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乾
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から
ふりがな文庫
“
乾
(
から
)” の例文
泥濘
(
ぬかるみ
)
を
捏返
(
こねかへ
)
したのが、
其
(
そ
)
のまゝ
乾
(
から
)
び
着
(
つ
)
いて、
火
(
ひ
)
の
海
(
うみ
)
の
荒磯
(
あらいそ
)
と
云
(
い
)
つた
處
(
ところ
)
に、
硫黄
(
ゆわう
)
に
腰
(
こし
)
を
掛
(
か
)
けて、
暑苦
(
あつくる
)
しい
黒
(
くろ
)
い
形
(
かたち
)
で
踞
(
しやが
)
んで
居
(
ゐ
)
るんですが。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
漆
(
うるし
)
に似た液体に
乾
(
から
)
びついて、みだれた黒髪はほおといわず
額
(
ひたい
)
といわず、
藻
(
も
)
のようにはりついていた。——
凝然
(
ぎょうぜん
)
、盛遠は、またたきもしない。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お
品
(
しな
)
の
姿
(
すがた
)
が
庭
(
には
)
に
見
(
み
)
えた
時
(
とき
)
には
西風
(
にしかぜ
)
は
忘
(
わす
)
れたやうに
止
(
や
)
んで
居
(
ゐ
)
て、
庭先
(
にはさき
)
の
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
にぶつ
懸
(
か
)
けた
大根
(
だいこ
)
の
乾
(
から
)
びた
葉
(
は
)
も
動
(
うご
)
かなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
真顔作れる母は
火鉢
(
ひばち
)
の
縁
(
ふち
)
に
丁
(
とん
)
と
煙管
(
きせる
)
を
撃
(
はた
)
けば、
他行持
(
よそゆきもち
)
の
暫
(
しばら
)
く
乾
(
から
)
されて
弛
(
ゆる
)
みし
雁首
(
がんくび
)
はほつくり脱けて灰の中に舞込みぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
長「早くは出来ません、良く
拵
(
こせ
)
えるのには木の十年も
乾
(
から
)
した筋の
良
(
い
)
いのを捜さなけれアいけませんから」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
もし詩に訴えてのみ世の中を渡らないのが老人なら、僕は嘲けられても満足である。けれどももし詩に
涸
(
か
)
れて
乾
(
から
)
びたのが老人なら、僕はこの品評に甘んじたくない。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
乾
(
から
)
ツ風が吹き
荒
(
すさ
)
んで、森の中の梢といふ梢は、作り声をしたやうに、ざわ/\と騒ぎ立ち、落葉が羽ばたきをしながら、舞ひ立つて、夜もすがら戸を
敲
(
たゝ
)
き、屋根を
這
(
は
)
ひずり廻る、風の無い夜は
亡びゆく森
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
玉蘭
(
はくれん
)
は
黄葉
(
もみぢ
)
乾
(
から
)
びし落ちはてて庭のはひりの音ひびきけり
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
乾
(
から
)
びたる
三井
(
みい
)
の
仁王
(
におう
)
や冬木立 其角
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
乾
(
から
)
びぬ、
薔薇
(
うばら
)
。あかねさす
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
乾
(
から
)
びたる
腕
(
かひな
)
に重く
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
むくりと砂を吹く、
飯蛸
(
いいだこ
)
の
乾
(
から
)
びた
天窓
(
あたま
)
ほどなのを掻くと、砂を
被
(
かぶ
)
って、ふらふらと足のようなものがついて取れる。頭をたたいて
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
よろめきそうな足を、一心にふみしめていたかの女は、やがて、
喉
(
のど
)
に
乾
(
から
)
びつくような声を
捕手
(
とりて
)
へ投げた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
卯平
(
うへい
)
は
腰
(
こし
)
の
疼痛
(
いたみ
)
に
惱
(
なや
)
まされて、
餘計
(
よけい
)
にかさ/\と
乾
(
から
)
びて
硬
(
こは
)
ばつて
居
(
ゐ
)
る
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かし
難
(
がた
)
くなると
彼
(
かれ
)
は一
塊
(
くわい
)
の
煨
(
おき
)
もない
火鉢
(
ひばち
)
を
枕元
(
まくらもと
)
に
置
(
お
)
いて
凝然
(
ぢつ
)
と
蒲團
(
ふとん
)
を
被
(
かぶ
)
つた
儘
(
まゝ
)
である。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
今は「風吹くな、なあ吹くな」と優き声の
宥
(
なだ
)
むる者無きより、
憤
(
いかり
)
をも増したるやうに
飾竹
(
かざりだけ
)
を
吹靡
(
ふきなび
)
けつつ、
乾
(
から
)
びたる葉を
粗
(
はした
)
なげに鳴して、
吼
(
ほ
)
えては
走行
(
はしりゆ
)
き、狂ひては引返し
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ようやくのこと第一第二と同じく
極
(
きわ
)
めて
乾
(
から
)
び
切
(
き
)
った響が——響とは
云
(
い
)
い
悪
(
にく
)
い。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
冬旱
(
ふゆひでり
)
長かるあひだ
乾
(
