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経
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ふ
ふりがな文庫
“
経
(
ふ
)” の例文
旧字:
經
これも、有を転じて無となすべからざる大原則にもとづくものにして、ただ年をへ、時を
経
(
ふ
)
る間に、その状態を変ずるまでであります。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
一、句数五千一万の多きに至らずとも、才能ある人は数年の星霜を
経
(
ふ
)
る間には自然と発達して、
何時
(
いつ
)
の間にか第二期に
入
(
い
)
りをる事多し。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
たとえ
敬虔
(
けいけん
)
の意と誠実の態度とにおいてはあえて彼を
凌
(
しの
)
ぐことを
得
(
う
)
という能わざらんも人の耳を
経
(
ふ
)
ること多からず人の口と筆とを
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「これは万歳と申しまして、鶴は千年の
寿
(
よわい
)
を延べ、亀は
万年
(
まんねん
)
を
経
(
ふ
)
るとかや、それに則った
万歳楽
(
まんざいらく
)
、ご覧なされい、ご覧なされい」
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼らが凡人よりも早く事物の要点を見る
明晰
(
めいせき
)
の頭脳を有することは疑いなきも、また凡人の
窺知
(
きち
)
し得ざる苦労を
経
(
ふ
)
るのである。
光圀卿
(
みつくにきょう
)
の
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
袈裟や法衣をつけている者の正体はたしかに年
経
(
ふ
)
る狐に相違なかった。死体の傍には
数珠
(
じゅず
)
も落ちていた。小さい折本の観音経も落ちていた。
半七捕物帳:25 狐と僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
松の二葉よ
千年
(
ちとせ
)
経
(
ふ
)
るまで〽筆でかくとも絵にうつすとも更らにつきせじ松しまの波はうつらふ月の影しまの数シン知れぬ……。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
少しく
安堵
(
あんど
)
の思ひをなし、忍び忍びに里方へ出でて、それとなく様子をさぐれば、その
痍
(
きず
)
意外
(
おもいのほか
)
重くして、日を
経
(
ふ
)
れども
愈
(
い
)
えず。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
神の如き性を
有
(
たも
)
つこと多ければ、戦ひは人の如き性を倒すまでは休まじ、休むも一時にして、程
経
(
ふ
)
れば更に戦はざる能はず。
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
深山
(
しんざん
)
の
孤家
(
ひとつや
)
に
白痴
(
ばか
)
の
伽
(
とぎ
)
をして
言葉
(
ことば
)
も
通
(
つう
)
ぜず、
日
(
ひ
)
を
経
(
ふ
)
るに
従
(
したが
)
ふてものをいふことさへ
忘
(
わす
)
れるやうな
気
(
き
)
がするといふは
何
(
なん
)
たる
事
(
こと
)
!
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それが時間を
経
(
ふ
)
ると、相当の意義を
齎
(
もたら
)
して来ることもあるのだから、どうも仕方がない、御意のままに任せるよりほかは——
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
何処
(
どこ
)
から
取付
(
とりつい
)
て
宜
(
い
)
いか実に
訳
(
わ
)
けが分らない。
併
(
しか
)
し年月を
経
(
ふ
)
れば何か英書を読むと云う
小口
(
こぐち
)
が立つに違いないが、今の処では何とも仕方がない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
しかしこれは「芭蕉自身の明日」を指した言葉であらう。と云ふのはつまり五六年も
経
(
ふ
)
れば、芭蕉自身の俳諧は一変化すると云ふ意味であらう。
芭蕉雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日を
経
(
ふ
)
るにしたがって、その気持はますます深まり、今ではもう切っても切れない親しさにむすびついてしまいました。
フランダースの犬
(新字新仮名)
/
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー
(著)
利休の指点したものは、それが
塊然
(
かいぜん
)
たる一陶器であっても一度その指点を
経
(
ふ
)
るや金玉ただならざる物となったのである。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
だが日を
経
(
ふ
)
るにしたがって新校長の
実践躬行
(
じっせんきゅうこう
)
