理由りいう)” の例文
これも、えら婦人ふじん傳記でんきとほり、著者ちよしや讀者どくしや婦人ふじんだといふことは、かならずしも、書物しよもつよりも推奬すゐしやうすべき理由りいうにはなりさうもない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さいさい自分じぶん研究けんきうして熟考じゆくかうしてうへ愈々いよ/\わからねば其時そのときはじめて理由りいう説明せつめいしてかすくらゐにしてくのであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
そして軈ては、藝術家が最も自己を發揮するに適するからといふ理由りいうで、生涯しやうがい繪畫くわいぐわ研究けんきうゆだねるからと切込まれた。勝見子爵はがツかりした。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
なにしろ山霊さんれい感応かんおうあつたか、へびえなくなりあつさもしのぎよくなつたのでいさあし捗取はかどつたがほどなくきふかぜつめたくなつた理由りいう会得ゑとくすることが出来できた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分じぶん在學ざいがく當時たうじ舊友きういうふのを、とくけたい理由りいうつてゐたので、かれ旅館りよくわんたづねる毛頭まうとうなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかるに今日こんにち状態ぜうたい如何いかゞであるか、外語研究ぐわいごけんきう旺盛わうせいはまことに結構けつこうであるが、一てんして漫然まんぜんたる外語崇拜ぐわいごすうはいとなり、母語ぼご輕侮けいぶとなり、理由りいうなくして母語ぼご
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
『いや、ミハイル、アウエリヤヌヰチ、しんじません、しんじる理由りいういのです。』と、院長ゐんちやうふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それにはべつ理由りいうなにも無い、究竟つまり学校が違つてしまつた所から、おたがひ今日こんにちあつて昨日さくじつ明日みやうにちも無い子供心こどもごゝろに、漠然ぼうつわすれてしまつたのです、すると、わたしが二きふつたとき
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
救助きうじよもとむる難破船なんぱせん眞似まねをしたのは、あのへん海底かいていなにかの理由りいう水深すいしん左程さまでふかからず、弦月丸げんげつまる撃沈げきちんしてのち潜水器せんすいきしづめるに便利べんりかつたためではあるまいか
それならば何故なぜ池上小學校いけがみせうがくかう名稱なのらずして大島小學校おほしませうがくかうといふ校長かうちやう同姓どうせい名稱めいしようけたか、諸君しよくんかなら不審ふしんおもはれるでしよう。これにはまた意味いみふか理由りいうるのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ける銃架じうか。おまへ目的もくてきらず理由りいうはず
するとうしても自分じぶん一人ひとりがこんな窮境きゆうきやうおちいるべき理由りいうがないやうかんぜられた。それから、んな生活せいくわつ状態じやうたいあまんじて一生いつしやうおく兄夫婦あにふうふ如何いかにも憫然ふびんえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なみ江丸えまるとは、れい反古はご新聞しんぶんしるされてつたで、はじめ、大佐たいさ一行いつかうこのしませて一大いちだい帆前船ほまへせん、あゝ、あのふねも、いまなにかの理由りいうで、この海岸かいがんにあらずなつたかと
また有名いうめいなる九しう有明灣ありあけわん理由りいうなしに改竄かいざんして島原灣しまはらわんなどとゝなへてゐるものもある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
にもかかはらずこの小娘こむすめは、わざわざしめてあるまどおろさうとする、——その理由りいうわたくしにはみこめなかつた。いや、それがわたくしには、たんにこの小娘こむすめまぐれだとしかかんがへられなかつた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
御米およね寄席よせへでもつてやうか」とめづらしく細君さいくんさそつた。御米およね無論むろんいな理由りいうたなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
和名わめい漢字かんじ和訓わくん充當じうたうしたものが、理由りいうなく誤訓ごくんされた惡例あくれいなりある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)