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耐
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こら
ふりがな文庫
“
耐
(
こら
)” の例文
と半分残っていた吸物椀を
打掛
(
ぶっか
)
けましたから、すっと味噌汁が流れました。
流石
(
さすが
)
温和の仁も
忽
(
たちま
)
ち疳癖が高ぶりましたが、じっと
耐
(
こら
)
え
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と
微笑
(
ほほえ
)
んだ法水の眼には、儀右衛門の意外な変り方が映った。それは、懸命に唇を噛んで、なにかの激奮を
耐
(
こら
)
えているかに見えた。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それはどうやら
特種
(
とくしゅ
)
の薬品を浸みこませた
濾気器
(
ろきき
)
で、博士が唯一人毒瓦斯に
耐
(
こら
)
えていたのも、そのせいであるかのように思われた。
国際殺人団の崩壊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私はいきなり立ち上って二人を
蹴飛
(
けと
)
ばしてやろうかと、むらむらとなったが、また手紙のことを思い出してじっと胸をさすって
耐
(
こら
)
えた。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
兄の多辯さに比べて、千萬無量の歎きを、ヂツと
耐
(
こら
)
へてゐるお比奈は、心の中で泣いて/\、泣き崩れてゐるやうに思へてならないのです。
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
いずれも知らない、存じませんな、を言わるるたび、
背後
(
うしろ
)
から、
噛着
(
かみつ
)
くように
叱言
(
こごと
)
をくッて、ほとんど
耐
(
こら
)
え切れなくなると、雨が降出した。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
このあわれなようすを見ると、森川夫人は我慢も
耐
(
こら
)
え
性
(
しょう
)
もなくなったように梓さんのそばに走り寄って、腕の中に抱きとり
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「無理だ! 無理だ!」
耐
(
こら
)
へ切れない苦しみのために、一時的ながら
大人
(
おとな
)
びた力を喚び起されて、私の理性が、さう叫んだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
物
(
もの
)
堅
(
がた
)
い
良人
(
おっと
)
の
方
(
ほう
)
でも、うわべはしきりに
耐
(
こら
)
え
耐
(
こら
)
えて
居
(
お
)
りながら、
頭脳
(
あたま
)
の
内部
(
なか
)
は
矢張
(
やは
)
りありし
昔
(
むかし
)
の
幻影
(
げんえい
)
で
充
(
み
)
ち
充
(
み
)
ちているのがよく
判
(
わか
)
るのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私は
可笑
(
おか
)
しさが込み上げて来るのを
耐
(
こら
)
えながら、相手の方を見ると、いかにも真面目な顔をしているので私は笑を忍んで
むかでの跫音
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
そのうえながい病弱で心も躯も衰えている、
耐
(
こら
)
え
性
(
しょう
)
がなくなってもいたことが、いま主計の弁明と彼のまぎれのない眼を見てはっきりわかった。
主計は忙しい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
忽然
(
こつぜん
)
として眼が嬉しそうに光り出すかと思う間に、見る見る
耐
(
こら
)
えようにも耐え切れなさそうな微笑が
口頭
(
くちもと
)
に浮び出て、
頬
(
ほお
)
さえいつしか
紅
(
べに
)
を
潮
(
さ
)
す。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
げに
露西亜
(
ロシア
)
の農民はあはれなる生活を送るもの多く、酸苦
交
(
こもご
)
もせまれども
能
(
よ
)
く
耐
(
こら
)
へ、能く忍ぶは、神の最後のまつりごとに希望を置くと見えたり。
トルストイ伯
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
かうして
最初
(
さいしよ
)
の
大地震
(
だいぢしん
)
に
蹈
(
ふ
)
み
耐
(
こら
)
へる
家屋
(
かおく
)
が、
其後
(
そのご
)
、
三分
(
さんぶん
)
の
一
(
いち
)
以下
(
いか
)
の
地震力
(
ぢしんりよく
)
によつて
押
(
お
)
し
切
(
き
)
られることはないはずである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
『竹山さん。』と、
遂々
(
たうたう
)
耐
(
こら
)
へきれなくなつて渠は云つた。悲し気な眼で対手を見ながら、顫ひを帯びて
怖々
(
おづおづ
)
した声で。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「いやそうでない。
家来
(
けらい
)
どもが、
毎日
(
まいにち
)
、
俺
(
おれ
)
に
苦痛
(
くつう
)
を
忘
(
わす
)
れてはならないという、
忠義
(
ちゅうぎ
)
の
心
(
こころ
)
から
熱
(
あつ
)
さを
耐
(
こら
)
えさせるのであろう。」と
思
(
おも
)
われたこともあります
殿さまの茶わん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
必死に歯を喰いしばって、必死に苦痛を
耐
(
こら
)
えながら、手を合わさんばかりにお礼の百万遍を唱えました。——だが、退屈男は淡々たること水のごとし!
