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ほうび
ふりがな文庫
“
褒美
(
ほうび
)” の例文
アーストロフさんは
毎年
(
まいねん
)
々々、あたらしい林を植えつけて、そのご
褒美
(
ほうび
)
にもう、
銅牌
(
どうはい
)
だの賞状だのを、もらっていらっしゃいますの。
ワーニャ伯父さん:――田園生活の情景 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そして勉強の
褒美
(
ほうび
)
に芝居へ行かしてやると言われたので、いっそう熱心に勉強を始めた。彼はもう芝居のことしか考えていなかった。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
うまく殺しおおせたら、
褒美
(
ほうび
)
の金はもちろん、生涯、高家の庭番にでも何にでも使って面倒はみてやる、食うには困らせはせんと……
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金眸も
斜
(
ななめ
)
ならず喜びて、「そは
大
(
おおい
)
なる
功名
(
てがら
)
なりし。さばれ
爾
(
なんじ
)
何とて
他
(
かれ
)
を伴はざる、他に
褒美
(
ほうび
)
を取らせんものを」ト、いへば聴水は
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
それゆえ彼女が私のためになんぞ骨の折れることや気のすすまぬことをしてくれたときには「御
褒美
(
ほうび
)
だ」といってよく能につれていった。
妹の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
▼ もっと見る
「子猫の
褒美
(
ほうび
)
に——お手を」と、軽騎兵は、にやりと笑うと、新調の軍服にきっちり締め上げられた
逞
(
たくま
)
しい全身を、ぐいと反り返らせた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「オイ!」と残忍な含み声。「それともあくまでつける気か? つけるならつけろ、つけてみろ! うまくつけたら
褒美
(
ほうび
)
をやる。 ...
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「イヤ、それとこれとは、別な話じゃが、そのとき、あのお美夜に、なんぞ
褒美
(
ほうび
)
を取らしょうかとわしがたずねたところが——」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
やつくれえばかに運の
強
(
つえ
)
えやつアねえぜ。
博
(
ぶつ
)
ちゃア勝つ、遊んで
褒美
(
ほうび
)
はもれえやがる、鉄砲玉ア
中
(
あた
)
りッこなし。運のいいたやつのこっだ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
しかるに不思議な事には学者の智識に対してのみは何等の
褒美
(
ほうび
)
も与えたと云う記録がなかったので、
今日
(
こんにち
)
まで実は
大
(
おおい
)
に怪しんでいたところさ
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
後代手本たるべしとて
褒美
(
ほうび
)
に「かげろふいさむ花の糸口」と
云
(
いう
)
脇
(
わき
)
して送られたり。
平句
(
ひらく
)
同前
(
どうぜん
)
也。歌に景曲は
見様
(
みるよう
)
体
(
てい
)
に属すと
定家卿
(
ていかきょう
)
もの
給
(
たま
)
ふ也。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
得たりとばかり膝を進めて取り出し示す草案の写しを、手に持ちながら舌は軽く、三好さん、これですが、しかしこれには
褒美
(
ほうび
)
がつきますぜ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
「永年
遠国
(
えんごく
)
に
罷在候夫
(
まかりありそろおっと
)
の
為
(
ため
)
、貞節を
尽候趣聞召
(
つくしそろおもむききこしめ
)
され、厚き
思召
(
おぼしめし
)
を
以
(
もっ
)
て
褒美
(
ほうび
)
として銀十枚下し置かる」と云う口上であった。
じいさんばあさん
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
また時によっては、「文庫を燃させなんだらその
褒美
(
ほうび
)
に、姫をさらって行くからそう思え」などと御冗談もございました。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
乞食には虱を取らせて
呉
(
く
)
れた
褒美
(
ほうび
)
に
飯
(
めし
)
を
遣
(
や
)
ると云う
極
(
きま
)
りで、
是
(
こ
)
れは母の
楽
(
たのし
)
みでしたろうが、私は
穢
(
きた
)
なくて穢なくて
堪
(
たま
)
らぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「
真
(
しん
)
ちゃん、ラジオ
体操
(
たいそう
)
にゆかないの?
