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年寄
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としより
ふりがな文庫
“
年寄
(
としより
)” の例文
ここだろうと、いい加減に見当をつけて、ご
免
(
めん
)
ご免と二返ばかり云うと、
奥
(
おく
)
から五十ぐらいな
年寄
(
としより
)
が古風な
紙燭
(
しそく
)
をつけて、出て来た。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其処
(
そこ
)
へ和上の縁談が伝はつたので
年寄
(
としより
)
仲間は皆眉を
顰
(
ひそ
)
めたが、
何
(
ど
)
う云ふ
運命
(
まはりあはせ
)
であつたか、
愈
(
いよ/\
)
呉服屋の娘の
輿入
(
こしいれ
)
があると云ふ
三日前
(
みつかまへ
)
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
それはその統計のなかの九十何人という人間を考えてみれば、そのなかには女もあれば男もあり子供もあれば
年寄
(
としより
)
もいるにちがいない。
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
但し聖書の作者たちはみんなユダヤ流に、エホバと自分たち以外の者を軽蔑してサタンも
年寄
(
としより
)
の蛇ぐらゐにしたのかもしれない。
ミケル祭の聖者
(新字旧仮名)
/
片山広子
(著)
これはお
老人
(
としより
)
が何かの楽しみになさるようにいって差し上げて下さいと、老人に下されたので、
年寄
(
としより
)
も非常な喜びでありました。
幕末維新懐古談:75 不動の像が縁になったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
見れば一人は
年寄
(
としより
)
で半町ほど先に、それと
後
(
おく
)
れて十二三ぐらいの女の子——今「お爺さん」と呼んだのは、この女の子の声でありました。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そいつは少し遠過ぎる、もう少し近いところはお前ぢやわかるまい。近所の人を一人呼んで來てくれ、なるべく
年寄
(
としより
)
が宜いな」
銭形平次捕物控:140 五つの命
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
広い玄関の上段には、役人の
年寄
(
としより
)
、
用人
(
ようにん
)
、
書役
(
かきやく
)
などが居並び、式台のそばには
足軽
(
あしがる
)
が四人も控えた。村じゅうのものがそこへ呼び出された。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「うむ、それは心配だらう。能く有る事だ。然し、飯も食はずに気を
揉
(
も
)
んでゐるとは、どう云ふ
伴
(
つれ
)
なのかな。——
年寄
(
としより
)
か、
婦
(
をんな
)
ででもあるか」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
是も今いる
年寄
(
としより
)
の一代かぎりかも知れないが、たとえ改良種でもわが田で取り入れたものを、次の年からの苗代には播こうとするようである。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
若い時から、諸所を
漂泊
(
さすら
)
った
果
(
はて
)
に、その頃、やっと落着いて、川の裏小路に二階
借
(
がり
)
した小僧の
叔母
(
おば
)
にあたる
年寄
(
としより
)
がある。
絵本の春
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なるほど
年寄
(
としより
)
というものもばかにならないものだ。こんど
度々
(
たびたび
)
の
難題
(
なんだい
)
をのがれたのも、
年寄
(
としより
)
のお
陰
(
かげ
)
であった。
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
いかにもその美しい部屋の真中に、一人の
年寄
(
としより
)
の病人が、苦しい息をしながら、床の上に寝ていました。
三人兄弟
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
縫は享和二年に始めて
須磨
(
すま
)
という
女
(
むすめ
)
を生んだ。これは後文政二牛に十八歳で、
留守居
(
るすい
)
年寄
(
としより
)
佐野
(
さの
)
豊前守
(
ぶぜんのかみ
)
政親
(
まさちか
)
組
飯田四郎左衛門
(
いいだしろうざえもん
)
良清
(
よしきよ
)
に嫁し、九年に二十五歳で死んだ。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして他の若い無邪気な同窓生から
大噐晩成
(
たいきばんせい
)
先生などという
諢名
(
あだな
)
、それは年齢の相違と
年寄
(
としより
)
じみた態度とから与えられた諢名を、臆病臭い微笑でもって甘受しつつ
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
稲荷様の神体を見るソレカラ一つも二つも年を取れば
自
(
おのず
)
から度胸も
好
(
よ
)
くなったと見えて、
年寄
(
としより
)
などの話にする
神罰
(
しんばつ
)
冥罰
(
みょうばつ
)
なんと
云
(
い
)
うことは
大嘘
(
だいうそ
)
だと
独
(
ひと
)
り
自
(
みず
)
から信じ
切
(
きっ
)
て
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
禮儀にはまごつきましてね。始終忘れるんです。それかと云つて、單純なばあさん達が特に好きだといふのでもありませんがね。さう、さう、うちの
年寄
(
としより
)
を覺えてゐなくちや。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
あの時は
何所
(
どこ
)
の
大臣
(
だいじん
)
さんが
入
(
い
)
