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極
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きま
ふりがな文庫
“
極
(
きま
)” の例文
可也
(
かなり
)
皮肉な出来事であつたからで、気の小さい、
極
(
きま
)
り
悪
(
わる
)
がり屋の彼は、
何
(
ど
)
うかして
甘
(
うま
)
くそれを切りぬけようと、
頭脳
(
あたま
)
を悩ましてゐた。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
かうした機会の度毎に繰り返される愚痴は、何時でも
極
(
きま
)
つてゐた。けれど、同じ事だけに逸子はそれを聞くのが
耐
(
たま
)
らなく嫌やだつた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
一体運動の法則を論じて見れば一点より他点までに移る最近径は前にもいッた通り直線に
極
(
きま
)
ッてるのサ。ダガ物は直線に進まないよ。
ねじくり博士
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして、ある四つ辻で別れる時には、お冬は
極
(
きま
)
った様に、少し首をかしげて、多少甘ったるい口調で、この様な
挨拶
(
あいさつ
)
をしたのである。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
だから、もし自分の
宅
(
うち
)
で
女房
(
かない
)
から手紙を投げつけられるやうな事があつたら、大抵の亭主は、小鳥のやうに
顫
(
ふる
)
へあがるに
極
(
きま
)
つてゐる。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
▼ もっと見る
向うへ、小さなお地蔵様のお堂を建てたら、お
提灯
(
ちょうちん
)
に
蔦
(
つた
)
の紋、養子が出来て、その人のと、二つなら嬉しいだろう。まあ
極
(
きま
)
りの悪い。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
全く落城し切って大阪の山中氏がロンドンに出している
骨董舗
(
こっとうや
)
に奉公と
極
(
きま
)
った時予は帰朝の途に上った故その後どうなったか知らぬ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「そんぢや、わし
蜀黍
(
もろこし
)
隱
(
かく
)
して
置
(
お
)
く
處
(
とこ
)
見出
(
めつけ
)
あんすから、
屹度
(
きつと
)
有
(
あ
)
んに
極
(
きま
)
つてんだから」といふ
聲
(
こゑ
)
を
後
(
あと
)
にして
畑
(
はたけ
)
の
小徑
(
こみち
)
をうねりつゝ
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
絶望の果てに決行されるこうした行為の裏面に、世間の人が
極
(
きま
)
って探し求めるような大きな破綻は、一つとして述べられていない。
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「御免
蒙
(
こうむ
)
ろうよ。どうせ山師坊主の興行に
極
(
きま
)
っているようなものだ。行ってみるとまたとんだ殺生をすることになるかも知れねエ」
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何かの思想あるいは何かの発明の起源を捜そうとする労力は、太陽の下に新しき物なしというあっけない結論に終るに
極
(
きま
)
っている。
浅草紙
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
世の中には、
呆痴
(
こけ
)
がいる。人へ
音物
(
いんもつ
)
をよこすに、餌を食わせたり、世話がやけたり、その上に、やがては死ぬと
極
(
きま
)
っている厄介物を
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ふん。
昔
(
むかし
)
も
今
(
いま
)
もあるもんじゃねえ。
隣近所
(
となりきんじょ
)
のこたァ、
女房
(
にょうぼう
)
がするに
極
(
きま
)
ッてらァな。
行
(
い
)
って、こっぴどくやっ
付
(
つ
)
けて
来
(
き
)
ねえッてことよ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
もしも文之丞があの
諸手突
(
もろてづ
)
きが
極
(
きま
)
ったならば、竜之助の
咽喉笛
(
のどぶえ
)
を突き切られて、いま文之丞が受けた運命を自分が受けねばならぬ。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芳子さんは
嬉
(
うれ
)
しいんでしょうけど、何だか
極
(
きま
)
りが悪そうでしたよ。私がお茶を持って行って上げると、芳子さんは机の前に坐っている。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
人と人との勝ち負けは理智に
依
(
よ
)
ってのみ
極
(
きま
)
るのではなく、そこには「気合い」と云うものがあります。云い換えれば動物電気です。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
宗助
(
そうすけ
)
が
福岡
(
ふくをか
)
から
東京
(
とうきやう
)
へ
移
(
うつ
)
れる
樣
(
やう
)
になつたのは、
全
(
まつた
)
く
