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じき
ふりがな文庫
“
直
(
じき
)” の例文
ハントの家はカーライルの
直
(
じき
)
近傍で、現にカーライルがこの
家
(
いえ
)
に引き移った晩尋ねて来たという事がカーライルの記録に書いてある。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
避ける工夫は仕て
無
(
なか
)
ッた、殺すと早々逃たのだろう、余り智慧の
逞
(
たくま
)
しい男では無いと見える、
此向
(
このむき
)
なら捕縛すれば
直
(
じき
)
に白状するだろう
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「あら! ……」と忽ち機嫌を損ねて、「だから
阿母
(
かあ
)
さんは嫌いよ。
直
(
じき
)
ああだもの。
尋常
(
ただ
)
のじゃ厭だって誰も言てやしなくってよ。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
尤
(
もっと
)
も
上
(
のぼ
)
りは
大抵
(
たいてい
)
どのくらいと、そりゃ
予
(
かね
)
て聞いてはいるんですが、日一杯だのもう
直
(
じき
)
だの、そんなに
輒
(
たやす
)
く
行
(
ゆ
)
かれる処とは思わない。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おや、いらっしゃいまし。
安
(
やす
)
は団子坂まで買物に参りましたが、もう
直
(
じき
)
に帰って参りましょう。まあ
一寸
(
ちょっと
)
こちらへいらっしゃいまし」
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
S——町の
垠
(
はずれ
)
を流れている川を
溯
(
さかのぼ
)
って、重なり合った
幾箇
(
いくつ
)
かの
山裾
(
やますそ
)
を
辿
(
たど
)
って行くと、
直
(
じき
)
にその温泉場の白壁や
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
が目についた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そうでしょう、
私
(
わたくし
)
の宅はツイ此処を曲ると
直
(
じき
)
に二軒目でございますがねえ、幸い心ざす仏さまが有りまするが、あなた笛を吹いて修行を
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
必大兄御母上まで御送り愚兄ニハ小弟より手紙のあねニ達し候ことをしらせぬよふ御母上より御
直
(
じき
)
ニ御達可
レ
被
レ
遣御願申上候。
手紙:083 慶応三年六月二十四日 望月清平あて
(新字旧仮名)
/
坂本竜馬
(著)
けれど、その後便利な世の中になって、写真版などで見たものは、その時はよく覚えていても、
直
(
じき
)
にすっかり忘れてしまいます。
画筆に生きる五十年:――皇太后陛下御下命画に二十一年間の精進をこめて上納――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
内懐に入れ「それぢやあ
直
(
じき
)
に代官所へ持つて参ります、これからはすつかり心を改めてしまひます」と二重を下り辞義をなす。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
子供とて
何時
(
いつ
)
までも子供にあらず、
直
(
じき
)
に一人前の男女となり、世の中の一部分を働くべき人間となるべきものなれば、事の大小軽重を問わず
家庭習慣の教えを論ず
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
老人「それはさもありそうですね。新年の大市も
直
(
じき
)
ですから。——町にいる商人も
一人
(
ひとり
)
残らず
血眼
(
ちまなこ
)
になっているでしょう。」
不思議な島
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「もう
直
(
じき
)
に、
練馬
(
ねりま
)
の、
豊島園
(
としまえん
)
の裏へつくった
家
(
うち
)
へ越すので『女人芸術』のと、あなたのとの
判
(
はん
)
をこしらえてあげたいって。」
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そこでちょっと日本の禅宗坊さんが問答をやるようになりましたから、私は
直
(
じき
)
に禅宗坊主の
真面目
(
しんめんもく
)
でその問答に応じました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
日向守
(
ひゅうがのかみ
)
とは毎度会いはいたして来たが、戦場で会うは初めて。大将と大将とが、
直
(
じき
)
の太刀打ちいたすも、数日のうちにある。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
西郷
(
さいごう
)
が出したり
大隈
(
おおくま
)
が出したりした不換紙幣は
直
(
じき
)
に価値が低くなったが、利休の出した不換紙幣はその後何百年を経てなおその価値を保っている。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
が、それもこれも
直
(
じき
)
に
彼
(
かれ
)
を
疲労
(
つか
)
らしてしまう。
彼
(
かれ
)
はそこでふと
思
(
おも
)
い
着
(
つ
)
いた、
自分
(
じぶん
)
の
位置
(
いち
)
の
安全
(
あんぜん
)
を
計
(
はか
)
るには、
女主人
(
おんなあるじ
)
の
穴蔵
(
あなぐら
)
に
