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華美
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ふりがな文庫
“
華美
(
はで
)” の例文
省三は不思議に思って
婢
(
じょちゅう
)
の声のした方を見た。昨日の朝
銚子
(
ちょうし
)
で別れた女が婢の傍で笑って立っていた。女は
華美
(
はで
)
な
明石
(
あかし
)
を着ていた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
すべてがいかにも
清
(
きよ
)
らかで、
優雅
(
ゆうが
)
で、そして
華美
(
はで
)
な
中
(
なか
)
に
何
(
なん
)
ともいえぬ
神々
(
こうごう
)
しいところがある。とても
俺
(
わし
)
の
口
(
くち
)
で
述
(
の
)
べ
尽
(
つく
)
せるものではない。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「あれ、ハイカラな帯ね。お姉様には少し
華美
(
はで
)
かもしれないけれど……」と、海老色の
繻子
(
しゅす
)
に、草花の刺繍のしてある
片側帯
(
かたがわおび
)
を指した。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
華美
(
はで
)
な
若粧
(
わかづくり
)
、何うしても葉茶屋のお
内儀
(
かみ
)
さんにいたしては少し華美な
拵
(
こしら
)
え、それに垢抜けて居るから一寸表へ出ても目立ちます。
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
華美
(
はで
)
な
御生活
(
おくらし
)
のなかに住み慣れて、知らず知らず奥様を見習うように成りましたのです。思えば私は自然と
風俗
(
なり
)
をつくりました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
肉付のいゝ若い女が
幾人
(
いくたり
)
も、赤い
潰髷
(
つぶし
)
の
結綿
(
ゆひわた
)
にもう
華美
(
はで
)
な
中形
(
ちゆうがた
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
を着て
引掛
(
ひつか
)
け帶もだらしなく、歩む度に白い足の裏を見せながら行く。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
不断着だけれど、荒い縞の着物に
飛白
(
かすり
)
の羽織を着て、
華美
(
はで
)
な帯を締めて、障子に
掴
(
つか
)
まって
斜
(
はす
)
に立った姿も何となく目に
留
(
と
)
まる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼女はさっぱりした姿で、紅い模様のある
華美
(
はで
)
な帯をしめていた。彼女はいきなり板敷の上に坐ると、あたりを見廻した。
性に眼覚める頃
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
子供の服装は近頃ル・マタン紙の婦人欄の記者が批難した通り「
何等
(
なんら
)
らの熟慮を経ない、
唯
(
た
)
だ
華美
(
はで
)
に過ぎた複雑な装飾」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
しかしそう云えば、私は
錦絵
(
にしきえ
)
に
描
(
か
)
いた御殿女中の羽織っているような
華美
(
はで
)
な総模様の着物を宅の蔵の中で見た事がある。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
華美
(
はで
)
なるカシミールのショールと
紅
(
くれない
)
のリボンかけし
垂髪
(
おさげ
)
とはるかに上等室に消ゆるを目送して、歩を返す時、千々岩の唇には恐ろしき微笑を浮かべたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
赤や紫の見える可笑しい程
華美
(
はで
)
では有るが然しもう古びかへつた馬鹿に大きくて厚い蒲団の上に、小さな円い眼を出来るだけ
睜開
(
さうかい
)
してムンヅと坐り込んでゐた。
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
手には元禄模様の
華美
(
はで
)
な袋にバイオリンを入れて、水色絹に
琥珀
(
こはく
)
の柄の付いた小形の
洋傘
(
こうもり
)
を
提
(
さ
)
げている。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
長い
滑稽
(
こっけい
)
な
尾
(
トレーン
)
のついた、幾人の手をくぐったかしれない
華美
(
はで
)
な絹服のことも、戸口を一ぱいふさいでしまった途方もない大きさの
腰張り
(
クリノリン
)
も、薄いろの靴のことも
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
デント大佐夫人はそれほど
華美
(
はで
)
ではなかつたが、ずつと貴婦人らしいと私は思つた。彼女は
細
(
ほつそ
)
りした身體つきと、蒼白い、温和な顏と、美しい髮とを持つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
色
淡
(
うす
)
き、あるは
華美
(
はで
)
なる羽織のちりめんのしとやかさよ、女の一人は
淡青
(
うすあを
)
のリボンをぞ髪につけたる。
春の暗示
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なぜなら彼は、夫の死にもかかわらず、
華美
(
はで
)
な
平服
(
ふだんぎ
)