此
(
この
)
杉原
(
すぎはら
)
の
御蔭
(
おかげ
)
である。
杉原
(
すぎはら
)
から
手紙
(
てがみ
)
が
來
(
き
)
て、
愈
(
いよ/\
)
事
(
こと
)
が
極
(
きま
)
つたとき、
宗助
(
そうすけ
)
は
箸
(
はし
)
を
置
(
お
)
いて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「それは
未
(
ま
)
だ
確
(
しか
)
とは
極
(
きま
)
らんがの、
下谷
(
したや
)
に富山銀行と云ふのがある、それ、富山重平な、あれの息子の嫁に欲いと云ふ話があるので」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
まだ中学に居る頃からの宿題で、寐ても
寤
(
さ
)
めても是ばかりは忘れる
暇
(
ひま
)
もなかったのだが、中学を卒業してもまだ
極
(
きま
)
らずに居たのだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
お
菜
(
さい
)
は一六が
葱
(
ねぎ
)
と薩摩芋の
難波煮
(
なんばに
)
、五十が
豆腐汁
(
とうふじる
)
、三八が
蜆汁
(
しじみじる
)
と云うようになって居て、今日は何か出ると云うことは
極
(
きま
)
って居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
事件の公判期日が
極
(
きま
)
つた頃であつた。田村と
榛沢
(
はんざは
)
とが俺のところへやつて来た。此両人は東京でも先づ信用名望のある弁護士だ。
畜生道
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
丈「金は返すには
極
(
きま
)
って居る事だから返すが、何ういう訳だか慌てゝ帰って来たが、お前が損をすると
宜
(
よ
)
くないからそれを心配するのだ」
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いや、いつもの持病だ。気がかりなことはないさ」と言いながら、小平太は
極
(
きま
)
りの悪そうに、こそこそ自分の居間へはいった。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
半時おきほどづつに、かう
極
(
きま
)
つたやうに言つて、看病人に
扶
(
たす
)
けられつゝ、半身を起き上らして貰つたり、寢さして貰つたりした。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
丑松の身が
極
(
きま
)
つた暁には自分の妹にして
結婚
(
めあは
)
せるやうにしたい。
斯
(
か
)
う言出した。
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、後の事は弁護士も力を添へる、とある。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この我慢が一寸でも——今の限度からはづれて見給へ、僕もまた忽ち君と同じやうな奇病患者扱ひを受けるに
極
(
きま
)
つて居るのだ。
奇病患者
(旧字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
今更中間のブローカー問屋や
素人
(
しろうと
)
の父の型の
極
(
きま
)
った意匠など必要はなくなった。父の住居
附
(
つ
)
きのオフィスは年々
寂寥
(
せきりょう
)
を増した。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「うむ、今度は大いに感じたんだよ。大の男が自分で自分の成績を見に行けないなんて、
醜態
(
しゅうたい
)
じゃないか? 豊子さんにも
極
(
きま
)
りが悪かった」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
彼は
一月
(
ひとつき
)
前迄費用の掛らぬ市外の土地を
撰
(
えら
)
んで六円五拾銭の家賃の家に住んで居た。彼は何等の
極
(
きま
)
つた収入も無い身の上だ。
執達吏
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
だから勾配は川より低いに
極
(
きま
)
つて居る。然るに洪水の時は、其の出水を
來
(
きた
)
させまいと云ふ。これ既に六づかしい註文である。
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
軈
(
やが
)
て余と秀子との間に相談が
極
(
きま
)
った、叔父に渡せば、宝を取り出すなら取り出す、遺骸を改葬するなら改葬すると、夫々処分も定まるだろう。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
私はもう、
極
(
きま
)
りがわるいの、買ってくれそうにないのと、そんな
贅沢
(
ぜいたく
)
な考えや、弱気におしひしがれている時ではなかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
チベット人は私の出て来た時分に来れば必ず熱病に
罹
(
かか
)
るに
極
(
きま
)
って居るですから、その時分は誰も往来しない。私はその事をよく知って居った。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
昔からお談義を聞かせるのは大抵老人と
極
(
きま
)
っているようで「またお談義か、うんざりするな」というようなことは、日常見聞する所であります。
登山談義