的な人格は全校を圧し、町を圧しいまではだれひとり尊敬せぬものはない。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
兵法は
叡智
(
えいち
)
であり文化である。民度の高さもそれで分る。七日十日と日を
経
(
ふ
)
るに従って、彼らの単純な思い上がりは
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ですが、段々日を
経
(
ふ
)
るに従って、彼の頭にいろいろな疑いが起りました。やたらむしょうに突いたが、肉体を突刺したような手応えは一度もなかった。
深夜の客
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
かくて年月を
経
(
ふ
)
るうちに鉄の如くなりしわが腕の筋も、連日連夜の遊楽に疲れけむ。やう/\に弱り行く心地しつ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かくて幾月かを
経
(
ふ
)
る内に自分は、仏像や菩薩像の作家がこの最も清浄な人体の美しさを捕えたのに相違ないことを
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
それが病気の加減で頭がだんだん鈍くなるのか何だか、日を
経
(
ふ
)
るに従って、無精な
排泄
(
はいせつ
)
を意としないようになった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(3) 国債ヲ
起
(
おこ
)
シ及予算ニ定メタルモノヲ除ク
外
(
ほか
)
国庫ノ負担トナルヘキ契約ヲ
為
(
な
)
スハ帝国議会ノ協賛ヲ
経
(
ふ
)
ヘシ
大日本帝国憲法
(旧字旧仮名)
/
日本国
(著)
勝気な彼女の
反撥心
(
はんぱつしん
)
は、この忘れかねる、人間のさいなみにあって、
弥更
(
いやさら
)
に、世を
経
(
ふ
)
るには
負
(
まけ
)
じ
魂
(
だましい
)
を
確固
(
しっかり
)
と持たなければならないと思いしめたであろうと——
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
猶
逗
(
とど
)
まりて
三八
いたはり給へと、
実
(
まこと
)
ある詞を便りにて
日比
(
ひごろ
)
経
(
ふ
)
るままに、
三九
物みな
平生
(
つね
)
に
邇
(
ちか
)
くぞなりにける。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
依て叺を
脊負
(
せおい
)
て袋を前にかけて歩行するも前の如く困苦にて、僅に三十間或は四十間ばかりにて休息するが故に、六七町なるの帰路は一時間余を
経
(
ふ
)
るに至れり。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
越え
千年
(
ちとせ
)
経
(
ふ
)
る 宮居が址に なづさへば
念
(
も
)
ひのことごと よろづ代に
念
(
も
)
ひ
告
(
の
)
らすごと
仄暗
(
ほのくら
)
の 高どのぬちに
霊
(
くす
)
しくも 光りいませる
救世
(
くせ
)
のみほとけ
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
「死刑ノ宣告ヲ受タル婦女懐胎ナルトキハ
其
(
その
)
執行ヲ
停
(
とど
)
メ分娩後一百日ヲ
経
(
ふ
)
ルニアラザレバ刑ヲ行ズ」
遺伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
あれほど大きな悲しみに
逢
(
あ
)
ったあとでも年月が
経
(
ふ
)
ればあきらめというものが出てくるものなのであろう、悲しみにも時が限りを示すものであると私はその時見ました。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
彼は
四度
(
よたび
)
の文をも例の灰と棄てて顧ざりしに、日を
経
(
ふ
)
ると思ふ程も無く、
五度
(
いつたび
)
の文は来にけり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そして、日が
経
(
ふ
)
るにつれて、段々その感じが深くなって行った。でなければ、宿も違い、身分も違う二人が、僅か数日の間にこんなに親しくなる筈がないと井原氏は思った。
二癈人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これ従来の貧民
救恤
(
きゅうじゅつ
)
と全くその精神を異にするところにして、かかる思想が法律の是認を
経
(
ふ
)
るに至りたる事は、けだし近代における権利思想の一転期を画すべきものである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
路傍の
一里塚
(
いちりづか
)
も後になりて、年
経
(
ふ
)
りし松が枝も此方を見送り、柳の糸は旅衣を
牽
(
ひ
)
き、梅の花は裳に散り、
鶯
(
うぐいす
)
の声も後より慕えり、若菜摘める少女ら、
紙鳶
(
たこ
)
あげて遊べる童子ら
空家
(新字新仮名)
/
宮崎湖処子
(著)
わが身の手にて取出す力なくなり候事なれば、誰を怨むにも及ばざる事に候間、月日を
経
(
ふ
)
るに従ひ、これぞ
正
(
まさ
)
しく
因果
(
いんが
)
応報の
戒
(
いましめ
)
