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艘
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そう
ふりがな文庫
“
艘
(
そう
)” の例文
縄をつかむとその力で、舟はグルグル
潮
(
しお
)
に巻かれた。そして飛島の岩の蔭からも、それに曳かれてまた一
艘
(
そう
)
渦に誘われて廻ってくる。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
皆は三
艘
(
そう
)
の舟にのっていた。三艘ともたがいに追い抜こうとして間近につづいていた。人々は舟から舟へ、快活な冗談を言い合った。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
そこにはもう他に一組の
鵜飼
(
うかい
)
がいて、がやがやと云いながら一
艘
(
そう
)
の舟をだしているところであった。
四方
(
あたり
)
はもうすっかりと暮れていた。
赤い土の壺
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
時折、
言問橋
(
ことといばし
)
を自動車のヘッドライトが
明滅
(
めいめつ
)
して、行き過ぎます。すでに一
艘
(
そう
)
の船もいない
隅田川
(
すみだがわ
)
がくろく、
膨
(
ふく
)
らんで流れてゆく。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
こうして二人が海岸の石原の上に立っていると、一
艘
(
そう
)
の舟がすぐ足もとに来て着きましたが、中には一人も乗り手がありませんでした。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
▼ もっと見る
柳の枝や蘆荻の中には風が柔らかに吹いている。
蘆
(
あし
)
のきれ目には春の水が光っていて、そこに一
艘
(
そう
)
の小舟が揺れながら浮いている。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
帆柱が二本並んで、船が二
艘
(
そう
)
かかっていた。
舷
(
ふなばた
)
を横に通って、急に寒くなった橋の下、
橋杭
(
はしぐい
)
に水がひたひたする、
隧道
(
トンネル
)
らしいも一思い。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
横浜に
碇泊
(
ていはく
)
していた外国軍艦十六
艘
(
そう
)
が、摂津の
天保山沖
(
てんぽうざんおき
)
へ来て
投錨
(
とうびょう
)
した中に、イギリス、アメリカと共に、フランスのもあったのである。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
平次は
三囲
(
みめぐり
)
の前に来た時、堤の下を覗きました。そこに
繋
(
つな
)
いだ一
艘
(
そう
)
の屋根船の中には、上を下への大騒動が始まっているのです。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
丁度譚のこう言いかけた時、僕等の乗っていたモオタア・ボオトはやはり一
艘
(
そう
)
のモオタア・ボオトと五六間隔ててすれ違った。
湖南の扇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
砂浜に
繁
(
もや
)
われた百
艘
(
そう
)
近い大和船は、
舳
(
へさき
)
を沖のほうへ向けて、互いにしがみつきながら、長い帆柱を左右前後に振り立てている。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
梅雨
(
つゆ
)
上がりの、
田舎道
(
いなかみち
)
に
蟇
(
がま
)
の子が、踏みつぶさねば歩けないほど出るのと同じように、沢山出ているはずの帆船や漁船は一
艘
(
そう
)
もいなかった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「同じ海でもカムサツカだ。冬になれば——九月過ぎれば、船一
艘
(
そう
)
も居なくなって、凍ってしまう海だで。北の北の
端
(
はず
)
れの!」
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
じつは
唐船
(
からふね
)
が相変らず停ったも同様なので、自分で船を二
艘
(
そう
)
もってみました。株を買ったのか。いや、と信助は口をにごした。
樅ノ木は残った:01 第一部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それから年々来るようになって、ある年は唐船三、四十
艘
(
そう
)
を数え、ある年は
蘭船
(
らんせん
)
四、五艘を数えたが、ついに
貞享
(
じょうきょう
)
元禄
(
げんろく
)
年代の盛時に達した。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
漣
(
さざなみ
)
さえ打たない静かな晩だから、
河縁
(
かわべり
)
とも池の
端
(
はた
)
とも片のつかない
渚
(
なぎさ
)
の
景色
(
けしき
)
なんですが、そこへ涼み船が一
艘
(
そう
)
流れて来ました。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
東京名物の一銭蒸汽の桟橋につらなって、
浦安
(
うらやす
)
通いの大きな
外輪
(
そとわ
)
の汽船が、時には二
艘
(
そう
)
も三艘も、別の桟橋につながれていた時分の事である。
雪の日
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その湖は大変景色がよかったので、小僧はぼんやりと見とれていると、やがて沖の方から一
