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ふきこ
ふりがな文庫
“
吹込
(
ふきこ
)” の例文
……すると全く不意に、ガタンと激しい音がして、
歩廊
(
プラット・ホーム
)
へ出る
扉
(
ドア
)
が開き、どっと
吹込
(
ふきこ
)
んで来た風に
煽
(
あお
)
られて
卓子
(
テーブル
)
の上の
洋灯
(
ランプ
)
が消えた。
廃灯台の怪鳥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ハツと
呼吸
(
いき
)
を
引
(
ひ
)
く。
目口
(
めくち
)
に
吹込
(
ふきこ
)
む
粉雪
(
こゆき
)
に、ばツと
背
(
せ
)
を
向
(
む
)
けて、そのたびに、
風
(
かぜ
)
と
反對
(
はんたい
)
の
方
(
はう
)
へ
眞俯向
(
まうつむ
)
けに
成
(
な
)
つて
防
(
ふせ
)
ぐのであります。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
すべてがこの世のものとは思えぬ清純な感じで、その頃の青年達の間には「松尾葉子には内臓は無い、あれは蝋人形に息を
吹込
(
ふきこ
)
んだのだ」
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
はこの
夕陽
(
ゆふひ
)
の光をば
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
ふ事なく悲しく感じながら、
折々
(
をり/\
)
吹込
(
ふきこ
)
む外の
風
(
かぜ
)
が大きな波を
打
(
うた
)
せる
引幕
(
ひきまく
)
の上を
眺
(
なが
)
めた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
俺
(
おれ
)
が
死
(
し
)
んでゐると、
姫
(
ひめ
)
が
來
(
き
)
て、
俺
(
おれ
)
の
脣
(
くちびる
)
に
接吻
(
せっぷん
)
して
命
(
いのち
)
の
息
(
いき
)
を
吹込
(
ふきこ
)
んでくれたと
見
(
み
)
た……
死
(
し
)
んだ
者
(
もの
)
が
思案
(
しあん
)
するとは
不思議
(
ふしぎ
)
な
夢
(
ゆめ
)
!……すると、
即
(
やが
)
て
蘇生
(
いきかへ
)
って
帝王
(
ていわう
)
となった
夢
(
ゆめ
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
チベット人はもはやこういう事の話を幼い時からお
伽話
(
とぎばなし
)
として母の口より
吹込
(
ふきこ
)
まれて居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
先
(
ま
)
ず頭取と支配人だけだろう。僕は田舎に育って、子供の時分植物や昆虫の興味を先生に
吹込
(
ふきこ
)
まれたが、久しぶりでこうしたところに住むと、樹や草を見るだけでも気が
清々
(
せいせい
)
する。
果樹
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
夫
(
そ
)
れから段々身の上話に及んで、今日
吾々
(
われわれ
)
共の思う通りを
云
(
い
)
えば、
正米
(
しょうまい
)
を年に二百俵
貰
(
もら
)
うて
親玉
(
おやだま
)
(将軍の事)の御師匠番になって、思う
様
(
よう
)
に文明開国の説を
吹込
(
ふきこ
)
んで大変革をさして見たいと云うと
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
カタ/\/\カタ、さーツ、さーツ、ぐわう/\と
吹
(
ふ
)
くなかに——
見
(
み
)
る/\うちに
障子
(
しやうじ
)
の
棧
(
さん
)
がパツ/\と
白
(
しろ
)
く
成
(
な
)
ります、
雨戸
(
あまど
)
の
隙
(
すき
)
へ
鳥
(
とり
)
の
嘴程
(
くちばしほど
)
吹込
(
ふきこ
)
む
雪
(
ゆき
)
です。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
三文字紋弥はなにを
吹込
(
ふきこ
)
んだかわかりませんが、それから三日経たないうちに、さしも城内に桃色の権力を揮ったお金の方が、
黒板
(
ボールド
)
に書かれた文字を拭き消したように
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
が、いぢけたのでも
縮
(
ちゞ
)
んだのでもない。
吹込
(
ふきこ
)
む
煙
(
けむり
)
に
惱亂
(
なうらん
)
した
風情
(
ふぜい
)
ながら、
何處
(
どこ
)
か
水々
(
みづ/\
)
として
伸
(
の
)
びやかに
見
(
み
)
える。
襟許
(
えりもと
)
、
肩附
(
かたつき
)
、
褄
(
つま
)
はづれも
尋常
(
じんじやう
)
で、
見好
(
みよ
)