らしつたかと思つた
位
(
くらゐ
)
ですよ、
本当
(
ほんたう
)
に
旦那
(
だんな
)
は
何
(
なに
)
を
召
(
め
)
しても
能
(
よ
)
くお
似合
(
にあひ
)
なさること、
夫
(
それ
)
に
旦那
(
だんな
)
はお
優
(
やさ
)
しいから
年寄
(
としより
)
でも子供でも、
旦那
(
だんな
)
は
入
(
い
)
らつしやらないか
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
慶勝は二十日名古屋に帰城した当日、
年寄
(
としより
)
並渡辺新左衛門(年四十九)、城代格
大番頭榊原勘解由
(
おおばんがしらさかきばらかげゆ
)
(年五十九)、大番頭石川
内蔵允
(
くらのじょう
)
(年四十二)の三人を召して二の丸向屋敷に斬首した。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と女学生時代
懐
(
なつ
)
かしく、いつもよりは若々しい声を出した。
尤
(
もっと
)
も
未
(
ま
)
だ必ずしもお婆さんではない。三十八とも言うけれど、兎に角四十未満だから、子供は五人あっても決して
年寄
(
としより
)
がらない。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「来ております。……お父様、縁先にも……うしろにも、村々の
年寄
(
としより
)
たちが」
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遣手
(
やりて
)
といいますか、娼妓の監督をする
年寄
(
としより
)
の女が、意見をしたり責めたり、種々手を尽しても仕方のない時は、離れへ連れ込んで
縛
(
しば
)
って棒か何かで打つのだそうで、女の泣く声が
嗄
(
か
)
れがれになる頃
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
『八十
歳
(
さい
)
位
(
くらい
)
の
年寄
(
としより
)
でございますが、
私
(
わたくし
)
には
見覚
(
みおぼえ
)
がありませぬ……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
そう
言
(
い
)
い
棄
(
す
)
てて
年寄
(
としより
)
の
家鴨
(
あひる
)
は
行
(
い
)
ってしまいました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その上顔中つやつやして
皺
(
しわ
)
と云うほどのものはどこにも見当らない。ただ白い
髯
(
ひげ
)
をありたけ
生
(
は
)
やしているから
年寄
(
としより
)
と云う事だけはわかる。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宿場らしい
高札
(
こうさつ
)
の立つところを中心に、
本陣
(
ほんじん
)
、
問屋
(
といや
)
、
年寄
(
としより
)
、
伝馬役
(
てんまやく
)
、
定歩行役
(
じょうほこうやく
)
、
水役
(
みずやく
)
、
七里役
(
しちりやく
)
(飛脚)などより成る百軒ばかりの家々が
主
(
おも
)
な部分で
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
年寄
(
としより
)
を
棄
(
す
)
てた名所さへある世の中ぢや、
私
(
わたし
)
が世を
棄
(
すて
)
て一人住んで
居
(
お
)
つたというて、何で怪しう思はしやる。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
秋の
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の「肩させ
裾
(
すそ
)
刺せ、寒さが来るぞ」でも、さては
梟
(
ふくろう
)
の
五郎助
(
ごろすけ
)
奉公、
珠数掛鳩
(
じゅずかけばと
)
の
年寄
(
としより
)
来いも、それぞれにこれを聴いて特に心を動かす人があったのである。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
母親
(
ははおや
)
をかくした
百姓
(
ひゃくしょう
)
の
罪
(
つみ
)
はむろん
許
(
ゆる
)
してやるし、これからは
年寄
(
としより
)
を
島流
(
しまなが
)
しにすることをやめにしよう。
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それがつまり、
年寄
(
としより
)
や子供と一緒にゐるのが
嫌
(
いや
)
だと云つた理由なんですよ(小さな聲で云はなくちや)。いゝえ、お孃さん、私は普通いふ博愛主義者ではありません。但し良心はあります。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
まあ
年寄
(
としより
)
はそこいらで落着いて行かなければならないのが自然なのです。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「同情がないんだね。
俺
(
わし
)
だって昔からこんな
年寄
(
としより
)
じゃなかったよ」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と
火
(
ひ
)
の
附
(
つ
)
きさうな
頭髪
(
あたま
)
で、
年寄
(
としより
)
だか若いか
分
(
わか
)
りません。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
申すにも及ばざる儀ながら木曾谷
庄屋
(
しょうや
)
問屋
(
といや
)
年寄
(
としより
)
などは多く旧家筋の者にこれあり候につき、万一の節はひとかどの御奉公相勤め候心得にこれあるべく候。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
こう
殿様
(
とのさま
)
はおっしゃって、お
百姓
(
ひゃくしょう
)
にたくさんの
御褒美
(
ごほうび
)
を
下
(
くだ
)
さいました。そして
年寄
(
としより
)
を
許
(
ゆる
)
すおふれをお
出
(
だ
)
しになりました。
