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こと/″\
しばらくすると、
此の
毛蟲が、
盡く
眞白な
蝶になつて、
枝にも、
葉にも、
再び
花片を
散らして
舞つて
亂るゝ。
幾千とも
數を
知らない。
この
時大地の
開閉によつて
土民は
勿論、
彼等の
飼つてゐた
畜類は
牛馬、
駱駝等に
至るまで
盡くそれに
吸ひ
込まれ、
八千乃至一萬の
人口を
有してをつたこの
部落は
其ために
跡方もなく
失はれたといふ。
何故となれば
昨日までは、
如何に
重要な
事にしろ、
櫻木大佐が
或秘密をば
其胸に
疊んで
私に
語らぬと
思ふと、
多少不快の
感の
無いでもなかつたが、
今は
秘密造船所の
事も、
海底戰鬪艇の
事も
盡く
分り
彼堆く
積める
蛇の
屍も、
彼等將に
去らむとするに
際しては、
穴を
穿ちて
盡く
埋むるなり。さても
清風吹きて
不淨を
掃へば、
山野一點の
妖氛をも
止めず。
かくて
餘物を
覩るや。
皆丘山もたゞならず、
乃ち
自ら
射る。
射るに
從うて、
𥶡盡く
蟲の
心を
貫く。
以て
飛衞に
告ぐ。
先生、
高踏して
手を
取つて
曰く、
汝得之矣。
木の
葉落ち
落ちて
森寂に、
風留むで
肅殺の
氣の
充つる
處、
枝は
朱槍を
横へ、
薄は
白劍を
伏せ、
徑は
漆弓を
潛め、
霜は
鏃を
研ぐ。
峻峰皆將軍、
磊嚴盡く
貔貅たり。
それでも、
誰もが、
此の
御老體に
救はれた
如くに
感じて、
盡く
前者の
暴言を
怨んだ。——
處で、その
鐵棒をついた
凸がと
言ふと、
右禪門の
一家、……どころか、
忰なのだからおもしろい。
唯見ると、
渡過ぐる
一方の
岸は、
目の
下に
深い
溪河——
即ち
摺上川——の
崖に
臨んで、づらりと
並んだ
温泉の
宿の
幾軒々々、
盡く
皆其の
裏ばかりが……
三階どころでない、
五階七階に、
座敷を
重ね
傾いて
居るが
盡く
一樣な
向にではなく、
或ものは
南の
方へ、
或ものは
北の
方へ、また
西の
方へ、
東の
方へ、てん/″\ばら/\になつて、
此風のない、
天の
晴れた、
曇のない、
水面のそよ/\とした
冢を
出でんとするに、
矢あり、
蝗の
如く
飛ぶ。
南房の
人形氏、
矢繼早に
射る
處、
小賊皆倒る。
陽知春一人のみ
命を
全うすることを
得て、
取り
得たる
寶貝は
盡くこれを
冢に
返す。
官も
亦後、
渠を
許しつ。