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ちゅう
ふりがな文庫
“
中
(
ちゅう
)” の例文
奔馬
(
ほんば
)
は
中
(
ちゅう
)
を
駈
(
か
)
けて、見る見る腕車を乗っ越したり。御者はやがて馬の
足掻
(
あが
)
きを
緩
(
ゆる
)
め、渠に先を越させぬまでに徐々として進行しつ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何の御用か存じませぬが、あいにく今日、当家はかような
取混
(
とりこ
)
み
中
(
ちゅう
)
。おかまいも出来ません。どうかまた他日でもお立ち寄りを」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そりゃそうあるべきもの、
不発
(
ふはつ
)
の
中
(
ちゅう
)
といって、釣りにもせよ、網にもせよ、好きの道に至ると迎えずして
獲物
(
えもの
)
が到るものじゃ」
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その上
軌道
(
レール
)
の上はとにかく、両側はすこぶる
泥
(
ぬか
)
っている。それだのに初さんは
中
(
ちゅう
)
っ
腹
(
ぱら
)
でずんずん行く。自分も負けない気でずんずん行く。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
例
(
れい
)
の
第
(
だい
)
一
條
(
でう
)
、
第
(
だい
)
二
條
(
でう
)
を
口癖
(
くちぐせ
)
にする
決鬪師
(
けっとうし
)
の
嫡々
(
ちゃき/\
)
ぢゃ。あゝ、百
發
(
ぱつ
)
百
中
(
ちゅう
)
の
進
(
すゝ
)
み
突
(
づき
)
とござい!
次
(
つぎ
)
は
逆突
(
ぎゃくづき
)
?
參
(
まゐ
)
ったか
突
(
づき
)
とござる!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
師匠の帰ったあと
中
(
ちゅう
)
っ腹で木原の楽屋を飛び出すと、食傷新道のゆきつけの家へ飛び込んで、とりあえず二、三本、徳利を倒した今松だった。
寄席
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
かくの如き眺望は
敢
(
あえ
)
てここのみならず、
外濠
(
そとぼり
)
の
松蔭
(
まつかげ
)
から
牛込
(
うしごめ
)
小石川の高台を望むと同じく先ず東京
中
(
ちゅう
)
での絶景であろう。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自然に男女両性の釣合をして
程好
(
ほどよ
)
き
中
(
ちゅう
)
を得せしめんとの腹案を以て筆を立て、「日本男子論」と題したるものなり。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
小僧とはいっても最早
中
(
ちゅう
)
小僧で、今日でいえば中学校の青年位の年輩であるから、記憶などは人間一生の中で一番確かな時分——見合いというものは
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
身丈恰好
(
せいかっこう
)
が
好
(
よ
)
くって、
衣服
(
なり
)
が本当で、持物が本筋で、声が美くって、一
中
(
ちゅう
)
節
(
ぶし
)
が出来るというのだから女はベタ惚れ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
広くはないが古雅な構えで、私たちは
中
(
ちゅう
)
二階の六畳の座敷へ通されて、涼しい風に吹かれながら膳にむかった。わたしは下戸であるのでラムネを飲んだ。
鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
歌舞伎座が廿二年に出来るまでは、そのほかに
中
(
ちゅう
)
芝居に、本所の
寿
(
ことぶき
)
座と本郷の春木座、日本橋
蠣殻
(
かきがら
)
町の
中島
(
なかじま
)
座と、後に明治座になった
喜昇
(
きしょう
)
座だけだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
前夜の人たちが階級を三つに分けたその
中
(
ちゅう
)
の品の列にはいる家であろうと思い、その話を思い出していた。
源氏物語:02 帚木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
君子の音は
温柔
(
おんじゅう
)
にして
中
(
ちゅう
)
におり、生育の気を養うものでなければならぬ。昔
舜
(
しゅん
)
は
五絃琴
(
ごげんきん
)
を
弾
(
だん
)
じて南風の詩を作った。南風の
薫
(
くん
)
ずるやもって我が民の
慍
(
いかり
)
を解くべし。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
また
掏摸
(
すり
)
にすられた
中
(
ちゅう
)
ばあさんが髪をくくりながら鼻歌を歌っているうちに手さげの中の
財布
(
さいふ
)
の紛失を発見してけたたましい叫び声を立てるが、ただそれだけである。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
また嶺松寺という寺号をも忘れていた。それゆえわたくしに答えた書に常泉寺の
傍
(
かたわら
)
と
記
(
しる
)
したのである。
是
(
ここ
)
においてかつて親しく嶺松寺
中
(
ちゅう
)
の
碑碣
(
ひけつ
)
を
睹
(
み
)
た人が三人になった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ところで婦人が相当の地位を占めておるに拘わらず、婦人の教育というものは、
中
(
ちゅう
)
以上の婦人こそ相当の教育を受けたけれども、もう中以下になると教育を受けない者もある。
女子教育の目的
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
