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残酷
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ざんこく
ふりがな文庫
“
残酷
(
ざんこく
)” の例文
旧字:
殘酷
そして、無意識な
残酷
(
ざんこく
)
さで自分の痛いきずにさわろうとしているのだ。二人はあらゆる好意にみちた言葉を自分になげかけるだろう。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
この
残酷
(
ざんこく
)
なじょうだんが
罰
(
ばっ
)
せられないはずの子どもたちみんなを
笑
(
わら
)
わせた。それからほかの子どもたちも一人一人
勘定
(
かんじょう
)
をすました。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そこで
執事
(
しつじ
)
ウィックスティード氏は、鉄棒の化けものの
猛反撃
(
もうはんげき
)
をくった。ただ、
残酷
(
ざんこく
)
としか言いようのない、
無残
(
むざん
)
な
殺
(
ころ
)
されようであった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
前に挙げた貧しい盲人の弟子のような
残酷
(
ざんこく
)
な目に
遭
(
あ
)
った者は一人や二人ではなかったというまた利太郎ほど厚かましくはないにしても佐助を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これが、
他
(
た
)
の
日
(
ひ
)
であったら、あるいは、このはちを
殺
(
ころ
)
したかもしれません。しかし、いまは、そんな、
残酷
(
ざんこく
)
な
心持
(
こころも
)
ちにはなれなかったのです。
サーカスの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
とにかく
博士
(
せんせい
)
と来たら、
興
(
きょう
)
が乗れば、敵と味方との区別なんかもう
滅茶苦茶
(
めちゃくちゃ
)
で、科学の力を
残酷
(
ざんこく
)
に発揮せられますからなあ。
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
成経
重盛
(
しげもり
)
が
懇願
(
こんがん
)
したからです。しかし結果は
残酷
(
ざんこく
)
ないたずらと同じになりました。ちょうど中を
隔
(
へだ
)
てた一つの
檻
(
おり
)
に親子の
獣
(
けもの
)
をつなぐように。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
まだ
暑
(
あつ
)
い
空氣
(
くうき
)
を
冷
(
つめ
)
たくしつゝ
豪雨
(
がうう
)
が
更
(
さら
)
に
幾日
(
いくにち
)
か
草木
(
くさき
)
の
葉
(
は
)
を
苛
(
いぢ
)
めては
降
(
ふ
)
つて/\
又
(
また
)
降
(
ふ
)
つた。
例年
(
れいねん
)
の
如
(
ごと
)
き
季節
(
きせつ
)
の
洪水
(
こうずゐ
)
が
残酷
(
ざんこく
)
に
河川
(
かせん
)
の
沿岸
(
えんがん
)
を
舐
(
ねぶ
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
盗みという事も盛んにやるが、それかといって人を殺すような
残酷
(
ざんこく
)
な事をする
野蛮人
(
やばんじん
)
でもない。ごく温順な野蛮人である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
啓吉は、最初その場所
外
(
はず
)
れの笑いの意味が、分らなかった。いかに好奇心のみの、群衆とは云え屍体の上るのを見て、笑うとは余りに、
残酷
(
ざんこく
)
であった。
死者を嗤う
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは恋しいと云うよりも、もっと
残酷
(
ざんこく
)
な感情だった。
何故
(
なぜ
)
男が彼女の所へ、突然足踏みもしなくなったか、——その訳が彼女には呑みこめなかった。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしそれは誘惑には違いないが、それだけの好奇心でおぬいさんの心を俺の方に眼ざめさすのは
残酷
(
ざんこく
)
だ。……
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
母さんはそんなことしないよ、そんな
残酷
(
ざんこく
)
ないじめかたは……。(ルピック夫婦は、背中を向き合わせる)
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
この頃、二人扶持が、どんなに
残酷
(
ざんこく
)
な、人間の生活費であるかは、草雲の生れた折の話で分るのである。しかし、伝えられる説と私の解釈とは、違うのであるが——
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
嬲
(
なぶ
)
るな。
人
(
ひと
)
が
生死
(
いきしに
)
の
間
(
あひだ
)
に
彷徨
(
さまよ
)
ふ
処
(
ところ
)
を、
玩弄
(
おもちや
)
にするのは
残酷
(
ざんこく
)
だ。
貴様
(
きさま
)
たちにも
釘
(
くぎ
)
の
折
(
をれ
)
ほど
情
(
なさけ
)
が
有
(
あ
)
るなら、
一思
(
ひとおも
)
ひに
殺
(
ころ
)
して
了
(
しま
)
へ。さあ、
引裂
(
ひきさ
)
け、
片手
(
かたて
)
を
捥
(
も
)
げ……」とはたと
睨
(
にら
)
む。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
リゼットが始めて彼に
捉
(
とら
)
えられてサン・ラザールの
館
(
シャトウ
)
——
即
(
すなわ
)
ち
牢屋
(
ろうや
)
へ送り込まれるときには
生鳥
(
いけどり
)
の
鶉
(
うずら
)
のように大事にされた。真に
猟
(
りょう
)
を愛する
猟人
(
かりうど
)
は
獲
(
え
)
ものを
残酷
(
ざんこく
)
に扱うものではない。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
自分ではそれと気づかぬ何か
残酷
(
ざんこく
)
めいた好奇心に釣られてのことかもしれません。
アド・バルーン
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
主人は
以上
(
いじょう
)
の話を
総合
(
そうごう
)
してみて、
残酷
(
ざんこく
)
な
悲惨
(
ひさん
)
な
印象
(
いんしょう
)
を自分の
脳裏
(
のうり
