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頸
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うなじ
ふりがな文庫
“
頸
(
うなじ
)” の例文
が、姿は雨に、月の
朧
(
おぼろ
)
に、水髪の横櫛、
頸
(
うなじ
)
白く、水色の蹴出し、
蓮葉
(
はすは
)
に
捌
(
さば
)
く裾に揺れて、
蒼白
(
あおじろ
)
く燃える中に、いつも素足の吾妻下駄。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ウーム……そうか」と、越前守は、
頸
(
うなじ
)
の毛が二人に見えるほど深くさし俯向いた。——沈思、ややしばらくの後、こういい渡した。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何
(
なに
)
として
今日
(
けふ
)
はと
頸
(
うなじ
)
を
延
(
の
)
ばす
心
(
こゝろ
)
は
同
(
おな
)
じ
表
(
おもて
)
のお
高
(
たか
)
も
路次口
(
ろじぐち
)
顧
(
かへり
)
みつ
家内
(
かない
)
を
覗
(
のぞ
)
きつ
芳
(
よし
)
さまはどうでもお
留守
(
るす
)
らしく
御相談
(
ごさうだん
)
すること
山
(
やま
)
ほどあるを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
香料の匂う
束髪
(
そくはつ
)
の額を胸につけて、死んだように動かない翠子の様子に、すっかり安心して、目の前にほの白く見える
頸
(
うなじ
)
に軽く接吻した。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
女は
頸
(
うなじ
)
に懸けたる
金
(
きん
)
の
鎖
(
くさり
)
を解いて男に与えて「ただ
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
を
垣間
(
かいま
)
見んとの願なり。
女人
(
にょにん
)
の頼み引き受けぬ君はつれなし」と云う。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
彼の視線は、その指先から袖口のレースに移り、ついで、うす水色の半衿からのぞいた清楚な
頸
(
うなじ
)
……。彼は、頭がしびれるやうに思つた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
白い肩掛を
引掛
(
ひっか
)
けた
丈
(
せい
)
のすらりとした
痩立
(
やせだち
)
の姿は、
頸
(
うなじ
)
の長い目鼻立の
鮮
(
あざやか
)
な色白の
細面
(
ほそおもて
)
と
相俟
(
あいま
)
って、いかにも
淋
(
さび
)
し気に
沈着
(
おちつ
)
いた様子である。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
一筋の日光が落ちかかって、首を下げている浪江の
頸
(
うなじ
)
の、後れ毛を
艶々
(
つやつや
)
しく光らせていたが、いたいたしいものに見えなされた。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
頸
(
うなじ
)
は白鳩の如く、髪は香草の如く、目は宮殿の池の如く、鼻は城門の櫓の如くだつたと言ふのですから、万人に一人もない美人だつたのでせう。
結婚難並びに恋愛難
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
彼は
頸
(
うなじ
)
の上に振上げられた
白刃
(
はくじん
)
をまざまざと眼に見るような気がした。同じように感ずればこそ、理兵次も
垢
(
はじ
)
を含んで
遁亡
(
とんぼう
)
したものに相違ない。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
彼の暗いいろの髮は柔らかだつた。さうして彼が頭を下げると、女のやうにその髮が
頸
(
うなじ
)
のまはりに擴がつた。ランゲナウ
人
(
びと
)
もそのときふと目に入れた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
夫人は友の手を握りて謝すと見えしが、その
軟
(
やはらか
)
き兩臂は俄に我
頸
(
うなじ
)
を卷きて、我唇の上には燃ゆる如き接吻を覺えき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
少女は伸びあがりて、「御者、
酒手
(
さかて
)
は取らすべし。
疾
(
と
)
く
駆
(
か
)
れ。
一策
(
ひとむち
)
加へよ、今一策。」と叫びて、
右手
(
めて
)
に巨勢が
頸
(
うなじ
)
を
抱
(
いだ
)
き、
己
(
おの
)
れは
項
(
うなじ
)
をそらせて
仰視
(
あおぎみ
)
たり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
マダム・シャリニは肱掛椅子の背にぐったりと
頸
(
うなじ
)
を
凭
(
よ
)
せて、夢見る
女
(
ひと
)
のように、ぼんやり空間を見つめていた。
麻酔剤
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
それゆゑ彼女との
無役
(
むえき
)
な時間が、退屈ではあつたが、むしろ退屈であるために私の心を和やかにした。しん/\と流れるものが私の
頸