休
(
やす
)
まずにいくと、ご
褒美
(
ほうび
)
がもらえるのだよ。」と、
常
(
つね
)
ちゃんが、いいました。
真坊と和尚さま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
まず若い人々の製作を集めて常会に出品し優劣を評定して
褒美
(
ほうび
)
として参考書の類を授けるということなどを初めとして、
種々
(
いろいろ
)
審議されました結果
幕末維新懐古談:47 彫工会の成り立ちについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「……それで、ご
褒美
(
ほうび
)
になにか
美味
(
おいし
)
いものを、馬さんの口元へ差しつけたとしますね。……すると、この馬さんは、いったい、どうするかしら?」
キャラコさん:10 馬と老人
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それがすむと、小さなボヘミヤンは、
褒美
(
ほうび
)
として羊小屋の中に入れてもらおうと思った。自分のうちのような気がした。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
もっとも
予
(
あらかじ
)
め仇打ちの
願書
(
がんしょ
)
を奉ることを忘れていたから、
褒美
(
ほうび
)
の
沙汰
(
さた
)
だけはなかったようである。その
後
(
ご
)
の伝吉を語ることは
生憎
(
あいにく
)
この話の主題ではない。
伝吉の敵打ち
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「おお、二機も、やっつけたか。それは
抜群
(
ばつぐん
)
の手柄じゃ。よし、あとで、
褒美
(
ほうび
)
をやろう。昇進も上申してみるぞ」
地底戦車の怪人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こりゃ六兵衛、
汝
(
なんじ
)
が
盗人
(
ぬすっと
)
でない
証拠
(
しょうこ
)
を見せるために、
余
(
よ
)
の手のひらに書いた文字を当ててみよ。うまく
判
(
はん
)
じ当てたならば、のぞみ通りの
褒美
(
ほうび
)
をとらせよう。
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
百人前の仕事をしたからとつて
褒美
(
ほうび
)
の一つも出やうでは無し朝から晩まで一寸法師の
言
(
いは
)
れつづけで、それだからと言つて一生立つてもこの
背
(
せい
)
が延びやうかい
わかれ道
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
私は色の白い友達にはてんで頭が上らなかつた。黒坊主黒坊主と言はないものには、いゝ
褒美
(
ほうび
)
を上げるからと哀願して、絵本とか石筆とかの
賄賂
(
わいろ
)
をおくつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
鰥寡
(
かんか
)
、孤独、貧困の者は広く
賑恤
(
しんじゅつ
)
するぞ、八十歳以上の高齢者へはそれぞれ
褒美
(
ほうび
)
をつかわすぞと言われても
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そうして今日お前の女王に尽した忠義の
褒美
(
ほうび
)
に、女王は今からお前をこの国の総理大臣にしてくれと云ったぞ
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
海老屋へ行った禰宜様宮田は、きっとふんだんな御
褒美
(
ほうび
)
にあずかって来るものだと思って、待ちに待っていたお石は、空手で
呆然
(
ぼんやり
)
戻って来た彼を見ると、思わず
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
拾いし者は
速
(
すみ
)
やかに返すべし——
町役場
(
ちょうやくば
)
に持参するとも、直ちにイモーヴィルのフォルチュネ、ウールフレークに渡すとも勝手なり。ご
褒美
(
ほうび
)
として二十フランの事。
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「だれか
馬
(
うま
)
の
親子
(
おやこ
)
を
見分
(
みわ
)
けることを
知
(
し
)
っているか。うまく
見分
(
みわ
)
けたものには
望
(
のぞ
)
みの
褒美
(
ほうび
)
をやる。」
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「で、神様はその
褒美
(
ほうび
)
に何をしてくださるんだい?」彼はどこまでも追求しながら、こう尋ねた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「これ与次郎、手白猿はどうでも貴公が撃ち取ってくりょ、そうしれば
褒美
(
ほうび
)
はなにほどでもやる」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何か
勲功
(
てがら
)
があったので
褒美
(
ほうび
)
に王様から
屠
(
ほふ
)
った
駱駝
(
らくだ
)
を一匹
貰
(
もら
)
った男があった。男は喜んで料理に取りかかった。なにしろ大きな駱駝一匹料理するのであるから手数がかかる。
愚かな男の話
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「お蔭で町方の恥にならずに済んだよ。これが見付かれば春木屋から百両の
褒美
(
ほうび
)
が出るはずだ、お前にもとんだ苦労をさせたから、松吉と世帯を持つ足しに三十両やろう」
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
茶道の盛んであった時代においては、
太閤
(
たいこう
)
の諸将は戦勝の
褒美
(
ほうび
)
として、広大な領地を賜わるよりも、珍しい美術品を贈られることを、いっそう満足に思ったものであった。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
