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輩
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やから
ふりがな文庫
“
輩
(
やから
)” の例文
「されば、次の大将は足利殿であろうと、京でも、もっぱらな下馬評です。いまおはなし申しあげた岩松党の
輩
(
やから
)
もそう観ていました」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此他にビブリオターフと云うのがあるが、ターフとは墓の義で、唯
徒
(
いたず
)
らに読みもせぬ書物を買って積んで置くのを楽しむ
輩
(
やから
)
である。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
うい傷じゃ、その傷もって天上御政道を
紊
(
みだ
)
す
輩
(
やから
)
あらば心行くまで打ち
懲
(
こ
)
らせ、とまでは仰せないが、上将軍家御声がかりの
直参傷
(
じきさんきず
)
じゃ。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
浄土門の修業は
末法濁乱
(
まっぽうじょくらん
)
の時の教えであるから、
下根
(
げこん
)
下智の
輩
(
やから
)
を器とする。これを奥州への宣旨とする。それを取り違えてはならない。
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
お色の
倚
(
よ
)
っていた欄干から、二間ほど離れた
一所
(
ひとところ
)
に、五、六人の
乞食
(
こじき
)
が
集
(
たか
)
っていた。往来の人の袖に縋り、
憐愍
(
あわれみ
)
を乞う
輩
(
やから
)
であった。
銅銭会事変
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
そしてわざと暗い所を
択
(
よ
)
って
縺
(
もつ
)
れ合ってゆく柔弱な
輩
(
やから
)
を見るといきなり横づっぽうの一つも張り飛ばしてやりたいほど
癇
(
かん
)
がたって
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
当世風の厚化粧
入毛
(
いれげ
)
沢山の
庇髪
(
ひさしがみ
)
にダイヤモンドちりばめ女優好みの頬紅さしたるよりも
洗髪
(
あらいがみ
)
に湯上りの薄化粧うれしく思ふ
輩
(
やから
)
にはダリヤ
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
これが
泊
(
とまり
)
に
着
(
つ
)
くと、
大形
(
おほがた
)
の
裕衣
(
ゆかた
)
に
変
(
かは
)
つて、
帯広解
(
おびひろげ
)
で
焼酎
(
せうちう
)
をちびり/\
遣
(
や
)
りながら、
旅籠屋
(
はたごや
)
の
女
(
をんな
)
のふとつた
膝
(
ひざ
)
へ
脛
(
すね
)
を
上
(
あ
)
げやうといふ
輩
(
やから
)
ぢや。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しかるに彼ら閣臣の
輩
(
やから
)
は
事前
(
じぜん
)
にその企を
萌
(
きざ
)
すに
由
(
よし
)
なからしむるほどの遠見と憂国の誠もなく、事後に局面を急転せしむる機智親切もなく
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
されど世に
理窟
(
りくつ
)
をも感ぜず思想をも感ぜず
詩歌
(
しいか
)
をも感ぜず美術をも感ぜざるものあらば、そは正にこの
輩
(
やから
)
なる事を忘るるなかれ。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これに反して
徒
(
いたずら
)
に美人の名に誘われて、目に
丁字
(
ていじ
)
なしと云う
輩
(
やから
)
が来ると、玄機は
毫
(
ごう
)
も仮借せずに、これに侮辱を加えて逐い出してしまう。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
今日普通に成功者と称する
輩
(
やから
)
の中にも、いかなる方法によりて今日の位地を得たかというと、はなはだ怪しげな道を進んだことが分かる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
残らず捨て去ってしまったり、珍味だということをなんにも知らない
輩
(
やから
)
に、むしゃむしゃ食べさせてしまうのはもったいないかぎりである。
残肴の処理
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
もし公のふるまいを見て
嘲
(
あざけ
)
り笑うものがあれば、それこそ罰あたりの
輩
(
やから
)
であって、心ある者はたゞ/\有難いと思うべきである
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かねがね電話使用を禁じたのは、例の時限爆弾のことで、博士に面会しようという
輩
(
やから
)
に
乗
(
じょう
)
ぜられるのを恐れてのことであった。
時限爆弾奇譚:――金博士シリーズ・8――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
前将軍の早世も
畢竟
(
ひっきょう
)
この人あるがためだとして、慶喜を目するに家茂の
敵
(
かたき
)
であると思う
輩
(
やから
)
は幕府内に少なくないばかりでなく
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その真価を判断するだけの眼識のない
輩
(
やから
)
はたちまちこれに雷同して、一時はその説が天下を
風靡
(
ふうび
)
