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絞
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しぼり
ふりがな文庫
“
絞
(
しぼり
)” の例文
人混みを掻き分けて入ると、龜澤町のとある路地に、紅い
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼり
)
の
扱帶
(
しごき
)
で首を絞められた若い男が
虚空
(
こくう
)
を掴んで死んで居るのでした。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
染色
(
そめいろ
)
は、
紅
(
くれない
)
、黄、
透
(
すかし
)
、
絞
(
しぼり
)
、白百合は潔く、
袂
(
たもと
)
、
鹿
(
か
)
の子は愛々しい。
薩摩
(
さつま
)
、
琉球
(
りゅうきゅう
)
、朝鮮、吉野、花の名の八重百合というのもある。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人は素肌に
双子
(
ふたご
)
の
袷
(
あわせ
)
を着て一方の肩に
絞
(
しぼり
)
の
手拭
(
てぬぐい
)
をかけた
浪爺風
(
あそびにんふう
)
で、一人は紺の
腹掛
(
はらがけ
)
に
半纏
(
はんてん
)
を着て突っかけ
草履
(
ぞうり
)
の大工とでも云うような
壮佼
(
わかいしゅ
)
であった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
所々
綴布
(
つぎ
)
の入つた腰迄の紺の
厚衣
(
あつし
)
を、腹まで見える程ゆるく素肌に着て、細い木綿
絞
(
しぼり
)
の帯を横に結んで、其結目の所に鼠色に垢のついた汗拭を
垂
(
さ
)
げて居た。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
花は白、紫、
絞
(
しぼり
)
などが
咲交
(
さきまじ
)
っていて綺麗でした。始めに咲いて
凋
(
しぼ
)
んだのを取集めると、
掌
(
てのひら
)
に余るほどあります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
▼ もっと見る
曾て堀切の園にありし花大にして
絞
(
しぼり
)
の色さま/″\なるは俗にして品下れり。八幡の村道を行くに女學校門外の溝に黄色の花さきし菖蒲多くあり。西洋種なるべし。
荷風戦後日歴 第一
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
南部の名といつも結ばれるものに「
南部紫
(
なんぶむらさき
)
」があります。紫とは
紫根染
(
しこんぞめ
)
のことで、この紫で今も
絞
(
しぼり
)
を染めているのは、わずか盛岡と花輪だけのようであります。共に
茜
(
あかね
)
でも染めます。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
雑誌の肖像で見た通りの
形装
(
ぎょうそう
)
である。顔は
極
(
きわめ
)
て白く、
脣
(
くちびる
)
は極て赤い。どうも薄化粧をしているらしい。それと並んで
絞
(
しぼり
)
の湯帷子を著た、五十歳位に見える婆あさんが三味線を
抱
(
かか
)
えて控えている。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
商売上のことは大体
頭脳
(
あたま
)
へ入って来たお島は、すっかり後を引受けて
良人
(
おっと
)
を送出したが、意気な白地の
単衣
(
ひとえ
)
物に、
絞
(
しぼり
)
の
兵児帯
(
へこおび
)
をだらりと締めて、深いパナマを
冠
(
かぶ
)
った彼の後姿を見送ったときには
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
初
(
はじ
)
め村中も
倶々
(
とも/″\
)
勸
(
すゝ
)
めて止ざりけり
偖
(
さて
)
も寶澤は願ひの如き身となり
旅
(
たび
)
の
用意
(
ようい
)
もそこ/\に
營
(
いと
)
なみければ村中より
餞別
(
せんべつ
)
として百文二百文分に
應
(
おう
)
じて
贈
(
おく
)
られしに
塵
(
ちり
)
も
積
(
つも
)
りて山の
譬
(
たと
)
へ集りし金は都合八兩貳
歩
(
ぶ
)
とぞ成にける其外には
濱村
(
はまむら
)
ざしの
風呂敷
(
ふろしき
)
或は
柳庫裏
(
やなぎごり
)
笈笠
(
おひがさ
)
蜘
(
くも
)
の
巣
(
す
)
絞
(
しぼり
)
の
襦袢
(
じゆばん
)
など思々の
餞別
(
