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薙
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な
ふりがな文庫
“
薙
(
な
)” の例文
感激もなしにバタバタと
薙
(
な
)
ぎ倒おされ、
千切
(
ちぎ
)
られ、引裂かれ、腐敗させられ、屍毒化させられ、破傷風化させられて行くことである。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「パルドン、パルドン」の百
万陀羅
(
まんだら
)
。これに反してタヌは、群集の口が増せば増すほどいよいよ活況を呈し、四面八方に
薙
(
な
)
ぎ立てる。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
抜き落しに、一刀、下の影をサッと
薙
(
な
)
ぐと、その勢いと、放された不意とで、ドンと土塀の向うがわへ、もんどりうって転げ落ちた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
卯平
(
うへい
)
は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に
誰
(
たれ
)
がさうしたのか
筵
(
むしろ
)
の
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
たへられてあつた。
彼
(
かれ
)
は
少
(
すくな
)
い
白髮
(
しらが
)
を
薙
(
な
)
ぎ
拂
(
はら
)
つて
燒
(
や
)
いた
火傷
(
やけど
)
のあたりを
手
(
て
)
で
掩
(
お
)
うて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
規矩男は小戻りして、かの女から預っているパラソルで残忍に草の
蔓
(
つる
)
を
薙
(
な
)
ぎ破り、ぐんぐん先へ進んだ。かの女はあとを通って行った。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
「走りかかってちょうと切れば」と米八は
謡
(
うたい
)
がかりに身振りをした、「そむけて右に飛びちがう、取り直して裾を
薙
(
な
)
ぎはらえば」
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
よく切れる鎌で
薙
(
な
)
いで行くのは
爽快
(
そうかい
)
なものである。また草の根をぶりぶりかき切るのも痛快なものである。かゆい所をかくような気がする。
路傍の草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
もしも本当に斬る気になって、
翻然
(
ほんぜん
)
と飛び出して来たならば、そんな五人の遊び人などは、一
薙
(
な
)
ぎ二薙ぎで斃されるであろう。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
反徒らは城壁の上に
拠
(
よ
)
っていて、死体や負傷者らの間につまずき急斜面に足を取られてる兵士らを、ねらい打ちに
薙
(
な
)
ぎ倒した。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「しまった」と、三郎兵衛が太刀を引こうとする隙に、市九郎は踏み込んで、主人の脇腹を思うさま横に
薙
(
な
)
いだのであった。
恩讐の彼方に
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
剛力で斬りつける長刀にしばし敵を支えていたが、おめいて斬りかかる敵の胴を見事に
薙
(
な
)
いで二つにしたとき、後へ廻った敵兵の刃に死んだ。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
薙
(
な
)
げば薙ぐほど自然に
磨
(
と
)
ぎすまされる大鎌である。それを見まいとしても見ずにはいられない。それを思うまいとしても思わずにはいられない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
群がる天兵を打倒し
薙
(
な
)
ぎ倒し、三十六員の雷将を
率
(
ひき
)
いた
討手
(
うって
)
の大将
祐聖真君
(
ゆうせいしんくん
)
を相手に、
霊霄殿
(
りょうしょうでん
)
の前に戦うこと半日余り。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
大樹を傾け梢を
薙
(
な
)
ぎ倒しているが、そのややしばし後になると、小法師岳の木々が、異様に反響して余波に応えていた。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その中に
漸
(
ようや
)
く適当な入口を見出し、人夫が草を
薙
(
な
)
ぎ払った後からつづいて谷を越え、熔岩流のただ中に
攀
(
よ
)
じ登って見た。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
「ハムラ! こんなに凄まじく木をひし折ったり、草を
薙
(
な
)
ぎ倒しているのは
類人猿
(
ポンゴー
)
の喧嘩の外にはございませんです」
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
倅
(
せがれ
)
はよくよく
磨
(
と
)
ぎたる大鎌を手にして近より来たり、まず左の肩口を目がけて
薙
(
な
)
ぐようにすれば、鎌の
刃先
(
はさき
)
炉
(
ろ
)
の
上
(
うえ
)
の
火棚
(
ひだな
)
に
引
(
ひ
)