三行書
(
みくだりが
)
きの中奉書は
卯
(
う
)
の年の
七夕
(
たなばた
)
、
粘墨
(
ねばずみ
)
に固まりて
反
(
そ
)
れたる黒毛に
殕
(
かび
)
つきたるは吉書七夕の清書の棒筆、
矢筈
(
やはず
)
に
磨滅
(
まめつ
)
されたる墨片は、師匠の
褒美
(
ほうび
)
の清輝閣なり、彼は
曰
(
い
)
えり
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
……そうだもう一ついうことを忘れていたが、死ぬ番にあたった奴は、その
褒美
(
ほうび
)
としてともちゃんを奥さんにすることができるんだ。このだいじな条件をいうのを忘れていた。
ドモ又の死
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
母は
襦袢
(
じゅばん
)
の袖を噛み声も得たてず泣き出せば、十兵衛涙に浮くばかりの
円
(
つぶら
)
の
眼
(
まなこ
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
いだ
)
し、まじろぎもせでぐいと
睨
(
ね
)
めしが、おおでかしたでかした、よくできた、
褒美
(
ほうび
)
をやろう
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
九月一日の休みに、栄二とこぶの清七が役所へ呼ばれ、それぞれ一貫文の
褒美
(
ほうび
)
を貰った。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
とおほめになつて、うちに
少々
(
しよう/\
)
殘
(
のこ
)
つてゐた
物
(
もの
)
を
褒美
(
ほうび
)
に
取
(
と
)
らせました。もちろん
姫
(
ひめ
)
の
難題
(
なんだい
)
には
怖
(
お
)
じ
氣
(
け
)
を
振
(
ふる
)
ひ、「
赫映姫
(
かぐやひめ
)
の
大
(
おほ
)
がたりめ」と
叫
(
さけ
)
んで、またと
近寄
(
ちかよ
)
らうともしませんでした。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
切支丹宗門は累年ご禁制たり、自然不審なるもの
之有者
(
これあらば
)
申し
出
(
い
)
づべし、ご
褒美
(
ほうび
)
として
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
これに答えぬと恥でもあり、また賢こい人がないと知って、攻めてこられるにちがいないので、誰かこの難題を
解
(
と
)
く者があったら、望みしだいの
褒美
(
ほうび
)
をくださるということになった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ある時村の小学校の運動会で
饌立
(
ぜんだて
)
競走
(
きょうそう
)
で一着になり、名を呼ばれて
褒美
(
ほうび
)
を貰ったあとで、饌立の法が違って居ると女教員から苦情が出て、あらためて呼び出され、褒美を取り戻された。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「お
父
(
とう
)
、あの
仏壇
(
ぶつだん
)
の
抽出
(
ひきだ
)
しに、県庁から
貰
(
もろ
)
うた
褒美
(
ほうび
)
があるね?」と尋ねました。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
こういう
褒美
(
ほうび
)
を与えておいて、彼はまたしても連銭葦毛に向ってしゃべった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
今打ち落した氏輝の首を
懐
(
いだ
)
いて走った志を家康感じて罰せず、
麾下
(
きか
)
に列したとある(『野史』一二六)は自分の家から火を出しながら大睾丸の老爺を負って逃げたので
褒美
(
ほうび
)
されたような咄し。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
バットや敷島のご
褒美
(
ほうび
)
じゃつまらない。ご褒美の代りには、花火がドカーンと上るのだ。そしてね、五色の花びらが雪の様に空から降って来るのだ。花火玉の中にそれを一杯つめて置くのさ。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私はお前からの
褒美
(
ほうび
)
を欲しがるように、お前の方を振り向いた。すると、一人の血色の悪い、
痩
(
や
)
せこけた青年が、お前と並んで、肩と肩とをくっつけるようにして、立っているのを私は認めた。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
展覧会で一、二度
褒美
(
ほうび
)
を
貰
(
もら
)
い少し名前が売れ出したと思うともう
一廉
(
ひとかど
)
の
大家
(
たいか
)
になりすました気で
大
(
おおい
)
に門生を養い党派を結び新聞雑誌を利用して盛んに自家
吹聴
(
ふいちょう
)
をやらかす。まるで政治運動です。
雨瀟瀟
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そちのお
蔭
(
かげ
)
で国土の重宝はよみがえった。さらに一両の
褒美
(
ほうび
)
をとらせる。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
菖蒲
(
しやうぶ
)
の節句の日を選び織部正桔梗の方と同列にて諸士を集め和歌の催し事
有之
(
これあり
)
、かね/″\申触れ候ことなれば敷島の道を
嗜
(
たしな
)
む者共いでや秀歌をうたひ出して
褒美
(
ほうび
)
に預からんものと存候事に候
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
褒
常用漢字
中学
部首:⾐
15画
美
常用漢字
小3
部首:⽺
9画
“褒”で始まる語句
褒
褒貶
褒賞
褒状
褒姒
褒詞
褒似
褒州
褒斜
褒称