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ゆくへ
ふりがな文庫
“
行方
(
ゆくへ
)” の例文
現
(
うつつ
)
のやうに歩いて窓際によったけれども、涙は幻のやうに彼女の瞳をつゝんで、淡赤い月の
行方
(
ゆくへ
)
をお葉は見る事が出来なかった。
青白き夢
(新字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
錢形の平次は、首尾よく銀簪の殺人鬼を捕へましたが、銀流しのお六はそれつきり
行方
(
ゆくへ
)
がわかりません。與力笹野新三郎はさぞ苦い顏をして
銭形平次捕物控:004 呪ひの銀簪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
我をかしこに導ける主曰ひけるは、恐るゝなかれ、何者といへども我等の
行方
(
ゆくへ
)
を奪ふをえず、彼これを我等に與へたればなり 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
これを見て
皆
(
みな
)
打ゑみつゝ
炉辺
(
ろへん
)
に
座列
(
ゐならび
)
て酒
酌
(
くみ
)
かはし、やゝ時うつりて
遠
(
とほ
)
く
走
(
はせ
)
たる者ども立かへりしに、
行方
(
ゆくへ
)
は
猶
(
なほ
)
しれざりけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
梯子
(
はしご
)
といつたところで、とても
達
(
とゞ
)
きやうがないし、皆はあれあれといふばかりで、じつと火の
行方
(
ゆくへ
)
を見つめてゐました……
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
拂ひ外に茶代として二百疋を遣はしければ此
度
(
たび
)
は亭主も
辭
(
いな
)
み難く受納め酒肴など出して
饗應
(
もてなし
)
けれども忠八はお花等が
行方
(
ゆくへ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
左門
慌忙
(
あわて
)
とどめんとすれば、
陰風
(
いんぷう
)
に
眼
(
まなこ
)
くらみて
行方
(
ゆくへ
)
をしらず。
俯向
(
うつぶし
)
につまづき倒れたるままに、声を放ちて大いに
哭
(
なげ
)
く。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「ところでイワンの
行方
(
ゆくへ
)
が分からないと云ふ事になつたらどうでせう。何かあの人に用事でも出来たと云ふ場合は。」
鱷
(新字旧仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
……こゝでは
町
(
まち
)
も、
森
(
もり
)
も、ほとんど
一浦
(
ひとうら
)
のなぎさの
盤
(
ばん
)
にもるが
如
(
ごと
)
く、
全幅
(
ぜんぷく
)
の
展望
(
てんばう
)
が
自由
(
じいう
)
だから、
瀬
(
せ
)
も、
流
(
なが
)
れも、
風
(
かぜ
)
の
路
(
みち
)
も、
鳥
(
とり
)
の
行方
(
ゆくへ
)
も
知
(
し
)
れるのである。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彼の
行方
(
ゆくへ
)
は知られずして、その身の家を
出
(
い
)
づべき日は
潮
(
うしほ
)
の如く迫れるに、
遣方
(
やるかた
)
も無く
漫
(
そぞろ
)
惑ひては、常に
鈍
(
おぞまし
)
う思ひ下せる
卜者
(
ぼくしや
)
にも問ひて、後には
廻合
(
めぐりあ
)
ふべきも
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
メキシコか
何処
(
どこ
)
かへ
行
(
ゆ
)
く途中、
杳
(
えう
)
として
行方
(
ゆくへ
)
を失つた
儘
(
まま
)
、わからずしまひになつてゐるさうです。
近頃の幽霊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
行方
(
ゆくへ
)
無みこもれる
小沼
(
をぬ
)
の
下思
(
したもひ
)
に吾ぞもの思ふ此の頃の間」(巻十二・三〇二二)等の例がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その家庭教師の
行方
(
ゆくへ
)
を
探索
(
たんさく
)
する必要が出來たときにはもう、彼女は其處にはゐないと分つたのです——何時、何處へ、どうして行つてしまつたか誰も知りませんでした。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
我等を載せて出でし舟人を尋ぬるに、こも
行方
(
ゆくへ
)
知れずとの事なりき。さて島の南岸に沿ひて、龍卷ありしを聞き給ひしより、人々は早や我等の生きて還らざるべきを思ひ給ひぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
この話を残して行つた男は、今どこにゐるか
行方
(
ゆくへ
)
もしれない。しる必要もない。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
或る日チエスタ孃は、お客の一人から『エイブラム師』の
行方
(
ゆくへ
)
知れなくなつた娘の話を聞いた。彼女はすぐ驅け出して行つて、鐵鑛泉の傍の氣に入りのベンチに腰を下してゐる製粉場主を見出した。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
風になびく富士の煙の空にきえて
行方
(
ゆくへ
)
も知らぬ我が思ひかな(西行)
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