隠
(
かく
)
れているのが
上策
(
じょうさく
)
と。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
そして珍らしく穏かな或日の朝、雲の綿帽子をかなぐり捨てた和やかな
孱顔
(
さんがん
)
を見せている山を眺めて、村の人達は
直
(
じき
)
に天気の変ることを知るのである。
山と村
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「太吉や、気分もいいし、お天気も好さそうだから町へ行って来るぞ。
昼過
(
ひるすぎ
)
には
直
(
じき
)
に帰ってくるから
待
(
まっ
)
ていれよ。」
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
風は末だ冷たいが、でももう
直
(
じき
)
温かくなるだろう。しっかりやろうぞ。是から酒をのんで寝る。元気をつけるのだ。今は午前三時半である。(四、三)
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「大阪へ行くんだから。」と答えたのが、自分には何だか、「もう
直
(
じき
)
死ぬんだから。」と云うように響いた。
恐怖
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
古ケルト人もっともこれを信じ、特別の白馬を公費もて神林中に
蓄
(
か
)
い、大事あるに臨みこれを神車の
直
(
じき
)
あとに随わしめ、その動作
嘶声
(
しせい
)
を察して神意を占うた。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
私の
直
(
じき
)
近処に
塩煎餅
(
しほせんべい
)
を売つて細々暮らしを立てゝ居た可愛さうな後家が
有升
(
ありまし
)
たが、母は家政を整へて次には貧民の面倒を見ることを
義務
(
つとめ
)
にして居た人ですから
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
運動場であるベース・ボールの練習も、空を飛ぶ球の動きも、廊下から見物するものを
直
(
じき
)
に飽きさせた。皆な
静止
(
じっ
)
としていられなかった。何か動くことを思った。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その頃私の
直
(
じき
)
の弟大之丞というは、
薬丸
(
やくまる
)
という家へ養子に行っていたが、そこへ私が遊びに行った時
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
本所
(
ほんじょ
)
の
原庭町
(
はらにわまち
)
の
証顕寺
(
しょうけんじ
)
という寺の横町には、二尺ばかりのお婆さんの石の像があって、小さな人たちが咳が出て困る時に、このお婆さんに頼むと
直
(
じき
)
に治るといいました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
あの小さい虫、よき音して、鳴いてくれました。私なんぼ悦びました。しかし段々寒くなって来ました。知ってますか。知っていませんか。
直
(
じき
)
に死なねばならないということを
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「俺の思想に間違いはない。俺の考えは
崩
(
くず
)
れはしない。しかし力は不足している。思想が
直
(
じき
)
に力と成って、いかなる者をも
折伏
(
しゃくぶく
)
する、そこまで行かなければ本当とは云えない」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼の老人の家に蓄ふる竿の数は四百四本、薬味箪笥の抽斗数に同じく、
天糸
(
てぐす
)
は、人参を仕入るゝ
序
(
ついで
)
に、
広東
(
かんとん
)
よりの
直
(
じき
)
輸入、庭に
薬研状
(
やげんなり
)
の泉水ありて、釣りたるは皆之に放ち置く。
釣好隠居の懺悔
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
考えるのですか。お部屋に帰って横におなりなさい。そしてぐっすりお
寐
(
やす
)
みなさい。あなたはもっと睡眠を
摂
(
と
)
らなくちゃいけませんよ。よく眠りさえすれば、
直
(
じき
)
に
快
(
よ
)
くなりますよ。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
『あれは
今
(
いま
)
竜体
(
りゅうたい
)
に
戻
(
もど
)
ったのじゃ。』とお
爺
(
じい
)
さんが
説明
(
せつめい
)
してくれました。『
竜体
(
りゅうたい
)
に
戻
(
もど
)
らぬと
仕事
(
しごと
)
が
出来
(
でき
)
ぬのでな……。その
中
(
うち
)
直
(
じき
)
に
始
(
はじ
)
まるであろうから、しばらくここで
待
(
ま
)
つがよい。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
もうよほど歩いたから、発光路も
直
(
じき
)
だろうと、
道程
(
みちのり
)
を聞いて見ると、ちょうど
半途
(
はんと
)
だというので、それからまた勇気を附けて歩きましたが、歩いても、歩いても発光路へは着かない。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
森川さんとお春さんも、
最早
(
もう
)
直
(
じき
)
に結婚するんだそうだ。どうも結婚が
流行
(
はや
)
る。そしてお歌さんだって今年中には片付くんだから、お父さんもなかなか大抵じゃないって、お島が言った。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