せんべつ
)
に支度は十分なれば寶澤は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
むき身
絞
(
しぼり
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
、
大肌脱
(
おおはだぬぎ
)
になっていて、綿八丈の襟の左右へ
開
(
はだ
)
けた毛だらけの胸の下から、
紐
(
ひも
)
のついた
大蝦蟇口
(
おおがまぐち
)
を
溢出
(
はみだ
)
させて、揉んでいる。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
十八娘の美しさが、恐怖と激情に
薫蒸
(
くんじょう
)
して、店中に匂うような
艶
(
なまめ
)
かしさ。
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼり
)
の帯も、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
襦袢
(
じゅばん
)
も乱れて、中年男のセピア色の腕にムズと抱えられます。
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
著名な京染の一つに「
絞
(
しぼり
)
」があります。今も昔の店を守るものがあって、よい仕事を見せます。様々な絞染がある中に、特に「
鹿子絞
(
かのこしぼり
)
」の如きは、その美しさで永く
持映
(
もてはや
)
されるものと思います。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
然れども余は不幸にしていまだかつて油画の描きたる日本婦女の
髷
(
まげ
)
及び
頭髪
(
とうはつ
)
に対し、あるひは
友禅
(
ゆうぜん
)
、
絣
(
かすり
)
、
縞
(
しま
)
、
絞
(
しぼり
)
等の衣服の
紋様
(
もんよう
)
に対して、何ら美妙の感覚に触れたる事なく、また
縁側
(
えんがわ
)
、
袖垣
(
そでがき
)
、障子
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
学円 いや、しらげ水は
菖蒲
(
あやめ
)
の
絞
(
しぼり
)
、夕顔の花の化粧になったと見えて、下流の水はやっぱり水晶。ささ濁りもしなかった。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
深川
(
ふかがわ
)
と
吉原
(
よしわら
)
なるとを問わず、あるひは
町風
(
まちふう
)
と屋敷風とを論ぜず、天保以後の浮世絵美人は
島田崩
(
しまだくず
)
しに
小紋
(
こもん
)
の
二枚重
(
にまいがさね
)
を着たるあり、じれつた結びに
半纏
(
はんてん
)
を
引
(
ひっ
)
かけたるあり、
絞
(
しぼり
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を着たるあり
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
身装
(
みなり
)
は構わず、
絞
(
しぼり
)
のなえたので見すぼらしいが、鼻筋の通った、
眦
(
めじり
)
の上った、意気の
壮
(
さかん
)
なることその
眉宇
(
びう
)
の間に
溢
(
あふ
)
れて、ちっともめげぬ立振舞。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あゝ、あの
柳
(
やなぎ
)
に、
美
(
うつくし
)
い
虹
(
にじ
)
が
渡
(
わた
)
る、と
見
(
み
)
ると、
薄靄
(
うすもや
)
に、
中
(
なか
)
が
分
(
わか
)
れて、
三
(
みつ
)
つに
切
(
き
)
れて、
友染
(
いうぜん
)
に、
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞
(
しぼり
)
の
菖蒲
(
あやめ
)
を
被
(
か
)
けた、
派手
(
はで
)
に
涼
(
すゞ
)
しい
裝
(
よそほひ
)
の
婦
(
をんな
)
が三
人
(
にん
)
。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
そ
)
の、
膝
(
ひざ
)
に
萌黄
(
もえぎ
)
の
袖
(
そで
)
を
折掛
(
をりか
)
けて、
突俯
(
つゝぷ
)
した
方
(
はう
)
は、
絞
(
しぼり
)
か
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
か、ふつくりと
緋手柄
(
ひてがら
)
を
掛
(
か
)
けた、もつれ
毛
(
げ
)
はふさ/\と
