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故意
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わざ
ふりがな文庫
“
故意
(
わざ
)” の例文
日本風の油でかためて櫛の目を劃然と入れた分け方を嫌つて、自分は油無しのばさばさの髮を、
故意
(
わざ
)
と女持の大きな櫛で分けてゐる。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
「フム、フム」と
故意
(
わざ
)
と
寝惚声
(
ねぼけごえ
)
の生返辞をしながら大急ぎで起き上って蒲団を畳み、着物を着換え、澄まし込んで机に向って居ると
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
飢えた
蒼鷹
(
くまだか
)
が小鳥を
抓
(
つか
)
むのはこんな
塩梅
(
あんばい
)
で有ろうかと思う程に文三が手紙を
引掴
(
ひっつか
)
んで、
封目
(
ふうじめ
)
を押切ッて、
故意
(
わざ
)
と
声高
(
こわだか
)
に読み出したが
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼
(
かれ
)
は
憎惡
(
ぞうを
)
と
嫉妬
(
しつと
)
とを
村落
(
むら
)
の
誰
(
たれ
)
からも
買
(
か
)
はなかつた。
憎惡
(
ぞうを
)
も
嫉妬
(
しつと
)
もない
其處
(
そこ
)
に
故意
(
わざ
)
と
惡評
(
あくひやう
)
を
生
(
う
)
み
出
(
だ
)
す
程
(
ほど
)
百姓
(
ひやくしやう
)
は
邪心
(
じやしん
)
を
有
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そうそう過去のまずい所ばかり
吹聴
(
ふいちょう
)
するのは、
如何
(
いか
)
にも現在の己に対して侮辱を加えるようで済まない気がするから
故意
(
わざ
)
と略した。
元日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
白い眉をあげて祖父は
屹
(
きっ
)
と慎作を見たが、思い返したように舌打して向き直り、
故意
(
わざ
)
と慎作を無視する様な高い皺枯れ声を出した。
十姉妹
(新字新仮名)
/
山本勝治
(著)
そうして
故意
(
わざ
)
と快活に、そうして故意と道化たように、振舞っているに相違ない。ではこっちもその
意
(
つもり
)
で、それに調子を合わせて行こう
南蛮秘話森右近丸
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その金を稀塩酸で磨いて、紙の棒に包んだのを資金として、
故意
(
わざ
)
と直ぐの
隣家
(
となり
)
に理髪店を開いていたところは立派な悪党であった。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今
(
いま
)
や
我
(
わ
)
が
弦月丸
(
げんげつまる
)
の
指
(
さ
)
して
行
(
ゆ
)
く
同
(
おな
)
じ
鍼路
(
しんろ
)
をば
故意
(
わざ
)
と
此方
(
こなた
)
に
向
(
むかつ
)
て
猛進
(
まうしん
)
して
來
(
く
)
るのである、一
分
(
ぷん
)
、二
分
(
ふん
)
、三
分
(
ぷん
)
の
後
(
のち
)
は
一大
(
いちだい
)
衝突
(
しようとつ
)
を
免
(
まぬ
)
かれぬ
運命
(
うんめい
)
※
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
救
(
すく
)
はん爲に
故意
(
わざ
)
と
罪
(
つみ
)
に
陷
(
おちい
)
りしならん何ぞ是を知らずして殺さんや其方は
井筒屋茂兵衞
(
ゐづつやもへゑ
)
が
惣領
(
そうりやう
)
ならんと申されければ
雲源
(
うんげん
)
驚
(
おどろ
)
き感じ今は何を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
先をいそいで讀まうとしながら
故意
(
わざ
)
とじらせるやうに、少しづつ頁を返してゆくうちあなた樣に手紙を書かなければならないといふ氣が
巷の子
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
何処かの戸が開いているのか、或は
故意
(
わざ
)
と閉めずにあるのか、実際彼の耳には、時々瀬戸物の触れ合う音に混って彼女の声が聴えて来た。
或る日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
部屋を出て行かうとする私へ、
背後
(
うしろ
)
から兄は、
故意
(
わざ
)
と乱暴に
外套
(
ぐわいたう
)
をかけてくれた。センチメンタルな愛情の表現を恥ぢると云ふ風に……。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
私も何となくいい気持ちはいたしませんでしたが、お梶さんを怖れさせてはなりませんから、
故意
(
わざ
)
と平気を装って笑いながら申しました。
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
それでは私の言うことを
故意
(
わざ
)
と理解しようとなさらないのか、それとも何か口から出まかせに、かれこれ言いなさるんだね……。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
遠野は
故意
(
わざ
)
とお
道化
(
どけ
)
た風に
点頭
(
うなづ
)
きつゝ棚から口の短いキュラソウの壺を取り下ろした、そしてそれを道助の