っかかりてよく
斬
(
き
)
れず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この姿勢で充分に使わせると、左右を
薙
(
な
)
ぎ立てることができます。近寄るのを追払って寄せつけないことができます。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ぢやあ、もう一番!」勝負事で愉快に
昂奮
(
かうふん
)
してゐるらしい声を、その生徒はその儘部屋のなかへ向けてゐた。「せめて四人は
薙
(
な
)
ぎ倒さなくつちや!」
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
が、相手は隻腕、何ほどのことやある?……と、タ、タッ、
飄
(
ひょう
)
ッ! 踏みきった森徹馬、敵のふところ深くつけ入った横
薙
(
な
)
ぎが、もろにきまった——。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
身をひるがえしつつ襲いかかろうとした猛犬をさッと
一閃
(
いっせん
)
、
薙
(
な
)
ぎ倒したかと見えるや浴びせ切りに切りすてました。
右門捕物帖:24 のろいのわら人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
駒
(
こま
)
ヶ
嶽
(
だけ
)
であろう頂上の
薙
(
な
)
ぎ
禿
(
は
)
げた大きな山の姿が頭の上にあった。その山の
頂
(
いただき
)
の処には
蒼白
(
あおじろ
)
い雲が流れていた。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
万乗の君主金冠を
墜
(
おと
)
し、
剃刀
(
ていとう
)
の冷光
翠髪
(
すいはつ
)
を
薙
(
な
)
ぐ。悲痛何ぞ
能
(
よ
)
く
堪
(
た
)
えんや。
呉王
(
ごおう
)
の教授
揚応能
(
ようおうのう
)
は、臣が名
度牒
(
どちょう
)
に応ず、願わくは祝髪して
随
(
したが
)
いまつらんと
白
(
もう
)
す。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
と、
薙
(
な
)
いで来るのを、かわしてやりすごすと同時に、左手の拳がパッと伸びて、十分に、
脾腹
(
ひばら
)
にはいった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そこだけの一
廊
(
かく
)
を取りあえず伐木して、下草を
薙
(
な
)
ぎ払った。それが主君邦夷の来着を待つ用意であった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
「今度またいたずらをしおったら、すぐに追い掛けて
捉
(
とら
)
まえて、あの鎌で向こう脛を
薙
(
な
)
いでくるるわ」
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
サツと
薙
(
な
)
いで來る太刀、辛くもかい潜つた平次の手からは、得意の投げ錢が久し振りに飛びました。小さいが、目方のある四文錢。夜風を
截
(
き
)
つて武士の顎へ、額へ、鼻の頭へ。
銭形平次捕物控:155 仏像の膝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
骨を切る音が鈍く響いて、横に
薙
(
な
)
いだ太刀の光が、うすやみをやぶってきらりとする。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
およそ薙刀を
閃
(
ひら
)
めかして
薙
(
な
)
ぎ伏せようとした当の敵に対して、その身構えが、
背後
(
うしろ
)
むきになって、堂の縁を、もの狂わしく駆廻ったはおろか、いまだに、振向いても見ないで、胸を
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
竹のステッキで足もとの草を
薙
(
な
)
ぎ倒し、歯がみをしている太宰の姿よりは、「夜ふけと梅の花」の中の、電信柱の下で前後左右によろめきながら、自分を
脅
(
おびやか
)
す質屋の番頭の幻影に対し
井伏鱒二によせて
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
殿村は女竹のステッキで、朝露にしめった雑草を無意味に
薙
(
な
)
ぎ
払
(
はら
)
いながら答えた。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
竹のステッキで、海浜の雑草を
薙
(
な
)
ぎ払い薙ぎ払い、いちどもあとを振りかえらず、一歩、一歩、地団駄踏むような
荒
(
すさ
)
んだ歩きかたで、とにかく海岸伝いに町の方へ、まっすぐに歩いた。
黄金風景
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
又木は
薙
(
な
)
ぎ倒され、作物は根こそぎにされ、——だが、それはやがて過ぎて行く。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
それと同時に、バリバリバリバリッと、竹を割るような鋭い音が一行を
薙
(
な
)
いだ。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
あらゆる命令が名前としてつけてあった——『
射
(
う
)
て』だの、『
罵
(
ののし
)
れ』だの、『飛びまわれ』だの、『火事』だの、『
薙
(
な
)
ぎたおせ』だの『書きなぐれ』だの『焼け』だの、『
焦
(
こ
)
がせ』だの