搖
(
ゆ
)
れつつも、
煙
(
けむり
)
を
分
(
わ
)
けた
鬢
(
びん
)
の
艶
(
つや
)
、
結綿
(
ゆひわた
)
に
結
(
ゆ
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
羽二重の
紅
(
くれない
)
なるに、緋で渦巻を絞ったお千世のその長襦袢の
絞
(
しぼり
)
が濃いので、乳の下、
鳩尾
(
みずおち
)
、窪みに陰の
映
(
さ
)
すあたり、
鮮紅
(
からくれない
)
に血汐が染むように見えた——俎に出刃を控えて
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
黒の
唐繻子
(
とうじゅす
)
と、
薄鼠
(
うすねずみ
)
に納戸がかった絹ちぢみに宝づくしの
絞
(
しぼり
)
の入った、腹合せの帯を漏れた、
水紅色
(
ときいろ
)
の
扱帯
(
しごき
)
にのせて、美しき手は
芙蓉
(
ふよう
)
の
花片
(
はなびら
)
、風もさそわず無事であったが
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
姿こそ
服装
(
なり
)
こそ変りますが、いつも人柄に似合わない、あの、
仰向
(
あおむ
)
けに結んで、
緋
(
ひ
)
や、浅黄や、
絞
(
しぼり
)
の
鹿
(
か
)
の子の
手絡
(
てがら
)
を組んで、黒髪で巻いた
芍薬
(
しゃくやく
)
の
莟
(
つぼみ
)
のように、
真中
(
まんなか
)
へ
簪
(
かんざし
)
をぐいと挿す
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一人の
少
(
わか
)
い方は、
洋傘
(
こうもり
)
を片手に、片手は、はたはたと扇子を使い使い来るが、扇子面に広告の描いてないのが
可訝
(
おかし
)
いくらい、何のためか知らず、
絞
(
しぼり
)
の
扱帯
(
しごき
)
の
背
(
せなか
)
に漢竹の節を詰めた、
杖
(
ステッキ
)
だか、
鞭
(
むち
)
だか
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それをその
少
(
わか
)
い貴婦人てった高島田のが、片手に控えて
縋
(
すが
)
っています……もう笠は外して脊へ掛けて……
絞
(
しぼり
)
の
紅
(
あか
)
いのがね、
松明
(
たいまつ
)
が揺れる度に、雪に薄紫に
颯
(
さっ
)
と
冴
(
さ
)
えながら、
螺旋
(
らせん
)
の
道条
(
みちすじ
)
にこう
畝
(
うね
)
ると
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
垢抜
(
あかぬけ
)
して色の浅黒いのが、
絞
(
しぼり
)
の浴衣の、
糊
(
のり
)
の落ちた、しっとりと露に湿ったのを
懊悩
(
うるさ
)
げに
纏
(
まと
)
って、
衣紋
(
えもん
)
も
緩
(
くつろ
)
げ、左の手を二の腕の見ゆるまで
蓮葉
(
はすは
)
に
捲
(
まく
)
ったのを膝に置いて、それもこの売物の広告か
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
藍、浅葱、
朱鷺色
(
ときいろ
)
と、
鹿子
(
かのこ
)
と、
絞
(
しぼり
)
と、紫の
匹田
(
ひった
)
と、ありたけの
扱帯
(
しごき
)
、腰紐を一つなぎに、夜の虹が化けたように、
婦
(
おんな
)
の
乳
(
ち
)
の下から腰に
絡
(
まつ
)
わり、裾に
搦
(
から
)
んで。……下に膝をついた私の肩に流れました。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その都度秘蔵娘のお桂さんの
結綿
(
ゆいわた
)
島田に、
緋鹿子
(
ひがのこ
)
、
匹田
(
ひった
)
、
絞
(
しぼり
)
の
切
(
きれ
)
、色の白い
細面
(
ほそおもて
)
、目に
張
(
はり
)
のある、眉の優しい、純下町風俗のを、山が育てた白百合の精のように、袖に包んでいたのは言うまでもない。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“絞(
絞首刑
)”の解説
絞首刑(こうしゅけい)とは、死刑の一種で、絞殺する刑罰である。絞死刑(こうしけい)または絞殺刑(こうさつけい)ともいう。
(出典:Wikipedia)
絞
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“絞”を含む語句
絞殺
絞首台
鳴海絞
豆絞
子絞
角絞
絞木
一絞
絞盤
絞首
絞臺
紺絞
揚錨絞盤
緋鹿子絞
鹿子絞
振絞
絞罪
絞染
絞出
取絞
...