直
(
じき
)
に押しかゝりては人馬ともに力疲れて気衰ふべければ、明暁野村三田村へ陣替ありて一息つぎ、二十八日の
晨朝
(
しののめ
)
に信長の本陣へ不意に切掛り、急に
是
(
これ
)
を攻めれば敵は思ひよらずして周章すべし
姉川合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「十五分も真直に
行
(
ゆ
)
けば」と女は言った。「
直
(
じき
)
にその広場に出ますわ」
青玉の十字架
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
女中は木之助を勝手口の方から案内し、ちょっとそこに待たせておいて奥へ姿を消したが、
直
(
じき
)
また出て来て、さあおあがりな、と言った。木之助は長靴をぬいで女中のあとに従って
仏間
(
ぶつま
)
にいった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
おれが
直
(
じき
)
に連れて来てやると御自身でお出かけになるところを、なにしろあの通り
御酒
(
ごしゅ
)
を召していらしって、お足元がお危のうございますから、それには及びませぬ、お手紙でもいただきますれば
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「おじさんなんかも、以前が以前だから、また
直
(
じき
)
に癖がついてよ。」
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
薪
(
まき
)
やのお
出額
(
でこ
)
のやうなが
万一
(
もし
)
来ようなら、
直
(
じき
)
さま追出して家へは入れて
遣
(
や
)
らないや、己らは
痘痕
(
あばた
)
と
湿
(
しつ
)
つかきは大嫌ひと力を入れるに、
主人
(
あるじ
)
の女は吹出して、それでも正さん宜く私が店へ来て下さるの
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「アッサリ仰言いよ。モウ
直
(
じき
)
、次の幕が
開
(
あ
)
くんですよ」
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
赤い波が歯の
直
(
じき
)
後
(
うしろ
)
まで打ち寄せて来る。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「もう
直
(
じき
)
です」
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
峰「それは
此方
(
こっち
)
へ頼めば宜うございます、四万の
關善
(
せきぜん
)
と云うこれは
善
(
よ
)
い宿屋で、郵便も
直
(
じき
)
に来ます、一日遅れぐらいで届きます」
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お島は浜屋で父親に昼飯の給仕をすると、
碌々
(
ろくろく
)
男と口を利くひまもなく、
直
(
じき
)
に
停車場
(
ステーション
)
の方へ向ったが、主人も裏通りの方から見送りに来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これは手順を以て下横目へ申し立つべき筋ではございますが、御重役御出席中の事ゆえ、
今生
(
こんじょう
)
の思出にお
直
(
じき
)
に申し上げます。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
お重は何でも
直
(
じき
)
むきになる代りに裏表のない正直な美質を持っていたので、母よりはむしろ父に愛されていた。兄には無論可愛がられていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
叱言
(
こごと
)
は犬か、
盗人猫
(
ぬすっとねこ
)
か、勝手口の戸をあけて、ぴッしゃりと
蓮葉
(
はすは
)
にしめたが、浅間だから
直
(
じき
)
にもう鉄瓶をかちりといわせて、障子の内に女の
気勢
(
けはい
)
。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
このたびは
主
(
あるじ
)
の
讐
(
かたき
)
たる敵の討伐に向うのであるから、三日のうちに攻めのぼって、光秀と
直
(
じき
)
の太刀打ちをいたすであろう。そう伝言しておいてくれ
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水玉という草に水をうって、涼しくかけたものだが、みんな
一時
(
いっとき
)
のもので、赤くひからびるまではかけていない。
直
(
じき
)
にかけかえる手数はいとわなかった。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
その後は上流に巨材などはありませんから、水は
度〻
(
たびたび
)
出ても大したこともなく、出るのが早い代りに
退
(
ひ
)
くのも早くて、
直
(
じき
)
に
翌日
(
あくるひ
)
は何の事もなくなるのです。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
“直”の意味
《名詞》
(じき)
(じか)
(あたい/あたえ 歴史的仮名遣い:あたひ/あたへ)古代日本において、県主等に与えられた姓。
(すぐ)将棋の棋譜での用語で、駒をまっすぐ前に進めること。
《形容動詞》
(じき)短い期間のうちに、すぐにと言うわけではないが、そうなるまでに大きな変化はなく。
(出典:Wiktionary)
直
常用漢字
小2
部首:⽬
8画
“直”を含む語句
正直
直接
直下
素直
真直
直道
直立
驀直
強直
直衣
眞直
立直
硬直
直角
御直
直後
直面
宿直
直々
直截
...