“頸巻”のいろいろな読み方と例文
旧字:頸卷
読み方割合
くびまき71.4%
えりまき28.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かばんから毛糸の頸巻くびまきを取り出し、それを頸にぐるぐる巻いて甲板に出て見た。もう船は、少しも動揺していない。エンジンの音も優しく、静かである。
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)
「雪なんぞはもうありあしないだろう。」寒がりのK君はうちの中でも頸巻くびまきをしたままで、小屋から出て来ようともせずに僕たちを促した。「早くはいりたまえ。」
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
頸巻えりまきはいくら毛でも鼻の先がひどくつめたい。祖母は、足袋の先に真綿を入れて呉れたので足はいくらか暖かい。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
彼はボードビルの劇場における事件の三日目に、古ぼけた外套を被って、頸巻えりまきに顔を埋め、ラマルチン広場からやや遠く離れたビクトル・ユーゴー街の共同椅子に腰を下ろしていた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)