するというありさまになる。
民種改善学の実際価値
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
これをいいことにして、誰か、私事を
恣
(
ほしいまま
)
にしようと考える
輩
(
やから
)
があろうか? 社会はよろしく今の子供たちに、深い同情を持たなければならぬ。
日本的童話の提唱
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その他なお商家の
豪奢
(
ごうしゃ
)
を尽したる例甚だ多く、
就中
(
なかんずく
)
外妾
(
がいしょう
)
を
蓄
(
たくわ
)
うること商人に最も多くして、手代の
輩
(
やから
)
に至るまで
窃
(
ひそか
)
に養わざるものなしという。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
此の
仕掛花火
(
しかけはなび
)
は唯が製造したか知らぬが、蓋し興世玄明の
輩
(
やから
)
だらう。理屈は
兎
(
と
)
もあれ景気の好い面白い花火が
揚
(
あが
)
れば群衆は
喝采
(
かつさい
)
するものである。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
氣
(
き
)
を
附
(
つ
)
けゃ、
氣
(
き
)
を
附
(
つ
)
けゃ、さういふ
輩
(
やから
)
があさましい
最期
(
さいご
)
を
遂
(
と
)
ぐる。さゝ、
豫定通
(
さだめどほ
)
り、
戀人
(
こひゞと
)
の
許
(
もと
)
へ
往
(
い
)
て、
居間
(
ゐま
)
へ
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
り、
速
(
はや
)
う
慰
(
なぐさ
)
めてやりめされ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
そんな
輩
(
やから
)
のすることだから、ムキになって腹を立てて見たって始まらないが、そんな出鱈目をひとに教えてすましているようなやつだから、眷族を
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
と言って高く自ら標置する
輩
(
やから
)
がある。また私の花鳥諷詠という語を
戸棚
(
とだな
)
の中にしまい込んで置いてなるべく手を触れないようにしておる者もある。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
全体に
門付
(
かどつ
)
け
物貰
(
ものもら
)
いの
輩
(
やから
)
を、すべて人間の
落魄
(
らくはく
)
した姿のように考えることは、やや一方に偏した
観方
(
みかた
)
なのかも知れない。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
こんなのがお金に有り付いたら、二割や三割どころでない、十割以上も飲み喰いして足を出す
輩
(
やから
)
である。ブル以上のブル根性を発揮する連中である。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
彼は人から冷やかされていたが、それも成功の妨げにはならなかった。パリーでは
滑稽
(
こっけい
)
は身の破滅だと言う人々は、少しもパリーを知らない
輩
(
やから
)
である。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
種々雑多な風体の
輩
(
やから
)
が闇黒にまぎれて続々と草庵の裏木戸に吸い込まれたというしらせもあって踏み込んだことだから、よもや間違いとは思われない。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
宗盛卿父子は生捕り、主上は御入水、能登殿はご自害、その他、ご自害、ご入水数知れぬ程で、残った
輩
(
やから
)
も、今朝、志度の浦にて、全部討ち取りました。
現代語訳 平家物語:11 第十一巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
私が余り通俗(非文学的)になり過ぎたか、或いは本来彼等が余り狭い考え方に捉われているか、どちらかだ。
曾
(
かつ
)
て私は法律などを勉強する
輩
(
やから
)
を
嗤
(
わら
)
った。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
君ならでは人にして人に非ずと
唱
(
うた
)
はれし一門の
公達
(
きんだち
)
、
宗徒
(
むねと
)
の人々は言ふも
更
(
さら
)
なり、
華冑攝籙
(
くわちゆうせつろく
)
の
子弟
(
してい
)
の、苟も武門の蔭を覆ひに當世の榮華に誇らんずる
輩
(
やから
)
は
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
人間の手や足を切斷したり、脇腹を切開したりするのを、平氣で手傳つて二の腕まで血だらけにして居る
輩
(
やから
)
であるから、何れも皆男といふ者を怖れて居ない。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
人の知るとおり、
嫌悪
(
けんお
)
すべき
輩
(
やから
)
はすべていら立ちやすいものであり、怪物はすべて怒りやすいものである。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そしてまさにこの点で彼が、彼の
駁撃
(
ばくげき
)
を加えているヘラクリトス、エンペドクレース、アナクサゴラスの
輩
(
やから
)
をいかにはるかに
凌駕
(
りょうが
)
しているかを見る事ができよう。
ルクレチウスと科学
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何に致せ、御一同のような忠臣と、一つ