辰男は暫らく船の
行方
(
ゆくへ
)
を見入つてゐたが、乘客の笑ひ話は靜かな空氣を傳つて彼れの耳にも入つた。入日の海や野天の風呂場をも彼れは久し振りに見下ろした。夜は
例
(
いつも
)
よりも長く炬燵に當つて過した。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
行方
(
ゆくへ
)
なき空に
消
(
け
)
ちてよかがり火のたよりにたぐふ煙とならば
源氏物語:27 篝火
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
海の中に光り輪を
画
(
か
)
く
澪
(
みを
)
のすぢ末はわかれて
行方
(
ゆくへ
)
知らずも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
われと燃え情火
環
(
たまき
)
に身を
捲
(
ま
)
きぬ心はいづら
行方
(
ゆくへ
)
知らずも
舞姫
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
むなしき
行方
(
ゆくへ
)
見やるもかひなからむ、——
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
友の
行方
(
ゆくへ
)
のいかになるらん
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
いざ思へ、
大海
(
おほうみ
)
に浮ぶピエートロの船の
行方
(
ゆくへ
)
を誤らしめざるにあたりて彼の
侶
(
りよ
)
たるに
適
(
ふさ
)
はしき人のいかなる者にてありしやを 一一八—一二〇
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
止
(
とゞ
)
め此處にても
尚
(
なほ
)
種々
(
いろ/\
)
に療治せしかば友次郎の
病
(
やまひ
)
は全く
快
(
こゝろ
)
よくなりければ夫よりは忠八と
諸倶
(
もろとも
)
所々
(
しよ/\
)
方々
(
はう/″\
)
を
廻
(
めぐ
)
り敵の
行方
(
ゆくへ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「氣が揉めるのかい、——あの娘は綺麗過ぎるから、いろ/\
紛糾
(
いざこざ
)
が起るんだよ。あの顏を見たとたんに、俺は三千兩の
行方
(
ゆくへ
)
が判るやうな氣がしたよ」
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
十
里
(
り
)
まはりに
笠
(
かさ
)
三
蓋
(
がい
)
と
諺
(
ことわざ
)
にも
言
(
い
)
ふ、その
笠
(
かさ
)
三
蓋
(
がい
)
とても、
夏
(
なつ
)
は
水
(
みづ
)
のない
草
(
くさ
)
いきれ、
冬
(
ふゆ
)
は
草
(
くさ
)
も
見
(
み
)
ぬ
吹雪
(
ふぶき
)
のために、
倒
(
たふ
)
れたり、
埋
(
うも
)
れたり、
行方
(
ゆくへ
)
も
知
(
し
)
れなくなつたと
聞
(
き
)
く。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
熱海より
行方
(
ゆくへ
)
知れざりし人の姿を
田鶴見
(
たずみ
)
の邸内に見てしまで、彼は全く
音沙汰
(
おとさた
)
をも聞かざりしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「私の主人の御嬢さんが、去年の春
行方
(
ゆくへ
)
知れずになつた。それを一つ見て貰ひたいんだが、——」
アグニの神
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
結論に
錯誤
(
さくご
)
を来すので、「もののふの八十うぢ河の網代木にいさよふ波の
行方
(
ゆくへ
)
知らずも」(巻三・二六四)でもそうであるが、この歌も、単に仏教とか支那文学とかの影響を受け
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
そのむかし仏蘭西のルツソオは漂泊の旅に
上
(
のぼ
)
つて、ある疑ひが心に起きた時、
孰方
(
どちら
)
に
定
(
き
)
めたものかと石を投げて占つたといふが、大観はルツソオと同じ気持で、じつと水の
行方
(
ゆくへ
)
を見た。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此の家三とせばかり
前
(
さき
)
までは、
村主
(
すぐり
)
の何某といふ人の、
一八九
賑
(
にぎ
)
はしくて住み
侍
(
はべ
)
るが、
一九〇
筑紫
(
つくし
)
に
商
(
あき
)
物
積
(
つ
)
みてくだりし、其の船
行方
(
ゆくへ
)
なくなりて後は、家に残る人も
散々
(
ちりぢり
)
になりぬるより
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
ブリッグス氏からはその後數週か
經
(
た
)
つてまた、相續者の
行方
(
ゆくへ
)
が知れぬ事を僕等に心當りはないかといふことを
訊
(
たづ
)
ねて來ました。偶然、一枚の
紙片
(
かみきれ
)
に書いてあつた名前で私はその
女
(
ひと
)
を見附けたのです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
来
(
こ
)
し方も
行方
(
ゆくへ
)
も知らぬ沖に
出
(
い
)
でてあはれ
何処
(
いづこ
)
に君を恋ふらん
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
赤き日に
真向
(
まつかう
)
に飛ぶ鳥のはね遂に飛び入り