艘
(
そう
)
の帆掛船が来るのが見えた。
猿小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
萠円山人
(著)
五
艘
(
そう
)
の
端艇
(
ボート
)
は、早朝から、海霧を破って猟に出かけるが、夜半には、いずれも満船して戻ってくる。船長はじめ、乗組員たちはハリ切っている。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
肌寒い秋の
大川
(
おおかわ
)
は、夏期の
遊山
(
ゆさん
)
ボートは影を消して、真に必要な荷船ばかりが、橋から橋の間に一二
艘
(
そう
)
程の割合で、
淋
(
さび
)
しく行来している
外
(
ほか
)
には
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と先刻は、鉄を断つ勢いを示したにもかかわらず、その紅琴が、なぜかもの
淋
(
さび
)
しく
微笑
(
ほほえ
)
んで、一
艘
(
そう
)
の小船を仕立てさせた。
紅毛傾城
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
忽
(
たちま
)
ち、
暗澹
(
あんたん
)
たる
海上
(
かいじやう
)
に、
不意
(
ふい
)
に
大叫喚
(
だいけうくわん
)
の
起
(
おこ
)
つたのは、
本船
(
ほんせん
)
を
遁
(
のが
)
れ
去
(
さ
)
つた
端艇
(
たんてい
)
の
餘
(
あま
)
りに
多人數
(
たにんずう
)
を
載
(
の
)
せたため一二
艘
(
そう
)
波
(
なみ
)
を
被
(
かぶ
)
つて
沈沒
(
ちんぼつ
)
したのであらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
見ているうちに小舟が一
艘
(
そう
)
、
磯
(
いそ
)
を離れたと思うと、舟から一発打ち出す
銃音
(
つつおと
)
に、游いでいた者が見えなくなった。しばらくして小舟が磯に
還
(
かえ
)
った。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
春の水に浮んでいる一
艘
(
そう
)
の舟が水上を
漕
(
こ
)
いで行くと、その水面に起った波動が
終
(
しまい
)
に岸まで及んで、その岸根をちゃぶちゃぶと打つというのである。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
……よろしいか。要するに、あれは一
艘
(
そう
)
のヨットでしかない。毎朝、きまった時間にやって来て、きまったところに停まっているヨットに過ぎない。
キャラコさん:07 海の刷画
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
泉水のおもてには月があかるく照っていまして
汀
(
みぎわ
)
に一
艘
(
そう
)
の舟がつないでありましたのは多分その泉水は
巨椋
(
おぐら
)
の池の水を
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただ今までは山丹人毎年一次ずつ小船にて二、三
艘
(
そう
)
ずつ
唐太
(
からふと
)
島の南縁に副う所に在る島の西端「ソウヤ」という所へ渡来して土人と交易をするなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その
時
(
とき
)
の
私達
(
わたくしたち
)
の
人数
(
にんず
)
はいつもよりも
小勢
(
こぜい
)
で、かれこれ四五十
名
(
めい
)
も
居
(
お
)
ったでございましょうか。
仕立
(
した
)
てた
船
(
ふね
)
は二
艘
(
そう
)
、どちらも
堅牢
(
けんろう
)
な
新船
(
あらふね
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
わずかに九州山脈にとれる木炭や、日向米などの物資を収集するための、
上方
(
かみがた
)
通いの帆船が二三
艘
(
そう
)
、帆をおろした柱だけの姿を
息
(
やす
)
んでいるのに過ぎない。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
篠原「十日ばかりあとにもどったが。きょうはあんまりあついから。その宮崎と涼みに出かける約束だから今にくるだろう。屋根を一
艘
(
そう
)
仕度
(
したく
)
してくんな」
藪の鶯
(新字新仮名)
/
三宅花圃
(著)
小船が一
艘
(
そう
)
はるか遠くにただよって、潮の流れにまかせてゆっくりと河を下り、帆は垂れて帆柱にかかっていた。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
また戦略上自分の一隊を引率して小船に乗り、ゼノアからやはりその海岸のある小さな港へ向かった時には、七、八
艘
(
そう
)
のイギリス帆船の網の中に陥った。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
二百万石は今日の相場で、一箇の大学でありまたは一
艘
(
そう
)
の戦艦である。これは棄て置かない方が確かによいのだ。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
見物客を満載した
伝馬船
(
てんません
)
が約二十
艘
(
そう
)
、それらの間をおもいおもいな趣向にいろどった屋形船が、千姿万態の娘たちをひとりずつすだれの奥にちらつかさせて
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼女が進水してから三十年間というものは、その大きさの半分に達する船さえついに一
艘