旗本退屈男:04 第四話 京へ上った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
これまで自分は一緒にこの街道に働いてくれる人たちと共に武家の奉公を
耐
(
こら
)
えようとのみ考え、なんでも一つ辛抱せという方にばかり心を向けて来たが
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
君江は噴き出したくなるのを
耐
(
こら
)
えて、「ですからさ。もしも、万一の事があったらッて言うのよ。知れると面倒だから、今夜の事は誰にも絶対に秘密よ。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
栗梅
(
くりうめ
)
の小さな紋附を着た太郎は、突然かう云ひ出した。考へようとする努力と、笑ひたいのを
耐
(
こら
)
へようとする努力とで、
靨
(
ゑくぼ
)
が何度も消えたり出来たりする。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
バル まゝ、お
耐
(
こら
)
へなされませい、
甚
(
いか
)
うお
色
(
いろ
)
も
蒼
(
あを
)
ざめて、
物狂
(
ものぐる
)
ほしげな
御樣子
(
ごやうす
)
、ひょんな
事
(
こと
)
でも
遊
(
あそ
)
ばしさうな。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
必死に悲しみを
耐
(
こら
)
えながら——この事は後に察したのだが——端然と坐っていた
凄愴
(
せいそう
)
な姿が浮び上って来た。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
謀叛を許せば、今度乃公の分け前がないことはないじゃないか? 阿Qは思えば思うほど、イライラして来て
耐
(
こら
)
え切れず、おもうさま怨んで毒々しく罵った。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
私は心の圧しつぶされそうなのをやっと
耐
(
こら
)
えながら、表面だけはいかにももの静かな様子を
佯
(
いつわ
)
っていた。
楡の家
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
先刻
(
せんこく
)
より主税之助は聞居たりしが
耐
(
こら
)
へ兼
默
(
だま
)
れ平左衞門今となりて然樣なる儀を
口賢
(
くちかしこ
)
くも申が
此度
(
このたび
)
の事は皆其方の
勸
(
すゝ
)
めしに非ずや然すれば
此惡事
(
このあくじ
)
の元は其方なり夫を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
しかるに
忽然
(
こつぜん
)
その顔へ、何かキラリと閃めいた。その時初めて田舎者の金剛不動の構えが崩れ、両足でピョンと
背後
(
うしろ
)
へ飛んだ。そうしてそこで持ち
耐
(
こら
)
えようとした。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
何
(
どう
)
したんだねエ、此の
女
(
こ
)
は」と、お
加女
(
かめ
)
の
耐
(
こら
)
へず声荒ららぐるを、お熊はオホヽと
徳利
(
てうし
)
取り上げ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「ええ、俺は殆ど二十年も信心して来た。
耐
(
こら
)
えて来たんだ。縛られて生きて来た。バイブルに噛りついて来た。そして、気がついて見ると——
拵
(
こさ
)
え事だ! 拵えごとだよ」
マクシム・ゴーリキイの伝記:幼年時代・少年時代・青年時代
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
恐らく母はもう
耐
(
こら
)
えきれなかったのだろう。いきなりその家の
縁側
(
えんがわ
)
から
障子
(
しょうじ
)
をあけて座敷に上った。明るいランプの下に、四、五人の男が
車座
(
くるまざ
)
に座って
花札
(
はなふだ
)
をひいていた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
(さびしくても、しばらくの
耐
(
こら
)
えだよ。初霜の降りるまでには、きっと、迎えに来るからな)
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爲方
(
しかた
)
がないから、ギリ/\齒噛をしながらも、
強
(
つよ
)
い心でおツ
耐
(
こら
)
へてゐる。其れがまた
辛
(
つら
)
い。其の辛いのを耐へて、無理に製作を
續
(
つゞ
)
ける。
軈
(
や
)
がて眼が
血走
(
ちはし
)
ツて來、心が
惑亂
(
わくらん
)
する。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
彼女は刻一刻深まって行く恐しい疑惑と同時に、それと並行して、一方ではそのえたいの知れぬ人物に対する思慕の情も又、益々
耐
(
こら
)
え難きものに思われて来るのでありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
とかかる事を言われてはお登和嬢いよいよ悲しさに堪えず「運命の決したとおっしゃるのはいよいよお代さんと御婚礼なさるのですか」大原も今まで
耐
(
こら
)
えし
悲
(
かなし
)
みを包み切れず
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
わかりきったことでしたが、セエラはおかしさを
