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姑
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しばら
ふりがな文庫
“
姑
(
しばら
)” の例文
関白が政宗に
佩刀
(
はいとう
)
を預けて山へ上って小田原攻の手配りを見せた
談
(
はなし
)
などは今
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
く。さて政宗は米沢三十万石に削られて帰国した。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
竜神より神仏へ
供
(
くう
)
と
云
(
いふ
)
が
普通
(
ふつう
)
の
説
(
せつ
)
なれど、こゝに
珎
(
めづらし
)
き
竜燈
(
りうとう
)
の談あり、少しく竜燈を
解
(
げす
)
べき説なれば
姑
(
しばら
)
くしるして
好事家
(
かうずか
)
の
茶話
(
ちやわ
)
に
供
(
きよう
)
す。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
わたくしは
姑
(
しばら
)
く蘭軒が一時不忍の池の辺に移住したものと
看做
(
みな
)
して置きたい。但蘭軒は久しく此に居らずに、又本郷に還つたらしい。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その歌の巧拙は
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
いても、その声のキメの細かさ、
緻密
(
ちみつ
)
さ、匂やかさ、そうして、丁度刀を鍛える時に、地金を折り返しては打ち
触覚の世界
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
綱曳
(
つなひき
)
にて
駈着
(
かけつ
)
けし紳士は
姑
(
しばら
)
く休息の後内儀に導かれて
入来
(
いりきた
)
りつ。その
後
(
うしろ
)
には、今まで居間に潜みたりし
主
(
あるじ
)
の
箕輪亮輔
(
みのわりようすけ
)
も附添ひたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
吾妻橋
(
あづまばし
)
をわたり、広い道を左に折れて
源森橋
(
げんもりばし
)
をわたり、真直に秋葉神社の前を過ぎて、また
姑
(
しばら
)
く行くと車は線路の踏切でとまった。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ただ我々がこの具体的実在より
姑
(
しばら
)
く主観的活動の方面を除去して考えた時は、純客観的自然であるかのように考えられるのである。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
その遺臣論は
姑
(
しばら
)
く
擱
(
さしお
)
き、私の身の進退は、前に申す通り、維新の際に幕府の門閥制度、鎖国主義が腹の底から
嫌
(
きらい
)
だから佐幕の気がない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
一句の主眼は春の日を集めた紅絹の眩さにあるのだから、他は各自の連想に任せていいようなものであるが、
姑
(
しばら
)
く前のように解して置く。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
大伴の表へは水を打って掃除も届き、奥には稽古を仕舞って大伴蟠龍軒兄弟が
酒宴
(
さかもり
)
をしている。
姑
(
しばら
)
くして「玄関に
取次
(
とりつぎ
)
があるよ、
安兵衞
(
やすべえ
)
」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
パウロ公義と撙節と来らんとする審判とを論ぜしかばペリクス懼れて答えけるは汝
姑
(
しばら
)
く退け、我れ
便時
(
よきとき
)
を得ば再び汝を召さん
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
完全な比較研究が、
姑
(
しばら
)
く望まれない。単に類似点を、日琉語族の間につきとめて行くと言ふ程度のものにとゞまるであらう。
日琉語族論
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
が、里見氏は
姑
(
しばら
)
く問はず、事の僕に関する限り、藤森氏の言は当つてゐない。宇野氏も色目を使つたかも知れぬが、僕も又盛に色目を使つた。
解嘲
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
婦人の上は
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
く。男子にして修飾を為さんとする者は
須
(
すべから
)
く一箇の美的識見を以て修飾すべし。流行を追ふは愚の
極
(
きわみ
)
なり。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
既往の事は
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
いて、これよりは何卒国家の為に誠実真面目になつてこの国の倒れる事を一日も
晩
(
おそ
)
からしめんことを御願申すのでございます。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
僕等より遅れて
入
(
はひ
)
つて来た一人の女が
彼方此方
(
あちこち
)
を
姑
(
しばら
)
く見廻して居たが、ついと寄つて来て僕等に会釈をし
乍
(
なが
)
ら立つて晶子の日本服を眺めて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
何故其儘に差置たるぞと有ば九助ヘイ
恐
(
おそれ
)
ながら大方
直
(
すぐ
)
に取りに
參
(
まゐ
)
りませうかと
存
(
ぞんじ
)
まして其儘
姑
(
しばら
)
く差置ましたと云に越前守殿
否々
(
いや/\
)