なるべくやと、自然に観念致すように相なり申候。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ハクストハウセン説に、トランスカウカシア辺で伝えたは、蛇中にも貴族ありて人に見られずに二十五歳
経
(
ふ
)
れば竜となり、諸多の動物や人を
紿
(
あざむ
)
き殺すためその頭を何にでも変じ得。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
百年の相識に別れた如く
何
(
なに
)
となく心
淋
(
さび
)
しかッたが……それも
日数
(
ひかず
)
を
経
(
ふ
)
る
随
(
まま
)
に忘れてしまッたのに、今また思い懸けなく一ッ家に
起臥
(
おきふし
)
して、折節は
狎々
(
なれなれ
)
しく物など言いかけられて見れば
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
菟原
(
うはら
)
住吉祠に詣り海辺の田圃を
経
(
ふ
)
る。村中醸家おほし。
木筧
(
もくけん
)
曲直
(
きよくちよく
)
して水を引こと遠きよりす。一望の中武庫摩耶の諸山近し。生田祠に
詣
(
いた
)
る。此日祠堂落成
遷神
(
せんしん
)
す。社前の小流生田川と名く。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
こういう
傲慢
(
ごうまん
)
な、我が
儘
(
まま
)
な根性は、前から彼女にあったのであるか、
或
(
あるい
)
は私が甘やかし過ぎた結果なのか、いずれにしても日を
経
(
ふ
)
るに従ってそれがだんだん
昂
(
こう
)
じて来つつあることは明かでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一事件を
経
(
ふ
)
る度に二人が胸中に湧いた恋の卵は
層
(
かさ
)
を増してくる。機に触れて交換する双方の意志は、
直
(
ただち
)
に互いの胸中にある例の卵に至大な養分を給与する。今日の日暮はたしかにその機であった。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
たとえば「僧やや寒く寺に帰るか」「
猿引
(
さるひ
)
きの猿と世を
経
(
ふ
)
る秋の月」
映画芸術
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
なお「ぬばたまの夜渡る月を幾夜
経
(
ふ
)
と
数
(
よ
)
みつつ
妹
(
いも
)
は我待つらむぞ」(巻十八・四〇七二)、「居りあかし今宵は飲まむほととぎす明けむあしたは鳴きわたらむぞ」(同・四〇六八)というのがあり
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
『ドクター・キドは失踪後五日を
経
(
ふ
)
るも、何等消息発見されず!』
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
世世
経
(
ふ
)
とも法に仕へん身にしあれば
有漏路
(
うろぢ
)
の塵に心染めざれ
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
だん/\日を
経
(
ふ
)
るに従ひ格別苦にもならぬやうに
相成候
(
あひなりそろ
)
。
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
さる
引
(
ひき
)
の猿と世を
経
(
ふ
)
る秋の月 蕉
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
神柄
(
かむがら
)
や、
幾万
(
いくよろづ
)
、
年
(
とし
)
経
(
ふ
)
りましき
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
おのれも知らず世を
経
(
ふ
)
れば
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「こは
訝
(
いぶ
)
かし、路にや迷ふたる」ト、
彼方
(
あなた
)
を
透
(
すか
)
し見れば、年
経
(
ふ
)
りたる
榎
(
えのき
)
の
小暗
(
おぐら
)
く茂りたる陰に、これかと見ゆる洞ありけり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
その内には、とまた四五日、半月、一月を
経
(
ふ
)
るうちに、早いものよ、足掛け三年。——君に
逢
(
あ
)
うまで、それさえ忘れた。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
和歌は『万葉』以来、『新古今』以来、一時代を
経
(
ふ
)
るごとに一段の堕落を為したる者、
真淵
(
まぶち
)
出で
僅
(
わずか
)
にこれを挽回したり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
遷都
(
せんと
)
以後、日を
経
(
ふ
)
るに従って、長安の都は、おいおいに王城街の繁華を呈し、秩序も大いにあらたまって来た。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
経
常用漢字
小5
部首:⽷
11画
“経”を含む語句
経緯
経験
経過
御経
神経
聖経
読経
誦経
法華経
経歴
諷経
月経
経立
経営者
経文
看経
年経
山海経
経上
経来
...