偖々(さて/\)此婆(ばゝ)めが善(よき)貨物(しろもの)を持て居ることよ此二品を手に入て我こそ天下の落胤(らくいん)と名乘(なのつ)て出なば分地でも御(ご)三家(け)位(ぐらゐ)萬一(もし)極運(きやくうん)に適(かな)ふ時はと漸(やつ)と當年十一の兒(こ)が爰(こゝ)に惡念(あくねん)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(立ち上り、縁側に出て、鍋を七輪からおろし、かわりに鉄瓶(てつびん)をかける。この動作の間に、ひとりごとのように)これからも一生、野中家(け)だ、山本家だ、と互いに意地を張りとおして、そうして
春の枯葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
代助が三千代(みちよ)と知(し)り合(あひ)になつたのは、今から四五年前の事で、代助がまだ学生の頃(ころ)であつた。代助は長井家(け)の関係から、当時交際社会の表面にあらはれて出(で)た、若い女の顔も名も、沢山に知つてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
バル すれば、何事(なにごと)も大事(だいじ)ござりませぬ、姫(ひい)さまは御安穩(ごあんのん)にカピューレット家(け)代々(だい/\)のお墓所(はかどころ)にお休(やす)み、朽(く)ちぬ靈魂(みたま)は天使(てんし)がたと御(ご)一しょにござります。
僕は時々裁判官のペップや医者のチャックにつれられてゲエル家(け)の晩餐(ばんさん)へ出かけました。
河童 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
むかし、この大きなスモーランド家(け)には、年とったひとりの巨人(きょじん)が住んでいました。