其方は町役人の下を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
黄は、俺をばかにしたから
仇
(
かたき
)
だが、それは
姑
(
しばら
)
くおいて、村役人は朝廷の官吏で、権勢家の官吏じゃない。もし争う者があるなら双方を調べるべきだ。
成仙
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
他国のことは
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
いて、間近い我邦に於て御互が預かる子弟を育てるに当りてただ口で言うだけではいけませぬ。
教育家の教育
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
(今の写実小説が果して国民性の醜所をのみ描けるやは
姑
(
しばら
)
く問はざるも)則ち今一層理想的作風を取れとの意となさんか、此の要求の当否は
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
国民性と文学
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
姫は我歌を遮り留めて、止めよ、われは悲傷の詞を聞かんことを願はず、汝が心まことに樂しからずば、
姑
(
しばら
)
く我が爲めに歌ふことを
休
(
や
)
めよと宣給ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
相対的な経済的独立は、要するに悠久な人間生活の過程に
姑
(
しばら
)
くその絶対独立の一つの因素となるに過ぎません。
平塚・山川・山田三女史に答う
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
現在各人の胸に活きているものであるから
姑
(
しばら
)
くいわず、ただ、芸術院賞というようなものを制定したら
近頃の話題
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
探検時代から布教時代に進んでベッテルハイム Bettelheim やギュッツラフ Gützlaff らの宣教師連の手を着けた琉球語学のことは
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
き
南嶋を思いて:――伊波文学士の『古琉球』に及ぶ――
(新字新仮名)
/
新村出
(著)
然れども這般の疑点に
就
(
つ
)
いては調査が欠如しおるが如くなるを以て
姑
(
しばら
)
く疑問として保留しおくべし。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
蚯蚓などの下等なものは
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
き、蝮、栗鼠ごときやや優等のもの多かった山中には、一疋殺せば数十も集まり来る事ありしを右のごとく大層に言い伝えたのかと想う。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
宮川君は何か失敗して
姑
(
しばら
)
く音信もしない。一番気の毒なのは種田君で長いこと
患
(
わづら
)
つた。そして脊髄の疾患で立ち居が不自由になつた。小半里の路さへ歩くにも容易でない。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
思ふにコロボツクルは是等の
石器
(
せきき
)
を用ゐて
草木
(
さうもく
)
の
實
(
み
)
を
壓
(
を
)
し
潰
(
つぶ
)
し
食用
(
しよくえう
)
の
粉
(
こ
)
を
製
(
つく
)
りしならん。石皿の
名
(
な
)
は
决
(
けつ
)
して
適切
(
てきせつ
)
には非ざれど、
他
(
た
)
に
好
(
よ
)
き名を
思
(
おも
)
ひ付かざれば
姑
(
しばら
)
く
通稱
(
つうしやう
)
に從ふのみ。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
鳴鏑
(
めいてき
)
の如く
尖
(
とが
)
りたる声ありて、
奈落
(
ならく
)
に通ず、立つこと久しうして、我が
五躰
(
ごたい
)
は、
悉
(
こと/″\
)
く銀の
鍼線
(
しんせん
)
を浴び、自ら
駭
(
おどろ
)
くらく、水精
姑
(
しばら
)
く人と
仮幻
(
かげん
)
したるにあらざるかと、げに呼吸器の外に人間の物
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
「活かさず殺さず、
姑
(
しばら
)
くこれを置け、他日必ずこれを活用するの時あらん」と言われたので、この一言に由って、辛うじて会議を通過することが出来たということである(「江藤南白」)。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
府君が上界に奏して、罪を加えようとしておるが、彼は先世に陰徳があって、
姑
(
しばら
)
く不義の富貴を享けておることになっておるから、数年の時間を貸して、滅族の禍に罹らしめることにして、今
富貴発跡司志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
周囲の人々、引いては世間に対する不面目は
姑
(
しばら
)
く別にしても、彼の自尊心がこの恥辱に耐え得なかった。こうなっては、もうどんなことがあっても、賊の
巣窟
(
そうくつ
)
をつきとめないでは我慢が出来ぬ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それほどに利くか利かぬかは
姑
(
しばら
)
く問題の外として、かくも江戸ッ児に調法がられるこの持薬で、三百年来事欠かなんだ吾儕の祖先をおもうと、その健康、その体力、恐らくはかれら気で気を医し
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
それは今ここに軽々に述べる事を今
姑
(
しばら
)
く保留しておきたい。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
竜神より神仏へ
供
(
くう
)
と
云
(
いふ