げに
釣合
(
つりあ
)
ふ。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして
倅
(
せがれ
)
山城守意知
(
やましろのかみおきとも
)
を通じて、若年寄の耳に
吹込
(
ふきこ
)
まれ、翌月は早くも、秋月九十郎二百石に加増、御腰物方に登用され、その翌年の暮にはもう御使番衆、
布衣
(
ほい
)
千石高と出世しておりました。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
其處
(
そこ
)
へ、
魂
(
たましひ
)
を
吹込
(
ふきこ
)
んだか、
凝
(
じつ
)
と
視
(
み
)
るうち、
老槐
(
らうゑんじゆ
)
の
梟
(
ふくろふ
)
は、はたと
忘
(
わす
)
れたやうに
鳴止
(
なきや
)
んだのである。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「第一俺は十三や十四じゃ無えんだぜ、百年越の
怨
(
うらみ
)
を
酬
(
はら
)
すように、餓鬼のうちから
吹込
(
ふきこ
)
まれて、根性曲りに育てられたから、一向
身体
(
からだ
)
は伸びないが、これでも取って十九よ、いい若い者だよ」
大江戸黄金狂
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
突立
(
つツた
)
つて
居
(
ゐ
)
ては
出入
(
ではひ
)
りの
邪魔
(
じやま
)
にもなりさうだし、とば
口
(
くち
)
は
吹降
(
ふきぶ
)
りの
雨
(
あめ
)
が
吹込
(
ふきこ
)
むから、
奧
(
おく
)
へ
入
(
はひ
)
つて、
一度
(
いちど
)
覗
(
のぞ
)
いた
待合
(
まちあひ
)
へ
憩
(
やす
)
んだが、
人
(
ひと
)
を
待
(
ま
)
つのに、
停車場
(
ステエシヨン
)
で
時
(
とき
)
の
針
(
はり
)
の
進
(
すゝ
)
むほど
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
吹込
(
ふきこ
)
みますから、お
前
(
まへ
)
も
此方
(
こつち
)
へおいで、そんなにして
居
(
ゐ
)
ると
衣服
(
きもの
)
が
濡
(
ぬ
)
れますよ。」
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
三
人
(
にん
)
が
根
(
ね
)
をおろしたらしく
見
(
み
)
て
取
(
と
)
ると、
坂上
(
さかがみ
)
も、
急
(
きふ
)
には
踏出
(
ふみだ
)
せさうもなく、
足
(
あし
)
が
地
(
ち
)
に
附着
(
くツつ
)
いたが、
前途
(
さき
)
を
急
(
いそ
)
ぐ
胸
(
むね
)
は、はツ/\と、
毒氣
(
どくき
)
を
掴
(
つか
)
んで
口
(
くち
)
から
吹込
(
ふきこ
)
まれさうに
躍
(
をど
)
つて、
血
(
ち
)
を
動
(
うご
)
かしては
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
其
(
そ
)
の
余波
(
なごり
)
が、カラカラと
乾
(
から
)
びた
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
捲
(
ま
)
きながら、
旅籠屋
(
はたごや
)
の
框
(
かまち
)
へ
吹込
(
ふきこ
)
んで、
大
(
おおき
)
な
炉
(
ろ
)
に、
一簇
(
ひとむら
)
の
黒雲
(
くろくも
)
の濃く
舞下
(
まいさが
)
つたやうに
漾
(
ただよ
)
ふ、松を焼く煙を
弗
(
ふっ
)
と吹くと、煙は
筵
(
むしろ
)
の上を
階子段
(
はしごだん
)
の下へ
潜
(
ひそ
)
んで
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
山路
(
やまみち
)
から、
後
(
あと
)
を
跟
(
つ
)
けて
来
(
き
)
たらしい
嵐
(
あらし
)
が、
袂
(
たもと
)
をひら/\と
煽
(
あふ
)
つて、
颯
(
さつ
)
と
炉傍
(
ろばた
)
へ
吹込
(
ふきこ
)
むと、
燈
(
ともしび
)
が
下伏
(
したぶせ
)
に
暗
(
くら
)
く
成
(
な
)
つて、
炉
(
ろ
)
の
中
(
なか
)
が
明
(
あかる
)
く
燃
(
も
)
える。これが
赫
(
くわつ
)
と、
壁
(
かべ
)
に
並
(
なら
)
んだ
提灯
(
ちやうちん
)
の
箱
(
はこ
)
に
映
(
うつ
)
る、と
温泉
(
いでゆ
)
の
薫
(
かをり
)
が
芬
(
ぷん
)
とした。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
吹
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
“吹”で始まる語句
吹
吹聴
吹雪
吹上
吹出
吹聽
吹矢
吹掛
吹消
吹溜