今もそうで、旅のうらない師というこの若い女を引き入れているところへ、ちょっと
一目
(
いちもく
)
おかなければならない玄心斎の白髪あたまが、ぬうっと出たので、源三郎、
中
(
ちゅう
)
っ
腹
(
ぱら
)
だ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「冗談じゃあねえや。
怪我
(
けが
)
でもしたらどうするんだ。」これはまだ、平吉が
巫山戯
(
ふざけ
)
ていると思った町内の
頭
(
かしら
)
が、
中
(
ちゅう
)
っ
腹
(
ぱら
)
で云ったのである。けれども、平吉は動くけしきがない。
ひょっとこ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
俺のコップを眺めながらそんなことを思い付くなんて、まるでこの焼酎がメチルみたいじゃないかと、やっとその時そう気がついて、蟹江はすこし
中
(
ちゅう
)
っ
腹
(
ぱら
)
な調子で反問しました。
Sの背中
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
こっちも
中
(
ちゅう
)
ッ
腹
(
ぱら
)
になっているところへ、ボートがノーマ号に出かけることになったが、こいつがまた虎船長から、はっきり
停
(
と
)
められてしまったので、どうせ怒られ
序
(
ついで
)
だとおもって
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
中
(
ちゅう
)
ぐらいの大きさの、テリア系の雑種の犬が一匹、毛を泥まみれにして、なるたけ雨に打たれないように汽車の車輪の蔭に身をひそめながら、ぶるぶる
顫
(
ふる
)
えて
蹲踞
(
うずく
)
まっているのを
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「さようさよう。同じ大石殿の家来の
中
(
ちゅう
)
にも、瀬尾孫左衛門のような
人非人
(
にんぴにん
)
もあれば、またあんな忠義なものもある。まさかの場合になって、始めて人の心は分るものでござるな」
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
中
(
ちゅう
)
ぐらいのもあり、小さいのもあり、目ばたきをするまに、そのあかりが、いくつか消えるかとおもうと、また別のがいくつも燃えあがるので、小さな
焔
(
ほのお
)
は、入れかわり立ちかわり
死神の名づけ親(第一話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
縁側の突き当たりに
階子段
(
はしごだん
)
があったり、日当たりのいい
中
(
ちゅう
)
二階のような
部屋
(
へや
)
があったり、
納戸
(
なんど
)
と思われる暗い部屋に屋根を打ち抜いてガラスをはめて光線が引いてあったりするような
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
中
(
ちゅう
)
とうの ぼうず——しゅぎょうが ふつうで、ものわかりの いい ぼうず。
一休さん
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
われわれの町でもまず
中
(
ちゅう
)
どころで、極上のメリケン粉を商ない、郡部にある大きな製粉所を一つ賃貸しにしてその手に握り、なおその上に郊外にはなかなか実入りのいい果物ばたけもある
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
実際に或る瓦斯
中
(
ちゅう
)
の火花の写真を撮って、他の瓦斯中のものと比較して見ると、多くの場合
何処
(
どこ
)
が違っているかということを指摘することは困難であるにもかかわらず、火花の形全体としては
指導者としての寺田先生
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
が
金魚屋
(
きんぎょや
)
の
申立
(
もうした
)
て
中
(
ちゅう
)
にあつた
老人
(
ろうじん
)
の
財産
(
ざいさん
)
についての
話
(
はなし
)
と、
平松刑事
(
ひらまつけいじ
)
が
地金屋
(
ぢがねや
)
から
得
(
え
)
て
来
(
き
)
た
聞込
(
ききこ
)
みとを
照
(
て
)
らし
合
(
あわ
)
せてみて、
誰
(
だれ
)
の
胸
(
むね
)
にもピーンと
響
(
ひび
)
くものがあつた。
買
(
か
)
いこんだ
金塊
(
きんかい
)
や
古小判
(
ふるこばん
)
である。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
「何をいやァがる。」田代は
中
(
ちゅう
)
ッ
腹
(
ぱら
)
で「小倉君、分ってるか、君には?」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
その後
胴引
(
どうびき
)
などいう
博奕
(
ばくち
)
に不思議に勝ち
続
(
つづ
)
けて
金
(
かね
)
溜
(
たま
)
り、ほどなく奉公をやめ家に引き込みて
中
(
ちゅう
)
ぐらいの農民になりたれど、この男は
疾
(
と
)
くに物忘れして、この娘のいいしことも心づかずしてありしに
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
だんだん
伺
(
うかが
)
って
見
(
み
)
ると、
数
(
かず
)
限
(
かぎ
)
りもない
御
(
ご
)
一
代
(
だい
)
中
(
ちゅう
)
で、
最大
(
さいだい
)
の
御危難
(
ごきなん
)
といえば、
矢張
(
やは
)
り、あの
相摸国
(
さがみのくに
)
での
焼打
(
やきうち
)
だったと
申
(
もう
)
すことでございます。
姫
(
ひめ
)
はその
時
(
とき
)
の
模様丈
(
もようだけ
)
は
割合
(
わりあい
)
にくわしく
物語
(
ものがた
)
られました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
梅
(
むめ