耐
(
こら
)
えつづけました。セエラは心の中で
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
坂口も何をいう術もなく黙込んで、
兎
(
と
)
もすれば誘込まれそうな泪を、じっと
耐
(
こら
)
えていた。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
ルセアニア人は、死んだルセアニア人のように、彼女の体重に
耐
(
こら
)
えて、声も立てなければ、身動き一つしないで、牧師のようにきちんと腰かけているのだ。それが私を笑わせた。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
さすがに心おもしろからずようやく癇癪の起り起りて
耐
(
こら
)
えきれずなりし潮先、
据
(
す
)
えられし
晩食
(
ゆうめし
)
の膳に
対
(
むか
)
うとそのまま云いわけばかりに箸をつけて茶さえゆるりとは飲まず、お吉
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
摩擦を終つて、膚を入れ、手桶とバケツトをずンぶり流れに浸して満々と水を汲み上げると、ぐいと両手に提げて、最初一丁が程は一気に小走りに急いで行く。
耐
(
こら
)
へかねて下ろす。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
昨年のクリスマスにも機械の破損せし懐中時計を子供の
玩弄物
(
おもちや
)
に致すやうにと贈り遣りしことあるものなるに、
昨日
(
さくじつ
)
門口にて出逢ひし時、
可笑
(
をか
)
しさを
耐
(
こら
)
へ居る如き顔付きを致し候。
アンドレアス・タアマイエルが遺書
(新字旧仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
耐
(
こら
)
えられなくなり、
窃
(
ひそ
)
かに井中へ囁き込むと、魚が聞いて触れ散らし角の噂が拡まったので王死んでしまい、二使人不死の水を持ち帰っても及ばず、共にこれを飲んで今に死なず
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
摩擦を終って、
膚
(
はだ
)
を入れ、手桶とバケツとをずンぶり流れに浸して
満々
(
なみなみ
)
と水を汲み上げると、ぐいと両手に提げて、最初一丁が程は一気に小走りに急いで行く。
耐
(
こら
)
えかねて下ろす。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
実を云うと自分は相当の地位を
有
(
も
)
ったものの子である。込み入った事情があって、
耐
(
こら
)
え切れずに
生家
(
うち
)
を飛び出したようなものの、あながち親に対する不平や
面当
(
つらあて
)
ばかりの
無分別
(
むふんべつ
)
じゃない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うん、駒、
燗
(
かん
)
はよいか。……えへん。」と定吉は道臣の眞似をしたが、どうも
耐
(
こら
)
へ切れぬといふ風で、其の眞面目腐つた顏を崩して、大きな聲で笑つて了つた。お駒も共に笑ひ轉げた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
池上は、脣を噛んで、眉も、眼も、鼻も、くちゃくちゃに集めて、苦痛を
耐
(
こら
)
えていた。指から、腕中、腕から、頭の真中へまで、痛みが、命を、骨を削るように、しんしんとして響いていた。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
出来得る限り忍耐したりしも、遂に
耐
(
こら
)
へられずして、座蒲団を傍に
除
(
の
)
け
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
「あるいは一生のためになることだから、一日くらい
耐
(
こら
)
えていよう。」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
手が触つたり足が触つたりしても、お預けに会つた犬のように、じつと
耐
(
こら
)
えていなければならないのだから、考えて見れば「雑魚寝」という制度ぐらい若い男に取つて、殺生極まるものはなかつた。
雑魚寝
(新字新仮名)
/
吉井勇
(著)
ところで犯人も
到底
(
とうてい
)
知
(
しれ
)
ずにはいまいと考え、ほとぼりのさめた頃京都市を
脱出
(
ぬけだ
)
して、
大津
(
おおつ
)
まで来た時何か変な事があったが、それを
耐
(
こら
)
えて
土山宿
(
つちやまじゅく
)
まで
漸
(
ようや
)
く
落延
(
おちの
)
び、同所の
大野家
(
おおのや
)
と云う
旅宿屋
(
やどや
)
へ泊ると
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
津の国人の声は怒りをおし
耐
(
こら
)
えた、無理をした声だった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
彼は腹の立つのをじっと
耐
(
こら
)
えて嘲笑を浮べて言った。
令狐生冥夢録
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
耐
常用漢字
中学
部首:⽽
9画
“耐”を含む語句
忍耐
耐忍
居耐
忍耐力
一耐
忍耐強
耐難
耐力
押耐
耐震的
耐震的工風
耐震家屋
耐震家屋内
耐震性
耐震構造法
耐震率
耐震的工夫
耐火煉瓦
耐震的建築
耐震的樣式手法
...