(
うなじ
)
をとりまいてゐたのだ。
訣れも愉し
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
そう云って此度は、彼女は媚びるようなしなをしながら、首を
傾
(
かし
)
げてみせた。白い
耳朶
(
みみ
)
が彼女の細りした
頸
(
うなじ
)
の上に、山田の心を唆った。山田は急に顔を外らした。
掠奪せられたる男
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
後なる男を引揚ぐると共に、己は身を躍らしてざんぶと逆捲く水に飛入り様、
流
(
ながれ
)
行く仙太の
頸
(
うなじ
)
に両手を搦みて、二人は濁に濁れる千丈の浪の底の底へと
沈行
(
しずみゆ
)
きけり。
片男波
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
笛吹くあるじは、笛の
艶
(
つや
)
をみがいている生絹の白い
頸
(
うなじ
)
に眼をとめ、気品ゆたかな女を見入った。
荻吹く歌
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
黒吉は、由子の柔かい肩に、顎を乗せて、その透きとおったような、白い
頸
(
うなじ
)
に見とれながら
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
見て、君が
頸
(
うなじ
)
をめぐらしつる態によりぞ、覆ひの布は脱ちたる。げにそは昔知りしところ。
抒情詩に就て
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今夜の題は「
月不宿
(
つきやどらず
)
」というのであった。この難題には当代の歌詠みと知られた堀川や安芸や
小大進
(
こだいしん
)
の才女たちも、うつむいた白い
頸
(
うなじ
)
を見せて、当座の思案に打ち傾いていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
巌丈な椅子に腰かけてゐて、児は王の膝の上に乗りゐる。王は右の手で児の膝のところを抱き、左の手が児の後ろに廻つて
頸
(
うなじ
)
のところを支へてゐる。そして接吻するところである。
接吻
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
頸
(
うなじ
)
は
鷄
(
とり
)
に似て
鬣髪
(
たてがみ
)
膝を過ぎ、
宛
(
さな
)
がら竜に異ならず、四十二の
旋毛
(
つむじ
)
は巻いて脊に連なり、毛の色は白藤の白きが如しと講釈の修羅場では読むという結構な馬に、
乗人
(
のりて
)
が乗人ですから
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そう云って居るうちに、三平の
頸
(
うなじ
)
はぐたりとなり、其処へたおれてしまいました。
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
貴方、そんな
頸
(
うなじ
)
の上などは
擽
(
くすぐ
)
っとうございますわ。ねえ、耳
朶
(
たぶ
)
へ……貴方……
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
テムプル先生が夜明け方、お室に歸つていらつしやると、顏をヘレン・バーンズの肩に押し付け、兩手を彼女の
頸
(
うなじ
)
に𢌞したまゝ、あの小さな
寢臺
(
ベッド
)
に寢てゐた私をお見付けになつたのであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
大きい方の僧侶はうなだれた彼の
頸
(
うなじ
)
で、うなずいて見せてから言った。
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
官能の甘き
頸
(
うなじ
)
を捲きしむる
悲愁
(
かなしみ
)
の
腕
(
かひな
)
に似たり。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
無限は
汝
(
な
)
が
頸
(
うなじ
)
より腰にかけてぞ真白に巡る
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
しどけなき、なれが
頸
(
うなじ
)
は虹にして
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
圓き
頸
(
うなじ
)
をかきなでて
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
籠は上に、棚の
丈
(
たけ
)
稍
(
やや
)
高ければ、
打仰
(
うちあお
)
ぐやうにした、
眉
(
まゆ
)
の優しさ。
鬢
(
びん
)
の毛はひた/\と、羽織の
襟
(
えり
)
に着きながら、肩も
頸
(
うなじ
)
も細かつた。
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
未知の人の好意を喜んで、月江は目にその礼をいいながら、白い
頸
(
うなじ
)
をのばして、ゴックリと一口冷めたい天泉をのどに通しました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いちじるしく目立つのはその帽子だ。それは深紅の
土耳古
(
トルコ
)
帽で、帽子を洩れて漆黒の髪が
頸
(
うなじ
)
へ幾筋かかかっている。匂うばかりの愛嬌を持った。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
