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ぜんぶ
ふりがな文庫
“
膳部
(
ぜんぶ
)” の例文
多くの
膳部
(
ぜんぶ
)
があり、多くの従僕があり、美食を取り、金曜日には
田鶴
(
ばん
)
を食し、前後に従者を従えて盛装の馬車を駆り、大邸宅を持ち
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
夕餉
(
ゆうげ
)
の
膳部
(
ぜんぶ
)
もしりぞけて、庭の
面
(
おもて
)
に
漆黒
(
しっこく
)
の闇が満ちわたるまで、お蓮様はしょんぼり、縁の柱によりかかって考えこんでいたが——。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「酒を飲むと酔っていけない、詰らないもんだ」「へえご
尤
(
もっと
)
も、ではこのまま」権八はごくっと
喉
(
のど
)
を鳴らして
膳部
(
ぜんぶ
)
を下げていった。
風流化物屋敷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「別間に、
膳部
(
ぜんぶ
)
をもうけさせておいた。はや、戦も
熄
(
や
)
んだこと、何しても、めでたいめでたい。ゆるりと、中食を喰べて戻られよ」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今の三越呉服店が三井呉服店であつた其前身の越後屋時代には、十円以上買物をした人は別室で一人一人
膳部
(
ぜんぶ
)
が出たものであつたといふ。
買ひものをする女
(新字旧仮名)
/
三宅やす子
(著)
▼ もっと見る
公用商用のためこの都会に集まるものを泊めるのが旨としてあって、家には
風呂場
(
ふろば
)
も設けず、
膳部
(
ぜんぶ
)
も台所で出すくらいで、万事が実に質素だ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
吐
(
はい
)
て
遂
(
つひ
)
に其夜の九ツ時に感應院は
淺
(
あさ
)
ましき
最期
(
さいご
)
をこそ
遂
(
とげ
)
たりける名主を始め
種々
(
しゆ/″\
)
詮議
(
せんぎ
)
すれば
煤掃
(
すゝはき
)
の
膳部
(
ぜんぶ
)
より外に何にも
喰
(
たべ
)
ずとの事なり
依
(
よつ
)
て膳部を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
数珠
(
じゅず
)
などがさっきまで仏勤めがされていたらしく出ていた。客の
饗応
(
きょうおう
)
に出された
膳部
(
ぜんぶ
)
にもおもしろい地方色が見えた。
源氏物語:12 須磨
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
それでも
立
(
た
)
ちながら
椀
(
わん
)
と
箸
(
はし
)
とを
持
(
も
)
つて
口
(
くち
)
を
動
(
うご
)
かして
居
(
ゐ
)
るものもあつた。
膳部
(
ぜんぶ
)
は
極
(
きま
)
つた
通
(
とほ
)
り
皿
(
さら
)
も
平
(
ひら
)
も
壺
(
つぼ
)
もつけられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
女「今日のことでございます、此の十四
日
(
か
)
に松平様とかのお役人様方をお連れ申すから、八九人前の
膳部
(
ぜんぶ
)
を整えて置くようにというお頼みでございます」
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その一部分を
譬
(
たと
)
えていえば、ひとりよがりの自慢の手料理が、それどころでなく、立派な饗宴の
膳部
(
ぜんぶ
)
の
向附
(
むこうづけ
)
にもふさわしい滋味を備えたものになるのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
浴後の軽い疲をおぼえて、うっとりしているところへ、女がそう言いながら
膳部
(
ぜんぶ
)
を運んで来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「はい、はい——」と夫人は云った、「それではお
膳部
(
ぜんぶ
)
を早うしていただきますように」
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
御厨子
(
みずし
)
の前は、縦に二十間がほど、五壇に組んで、
紅
(
くれない
)
の
袴
(
はかま
)
、
白衣
(
びゃくえ
)
の官女、
烏帽子
(
えぼし
)
、
素袍
(
すおう
)
の五人
囃子
(
ばやし
)
のないばかり、きらびやかなる調度を、黒棚よりして、
膳部
(
ぜんぶ
)
、
轅
(
ながえ
)
の車まで、
金高蒔絵
(
きんたかまきえ
)
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
膳部
(
ぜんぶ
)
を引く
頃
(
ころ
)
に、
大沢侍従
(
おおさわじじゅう
)
、
永井右近進
(
ながいうこんのしん
)
、
城織部
(
じょうおりべ
)
の三人が、大御所のお使として出向いて来て、
上
(
かみ
)
の三人に具足三領、
太刀三振
(
たちみふり
)
、白銀三百枚、次の三人
金僉知
(
きんせんち
)
らに
刀三腰
(
とうみこし
)
、白銀百五十枚
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
差図
(
さしず
)
のようなことやお手伝いのようなことをしていますと、お女中がお
膳部
(
ぜんぶ
)
を次の間まで持って行った時、そこの御主人が、まだ座敷へ出してはいかぬ、そこへ置けと女中たちに言いつけて
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
だんだん聞くに六町一里にて大笑いとなりぬ。昼めし過ぎて
小繋
(
こつなぎ
)
まではもくらもくらと足引の山路いとなぐさめ難く、暮れてあやしき家にやどりぬ。きのこずくめの
膳部
(