)
が
普通
(
ふつう
)
の
説
(
せつ
)
なれど、こゝに
珎
(
めづらし
)
き
竜燈
(
りうとう
)
の談あり、少しく竜燈を
解
(
げす
)
べき説なれば
姑
(
しばら
)
くしるして
好事家
(
かうずか
)
の
茶話
(
ちやわ
)
に
供
(
きよう
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
姑
(
しばら
)
く前人の断定した如くに、山陽は江戸にある間、始終聖堂の尾藤の家にゐたとする。そして尾藤の家から広島へ立つたとする。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蒲田は
姑
(
しばら
)
く助太刀の口を
噤
(
つぐ
)
みて、
皺嗄声
(
しわがれごゑ
)
の
如何
(
いか
)
に弁ずるかを聴かんと、
吃余
(
すひさし
)
の葉巻を
火入
(
ひいれ
)
に
挿
(
さ
)
して、
威長高
(
ゐたけだか
)
に腕組して控へたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其処だけ切り離して考へて見れば、玉堂鉄翁は
姑
(
しばら
)
く問はず、たとへば
小室翠雲
(
こむろすゐうん
)
にも数歩を譲らざるを得ないかも知れない。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「まだいくらにもなりません。地震前は前からなんで御在ますけれど、
姑
(
しばら
)
く休んで、先月からまた出始めましたんです。」
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
このさいにおける論の当否は
姑
(
しばら
)
く
舎
(
お
)
く、平生茅堂が画におけるを観るに観察の粗なる
嗜好
(
しこう
)
の単純なる
到底
(
とうてい
)
一般素人の域を脱する能はざるが如し。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
巴里
(
パリイ
)
に
姑
(
しばら
)
く慣れて居た者が
倫敦
(
ロンドン
)
に来て不便を感じるのは、
悠悠
(
いういう
)
と
店前
(
テラス
)
の卓に構へる事の出来る
珈琲店
(
キヤツフエ
)
が
全
(
まつた
)
く無いのと、
食物
(
しよくもつ
)
の
不味
(
まづ
)
いのとである。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
取
交
(
かは
)
し
悦
(
よろこ
)
び
涙
(
なみだ
)
に
咽
(
むせび
)
けり
姑
(
しばら
)
くして
馬士
(
まご
)
云樣話は
宅
(
うち
)
で出來るから日の
暮
(
くれ
)
ぬ中
馬
(
うま
)
に
騎
(
のら
)
つせへ
否
(
いや
)
伯父
(
をぢ
)
樣と知ては
勿體
(
もつたい
)
ない
馬鹿
(
ばか
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
芸妓の事は固より人外として
姑
(
しばら
)
く之を
擱
(
お
)
き、事柄は別なれども、上流社会に於ても知らずして自から誤るものあり。
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そのエー
男女
(
なんにょ
)
同権たる処の道を心得ずんば有るべからず、
姑
(
しばら
)
く男女同権はなしと雖も、
此事
(
これ
)
は五十
把
(
ぱ
)
百把の論で、先ず之を
薪
(
たきゞ
)
と
見做
(
みな
)
さんければならんよ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
桃太郎
猿蟹合戦
(
さるかにかっせん
)
の
類
(
たぐい
)
も珍らしからざるべく、また『
韓非子
(
かんぴし
)
』『
荘子
(
そうじ
)
』などに
出
(
い
)
でたるも珍らしからざるべければ、日本支那のは
姑
(
しばら
)
く
措
(
さしお
)
きて印度の古話を
蒐
(
あつ
)
め
綴
(
つづ
)
り
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
そういう下層の労役に服している婦人は
姑
(
しばら
)
く
措
(
お
)
くとするも、明治の教育を受けたという中流婦人の多数がやはり首なし女である。何らの思想をも持たないのである。
婦人と思想
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
人事的葛藤を描く上から見ると、蕪村の句が最も力があり、活動してもいるようであるが、句の価値は
姑
(
しばら
)
く第二として、自然の趣はかえってこの句に
遜
(
ゆず
)
るかと思う。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「わが立ち隠るべき、おもしろの野を焼くな。野はふる草まじり新草生ひて、
寝好
(
ネヨ
)
げに見ゆるを」と、かう説いて
姑
(
しばら
)
く私の考への、更に熟するのを待ちたいのである。
古代民謡の研究:その外輪に沿うて
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
風俗習慣あるいは民俗を支配する思想から
姑
(
しばら
)
く脱すれば、西人東人の共鳴する所が多い。
東西相触れて
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
譬へば
千尋
(
ちひろ
)
の海底に波起りて、
倒
(
さかしま
)
に
雲霄
(
うんせう
)
を
干
(
をか
)
さんとする如し。我筆いかでか此聲を畫くに足らん。あはれ此聲、人の胸より出づとは思はれず。
姑
(
しばら
)
く形あるものに
喩
(
たと
)
へて言はんか。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
“姑”の意味
《名詞》
(しゅうとめ)夫の母親。
(出典:Wiktionary)
姑
漢検準1級
部首:⼥
8画
“姑”を含む語句
舅姑
小姑
姑娘
嫁姑
姑女
慈姑
因循姑息
姑獲鳥
藐姑射
姑御
山慈姑
姑様
舅姑御
藐姑射山
外姑
水慈姑
姑媳
姑息
姑蘇
慈姑頭
...