国中
(
くにじゅう
)
の
民
(
たみ
)
は
生
(
い
)
き
返
(
かえ
)
ったようによろこびました。
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
殊
(
こと
)
に子供の相手は
年寄
(
としより
)
ときまっていまして、その間にはまた大きな
鏈
(
くさり
)
が
繋
(
つな
)
がって行くのであります。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「
年寄
(
としより
)
の癖に余計な世話を焼かなくってもいい。おれの月給は上がろうと下がろうとおれの月給だ」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
……お
慈悲深
(
じひぶか
)
いお
方
(
かた
)
だけに、お
貯蓄
(
たくはへ
)
と
言
(
い
)
つてはござりませんで、……お
亡
(
なく
)
なりなさりますと、
直
(
す
)
ぐに
御新姐樣
(
ごしんぞさま
)
が、
貴下
(
あなた
)
と、お
年寄
(
としより
)
を
抱
(
かゝ
)
へて、お
一人
(
ひとり
)
で
御辛勞
(
ごしんらう
)
をなさりました。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ぞつとするやうな醜い
年寄
(
としより
)
でございます。まるで
藥鑵
(
やくわん
)
のやうに眞黒で。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
名古屋の方にある有力な
御小納戸
(
おこなんど
)
、
年寄
(
としより
)
、用人らの佐幕派として知られた人たちは皆退けられてしまった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
凡てあの時代の
人間
(
にんげん
)
は男女に限らず非常に窮屈な
恋
(
こひ
)
をした様だが、
左様
(
さう
)
でもなかつたのかい。——まあ、どうでも
好
(
い
)
いから、成る
可
(
べ
)
く
年寄
(
としより
)
を
怒
(
おこ
)
らせない様に
遣
(
や
)
つてくれ
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
またはその小屋を焼く以前に
年寄
(
としより
)
たちが、
御賽銭
(
おさいせん
)
をもって御参りする村があるのである。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ああ、隠居さん、気に入ったら
私
(
わっし
)
が
引
(
ひっ
)
ちぎって持って来らあ。……
串戯
(
じょうだん
)
にゃ言ったからって、お
年寄
(
としより
)
のために働くんだ。先祖代々、これにばかりは
叱言
(
こごと
)
を言うめえ、どっこい。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若い者が
年寄
(
としより
)
から、自然に聴き覚えていつ知ったともなく使うものなのに、それだけをアイヌが教えておいて、すっと
引揚
(
ひきあ
)
げて行ったなどとは、何としても考えられぬ話である。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
本陣、
脇
(
わき
)
本陣、今は共にない。
大前
(
おおまえ
)
、
小前
(
こまえ
)
なぞの家筋による区別も、もうない。
役筋
(
やくすじ
)
ととなえて村役人を勤める習慣も廃された。
庄屋
(
しょうや
)
、
名主
(
なぬし
)
、
年寄
(
としより
)
、
組頭
(
くみがしら
)
、すべて廃止となった。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私
(
わし
)
がやうな
年寄
(
としより
)
にかけかまひはなけれどもの、
何
(
なん
)
につけても思ひ詰めた、若い人たちの入つて来る
処
(
ところ
)
ではないほどに、お前様も二度と来ようとは思はつしやるな。
可
(
い
)
いかの、
可
(
い
)
いかの。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「代さん、
成
(
な
)
らう事なら、
年寄
(
としより
)
に心配を掛けない様になさいよ。
御父
(
おとう
)
さんだつて、もう
長
(
なが
)
い事はありませんから」と云つた。代助は梅子の
口
(
くち
)
から、こんな陰気な言葉を
聞
(
き
)
くのは始めてであつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
指す
方
(
かた
)
もなく
便
(
たよ
)
ったのが、この耳の
疎
(
うと
)
い目腐れの
婆
(
ばば
)
の
家
(
うち
)
、この
年寄
(
としより
)
の
児
(
こ
)
は、かつて
米搗
(
こめつき
)
となって源兵衛が手に
懸
(
かか
)
って、自然お絹の世話にもなったが、不心得な、
明巣覗
(
あきすねらい
)
で上げられて、今苦役中なので
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
年寄
(
としより
)
は真顔になり、見上げ
皺
(
じわ
)
を
沢山
(
たんと
)
寄せて
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
年寄
(
としより
)
と一所では若い御婦人の気が
詰
(
つま
)
ろう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“年寄”の解説
年寄(としより)とは、公益財団法人日本相撲協会(以下「協会」)の構成役員である。通常は「親方」の敬称で呼ばれることが多い。「年寄」という言葉は単に日本相撲協会が定めている用語であり、一般的な年配者という意味とは関連性は無い。ただし大相撲界において、「親方」の語は「年寄」の語と意味が完全にイコールではなく、「親方」には年寄のほか立行司も含まれる。
(出典:Wikipedia)
年
常用漢字
小1
部首:⼲
6画
寄
常用漢字
小5
部首:⼧
11画
“年寄”で始まる語句
年寄衆
年寄染
年寄共
年寄子
年寄等
年寄骨
年寄家鴨
年寄肝入
年寄肝入役