別して、私眼を驚かし候は、里、両手にてひしと、篠
頸
(
うなじ
)
を抱き居り、母の名とはるれやと、代る代る、あどけ無き声にて、唱へ居りし事に御座候。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
馭丁
(
ぎよてい
)
に「カバン」持たせて梯を登らんとする程に、エリスの梯を駈け下るに逢ひぬ。彼が一声叫びて我
頸
(
うなじ
)
を抱きしを見て馭丁は呆れたる面もちにて、何やらむ
髭
(
ひげ
)
の内にて云ひしが聞えず。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
黒吉は、その遅れ髪のかかった
頸
(
うなじ
)
を、燃えるように見詰めると
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
頸
(
うなじ
)
をめぐる
珠飾
(
たまかざり
)
、譬へばそれが、鳴響き
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
髪束
(
かみたば
)
が風情をあたへる彼女等の、
白
(
しろ
)
い
頸
(
うなじ
)
。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
ただ力なく、女は
頸
(
うなじ
)
かたむけて髪
梳
(
くしけづ
)
る。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
籠
(
かご
)
は
上
(
うへ
)
に、
棚
(
たな
)
の
丈
(
たけ
)
稍
(
やゝ
)
高
(
たか
)
ければ、
打仰
(
うちあふ
)
ぐやうにした、
眉
(
まゆ
)
の
優
(
やさ
)
しさ。
鬢
(
びん
)
の
毛
(
け
)
はひた/\と、
羽織
(
はおり
)
の
襟
(
えり
)
に
着
(
つ
)
きながら、
肩
(
かた
)
も
頸
(
うなじ
)
も
細
(
ほそ
)
かつた。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
硬
(
こわ
)
い
髯
(
ひげ
)
がザラザラと、彼女の頬を所きらわず刺した。湯みたいな液体をもった瞼が、夢中になって、白い
頸
(
うなじ
)
をこすり廻った。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「まあ」と、栞は、思わず感嘆の声を上げ、水仙の茎のような、白い細い
頸
(
うなじ
)
を差し延べ、眼を見張り、刀身を見詰めた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ただ、一突き——あの赤く皮のたるんでいる
頸
(
うなじ
)
を、ただ、一突き突きさえすれば、それでもう万事が終わってしまう。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
馭丁
(
ぎょてい
)
に「カバン」持たせて
梯
(
はしご
)
を登らんとするほどに、エリスの梯を
駈
(
か
)
け
下
(
おり
)
るに
逢
(
あ
)
いぬ。彼が一声叫びてわが
頸
(
うなじ
)
を
抱
(
いだ
)
きしを見て馭丁は
呆
(
あき
)
れたる面もちにて、なにやらん
髭
(
ひげ
)
のうちにて言いしが聞こえず。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
頸
(
うなじ
)
巻く毛のぬくみ、
真白
(
ましろ
)
なるほだしの
環
(
たまき
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
何ものか
頸
(
うなじ
)
さしのべひた吸ひぬ。
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
と
今
(
いま
)
は
慌
(
あはたゞ
)
しく
成
(
な
)
つた。
青年
(
わかもの
)
は
矢庭
(
やには
)
に
頸
(
うなじ
)
を
抱
(
だ
)
き、
膝
(
ひざ
)
なりに
背
(
せ
)
を
向
(
むか
)
ふへ
捻廻
(
ねぢま
)
はすやうにして、
我
(
わ
)
が
胸
(
むね
)
を
前
(
まへ
)
へ
捻
(
ひね
)
つて、
押仰向
(
おしあふむ
)
けた
婦
(
をんな
)
の
顔
(
かほ
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そして、その白い
頸
(
うなじ
)
を抱きすくめようとしたが、
屏風
(
びょうぶ
)
の角に、剣の
佩環
(
はいかん
)
が引っかかったので、思わず足をすくめてしまった。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
土耳古
(
トルコ
)
婦人はいつの場合でも
面紗
(
ヴェール
)
で顔を隠すそうです。顔や
頸
(
うなじ
)
が焼けなくて手首だけ焼けるのはそのためでしょう」
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“頸(
首
)”の解説
くび(首、頸, neck)とは頸部(けいぶ)、すなわち、人体において頭(頭部)と胴体をつなぐ部位である。
日本語ではまた、頭部そのものを指す場合もある。
(出典:Wikipedia)
頸
漢検準1級
部首:⾴
16画
“頸”を含む語句
頸首
頸筋
頸飾
御頸
襟頸
頸足
頸毛
頸圏
頸動脈
頸脚
頸輪
頸城
頸部
頸窪
頸元
頸根
頸巻
頸骨
頸低
岩頸
...