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反古
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ほご
ふりがな文庫
“
反古
(
ほご
)” の例文
居室
(
へや
)
に
歸
(
かへ
)
つて
見
(
み
)
ると、ちやんと
整頓
(
かたづい
)
て
居
(
ゐ
)
る。
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
は
書物
(
しよもつ
)
やら
反古
(
ほご
)
やら
亂雜
(
らんざつ
)
極
(
きは
)
まつて
居
(
ゐ
)
たのが、
物
(
もの
)
各々
(
おの/\
)
所
(
ところ
)
を
得
(
え
)
て
靜
(
しづ
)
かに
僕
(
ぼく
)
を
待
(
まつ
)
て
居
(
ゐ
)
る。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その側には食い掛けた腸詰や
乾酪
(
かんらく
)
を載せた皿が、不精にも勝手へ下げずに、国から来た
Figaro
(
フィガロ
)
の
反古
(
ほご
)
を
被
(
かぶ
)
せて置いてある。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
さる大身の養子になることになったので、お類との約束を
反古
(
ほご
)
にし、お類はそれを悲しんで自害したのだという
噂
(
うわさ
)
も伝わりました。
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
反古
(
ほご
)
を、金の如くのべて、古画を
臨摹
(
りんぼ
)
する。ほそぼそと
燈
(
とも
)
る深夜の
灯
(
ほ
)
かげに、
無性髯
(
ぶしょうひげ
)
の伸びた彼の顔は、芸術の鬼そのものである。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山に誓い、海に誓い、神ほとけに誓っても、それは
傾城
(
けいせい
)
遊女の空誓文と同じことで、主人がそれを
反古
(
ほご
)
にするのは何でもないのである。
番町皿屋敷
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
青木さんは留守にそこの押入なぞを掃除なすつたと見えて、梯子段を上つたところに、
反古
(
ほご
)
や不用の雑誌なぞが寄せ集めてあつた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
我
臥床
(
ふしど
)
の跡を見、媼が經卷
珠數
(
じゆず
)
と共に藏したる我畫
反古
(
ほご
)
を見、また爐の側にて燒栗を噛みつゝ昔語せばやとおもふ心を聞え上げぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
書いた
反古
(
ほご
)
だの、日記だの、
種々
(
いろいろ
)
書き残したものを見る機会もあって、長い年月の間私は北村君というものをスタディして居た形である。
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼はそれを見る度見る度に針を呑むやうな
呵責
(
かしやく
)
の哀しみを繰返す許りであつた。身を切られるやうな思ひから、時には見ないで
反古
(
ほご
)
にした。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
そうすると、ちょうど荷物の包み紙になっていた
反古
(
ほご
)
同様の
歌麿
(
うたまろ
)
や
広重
(
ひろしげ
)
が一躍高貴な美術品に変化したと同様の現象を呈するかもしれない。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
兄弟三人ともお習字の会に入っていたので、
手習
(
てならい
)
につかった半紙の
反古
(
ほご
)
がたくさんあったから、これに糊をつけて、二重三重に眼張をした。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
現に水戸の
彰考館
(
しょうこうかん
)
に蔵する大日本史の草稿はやはり
反古
(
ほご
)
を用いある由、かつて実見せし友人の親しく余に物語りしことである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
しかもこのおれを疑ぐってる。
憚
(
はばか
)
りながら男だ。受け合った事を裏へ廻って
反古
(
ほご
)
にするようなさもしい
了見
(
りょうけん
)
はもってるもんか。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
泥のついた手を
反古
(
ほご
)
でふきながら、暮方になったらきっと入れて呉れとたのんでも行われない事を思うといやな気持がする。
夜寒
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
然
(
しか
)
るに、南風競はず、北朝の勢、益々隆んなるに及び、父の遺言を
反古
(
ほご
)
にし、半生の忠節に泥を塗りて、
終
(
つい
)
に賊に附したり。
秋の筑波山
(新字新仮名)
/
大町桂月
(著)
その上に琉球
唐紙
(
からかみ
)
のような下等の紙を用い、興に乗ずれば
塵紙
(
ちりがみ
)
にでも浅草紙にでも
反古
(
ほご
)
の裏にでも竹の皮にでも
折
(
おり
)
の
蓋
(
ふた
)
にでも何にでも描いた。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
あとで人の迷惑になりそうな
反古
(
ほご
)
類を破って、一度には処分せずある物は焼き、また水へ投げ入れさせなどしておいおいに皆なくしていった。