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
直ちに曹長の
許
(
もと
)
に行きて「飯の切符を下さい」と言へば曹長は
仏頂面
(
ぶっちょうづら
)
にて「飯の切符は
極
(
きま
)
りの時間に取りに来ねばいかん」
従軍紀事
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
野菜は時節に依っていろいろと違いますけれど、何はどこの家と大抵は
極
(
きま
)
っていたようです。時には灯が附いてから人の集まることもあります。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
着付けと
身体
(
からだ
)
の
極
(
きま
)
り工合を今一度見に出かけたと
後
(
のち
)
になって僕に話しておりましたが、しかし、そのお手本の正体が錦絵だったか押絵だったか。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
どこの村・どこの社寺の、どの座ではどれと言ふ風に、二立て目に出す狂言は
極
(
きま
)
つて居て、狂言も其一種であつたのが、無数に殖えたのである。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
とう/\暮の押し詰まった二十八日迄に四回矢継早に提出した。而もそれには
極
(
きま
)
って細字に認めた参考書類がついている。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
仏蘭西人
(
フランスじん
)
が
極
(
きま
)
って
Serviette
(
セルヴィエット
)
を
頤
(
おとがい
)
の下から
涎掛
(
よだれかけ
)
のように広げて掛けると同じく、先生は必ず
三
(
み
)
ツ
折
(
おり
)
にした懐中の手拭を膝の上に置き
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
実際、やれば出来るに
極
(
きま
)
っていることを、誰もやらないのだから不思議だ。これと同じ不思議は至る処に一杯である。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
あアそうだ外の事は一切不満足でも、只同情ある殊に予を解してくれたお繁さんに逢えたら、こんな気苦しい厭な思いに
悶々
(
もんもん
)
しやしないに
極
(
きま
)
ってる。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
部屋の
一隅
(
いちぐう
)
には、秘密警察隊の司令官ハヤブサが、身の置きどころもないような
極
(
きま
)
り悪そうな顔で、頭を下げていた。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
中にも西洋の誰やらの脚本をある劇場で興行するのに、木村の訳本を使った時にこのお
極
(
きま
)
りの悪口が書いてあった。
あそび
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
どんなに
極
(
きま
)
り悪げにしかし幾分の誇らしさをもって、私はフロールの方へ視線を送ったことであったか! 今でもまだその時の胸の鼓動を覚えている。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
それが
如何
(
どう
)
した? 此上五六日生延びてそれが
何
(
なに
)
になる? 味方は居ず、敵は
遁
(
に
)
げた、近くに往来はなしとすれば、これは
如何
(
どう
)
でも死ぬに
極
(
きま
)
っている。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
晩
(
ばん
)
になると
倶楽部
(
くらぶ
)
に
行
(
い
)
っては
玉突
(
たまつき
)
をして
遊
(
あそ
)
ぶ、
骨牌
(
かるた
)
は
余
(
あま
)
り
好
(
この
)
まぬ
方
(
ほう
)
、そうして
何時
(
いつ
)
もお
極
(
きま
)
りの
文句
(
もんく
)
をよく
云
(
い
)
う
人間
(
にんげん
)
。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
私も
極
(
きま
)
り惡げに
退
(
しりぞ
)
かうとした。しかしロチスター氏は私の後を追つた。そして私共が小門まで來ると彼は云つた——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
見付けた者が威張れるだけ威張って、後の二人が地面に手を
仕
(
つ
)
いてお辞儀と
極
(
きま
)
ってるんだ。そこで私は、相談だ。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
内供はその短くなった鼻を
撫
(
な
)
でながら、弟子の僧の出してくれる鏡を、
極
(
きま
)
りが悪るそうにおずおず
覗
(
のぞ
)
いて見た。
鼻
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“極”の意味
《名詞》
(きょく)2端のうちの一方。
(ごく)1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000 = 1048を表す。載の次で恒河沙の前の位。
《形容動詞》
(ごく)程度の大きい様。
(出典:Wiktionary)
極
常用漢字
小4
部首:⽊
12画
“極”を含む語句
京極
極刑
見極
極端
極光
北極
極微
至極
極々
極彩色
取極
極月
極熱
極楽寺
感極
北極星
終極
結極
極限
極付
...