トップ
>
真赤
>
まっか
ふりがな文庫
“
真赤
(
まっか
)” の例文
旧字:
眞赤
日が小豆島の
向
(
むこ
)
うに落ちたと思うと、あらぬ
方
(
かた
)
の空の獅子雲が
真赤
(
まっか
)
に日にやけているのを見る。天地が何となく沈んで
落着
(
おちつ
)
いて来る。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
ゴンゴラ総指揮官が
真赤
(
まっか
)
になって金博士の方に振返った時には、既に博士の姿は卓上の酒壜と共に、かき消すように消え
失
(
う
)
せていた。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
無表情な黄金仮面の口から顎にかけて、
一筋
(
ひとすじ
)
タラリと
真赤
(
まっか
)
な液体が流れ、その口が商人に向って、ニヤリと笑いかけたというのだ。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
真赤
(
まっか
)
な
達磨
(
だるま
)
が
逆斛斗
(
さかとんぼ
)
を打った、忙がしい世の
麺麭屋
(
パンや
)
の看板さえ、遠い鎮守の鳥居めく、
田圃道
(
たんぼみち
)
でも通る思いで、江東橋の停留所に着く。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「御謙遜では……恐れますから……どうか」主人は
真赤
(
まっか
)
になって口をもごもご云わせている。精神修養もあまり効果がないようである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「まア、どうぞ御免なすって……。」と銀杏返は顔を
真赤
(
まっか
)
に腰をかがめて会釈しようとすると、電車の動揺でまたよろけ掛ける。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「そんなむつかしい本が分るかい」ときいても「分るさ、面白いよ」と言いながら、
頬
(
ほお
)
を
真赤
(
まっか
)
に上気させ、ふり向きもしないで読んでいる。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
妙に似合わない扇だと思って、自身のに替えて
源典侍
(
げんてんじ
)
のを見ると、それは
真赤
(
まっか
)
な地に、青で厚く森の色が塗られたものである。
源氏物語:07 紅葉賀
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
顔を
真赤
(
まっか
)
にし、眼に涙を
溜
(
た
)
め、彼は土竜に
唾
(
つば
)
をひっかける。それから、すぐそばの石の上を目がけて、力まかせに
叩
(
たた
)
きつける。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
咎
(
とが
)
めるように言うのに、私は「いや……」と
遮
(
さえぎ
)
り、
羞恥
(
しゅうち
)
で
真赤
(
まっか
)
になりながら「いや僕は、な、なにも……」と
吃
(
ども
)
って言った。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
……いよいよ
磔刑獄門
(
はりつけごくもん
)
ときまったところ、南から再吟味を願い出られ、そのすえ、これが
真赤
(
まっか
)
な無実だったなどとなったら、あなたは腹切だ。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「
昨日
(
きのう
)
の
葡萄
(
ぶどう
)
はおいしかったの。」と問われました。僕は顔を
真赤
(
まっか
)
にして「ええ」と白状するより仕方がありませんでした。
一房の葡萄
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
お嬢様は手を握られ
真赤
(
まっか
)
に成って、又その手を握り返している。
此方
(
こちら
)
は山本志丈が新三郎が便所へ
行
(
ゆ
)
き、余り手間取るを
訝
(
いぶか
)
り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
クリストフはうれしさに
真赤
(
まっか
)
になりながら、ハスレルの賛辞は自分にたいしてなされてるのだと思わずにはいられなかった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかも玉次郎を
殴
(
なぐ
)
った玉造もかつて師匠金四のために十郎兵衛の人形をもって頭を叩き割られ人形が血で
真赤
(
まっか
)
に
染
(
そ
)
まった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と、
急
(
きゅう
)
に
来
(
き
)
た
人
(
ひと
)
の
院長
(
いんちょう
)
だと
解
(
わか
)
ったので、
彼
(
かれ
)
は
全身
(
ぜんしん
)
を
怒
(
いかり
)
に
顫
(
ふる
)
わして、
寐床
(
ねどこ
)
から
飛上
(
とびあが
)
り、
真赤
(
まっか
)
になって、
激怒
(
げきど
)
して、
病室
(
びょうしつ
)
の
真中
(
まんなか
)
に
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
て
突立
(
つった
)
った。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
と母は
真赤
(
まっか
)
になりながら云ったが、
小作米
(
とくまい
)
とりの、源しゃんのおふくろは、鼻のさきであしらって、とり合わなかった。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