)
ちゃん、先生の下宿はこの娘のいる
家
(
うち
)
の、
別室
(
はなれ
)
の
中
(
ちゅう
)
二階である。
郊外
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
中
(
ちゅう
)
どころの成績という条件です。一寸頭の新しい男でしょう? 一番や二番は試験勉強で持っているから融通が利かない。少くとも十五番以下でなくちゃ困ると言っています。何うですな? ヘッヘヽヽヽヽ」
恩師
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
黒服の
親仁
(
とっさん
)
は、すっぽりと
中
(
ちゅう
)
山高を脱ぐ。
兀頭
(
はげあたま
)
で、太い
頸
(
くび
)
に
横皺
(
よこじわ
)
がある。
尻
(
けつ
)
で、閣翁を突くがごとくにして、銅像に一拝すると
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
宇治山田の米友は、そのいずれなるに拘らず、髑髏についた泥のもう少し手軽く落つべくして落ちないのに
中
(
ちゅう
)
ッ
腹
(
ぱら
)
で、ゴシゴシと洗っている。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
花車が手玉にいたしました石へ花車と彫り附け、之を花車石と申しまして今に下総の法恩寺
中
(
ちゅう
)
に残りおりまする。是で
先
(
ま
)
ずお
芽出度
(
めでたく
)
累ヶ淵のお話は終りました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いずれも
程好
(
ほどよ
)
き
中
(
ちゅう
)
を得ざるゆえ、これを
矯
(
た
)
め
直
(
なお
)
さんとして、ひたすらその低きものを助け、いかようにもしてこれを高くせんとて、ただ一方に苦心するのみにして
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
表通は
中
(
ちゅう
)
くらいの横町で、向いの平家の低い窓が生垣の
透間
(
すきま
)
から見える。窓には
竹簾
(
たけすだれ
)
が掛けてある。その中で糸を引いている音がぶうんぶうんとねむたそうに聞えている。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
鈴木春信の好んで描けるこれら小説的恋愛の画題は
奥村政信
(
おくむらまさのぶ
)
また
石川豊信
(
いしかわとよのぶ
)
らのしばしば用ひたるものにして、
敢
(
あえ
)
て春信
一人
(
いちにん
)
の手によりて浮世絵
中
(
ちゅう
)
に現されたるものにあらず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
学生は月に七円ぐらい国から
貰
(
もら
)
えば
中
(
ちゅう
)
の部であった。十円も取るとすでに
贅沢
(
ぜいたく
)
と思われた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「どうだ!」と、死神が声をかけました、「これは、
人間
(
にんげん
)
どもの
生命
(
いのち
)
の
燈火
(
あかり
)
だ。大きいのは子どもので、
中
(
ちゅう
)
ぐらいのは
血気
(
けっき
)
さかんな夫婦もの、小さいやつは、じいさん、ばあさんのだ。 ...
死神の名づけ親(第一話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
はじめからしめてかかってシトシトシトシト「子別れ」の
中
(
ちゅう
)
を演りはじめた。中といえば遊びつづけてかえってきた熊さんがヤケ半分に、女房子供を叩きだすまでのあのくだりだった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「このあいだ
中
(
ちゅう
)
から内の留がいろいろおめえの御厄介になっているそうだが……」
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
で、新富座本建築のときは、四十二軒あった附属茶屋を、
大
(
おお
)
茶屋の十六軒だけ残して、あとは
中
(
ちゅう
)
茶屋も廃した。
間口
(
まぐち
)
の広い、建築も立派な茶屋だけ残したのだから、華やかなはずだった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一 沖のと
中
(
ちゅう
)
の浜す鳥、ゆらりこがれるそろりたつ物〻
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「そうだね。まず、
中
(
ちゅう
)
とう かね。」
一休さん
(新字新仮名)
/
五十公野清一
(著)
上
(
じょう
)
・
中
(
ちゅう
)
・
下
(
げ
)
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
御免なせえ……お香のものと、
媽々衆
(
かかしゅ
)
が気前を見せましたが、取っておきのこの奈良漬、こいつあ水ぽくてちと
中
(
ちゅう
)
でがす。菜ッ葉が食えますよ。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
どこへ行ったやら影も形も見えないので、主人は
中
(
ちゅう
)
っ
腹
(
ぱら
)
で、それから日のカンカンさすまで寝込んでしまうと
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“中”の意味
《名詞》
【なか】 物の内側。
【チュウ】 大きいとも小さいとも言えない状態。
【チュウ】 成績評価において、優れているとも劣っているとも言えない状態。平均的。
【チュウ】 大規模な文章や書籍などで、中の方の部分。
(出典:Wiktionary)
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“中”を含む語句
家中
中央
夜中
女中
連中
日中
中心
懐中
中間
室中
山中
中風
市中
心中
最中
掌中
中止
途中
真中
中旬
...