行方
(
ゆくへ
)
知らずも
雲母集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
衷
(
うち
)
なる
靈
(
たま
)
の
疾風
(
あらし
)
の
行方
(
ゆくへ
)
いづこ
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
行方
(
ゆくへ
)
知らぬ身をば歎かじ
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
パルメニーデ、メリッソ、ブリッソ、そのほか行きつゝ
行方
(
ゆくへ
)
を知らざりし多くの人々みな世にむかひて明かにこれが
證
(
あかし
)
をなす 一二四—一二六
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
お徳の
行方
(
ゆくへ
)
を跟けて、お前を嗅ぎ當て、それから此處へ來て見張つて居たんだ。今朝鎌倉町へ行つたのを見て、あわてゝ此處へ渡りをつけに來たのさ。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此時
(
このとき
)
、われに
返
(
かへ
)
る
心
(
こゝろ
)
、しかも
湯氣
(
ゆげ
)
の
裡
(
うち
)
に
恍惚
(
くわうこつ
)
として、
彼處
(
かしこ
)
に
鼈甲
(
べつかふ
)
の
櫛
(
くし
)
笄
(
かうがい
)
の
行方
(
ゆくへ
)
も
覺
(
おぼ
)
えず、
此處
(
こゝ
)
に
亂箱
(
みだればこ
)
の
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
、
我
(
わ
)
が
手
(
て
)
にさへ
袖
(
そで
)
をこぼれて
亂
(
みだ
)
れたり。
面
(
おもて
)
、
色
(
いろ
)
染
(
そま
)
んぬ。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
以て
救
(
すく
)
ひ給はれと申ければ
小猿
(
こさる
)
は暫く考へ
然
(
しか
)
らば雲切仁左衞門方へも
行
(
ゆき
)
て頼み見られよと言けるに三吉其事も
思
(
おも
)
はぬにはなけれ共
當時
(
たうじ
)
仁左衞門は
何所
(
いづれ
)
に居るや一
向
(
かう
)
行方
(
ゆくへ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
云はば日本の
神隠
(
かみかく
)
しに、新解釈を加へたやうなものです。これはその
後
(
ご
)
ビイアスが、第四の空間へはひる
刹那
(
せつな
)
までも、
簡勁
(
かんけい
)
に二三書いてゐる。
殊
(
こと
)
に或少年が
行方
(
ゆくへ
)
知れずになる。
近頃の幽霊
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この哀韻は、「いさよふ波の
行方
(
ゆくへ
)
知らず」にこもっていることを知るなら、上の句の形式的に過ぎない序詞は、却って下の句の効果を助長せしめたと解釈することも出来るのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
波間隠
(
なみまがくれ
)
に
推流
(
おしなが
)
さるるは、人ならず
哉
(
や
)
、宮なるかと
瞳
(
ひとみ
)
を定むる折しもあれ、水勢
其処
(
そこ
)
に一段急なり、在りける影は
弦
(
つる
)
を放れし
箭飛
(
やとび
)
を
作
(
な
)
して、
行方
(
ゆくへ
)
も知らずと
胸潰
(
むねつぶ
)
るれば、
忽
(
たちま
)
ち遠く浮き出でたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
夫
(
つま
)
は
九七
任
(
にん
)
はてぬ此の春、かりそめの
病
(
やまひ
)
に死し給ひしかば、便なき身とはなり侍る。都の
乳母
(
めのと
)
も
尼
(
あま
)
になりて、
行方
(
ゆくへ
)
なき
修行
(
しゆぎやう
)
に出でしと聞けば、
九八
彼方
(
かなた
)
も又しらぬ国とはなりぬるをあはれみ給へ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
世に知らぬここちこそすれ有明の月の
行方
(
ゆくへ
)
を空にまがへて
源氏物語:08 花宴
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
なじかは
行方
(
ゆくへ
)
を咀ふべしや
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その
行方
(
ゆくへ
)
を見守る。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
鴎よ
行方
(
ゆくへ
)
遠からむ
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
これを地に向はしむれば、その
行方
(
ゆくへ
)
を誤る(あたかも雲より火の
墜
(
おつ
)
ることあるごとく)ことをうればなり —一三五
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
“行方”の意味
《名詞:地名》
(なめがた)茨城県南東部にある市。また茨城県にあった郡。
(なめかた)福島県にあった郡。
(なめかた)茨城県行方郡にあった村。
(ぎょうほう)岡山県勝田郡奈義町にある地名。
《名詞:人名》
(なみかた なめかた)日本人の姓。
(出典:Wiktionary)
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“行方”で始まる語句
行方不明
行方不知
行方知
行方不識
行方千三郎
行方郡板来