奥殿の床板は
塵埃
(
ちりほこり
)
の山を
為
(
な
)
し、一方には古びた
巨
(
おお
)
太鼓が
横
(
よこた
)
わり、正面には三尺四方程の
真赤
(
まっか
)
な恐ろしい天狗の面がハッタとこちらを睨んでござる。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
女の子の着物は
真赤
(
まっか
)
であった。灸の母は婦人と女の子とを連れて二階の五号の部屋へ案内した。灸は女の子を見ながらその後からついて上ろうとした。
赤い着物
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
五六 上郷村の何某の家にても川童らしき物の子を
産
(
う
)
みたることあり。
確
(
たしか
)
なる証とてはなけれど、
身内
(
みうち
)
真赤
(
まっか
)
にして口大きく、まことにいやな子なりき。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
新年に、私が出掛けようとした時、うちの運転手の知合いの者が、自動車の助手席で、鬼のような
真赤
(
まっか
)
な顔をして、ぐうぐう大いびきで眠っていましたの。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しばらくすると、ごーと山
鳴
(
な
)
りがしてきまして、
向
(
むこ
)
うの
茂
(
しげ
)
みの
間
(
あいだ
)
から、
樽
(
たる
)
のように大きな
大蛇
(
おろち
)
が、
真赤
(
まっか
)
な
舌
(
した
)
をぺろりぺろりだしながら、ぬっと
現
(
あら
)
われでました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
脛
(
すね
)
は
鍼
(
はり
)
でも刺されるようであったし、こむらは筋金でもはいっているようだった。顔は
真赤
(
まっか
)
に充血して、
額
(
ひたい
)
や鼻や頬や、襟首からは、汗がぽたぽたと
滴
(
したた
)
り落ちた。
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
並木の通りを荷物の山を越えて逃げ雷門へ来て見れば、広小路も
早
(
はや
)
真赤
(
まっか
)
になって
火焔
(
かえん
)
が
渦
(
うず
)
を巻いている。
幕末維新懐古談:13 浅草の大火のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
すると不思議なことには赤鸚鵡が
忽
(
たちま
)
ち姫の前の金網へ飛び付いて、姫の顔を
真赤
(
まっか
)
な眼で見つめながら——
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
Cさんのお
家
(
うち
)
の前を通ったら、Cさんの裏の井戸端で、雨が降ってるのに
手拭
(
てぬぐい
)
を
被
(
かぶ
)
って、手を
真赤
(
まっか
)
にしてお米を
磨
(
と
)
いでいらしたの、あたしほんとにお気の毒になっちゃって
大きな手
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
そういう言葉をちょっとでも
洩
(
もら
)
そうものなら、それが故意であろうと無かろうと、阿Qはたちまち頭じゅうの禿を
真赤
(
まっか
)
にして怒り出し、相手を見積って、無口の奴は言い負かし
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
赤の飯、
刻鰑
(
きざみするめ
)
菎蒻
(
こんにゃく
)
里芋蓮根の
煮染
(
にしめ
)
、豆腐に芋の汁、はずんだ家では
菰冠
(
こもかぶ
)
りを一樽とって、主も客も
芽出度
(
めでたい
)
と云って飲み、万歳と云っては食い、満腹満足、
真赤
(
まっか
)
になって祝うのだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
実に
嘲弄
(
ちょうろう
)
し切ったもので、しかも、右近の足は、さっき
殺
(
や
)
ったのか、
真赤
(
まっか
)
に染まって
四肢
(
てあし
)
や顔が
青絵具
(
あおえのぐ
)
のような青い屍骸をひとつ、踏まえているのだ。見ると、日向一学である。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
何か知らんとテントの内へ入って見ますとその菩薩のような美人の妻君は夜叉のような顔になって角は生えて居らなかったけれど
真赤
(
まっか
)
な顔になってラマに対して悪口を言って居る。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
あの
真赤
(
まっか
)
な湯文字を、巧みに飜がえして、眼の前に泳ぎ寄る蒼白い水中の裸女の美は、彼景岡秀三郎の頭の中の、総ての感覚を押しのけて、ハッキリと烙印されて仕舞ったのでした。
足の裏
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
と同時にまた一箇所僧院の彼方に
真赤
(
まっか
)
な火柱が立った。焼けているのは納屋らしい。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
(間。娘
行
(
ゆ
)
かんとす。)それからなあ。ついでに少し果物を取ってきてくれい。春ばかりでは物足りない。夏もいるからなあ。
柑子
(
こうじ
)
が好い。よく
真赤
(
まっか
)
に熟したのを買ってきてくれい。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
中空をつよく
睨
(
にら
)
みつけて、顔じゅうを
真赤
(
まっか
)