ぜんぶ
)
にてことごとく閉口す。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
病人が人に接するのを嫌うからとて、食事は
膳部
(
ぜんぶ
)
の者が次室まで運んで置き、それを豎牛が病人の枕頭に持って来るのが慣わしであったのを、今やこの侍者が病人に食を進めなくなったのである。
牛人
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
三味線
(
しゃみせん
)
をいれた小型のトランク提げて電車で指定の場所へ行くと、すぐ
膳部
(
ぜんぶ
)
の運びから
燗
(
かん
)
の世話に
掛
(
かか
)
る。三、四十人の客にヤトナ三人で一通り
酌
(
しゃく
)
をして廻るだけでも大変なのに、あとがえらかった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
女中が
膳部
(
ぜんぶ
)
を片づけ終わらぬうちに古藤が来たという案内があった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そしてそばには
膳部
(
ぜんぶ
)
がならび、お銚子が人待ち顔にでております。
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
我国の
膳部
(
ぜんぶ
)
におけるや食器の質とその色彩
紋様
(
もんよう
)
の
如何
(
いかん
)
によりてその趣全く変化す。夏には夏冬には冬らしき
盃盤
(
はいばん
)
を要す。
誰
(
たれ
)
か
鮪
(
まぐろ
)
の刺身を赤き
九谷
(
くたに
)
の皿に盛り
新漬
(
しんづけ
)
の
香物
(
こうのもの
)
を
蒔絵
(
まきえ
)
の椀に盛るものあらんや。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
同時に
膳部
(
ぜんぶ
)
の仕度の音、
薬鑵
(
やかん
)
、
飯櫃
(
おひつ
)
の音。
新学期行進曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
女中は
膳部
(
ぜんぶ
)
を持って、廊下を隔てた小座敷へ案内した。今しがたまで老武士のいた部屋である、もちろんきれいに片付いて、敷物も直してあった。
ひやめし物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、
膳部
(
ぜんぶ
)
の
吸物椀
(
すいものわん
)
をとって、なかの
汁
(
しる
)
を、部屋の白壁にパッとかけてみると、
墨
(
すみ
)
のように、まっ黒に変化して染まった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酒の
香気
(
におい
)
も座敷に満ちていた。岸本のために
膳部
(
ぜんぶ
)
までが既に用意して置いてあった。元園町は客を相手に、さかんに
談
(
はな
)
したり飲んだりしているところであった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
長崎奉行は二千両、御目附は千両という
相場
(
そうば
)
が立った位で、いまこの、筆屋の幸吉が定公に
担
(
かつ
)
がせて持って来ているものは、一見
膳部
(
ぜんぶ
)
のような箱だが、これは膳にして膳に
非
(
あら
)
ず。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
当日亀千代の前に出る
膳部
(
ぜんぶ
)
は、例によつて鬼番衆と云ふ近臣が試食した。それが二三人即死した。米山兵左衛門、千田平蔵などと云ふものである。そこで、
中間
(
ちゆうげん
)
一人、犬二頭に食はせて見た。
椙原品
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
既
(
すで
)
に
獻立
(
こんだて
)
して
待
(
ま
)
ちたれば
直
(
たゞ
)
ちに
膳部
(
ぜんぶ
)
を
御前
(
ごぜん
)
に
捧
(
さゝ
)
げつ。「いま
一膳
(
いちぜん
)
はいかゞ
仕
(
つかまつ
)
らむ」と
伺
(
うかゞ
)
へば、
幼君
(
えうくん
)
「さればなり
其
(
その
)
膳
(
ぜん
)
は
籠
(
かご
)
の
中
(
なか
)
に
遣
(
つか
)
はせ」との
御意
(
ぎよい
)
、
役人
(
やくにん
)
訝
(
いぶか
)
しきことかなと
御顏
(
おんかほ
)
を
瞻
(
みまも
)
りて
猶豫
(
ためら
)
へり。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
婚姻
(
こんいん
)
の
席上
(
せきじやう
)
では
酒
(
さけ
)
の
後
(
あと
)
には
長
(
なが
)
く
繼
(
つな
)
がる
樣
(
やう
)
といふ
縁起
(
えんぎ
)
を
祝
(
いは
)
うて、
一
(
ひと
)
つには
膳部
(
ぜんぶ
)
の
簡單
(
かんたん
)
なのとで
饂飩
(
うどん
)
を
饗
(
もてな
)
すのである。
蕎麥
(
そば
)
は
短
(
みじか
)
く
切
(
き
)
れるとて
何處
(
どこ
)
でも
厭
(
いと
)
うた。どんな
婚姻
(
こんいん
)
でもそれを
若
(
わか
)
い
衆
(
しゆ
)
が
貰
(
もら
)
ひに
行
(
ゆ
)
く。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
掃除しけるが
下男
(
げなん
)
の善助は
最早
(
もはや
)
膳部
(
ぜんぶ
)
も出來たれば寶澤に申ける
御膳
(
ごぜん
)
も出來候へばお師匠樣へ差上給へといへば寶澤は此時なりと
兼
(
かね
)
て
巧
(
たく
)
みし事なれば今われ
給仕
(
きふじ
)
しては後々の
障
(
さは
)
りに成んと思ひければ善助に
向
(
むか
)
ひ我は
油手
(
あぶらて
)
なれば其方
給仕
(
きふじ
)
して上られよと
頼
(
たの
)
むに何心なき善助は承知して
今
(
いま
)
水
(
みづ
)
一
荷
(