から
)
び来し
雑
(
ざふ
)
の落葉もはららき失せぬ
黒檜
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
乾
(
から
)
びぬ、
薔薇
(
うばら
)
。あかねさす
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
老鯨
(
おいくぢら
)
山に
乾
(
から
)
びぬ
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
潮風で漆の
乾
(
から
)
びた、
板昆布
(
いたこぶ
)
を折ったような、
折敷
(
おしき
)
にのせて、カタリと櫃を
押遣
(
おしや
)
って、立てていた
踵
(
かかと
)
を下へ、直ぐに出て来た。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや矢ダネ、食糧だけでなく、人間の精神力の限界にも来ていることの是認を、正成も今は
否
(
いな
)
みなくされていた。それがふと正季と共に、いまの
乾
(
から
)
びた笑いに出たのであった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近山裏の谷間には、
初茸
(
はつたけ
)
の残り、
乾
(
から
)
びた
占地茸
(
しめじ
)
もまだあるだろう、山へ行く浴客も少くなかった。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夜来
一椀
(
いちわん
)
の水も喉へとおしていない彼の声は、
乾
(
から
)
びていて、聞きとれないくらいに低い。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのまま
連
(
つれ
)
に連れられようとして、ふと見ると、一方は丘を、一方は谷の、がけ際の山笹を、ひしゃげた茶の
釜底帽子
(
かまそこぼうし
)
が、がさがさと、
乾
(
から
)
びた音を立てて
揺
(
ゆす
)
って、
見上皺
(
みあげじわ
)
を額に刻んで
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
絨毯
(
じゅうたん
)
やふすまや障子に
乾
(
から
)
びついている黒い血しおの
斑痕
(
はんこん
)
は、すべて十五夜の晩に、
鎧櫃
(
よろいびつ
)
に入れて運び出された
死笑靨
(
しにえくぼ
)
を
泛
(
う
)
かべていた美人——ここの女主人のお雪様の血しおと見ていい。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爪の黒ずんだ婆さんの、
皺頸
(
しわくび
)
へ
垢手拭
(
あかてぬぐい
)
を巻いたのが、
乾
(
から
)
びた
葡萄豆
(
ぶどうまめ
)
を、小皿にして、
兀
(
は
)
げた汁椀を二つ添えて、盆を、ぬい、と突出した。片手に、旦那様
穿換
(
はきか
)
えの古足袋を握っている。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路傍
(
みちばた
)
に石の古井筒があるが、欠目に
青苔
(
あおごけ
)
の生えた、それにも濡色はなく、ばさばさ
燥
(
はしゃ
)
いで、
流
(
ながし
)
も
乾
(
から
)
びている。そこいら何軒かして日に幾度、と数えるほどは米を磨ぐものも無いのであろう。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
砂山を
慌
(
あわただ
)
しく一文字に駈けて、こなたが
近
(
ちかづ
)
いた時、どうしたのか、脱ぎ捨てた
袴
(
はかま
)
、着物、
脚絆
(
きゃはん
)
、海草の
乾
(
から
)
びた
状
(
さま
)
の、あらゆる
記念
(
かたみ
)
と一緒に、太鼓も
泥草鞋
(
どろわらじ
)
も
一
(
ひと
)
まとめに
引
(
ひっ
)
かかえて、大きな
渠
(
かれ
)
は
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
其
(
そ
)
の
余波
(
なごり
)
が、カラカラと
乾
(
から
)
びた
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
捲
(
ま
)
きながら、
旅籠屋
(
はたごや
)
の
框
(
かまち
)
へ
吹込
(
ふきこ
)
んで、
大
(
おおき
)
な
炉
(
ろ
)
に、
一簇
(
ひとむら
)
の
黒雲
(
くろくも
)
の濃く
舞下
(
まいさが
)
つたやうに
漾
(
ただよ
)
ふ、松を焼く煙を
弗
(
ふっ
)
と吹くと、煙は
筵
(
むしろ
)
の上を
階子段
(
はしごだん
)
の下へ
潜
(
ひそ
)
んで
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
板の間の
乾
(
から
)
びた、人なき、広い湯殿のようで、暖い霞の輝いて
淀
(
よど
)
んで、
漾
(
ただよ
)
い且つ
漲
(
みなぎ
)
る中に、蚊を思うと、その形、むらむら波を泳ぐ
海月
(
くらげ
)
に似て、
槊
(
ほこ
)
を
横
(
よこた
)
えて、餓えたる虎の唄を唄って
刎
(
は
)
ねる。……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と夜陰に、一つ
洞穴
(
ほら
)
を抜けるような
乾
(
から
)
びた声の大音で
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
面
(
おもて
)
を上げ、
乾
(
から
)
びた
咳
(
せき
)
して
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
笠も
日向
(
ひなた
)
に
乾
(
から
)
びている。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“乾”の意味
《名詞》
(いぬい)北西の方角。戌(いぬ)と亥(い)の間であることから。
(出典:Wiktionary)
“乾”の解説
乾(けん)は八卦の一つ。卦の形はであり、三爻がすべて陽。または六十四卦の一つであり、乾為天。乾下乾上で構成される。
(出典:Wikipedia)
乾
常用漢字
中学
部首:⼄
11画
“乾”を含む語句
乾燥
乾酪
乾干
乾魚
干乾
乾涸
乾葡萄
乾飯
乾坤
乾物
乾草
乾枯
乾鮭
生乾
乾杯
乾菓子
乾菜
乾田
乾麺麭
乾声
...