)
に
禁
(
きん
)
じえない。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
何しろ、神様の金だから、あらたかな
御利益
(
ごりやく
)
はあるに違ひない。神は
残酷
(
ざんこく
)
なほど公平だ……。雨樋から
溢
(
あふ
)
れるやうな雨音を聞いてゐると、富岡は、一晩ぢゆうでも酒を飲みたくなるのだ。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
海を眺めに行ったのです。あとに残ったあなたの
淋
(
さび
)
しい表情が、形容のつかぬ
残酷
(
ざんこく
)
さで
黙殺
(
もくさつ
)
できると同時に、あなたの、やるせなさそうな表情は心に残った。ぼくは自分を勝手だとおもいました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
その時お秀の涼しい眼のうちに
残酷
(
ざんこく
)
な光が射した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこには全く
残酷
(
ざんこく
)
な画が描かれてあった。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
そいつは少し
残酷
(
ざんこく
)
だよ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
子どもたちは親方の前に身動きもせずに立っていたが、かれの
残酷
(
ざんこく
)
なじょうだんを開いて、みんな
無理
(
むり
)
に
笑
(
わら
)
わされた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
其
(
そ
)
の
頃
(
ころ
)
は
勘次
(
かんじ
)
の
庭
(
には
)
の
栗
(
くり
)
の
梢
(
こずゑ
)
も、それへ
繁殖
(
はんしよく
)
して
残酷
(
ざんこく
)
に
葉
(
は
)
を
喰
(
く
)
ひ
荒
(
あら
)
す
栗毛蟲
(
くりけむし
)
のやうな
毒々
(
どく/\
)
しい
花
(
はな
)
が
漸
(
やうや
)
く
白
(
しろ
)
く
成
(
な
)
つて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あるとき、フットボールは、みんなから、
残酷
(
ざんこく
)
なめにあわされるので、ほとんどいたたまらなくなりました。
あるまりの一生
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「今になってもまだ君の計画を知らせてくれないと云うのは、あんまり君、
残酷
(
ざんこく
)
じゃないか。そのおかげで僕は、二重の苦しみをしなけりゃならないんだ。」
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
俊寛 (われにかえりたるごとく)
清盛
(
きよもり
)
はどうしている? 平氏の運命は? わしに信じられないほど
残酷
(
ざんこく
)
な運命が平氏をどう扱うか、わしはそれが知りたい。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
内地の事ではあるが自分の敵を滅ぼすに足るだけの
技倆
(
ぎりょう
)
を備えて、善にもあれ悪にもあれ
残酷
(
ざんこく
)
な遣り方で自分の望み通り敵を滅ぼしとげた位の人物であるから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
なんだか黒い布を被っているように見えたが、見るとそれが赤い
血潮
(
ちしお
)
だった。
残酷
(
ざんこく
)
に頭部をやられているのだ。右肩を自分の手で
抑
(
おさ
)
えているが、肩もやられているらしかった。
ゴールデン・バット事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いうのは
残酷
(
ざんこく
)
だ……僕は君みたいな神様をまだ見たことがなかったんだ……何んにも知らなかったんだ……星野って奴はひどいことをしやがる奴だな……あいつのお蔭で俺は
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
自分ももと芸者であったからには、不粋なことで人気商売の芸者にケチをつけたくないと、そんな思いやりとも
虚栄心
(
きょえいしん
)
とも分らぬ心が
辛
(
かろ
)
うじて出た。自分への
残酷
(
ざんこく
)
めいた快感もあった。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
しかし、恭一の手続は、そのつぎの行では、
残酷
(
ざんこく
)
なほどあからさまだった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
「ガラスの
破片
(
はへん
)
を
道路
(
どうろ
)
にまきちらすのです。
透明人間
(
とうめいにんげん
)
は、はだかで、はだしで歩いていますから、これは
効
(
き
)
きめがありますよ。すこし
残酷
(
ざんこく
)
なやりかたですが、そんなことは言っておられませんので」
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
温厚なる君はこの言葉の
残酷
(
ざんこく
)
を
咎
(
とが
)
めるのに違いない。が、鼻を
削
(
そ
)
ぎ落すのはチベットの私刑の一つである。
第四の夫から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これはずいぶん
残酷
(
ざんこく
)
なようにわたしには思われた。けれどかの女はあくまで
優
(
やさ
)
しい親切な調子で言った。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
土
(
つち
)
が
徹宵
(
よつぴて
)
さういふ
作用
(
さよう
)
を
營
(
いとな
)
んだばかりに、
日
(
ひ
)
は
拂曉
(
あけがた
)
の
空
(
そら
)
から
横
(
よこ
)
にさうして
斜
(
なゝめ
)
に
其
(
そ
)
の
霜
(
しも
)
を
解
(
と
)
かして、
西風
(
にしかぜ
)
は
直
(
たゞち
)
にそれを
乾
(
かわ
)
かして
残酷
(
ざんこく
)
に
表土
(
へうど
)
の
埃
(
ほこり
)
を
空中
(
くうちう
)
に
吹
(
ふ
)
き
捲
(
ま
)
くる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
西光
(
さいこう
)
殿をあらゆる
残酷
(
ざんこく
)
な
拷問
(
ごうもん
)
によって白状させたあとで、その口を引きさいて首をかけたほどの清盛です。あゝ彼らは父を殺すのにどんな恥ずべき手段を用いたことか!
