触覚の世界しょっかくのせかい
私は彫刻家である。 多分そのせいであろうが、私にとって此世界は触覚である。触覚はいちばん幼稚な感覚だと言われているが、しかも其れだからいちばん根源的なものであると言える。彫刻はいちばん根源的な芸術である。 私の薬指の腹は、磨いた鏡面の凹凸を …