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
水戸はドレゴの説をくつがえすために、色々と事実をあげて
反駁
(
はんばく
)
した。がドレゴはいつになく水戸のいうことを聴かず、片端からあべこべの実例をもって水戸の甘い説を
薙
(
な
)
ぎ
倒
(
たお
)
していった。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
その竹藪は
薙
(
な
)
ぎ倒され、逃げて行く人の勢で、
径
(
みち
)
が自然と
拓
(
ひら
)
かれていた。見上げる樹木もおおかた中空で
削
(
そ
)
ぎとられており、川に添った、この
由緒
(
ゆいしょ
)
ある名園も、今は傷だらけの姿であった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
左
(
ひだ
)
りへ折れて血塔の門に入る。今は昔し
薔薇
(
しょうび
)
の
乱
(
らん
)
に目に余る多くの人を幽閉したのはこの塔である。草のごとく人を
薙
(
な
)
ぎ、
鶏
(
にわとり
)
のごとく人を
潰
(
つぶ
)
し、
乾鮭
(
からさけ
)
のごとく
屍
(
しかばね
)
を積んだのはこの塔である。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鋭い
利鎌
(
とかま
)
で草でも
薙
(
な
)
ぐやうに
伐
(
き
)
り
仆
(
たふ
)
され、皮を剥がれ、傷つけられ、それから胴切にされてしまふ、今までは私の宅の周囲も、森林で厚肉の
蒼黯
(
あをぐろ
)
い
染色硝子
(
ステインドグラス
)
を立てゝゐたが、一角だけを残して
亡びゆく森
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
そうして、剣を引くと、「卑弥呼、卑弥呼。」と呼びながら、部屋の中を馳け廻り、
布被
(
ぬのぶすま
)
を引き開けた。玉簾を跳ね上げた。庭園へ飛び下りて、
萩
(
はぎ
)
の
葉叢
(
はむら
)
を
薙
(
な
)
ぎ
倒
(
たお
)
しつつ広場の方へ馳けて来た。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
地も空も
蒼然
(
そうぜん
)
と
昏
(
く
)
れ、時々坊岬灯台の光の束が、空を
薙
(
な
)
いで走る。石段も暗く、手をつなぎ合って、そろそろと降りた。しめった掌を離すと、女は道を降り、ダチュラの花を四つ五つ
摘
(
つ
)
んで来た。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ここかしこに無数の群集がいて、
拳固
(
げんこ
)
を差し出し、怒鳴って
真赤
(
まっか
)
になっていたが、しまいには本気でなぐり合うのだった。共和政府は民衆に
媚
(
こ
)
びていた。そして次には、民衆を
薙
(
な
)
ぎ払わせていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
若草を
薙
(
な
)
いで来る風が、得ならぬ春の
香
(
か
)
を送って
面
(
かお
)
を
掠
(
かす
)
める。
画の悲み
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
隣りの地内の奥まったあたりで、
竹藪
(
たけやぶ
)
の
薙
(
な
)
ぎたてるような音がしていたが、そのうちに、よく通る声で、だれかがこちらへ呼びかけた。
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
鈴鳴子
(
すずなるこ
)
はりんりん鳴る。彼は、脇差を抜いて、身に
絡
(
から
)
む荒縄を、切っては泳ぎ、
薙
(
な
)
いでは泳ぎ、ようやく滝川の対岸へ手をかけた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
痛
(
え
)
てえか、そんでもたえしたこともねえから
心配
(
しんぺえ
)
すんなよ」おつぎは
火
(
ひ
)
に
薙
(
な
)
ぎ
拂
(
はら
)
はれた
穢
(
きたな
)
い
卯平
(
うへい
)
の
白髮
(
しらが
)
へそつと
手
(
て
)
を
當
(
あて
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
吹雪は大きな力で枯林を襲い、梢を揺りたて、地を吹き
捲
(
まく
)
り、あらゆるものを灰色の翼で
薙
(
な
)
ぎたてながら去って行く。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
剛力に任せて水車のように打ちふるう大長刀で馬の足を
薙
(
な
)
がれた平家の勢少くなく、討ち果された兵も多く、永覚はしばし少勢でここを支えていたが
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
それと見て取った七福神組は、一斉に刀を振り上げたが、廻わりながらの
薙
(
な
)
ぎの手だ、サ——ッとばかりに振り下ろした。すぐに起こったは悲鳴である。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
右から左へ
薙
(
な
)
いだ左腕の剣を、そのまま
空
(
くう
)
に
預
(
あず
)
けて、その八の字を平たく押しつぶしたような恰好のまま——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
薙
漢検準1級
部首:⾋
16画
“薙”を含む語句
薙髪
大薙刀
横薙
薙倒
一薙
薙伏
薙立
墓薙
薙刀
草薙
黒薙
小薙刀
赤薙
剪薙
草薙天鬼
御薙髪
諸薙
薙染後
高薙
青薙
...