震動しんどう)” の例文
統計とうけいによれば、餘震よしんのときの震動しんどうおほいさは、最初さいしよ大地震だいぢしんのものに比較ひかくして、その三分さんぶんいちといふほどのものが、最大さいだい記録きろくである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それと知って五少年は、部屋中を探しまわったあげく、天井の隅のところが震動しんどうして、かすかに壁土が落ちてくるのを発見した。
時計屋敷の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
風が出たとみえて、庭の立樹たちきがゴウッ——潮騒しおざいのように鳴り渡って、古い家である、頭のうえで、家棟やむね震動しんどうがむせび泣くように聞えてくる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
蛾次郎がじろうやみのなかへ飛んでいくと、そのとたんに半助はんすけのあたまの上で、ドドドドスン! というすさまじい家鳴やな震動しんどう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜の八時ごろ、船体が微妙に震動しんどうし、ひとの心をしめつけるような無気味なうなりが、どこからともなくひびいてきた。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ふとなわで、鉄槌てっついげて、とすたびに、トーン、トーンというめりむようなひびきが、あたりの空気くうき震動しんどうして、とおくへ木霊こだましていました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
両個ふたりは心も消入らんとする時、にはか屋鳴やなり震動しんどうして、百雷一処にちたる響に、男はたふれ、女は叫びて、前後不覚の夢かうつつの人影は、たちまあらはれて燈火ともしびの前に在り。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
けれどもこの震動しんどうが、何時いつまでつても胎兒たいじ發育はついくこれといふ影響えいきやうおよぼさず、したがつて自分じぶん身體からだにもすこしの異状いじやうおこさなかつたことたしかわかつたとき御米およねやうや安心あんしんして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
彼は、後頭部と肩のあたりに花火が爆発したような震動しんどうを感じて、ぼうっとなった。しかし、この瞬間は彼にとって大事な一瞬であった。彼はまりねるように起き上った。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
と、またもやごうぜんたる音がして、全船ぜんせん震動しんどうした、同時に船は、木の葉のごとく巨濤きょとうにのせられて、中天ちゅうてんにあおられた。たのみになした前檣ぜんしょうが二つに折れたのである。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
いか。よした。どん、すとん、と身上しんしやうかるい。けれども家鳴やなり震動しんどうする。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
有史時代いうしじだいつてはじめて地震ぢしん傳説でんせつえるのは、孝靈天皇かうれいてんのうの五ねん近江國あふみのくにけて琵琶湖びはこ出來でき同時どうじ富士山ふじさん噴出ふんしゆつして駿すんかふさうがおびたゞしく震動しんどうしたといふのであるが
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
風にもまれて暮したりやうやく五日のさる下刻げこくに及び少し風もしづまり浪もやゝおだやかに成ければわづかに蘇生そせいの心地してよろこびしが間もなく其夜の初更しよかうに再び震動しんどう雷電らいでん颶風ぐふうしきりに吹起ふきおこり以前にばいしてつよければふね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
でも震動しんどうはずいぶんひどかったから、わたしは人事不省じんじふせいで地べたにころがった。わたしが正気に返ったとき、わたしはまだ汽車の中にいると思った。わたしはまだ運ばれているように感じたのであった。
時に大地も震動しんどうしそうなうら恐ろしき大声が聞えました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
それと同時に、ロケット艇はばらばらになるのではないかと思うほど、ひどく震動しんどうし、そして正吉もスミレ女史も床の上にたたきつけられた。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
此一分間このいつぷんかんといつたのは、もつと長引ながび場合ばあひ顧慮こうりよしてのことであつて、大抵たいてい場合ばあひおいては二十秒間位にじゆうびようかんぐらゐ危險きけん震動しんどうをはりをげるものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
時間じかんいくかいとなく、貨車かしゃや、客車きゃくしゃ往復おうふくするために、ねつはっし、はげしく震動しんどうする線路せんろでも、ある時間じかんは、きわめてしんとして、つめたく白光しろびかりのする鋼鉄こうてつおもて
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
言葉の終らないうちに、ゴウッ!——家棟やむね震動しんどうして、パラリ、屋根のどこかに音がしたかと思うと、冬の雨はあしが早い。早やつづけさまに軒をたたいて——本りだ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ガラガラと、すさまじい震動しんどうは、本丸ほんまる、三の丸までもゆるがした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが震動しんどうで目が回って、みぞの中にころがりこんだ。きみがいつまでも来ないから、ボブが馬車を下りて、小山をかけ下りて、きみをうでにひっかかえて帰って来た。ぼくらはきみが死んだと思ったよ。
このとき異様いよう震動しんどうとともに、幼年者たちの泣き声がきこえた。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
さうして、いのちいと震動しんどうから二人ふたりひゞきつまびらかに比較した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それと同時どうじ津浪つなみともなふことが其特色そのとくしよくである。これにはんして局部性きよくぶせい大地震おほぢしん規模きぼ狹小きようしようであるが、おほ陸地りくちおこるがために震動しんどう性質せいしつ急激きゆうげきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
轟然ごうぜんと砲門は黒煙こくえんをぱっと吹き出して震動しんどうした。甲板かんぱんも艦橋も、こわされそうに鳴り響き、そしてぐらりと傾斜けいしゃした。
午後ごごから、おおぜいで電車道でんしゃみちかけたのです。かれらは震動しんどうして、電車でんしゃ通過つうかするたびに、していっては、レールにめいめいの磁石じしゃくてていました。
白い雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
僕が声をかけたとき、例の土塊ははげしく上下左右へ震動しんどうしたようであった。しかし相手は返事一つしなかった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてレバーをうごかしたり、操縦かんをひねったりした。かすかな震動しんどうが起って、部屋がうごきだした。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)