に着換えた、ウルリーケを発見したからである。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
糸織の
衿懸
(
えりか
)
けたる
小袖
(
こそで
)
に
納戸
(
なんど
)
小紋の縮緬の羽織着て、
七糸
(
しつちん
)
と
黒繻子
(
くろじゆす
)
との昼夜帯して、
華美
(
はで
)
なるシオウルを携へ、髪など
撫付
(
なでつ
)
けしと
覚
(
おぼし
)
く、
面
(
おもて
)
も見違ふやうに軽く
粧
(
よそほ
)
ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
一通りの話をした御雪太夫の
面影
(
おもかげ
)
を思い返して、道中で見た時とは違い物々しい飾りを取りはずし、広くて赤い
襟
(
えり
)
のかかった
打掛
(
うちかけ
)
に、
華美
(
はで
)
やかな
襦袢
(
じゅばん
)
や、黒い胴ぬきや
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
向
(
むこう
)
の隅に、
雛
(
ひな
)
の
屏風
(
びょうぶ
)
の、小さな二枚折の蔭から、友染の
掻巻
(
かいまき
)
の
裾
(
すそ
)
が
洩
(
も
)
れて、
灯
(
ともしび
)
に風も当たらず
寂莫
(
せきばく
)
としてもの寂しく
華美
(
はで
)
な死体が
臥
(
ね
)
ているのは、蝶吉が
冊
(
かしず
)
く人形である。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
博物館で会った女の画家を記憶していますが、ハイカラに結って眼鏡を掛け、
華美
(
はで
)
な羽織を着て、パッとした色の風呂敷を持ったりして、そして何かを縮図していました。
好きな髷のことなど
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
華美
(
はで
)
の中に華美を得
為
(
せ
)
ぬ彼は渋い中に華美をやった。彼は自己の為に田園生活をやって居るのか、
抑
(
そもそ
)
もまた人の為に田園生活の芝居をやって居るのか、分からぬ日があった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
風流の道にたましいを打ち込んで、
華美
(
はで
)
がましいことを余り好まなかった忠通も、おととし初めて
氏
(
うじ
)
の
長者
(
ちょうじゃ
)
と定められてからおのずと心も
驕
(
おご
)
って来た。世の太平にも馴れて来た。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
華美
(
はで
)
に衣飾ることなど出来ようはずがない。で彼女は仕方なく質素な
服装
(
みなり
)
をしていた。
頸飾り
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
宮本夫人は器量自慢で、
華美
(
はで
)
好きで、才子ぶるというのでとかく評判がよくなかった。
情鬼
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
茶は
華美
(
はで
)
好きの多い草木のなかにあって、ひとり隠遁の志の深い出世間者である。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
貸や借の
紛紜
(
こぐらかり
)
が複雑になっていたが、それはそれとして、
身装
(
みなり
)
などのめっきり
華美
(
はで
)
になった彼女は、その日その日の明い気持で、生活の新しい幸福を予期しながら、病院の門を
潜
(
くぐ
)
った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
争つてゐるのであらう、女の
華美
(
はで
)
な着物の縞目が、時々はたはたと翻つて、それが夜目にもはつきり見えた。が間もなく女は監房の内部へ消えて、厚い扉が、図太く入口を覆つてしまつた。
間木老人
(新字旧仮名)
/
北条民雄
(著)
彼女は真夏からずっと入院していたので、
衣物
(
きもの
)
もそのときに着て来た、地質の薄い、色の
華美
(
はで
)
なものであった。痩せた襟のあたりにつけたリボンが皺くちゃになったのも、殊に哀れ深く見えた。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
死ぬのなら、もっと早く
死
(
し
)
なせたかった。あの通りの
華美
(
はで
)
な気象ですもの。あの人の若いころって、随分異性をひきつけていました。私がはじめて淡路町へいったころは、毎晩宴会のようでした。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
(ほんに、まあ、
華美
(
はで
)
な
唐画
(
たうぐわ
)
の世界、)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
むこうのおじょうさん
華美
(
はで
)
好きで
まざあ・ぐうす
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ブツブツと
華美
(
はで
)
で賑やかな
小熊秀雄全集-11:詩集(10)風物詩篇
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
深川の
芸妓
(
げいしゃ
)
を
羽織衆
(
はおりし
)
/\と称えるような事になりましたので、貰わぬ者まで自分で染めて黒縮緬の羽織を着たという、誠に
華美
(
はで
)
なことで。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
汚れた
瓦
(
かわら
)
屋根、目に
入
(
い
)
るものは
尽
(
ことごと
)
く
褪
(
あ
)
せた寒い色をしているので、芝居を出てから一瞬間とても
消失
(
きえう
)
せない
清心
(
せいしん
)
と
十六夜
(
いざよい
)
の
華美
(
はで
)
やかな姿の記憶が