(
そう
)
も造られていない。
黒船前後
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
女は
釵
(
かんざし
)
を抜いて水の中に投げた。と、見ると一
艘
(
そう
)
の舟が湖の中から出て来た。女はそれに飛び乗って鳥の飛ぶようにいったが、またたく間に見えなくなった。
織成
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
堤を見詰めている室子の狭めた視野にも、一
艘
(
そう
)
のスカールが不自然な角度で自分の艇に近付いて来たことを感じた。彼女は「また源五郎かしらん」と思った。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
帆も
楫
(
かじ
)
も無い丸木舟が一
艘
(
そう
)
するすると岸に近寄り、魚容は吸われるようにそれに乗ると、その舟は、
飄然
(
ひょうぜん
)
と
自行
(
じこう
)
して漢水を下り、長江を
溯
(
さかのぼ
)
り、洞庭を横切り
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
(四)湖水を渡るつもりで舟を探したところ小さいのが一
艘
(
そう
)
あったので、これに乗って西へ西へと
漕
(
こ
)
ぎ出した。西風はだんだん強くなって、船は中々進まない。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
軍艦一
艘
(
そう
)
が何千万円も価する、弾丸一発が何千円もかかる、かくのごとく
莫大
(
ばくだい
)
の入費を要することゆえ、経済の側から考えると戦争は容易にできるものではない。
戦争と平和
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
唐の貞元年中、漁師十余人が数
艘
(
そう
)
の船に小網を載せて漁に出た。
蘇州
(
そしゅう
)
の太湖が
松江
(
しょうこう
)
に入るところである。
中国怪奇小説集:07 白猿伝・其他(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
船長は、日本人の船員ばかりの乗り込んだ、一
艘
(
そう
)
のボートの
導索
(
どうさく
)
を、しっかりとつかまえながら叫んだ。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
浜方は船が一
艘
(
そう
)
這入
(
はい
)
っても賑わう。まして仙台米をうんと積んだ金船が何艘となくはいってきたのだ。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それでも白山が見えるから、今に
南東風
(
くだり
)
になるかも知れん。僕が沖を見ていたら、帆前船が一
艘
(
そう
)
、
南東風
(
くだり
)
が吹いて来ると思うたか、一生懸命に
福浦
(
ふくうら
)
へ入って行った。
少年と海
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
それが急にパッと消えると同時に外のアーク燈も皆一度に消えてまっ暗になった。船の陰に横付けになって、清水を積んだ小船が三
艘
(
そう
)
、ポンプで本船へくみ込んでいた。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
五
艘
(
そう
)
の
帆前船
(
ほまえせん
)
が岬へ集った。乗りこんだ生命知らずの土人は六十人。二百人みんなが「連れて行ってくれ。」とせがむのを断って、勇士の中の勇士をすぐった六十人だ。
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
お千鶴さん
宅
(
とこ
)
の兄さんが外務大臣で、先方へ乗り込んで講和の談判をなさるでしょう、それから
武男
(
うち
)
が艦隊の司令長官で、何十
艘
(
そう
)
という軍艦を向こうの港にならべてね……
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
鉄橋を潜ると、左が
石頭
(
せきとう
)
山、俗に城山である。その洞門のうがたれつつある
巌壁
(
がんぺき
)
の前には黄の
菰莚
(
むしろ
)
、バラック、
鶴
(
つる
)
はし、
印半纒
(
しるしばんてん
)
、小舟が一、二
艘
(
そう
)
、爆音、爆音、爆音である。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
上流の赤岩に
煉瓦
(
れんが
)
を積んで行く船が二
艘
(
そう
)
も三艘も竿を弓のように張って流れにさかのぼって行くと、そのかたわらを帆を張った舟がギーと
楫
(
かじ
)
の音をさせて、いくつも通った。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
催
(
もよほ
)
しける然るに其夜
亥
(
い
)
の
刻
(
こく
)
とも
覺敷頃
(
おぼしきころ
)
風
(
かぜ
)
もなくして
燭臺
(
しよくだい
)
の
燈火
(
ともしび
)
ふツと
消
(
き
)
えければ伊賀亮
不審
(
ふしん
)
に思ひ
天文臺
(
てんもんだい
)
へ
登
(
のぼ
)
りて
四邊
(
あたり
)
を
見渡
(
みわた
)
すに總て
海邊
(
かいへん
)
は數百
艘
(
そう
)
の船にて
取圍
(
とりかこ
)
み
篝
(
かゞり
)
を
焚
(
たき
)
品川灣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
艘
漢検1級
部首:⾈
15画
“艘”を含む語句
一艘
何艘
二艘
三艘
四艘
新艘
數艘
新艘卸
艘飛
幾艘
八艘飛
余艘
数艘
八十一艘
八艘
十四五艘
幾千萬艘
幾百千艘
幾百艘
五艘
...