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
大掾は
宅
(
うち
)
へ帰ると一部始終を話して、
女房
(
かない
)
に鄭重な挨拶をした。するとお高さんの顔が急に
反古
(
ほご
)
のやうに皺くちやになつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
またたとえお給金のことがなくとも、——一旦こうと約束した以上、
反古
(
ほご
)
にして逃げるなどという
卑怯
(
ひきょう
)
な真似はできませぬ
松林蝙也
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
築地本願寺畔の
僑居
(
きょうきょ
)
に稿を起したわたしの長篇小説はかくの如くして、遂に
煙管
(
キセル
)
の
脂
(
やに
)
を拭う
反古
(
ほご
)
となるより外、何の用をもなさぬものとなった。
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は
亜米利加
(
アメリカ
)
より法学士の免状を持ち帰りし名誉を
顧
(
かえり
)
みるの
遑
(
いとま
)
だになく、貴重の免状も
反古
(
ほご
)
同様となりて、戸棚の隅に
鼠
(
ねずみ
)
の巣とはなれるなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
その道の人に見てもらったら、わかりましょうが、あんまり安いものですからね。
反古
(
ほご
)
同様の値段で買って来て、表装を
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
切端
(
きれっぱし
)
の
反古
(
ほご
)
へ駄菓子を
撮
(
つま
)
んで、これが目金だ、万世橋を覚えたまえ、
求肥
(
ぎゅうひ
)
製だ、田舎の祭に飴屋が売ってるのとは
撰
(
たち
)
が違う、江戸伝来の本場ものだ。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
悪くしてまで、おれから頼んで入れておいた証文なのだから、
反古
(
ほご
)
同然なのだ。口をきく証文ではねえのだから——
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
同時に手紙が来て、戸棚の隅を整理したら、
反古
(
ほご
)
にまじってこの絵が出て来たから君にあげると書いてあった。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
兄が何か
反古
(
ほご
)
を
揃
(
そろ
)
えて居る処を、私がドタバタ踏んで通った所が兄が
大喝
(
たいかつ
)
一声、コリャ待てと
酷
(
ひど
)
く
叱
(
しか
)
り付けて
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
五山盛時の写本の字を想わしめるすこし右あがりの速い書体で、
庫裡
(
くり
)
の障子までことごとくその
反古
(
ほご
)
であった。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かくして得送らぬ文は写せしも灰となり、
反古
(
ほご
)
となりて、彼の帯揚に
籠
(
こ
)
められては、いつまで草の
可哀
(
あはれ
)
や用らるる果も知らず、宮が手習は
実
(
げ
)
に
久
(
ひさし
)
うなりぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
『好い氣味だ。
樣
(
ざま
)
を見ろ。とう/\自分の爲た事をすッかり
反古
(
ほご
)
にしてしまやがつた。』と斯う思ひました。
反古
(旧字旧仮名)
/
小山内薫
(著)
今
(
も
)
一日後れりや、
屑屋
(
くづや
)
の手に渡る所なんで——大切な原稿を間違へて、
反古
(
ほご
)
の中へ入れちやつたてなことで
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
これらの悪策士がいたために、天皇が神明に誓われた、五箇条の誓文は、一片の
反古
(
ほご
)
となった。そうして、天皇をして、神明への背信者とならしめたのである。
天皇:誰が日本民族の主人であるか
(新字新仮名)
/
蜷川新
(著)
父との約束を
反古
(
ほご
)
にしようとするとき、父がもし何とか反対することがあってはという心配から、その時の用意にと、叔父の
破約
(
はやく
)
の味方になってくれるように
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
千「いゝえ
私
(
わたくし
)
は気が附きませんでございました、何だか私の袂に
反古
(
ほご
)
のようなものが入って居ましたが、私は何だか分りませんで、丸めて
何処
(
どこ
)
かへ棄てましたよ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
漁夫達は、彼や学生などの方を気の毒そうに見るが、何も云えない程ぐッしゃりつぶされてしまっていた。学生の作った組織も
反古
(
ほご
)
のように、役に立たなかった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「友達関係からなんですがね。何か深い約束があったとみえて、まるで兄弟のようにしていましたっけ、その友達の
永峯
(
ながみね
)
ってのが、約束を
反古
(
ほご
)
にしたらしいんですよ」
街頭の偽映鏡
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
どさくさに紛れて
外
(
ほか
)
の人間の手に渡って
反古
(
ほご
)
にされるような事があったら大変と気が付きますと、何でも自分の手に奪い取っておきさえすれば安心と思いましたから