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
月の光の
工合
(
ぐあい
)
であろうか舟の
周囲
(
まわり
)
は強い電燈を
点
(
つ
)
けたように明るくなって、女の縦模様のついた
錦紗
(
きんしゃ
)
のような
華美
(
はで
)
な
羽織
(
はおり
)
がうすい紫の
焔
(
ほのお
)
となって見えた。
水郷異聞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
かねて
竜宮界
(
りゅうぐうかい
)
は
世
(
よ
)
にも
奇麗
(
きれい
)
な、
華美
(
はで
)
なところと
伺
(
うかが
)
って
居
(
お
)
りますので、
私
(
わたくし
)
もそのつもりになり、
白衣
(
びゃくい
)
の
上
(
うえ
)
に、
私
(
わたくし
)
の
生前
(
せいぜん
)
一
番
(
ばん
)
好
(
す
)
きな
色模様
(
いろもよう
)
の
衣裳
(
いしょう
)
を
重
(
かさ
)
ねました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
秀吉は、
聚楽第
(
じゆらくだい
)
の造営や大仏殿の建立、大坂、伏見の築城、朝鮮出兵と、
華美
(
はで
)
好きに任せて莫大な費用を使つたやうに見えてゐて、少しも金には困らなかつた。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
赤や紫の見える
可笑
(
おか
)
しいほど
華美
(
はで
)
ではあるがしかしもう古びかえった馬鹿に大きくて厚い
蒲団
(
ふとん
)
の上に、小さな
円
(
まる
)
い眼を出来るだけ
睜開
(
そうかい
)
してムンズと坐り込んでいた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
色淡き、あるは
華美
(
はで
)
なる羽織のちりめんのしとやかさよ、女の一人は淡青のリボンをぞ髪につけたる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
丁度
(
ちやうど
)
さうした頃から
華美
(
はで
)
な大きい
煙花
(
はなび
)
が少しの休みもなしに三ヶ所程から
上
(
あが
)
るやうになつたのである。自分等はまたルウヴル宮の橋の
袂
(
たもと
)
の人込に交つて空を仰いで居た。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その太夫さんは、やんごとなきお方の
落
(
おと
)
し
胤
(
だね
)
、何の
仔細
(
しさい
)
があってか、わたしはよく存じませねど、お身なりを
平素
(
ふだん
)
よりはいっそう
華美
(
はで
)
やかにお作りなされ、香を
焚
(
た
)
いて歌を
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
実
(
げ
)
に彼は
某
(
なにがし
)
の妻のやうに
出行
(
である
)
かず、くれがしの
夫人
(
マダム
)
のやうに
気儘
(
きまま
)
ならず、又は
誰々
(
たれだれ
)
の如く
華美
(
はで
)
を好まず、
強請事
(
ねだりごと
)
せず、しかもそれ等の人々より才も
容
(
かたち
)
も
立勝
(
たちまさ
)
りて在りながら
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
着物の柄は、後になればなるほど荒く
華美
(
はで
)
になって来ています——一体がそんな風でした。
好きな髷のことなど
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
「そうですナア。ああして今では浪人していますが、一体
華美
(
はで
)
なことの好きな方です」
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
二人の兄の唖の
巳代吉
(
みよきち
)
は最早若者の数に入った。彼は其父方の血を
示
(
しめ
)
して、口こそ利けね怜悧な器用な
華美
(
はで
)
な職人風のイナセな若者であった。彼は吾家に入り
浸
(
びた
)
る博徒の親分を
睨
(
にら
)
んだ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
暫くして用を
達
(
た
)
しに
行
(
い
)
こうと思って、ヒョイと私が部屋を出ると、
何時
(
いつ
)
来たのか、お糸さんがツイ其処で、着物の裾をクルッと
捲
(
まく
)
った下から、
華美
(
はで
)
な長襦袢だか腰巻だかを出し掛けて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
召使ひや馬車の質素なことから判斷すると、フェアファックス夫人はさう
華美
(
はで
)
な人ではないだらう。さうあればあるほど結構だ。私は、たつた一度しか、華美な人たちと一緒に暮したことはない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
母親と
祖父
(
じい
)
とがあって、はじめは、湯島三丁目に名高い
銀杏
(
いちょう
)
の樹に近い処に、立派な
旅籠屋
(
はたごや
)
兼帯の上等下宿、三階
造
(
づくり
)
の
館
(
やかた
)
の内に、地方から出て来る代議士、
大商人
(
おおあきんど
)
などを宿して
華美
(
はで
)
に
消光
(
くら
)
していたが
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ことに
華美
(
はで
)
なるを選みしなり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
華
常用漢字
中学
部首:⾋
10画
美
常用漢字
小3
部首:⽺
9画
“華美”で始まる語句
華美奴
華美好
華美姿
華美造
華美享楽
華美濃艶
華美華美
華美豪奢