御
(
ご
)
藩に、さような
輩
(
やから
)
が
居
(
お
)
ろうとは、考えられも致しませんな。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かてて加えて諸国より続々と上ってまいる東西両陣の
足軽
(
あしがる
)
と申せば、昼は合戦、夜は押込みを習いとする
輩
(
やから
)
ばかり、その荒々しい人相といい
下賤
(
げせん
)
な言葉つきと云い
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
したがって尾閭禁ぜず
滄海
(
そうかい
)
竭
(
つ
)
きた
齶蠅
(
がくよう
)
連は更なり、いまだ二葉の若衆より
圊
(
かわや
)
に杖つくじいさんまでも、名を一戦の門に留めんと志す
輩
(
やから
)
、皆争うてこれを求めたので
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
なるほどキリーリンとアチミアーノフは唾棄すべき
輩
(
やから
)
だ。しかし彼らのしたことは彼がはじめたことの延長ではないか。彼らは彼の同類であり弟子なのではないか。
決闘
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
威勢のよい面構えをした人間もたくさんいたが、これはあらゆる大都会に横行しているあのしゃれた
掏摸
(
すり
)
の
輩
(
やから
)
に属する連中だということが、私にはたやすくわかった。
群集の人
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
同じく人間に生まれて両眼を具しながら、この美観をみることのできない
輩
(
やから
)
は、これを評して明き盲人と申さねばなりませぬ。なんと気の毒千万ではありますまいか。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
わたしは問題の核心を
衝
(
つ
)
くために——なぜならば核心は信念であるから——わたしはそういう
輩
(
やから
)
に対して、大釘を食ったって生きていけると答えてやるのを常とした。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
「小太郎、長持を運べ——いや、待て——佐田氏、人間には足があって、すぐにも、御門前へ出られるが、この長持、諸道具と申す
輩
(
やから
)
には、
不憫
(
ふびん
)
ながら、足が無うて」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
彼に心を寄せし
輩
(
やから
)
は皆彼が
夜深
(
よふけ
)
の
帰途
(
かへり
)
の程を
気遣
(
きづか
)
ひて、我
願
(
ねがは
)
くは
何処
(
いづく
)
までも送らんと、
絶
(
したた
)
か
念
(
おも
)
ひに念ひけれど、彼等の
深切
(
しんせつ
)
は無用にも、宮の帰る時一人の男附添ひたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こちとらが嗅煙草を嗅ぐよりもたやすく懺悔僧にむかつて嘘八百をならべ立てるやうな不心得な外道にもよく出会つたものぢやが、そのやうな
輩
(
やから
)
でも、
妖女
(
ウェーヂマ
)
の話が出れば
ディカーニカ近郷夜話 前篇:04 イワン・クパーラの前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
無条件に衣食を乞うが如き
輩
(
やから
)
は、真の乞食で、これは論外でありますが、農業以外の雑多の職業は、大体において自然公民以外の落伍者の従事するものとなりましたから
融和問題に関する歴史的考察
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
詩人の
韜晦
(
とうかい
)
趣味を解さない
輩
(
やから
)
にも困るね。まあ自ら冤罪を招いたようなものだ。誰を恨むこともない。ところで容貌のことでは、昔僕に一つのアネクドートがあるんだね。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
客と見れば妙な手つきをして妙な声を張り上げるあの
輩
(
やから
)
の幇間とは較べものにならなかった。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
みだりにこれを
譴責
(
けんせき
)
し、
甚
(
はなはだ
)
しきは師友を
恨
(
うら
)
むるの
輩
(
やから
)
少からず、迷えるの
甚
(
はなはだ
)
しきにあらずや。
教育談
(新字新仮名)
/
箕作秋坪
(著)
……此世は常の
栖
(
すみか
)
に非ず、草葉に置く白露、水に宿る月より猶怪し、
金谷
(
かなや
)
に花を詠じし栄華は
先立
(
さきだっ
)
て、無常の風に誘はるゝ、南楼の月を
弄
(
もてあそ
)
ぶ
輩
(
やから
)
も月に先立て有為の雲に隠れり。
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『ツィゴイネルワイゼン』はこうひくもの、『ロンド・デ・ルタン』のピチカットはこんな具合に——などと、技巧の末に神経を使う
輩
(
やから
)
は、まさに
愧死
(
きし
)
してもいいくらいのものだ。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
そして、いたずらに異教の
輩
(
やから
)
を焼く炬火の爆音のすさまじい土地を選んだわけなのだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
輩
常用漢字
中学
部首:⾞
15画
“輩”を含む語句
吾輩
奴輩
朋輩
儕輩
年輩
徒輩
傍輩
彼輩
若輩
同年輩
児輩
友輩
我輩
手輩
末輩
同輩
此輩
汝輩
所化輩
前輩
...