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
致させしに夜具衣類迄姑女の着たるは
格別
(
かくべつ
)
垢染
(
あかじみ
)
も爲ず綿なども澤山に入てあり又菊が分は
唯
(
たゞ
)
今夫に着て居る外は何一ツなきが
然
(
され
)
ども破れたる
骨柳
(
こり
)
一ツあり其中に
反古
(
ほご
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
あっ! やられた、束は上の一枚と一番下の
外
(
ほか
)
は巧みに見せかけた西洋紙の
反古
(
ほご
)
に過ぎなかった。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
私は二十五まで満足に勤めたら
暖簾
(
のれん
)
を分けてやると言はれ、遺言状にも記載されてゐたが、私にとつては幸か不幸か、そんなものは直ぐ一片の
反古
(
ほご
)
にも値しなくなつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
それらは、訴訟の新段階には持ちこむことが許されぬという理由で、差戻されたのであり、値打ちのない
反古
(
ほご
)
なのだ。それでも訴訟はまだ
敗
(
ま
)
けときまったわけではない。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
そしてその紙帳というのは、
祝詞
(
のりと
)
文の
反古
(
ほご
)
を
綴
(
つな
)
いだものに渋を塗ったのですが、偶然にも高代という二字が、頭と足先に当る両方の上隅に、同じよう跨っているのです。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そして左側には硯に筆を添え、それと並べて
反古
(
ほご
)
のような紙の巻いたのを置いてある。また
足許
(
あしもと
)
には焼火したらしい枯枝の燃えさしがあって、糸のような煙が立っている。
涼亭:――序に代へて――
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
矢張り
否応
(
いやおう
)
なしに苦しい
痛恨
(
こんちりさん
)
を頼りに踏んで来たものにちがひない。たとひそれは皺くちやな、何の
反古
(
ほご
)
か知れない程の紙であらうと、あの人はとに角それに堪へたのだ。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
東山——父がきめてくれた
許嫁
(
いいなずけ
)
の約束も、僕が貧乏だからというので
反古
(
ほご
)
になるんですね?
探偵戯曲 仮面の男
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
嘗
(
かつ
)
てこの縁談がまとまつた時、わたしは娘を呼んで、「これで二度とは帰つて来るな。この上はわたしを頼るな」さう云つて聞かせた。それが兎に角こんなに早く
反古
(
ほご
)
になつた。
愚かな父
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
さては
先日
(
せんじつ
)
反古
(
ほご
)
の
新聞
(
しんぶん
)
に
記
(
しる
)
されてあつた
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
と
其
(
その
)
帆走船
(
ほまへせん
)
との
行衞
(
ゆくゑ
)
などが
恰
(
あだか
)
も
今夜
(
こんや
)
の
此
(
この
)
物凄
(
ものすご
)
い
景色
(
けしき
)
と
何等
(
なにら
)
かの
因縁
(
いんねん
)
を
有
(
いう
)
するかのごとく、ありありと
私
(
わたくし
)
の
腦裡
(
のうり
)
に
浮
(
うか
)
んで
來
(
き
)
た。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ドウダンツツジの葉と、背向きになって、
翠
(
あお
)
い地紙に、
赭
(
あか
)
っちゃけた
斑
(
ふ
)
が交ったようだ、何枚も、何枚も、描き捨てられた
反古
(
ほご
)
のような落葉が、下に腐って、半ば黒土に化けている。
白峰山脈縦断記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
未完成の
草稿
(
そうこう
)
を焼き捨てるとか、湖中へ沈めるとかいう考えも浮ばないではなかったが、それほど華やかな
芝居気
(
しばいぎ
)
さえなくなっていて、ただ
反古
(
ほご
)
より、多少惜しいぐらいの気持ちで
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
水死人は社会的の現象としては、極くありふれた事である。新聞社に居る啓吉はよく、
溺死人
(
できしにん
)
に関する通信が、
反古
(
ほご
)
同様に
一瞥
(
いちべつ
)
を
与
(
あた
)
えられると、直ぐ
屑籠
(
くずかご
)
に投ぜられるのを知っている。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
抱一
(
ほういつ
)
の画、
濃艶
(
のうえん
)
愛すべしといへども、俳句に至つては
拙劣
(
せつれつ
)
見るに堪へず。その濃艶なる画にその拙劣なる句の
賛
(
さん
)
あるに至つては金殿に
反古
(
ほご
)
張りの障子を見るが如く釣り合はぬ事甚だし。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
“反古”の意味
《名詞》
書き損じた不用な紙。
不用なもの。役に立たないもの。
無効、取り消し。
(出典:Wiktionary)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
“反古”で始まる語句
反古紙
反古籠
反古張
反古焚
反古裏
反古堆中