か
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
娘たちの
宴
(
うたげ
)
らしく、いろどりの華やかな
膳部
(
ぜんぶ
)
に酒が出た。夫人たちほどではないが、みんな盃を手にし、この家の三人の待女が給仕をしてまわった。
いさましい話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
榧
(
かや
)
の盤面に、白と黒が根気よく目を埋めて行った。いつか側に来ている
膳部
(
ぜんぶ
)
から芹のにおいがしきりとするのであったが、それはもう忘れ果てている。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしそういう寄り合いがあって忙しい思いをしたあくる朝は、
膳部
(
ぜんぶ
)
のあとで必ず
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
入
(
いれ
)
かわりて、
膳部
(
ぜんぶ
)
二調、おりく、おその二人にて運び、やがて引返す。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ときに、腹ごなしでもやるか」
膳部
(
ぜんぶ
)
をさげて茶菓を出すとまもなく、おとうさまがそう云いだされた、「すずに鼓を持ってもらって、
紅葉狩
(
もみじがり
)
をさらおう」
やぶからし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「思うていた以上、たわけな聟どの。何につけ張合いもない、馳走の
膳部
(
ぜんぶ
)
、応対の礼など、まずまず、好い程でよかろうぞ。……どれ、わしも客殿で待とうか」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三つの座敷をぶっ通した広間にはおびただしい
燭台
(
しょくだい
)
が並び
屏風
(
びょうぶ
)
を立て、五十余人の客が
膳部
(
ぜんぶ
)
を前に、盃をあげながらこの家の
羨望
(
せんぼう
)
すべき幸運をたたえていた。
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
膳部
(
ぜんぶ
)
の馳走や人々の賑わいにはしゃいで、喰べちらしたり、姉に戯れたりしているのを見ると、死もよそに酒宴している武骨の輩も、折々、あらぬ方へ眼をやりがちであった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうぞお
平
(
たい
)
らに、されば——御監察の要はいささかもこれなく、これ
膳部
(
ぜんぶ
)
を差し上げ申せ、——ただゆるゆる御滞在あって、お心まかせに御保養ご休息を願いまする
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「——では、けさの
朝餉
(
あさげ
)
が、しばらくの間の、おわかれの
膳部
(
ぜんぶ
)
でございますね」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逆胴を
強
(
したた
)
か斬放す。がらがらッ、
燭台
(
しょくだい
)
と
膳部
(
ぜんぶ
)
を踏砕きながら、悲鳴とともに
顛倒
(
てんとう
)
するのを見て
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
(——だのに、なぜこのような馳走をたくさんに、
膳部
(
ぜんぶ
)
へならべてくるか)
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
膳部
(
ぜんぶ
)
や敷物を片づけ終ると、そこに勘太夫の
莨入
(
たばこい
)
れがあるのをみつけた、忘れていらしったのだ、そう思って拾いあげようとしたときである、庭口でことんと戸の音がし
明暗嫁問答
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
膳部
(
ぜんぶ
)
や、
銚子
(
ちょうし
)
を持って、幾たびとなく、帳場の前を往来する女中たちが
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「飯はいらない」彼は下僕からそむきながら
膳部
(
ぜんぶ
)
の前に坐った。「酒があったら欲しい」
葦
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それから、手料理の
膳部
(
ぜんぶ
)
と、
銚子
(
ちょうし
)
など、
楚々
(
そそ
)
と、運んで来た。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
百
匁蝋燭
(
めろうそく
)
の燭台が輝き、
蒔絵
(
まきえ
)
の
膳部
(
ぜんぶ
)
が並び、役者や芸妓がとりもちに坐った、
眩
(
まば
)
ゆいほどの光と、華やかな色彩と、唄や鳴り物や
嬌声
(
きょうせい
)
が……この座敷いっぱいにくりひろげられたものだ。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
膳部
(
ぜんぶ
)
のしたくを。——お湯漬でも」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小房は化粧をした顔を見られるのが恥しく、面を伏せたまま
膳部
(
ぜんぶ
)
を運び始めた。……辰之助の眼は、小房の美しさを見て明かに驚きの色を表わしたが、然しすぐ
眩
(
まぶ
)
しそうに視線を外らした。
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“膳部”の意味
《名詞》
膳にのせて提供する食事。
料理を扱う者。
(出典:Wiktionary)
“膳部”の解説
膳部(かしわでべ)とは、食事をつかさどった職業部(品部)。朝廷や皇族の宮で、御食(みけ)の調理に従事した。
(出典:Wikipedia)
膳
常用漢字
中学
部首:⾁
16画
部
常用漢字
小3
部首:⾢
11画
“膳部”で始まる語句
膳部王
膳部職