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
しかしながら一方から考えると実にチベットは
残酷
(
ざんこく
)
な制度で、
貧民
(
ひんみん
)
はますます
貧
(
ひん
)
に陥って苦しまねばならぬ。その貧民の苦しき状態は僧侶の貧学生よりなお苦しいです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
木立
(
こだち
)
は、なんという
残酷
(
ざんこく
)
なことをするものだろうと、これを
見
(
み
)
るのにしのびませんでした。が、じきに、
暗
(
くら
)
く、
暗
(
くら
)
くなって、すべての
光景
(
こうけい
)
を、
夜
(
よる
)
が、
隠
(
かく
)
してしまいました。
美しく生まれたばかりに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「あたし、それじゃあ何だか
残酷
(
ざんこく
)
なような気がしますけれど。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
けれども辰子はそう言ったぎり、しばらく口を
開
(
ひら
)
かなかった。広子は妹の沈黙を話し
悪
(
にく
)
いためと解釈した。しかし妹を
促
(
うなが
)
すことはちょっと
残酷
(
ざんこく
)
な心もちがした。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「だから、そういう
残酷
(
ざんこく
)
なことをするものには、きっと
罰
(
ばつ
)
があたるだろう。」
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私の方から云い出すのは、余り母に
残酷
(
ざんこく
)
ですから。母も死ぬまでその事は
一言
(
いちごん
)
も私に話しませんでした。やはり話す事は私にも、残酷だと思っていたのでしょう。
捨児
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「どうせ、
殺
(
ころ
)
されるのだと
思
(
おも
)
います。そして、なにになるものか
私
(
わたし
)
にはわかりせんが、
人間
(
にんげん
)
は
残酷
(
ざんこく
)
なものだといいますから、
格別
(
かくべつ
)
、
用
(
よう
)
はなくても
殺
(
ころ
)
すのでしょう。」と、
青
(
あお
)
いちょうは
答
(
こた
)
えました。
ちょうと怒濤
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
僕は
何
(
なん
)
ともこたへずに、
振替
(
ふりかへ
)
の紙を出して見せた。振替の紙には
残酷
(
ざんこく
)
にも三円六十銭と書いてあつた。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いや、ぬかるみのたまり水よりも一層
鮮
(
あざや
)
かな
代赭色
(
たいしゃいろ
)
をしている。彼はこの代赭色の海に予期を裏切られた寂しさを感じた。しかしまた同時に勇敢にも
残酷
(
ざんこく
)
な現実を承認した。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
莫迦
(
ばか
)
に、早いじゃないか。僕のような朝寝坊の所へ、今時分電話をかけるのは
残酷
(
ざんこく
)
だよ。」
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何しろ千枝子は結婚後まだ
半年
(
はんとし
)
と経たない内に、夫と別れてしまったのだから、その手紙を楽しみにしていた事は、遠慮のない僕さえひやかすのは、
残酷
(
ざんこく
)
な気がするくらいだった。
妙な話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
電車の中の人々の目は云い合せたように篤介へ向った。彼女は彼女自身の上にも
残酷
(
ざんこく
)
にその目の
注
(
そそ
)
がれるのを感じた。しかし彼は
目
(
ま
)
じろぎもせずに悠々とパンを食いつづけるのだった。……
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“残酷”の解説
残酷
(出典:Wikipedia)
残
常用漢字
小4
部首:⽍
10画
酷
常用漢字
中学
部首:⾣
14画
“残酷”で始まる語句
残酷篇