にしたまま彼はじっと動かなかった。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
大きな門柱から
鉄柵
(
てつさく
)
が
蜿蜒
(
えんえん
)
と
列
(
つら
)
なって、その柵の間から見えるゆるやかな
斜面
(
スロープ
)
の庭には
遥
(
はる
)
かの
麓
(
ふもと
)
まで一面の緑の芝生の処々に、血のように
真赤
(
まっか
)
な
躑躅
(
つつじ
)
や
五月
(
さつき
)
が、今を盛りと咲き誇っています。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
鸚鵡
(
おうむ
)
返しにこんな挨拶をしながら、薬局生はうずたかい柚を掻きわけて流し場へ出た。それから
水船
(
みずぶね
)
のそばへたくさんの小桶をならべて、
真赤
(
まっか
)
に
茹
(
ゆで
)
られた胸や手足を石鹸の白い泡に埋めていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
敵の
刃
(
やいば
)
の下で、
真赤
(
まっか
)
に血を浴びた子路が、
最期
(
さいご
)
の力を
絞
(
しぼ
)
って
絶叫
(
ぜっきょう
)
する。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
井村は
真赤
(
まっか
)
になって刀の
柄
(
つか
)
に手をかけると、兵馬はそれを制し
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
倭文子も、
真赤
(
まっか
)
になりながら、村川につづいて出た。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ここに照る月、輝く日は、
兀
(
は
)
げた金銀の雲に乗った、
土御門家
(
つちみかどけ
)
一流易道、と
真赤
(
まっか
)
に目立った看板の路地から
糶出
(
せりだ
)
した、そればかり。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鶯色
(
うぐいすいろ
)
のコートに、お定りの
狐
(
きつね
)
の
襟巻
(
えりまき
)
をして、
真赤
(
まっか
)
なハンドバッグをクリーム色の手袋の
嵌
(
はま
)
った優雅な両手でジッと押さえていた。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
田舎
(
いなか
)
風に
真赤
(
まっか
)
な
掻練
(
かいねり
)
を下に着て、これも
身体
(
からだ
)
は太くなっていた。それを見ても自身の年が思われて、右近は恥ずかしかった。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
と是から萩原束が
真赤
(
まっか
)
に酔って、耳のあたりまで
真黒
(
まっくろ
)
に
頬髭
(
ほゝひげ
)
の生えている
顔色
(
がんしょく
)
は、
赤狗
(
あかいぬ
)
が胡麻汁を喰ったようでございます。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ところを人の味淋だと思って一生懸命に飲んだものだから、さあ大変、顔中
真赤
(
まっか
)
にはれ上ってね。いやもう
二目
(
ふため
)
とは見られないありさまさ……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
真赤
(
まっか
)
な火が目に
映
(
うつ
)
ったので、おどろいて両方の目をしっかり開いて見たら、
戸
(
と
)
だなの中じゅうが火になっているので、二度おどろいて飛び起きた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
老人
(
ろうじん
)
は彼を
引寄
(
ひきよ
)
せた。クリストフはその
膝
(
ひざ
)
に
身体
(
からだ
)
を
投
(
な
)
げかけ、その
胸
(
むね
)
に顔をかくした。彼は
嬉
(
うれ
)
しくて
真赤
(
まっか
)
になっていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
馬
(
うま
)
を
附
(
つ
)
けるのに
手間
(
てま
)
が
取
(
と
)
れるとかと
力
(
りき
)
んで、
上句
(
あげく
)
には、
何
(
いつ
)
も
黙
(
だま
)
れとか、
彼
(
か
)
れこれ
云
(
い
)
うな、とかと
真赤
(
まっか
)
になって
騒
(
さわぎ
)
を
返
(
かえ
)
す。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
梔子色
(
くちなしいろ
)
の
綾織金紗
(
あやおりきんしゃ
)
の羽織を
襲
(
かさ
)
ねて白い
肩掛
(
かたかけ
)
に
真赤
(
まっか
)
なハンドバックを持ち、もう一度顔を直すつもりで鏡の前に坐った。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
二人共
真赤
(
まっか
)
になって、やや正気を失った形で、それ
故
(
ゆえ
)
、大した羞恥を感じることもなく、そのホテルのカウンタアの前に立つことが出来たのであった。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その内に一時間位はウットリしたのであろう。なんだか悪魔に腰骨でも蹴られたような夢を見てハット驚き目を
開
(
あ
)
くと、眼前には
真赤
(
まっか
)
な恐ろしい天狗の面。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
赤
常用漢字
小1
部首:⾚
7画
“真赤”で始まる語句
真赤色
真赤裸