洋盃
(
グラス
)
へ
酌
(
つ
)
ぎながら
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
おれは咄嗟に都合よく女の
情緒
(
サンテイマン
)
の調子を合せるやうな発想を得なかつたので、間に合せにこんな平凡なことを
故意
(
わざ
)
とらしいアクサンで云つて
素描
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
そして何にもない窓の上部に目をやっていたが、それから霎時して
故意
(
わざ
)
と元気よく別を告げて、ビアトレスの家を出た。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
お前の起きてゐるのは、俺にはよく分つてゐるよと知らせるやうに、隆治は
故意
(
わざ
)
とらしい咳払ひをして二階へ上つた。
ある死、次の死
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
「しかし狼がゐると云ふのは嘘だといふ話だぜ。俺達の気嫌をとるために奴等は
故意
(
わざ
)
と狼に
怯
(
おび
)
えて見せたんだとさ。」
武者窓日記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
身の周圍の混雜收りて心落つくと共に、心に懸かるはアヌンチヤタが
同乘
(
あひのり
)
したる男の上なり。察するにベルナルドオが
故意
(
わざ
)
と翁に扮したるなるべし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
先刻
(
さっき
)
の女給が洋食の皿を並べ乍らそっとこんな事を云った。と、前に居た貴婦人が
故意
(
わざ
)
と大きく咳をした。彼の眼と女給の眼とが期せずしてぶつかった。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
ところが、ちょうどその時、おれみたいな乞食のポケットに
故意
(
わざ
)
とのように三千ルーブルという金があったのだ。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
庇の下で細工をする時、犯人の身内からずれて紫殻の中へ落ち込んだのか、あるいは
故意
(
わざ
)
と隠したのか。いたずらか、脅しか、恨みか。犯人の眼星は——?
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
父は
故意
(
わざ
)
と背を反らすようにして私を困まらせようとする。私は全身に力を入れて押しあげようとする。が、父の体はどっしりして重く、手が
撓
(
しな
)
うようになる。
種紙の青む頃
(新字新仮名)
/
前田夕暮
(著)
と何気なく言消して、丑松は
故意
(
わざ
)
と
話頭
(
はなし
)
を変へて
了
(
しま
)
つた。下宿の出来事は烈しく胸の中を騒がせる。それを聞かれたり、話したりすることは、何となく心に恐しい。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
その時お前たちが芝生で腰を下して休んでいたら、やはり近くで休んでいた労働者風の男が二・三人、明らかに
故意
(
わざ
)
と聞えるような声で
猥
(
みだ
)
らな話を交していたろう。
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
いつもの
通
(
とおり
)
三人で、下谷芸者の若くて綺麗なのを集めて、下らない事をしゃべっている。そこへお上が這入って来る。望月君が妙な声をする。
故意
(
わざ
)
とするのである。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
僕
(
ぼく
)
も
眞面目
(
まじめ
)
で
答
(
こた
)
へたのです。
全
(
まつた
)
く
僕
(
ぼく
)
は
大島小學校
(
おほしませうがくかう
)
の
出身
(
しゆつしん
)
です。
故意
(
わざ
)
と
奇妙
(
きめう
)
な
答
(
こたへ
)
をして
諸君
(
しよくん
)
を
驚
(
おどろ
)
かす
積
(
つもり
)
は
決
(
けつ
)
して
持
(
もた
)
ないので。これまでも
僕
(
ぼく
)
は
出身
(
しゆつしん
)
の
學校
(
がくかう
)
を
聞
(
きか
)
れましたが。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
で、私は
故意
(
わざ
)
と事件に大きな手ぬかりがあると申しました。そうすれば、芸術家たる犯人は、きっと、私自身から、その意味をききたがるにちがいないと思いました。
外務大臣の死
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
鈴蘭、おめかしの好な
女
(
をんな
)
、白い
喉
(
のど
)
を見せて歩く
蓮葉者
(
はすはもの
)
の
故意
(
わざ
)
とらしいあどけなさ、
丸裸
(
まるはだか
)
の
罔象女
(
みづはのめ
)
。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
酔ってはいたが、その顔には、一本気な
真面目
(
まじめ
)
さが、アリ/\と動いていた。こうした心の告白をするために、
故意
(
わざ
)
と
酒盃
(
さかずき
)
を重ねているようにさえ、瑠璃子に思われた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
実を申しますと、今も入口の網扉を私は
故意
(
わざ
)
と半開きにして置いたのですよ。あの網扉の音は河原までも響きますし、厨子扉には、当時もやはり錠前が下りていたのです。
夢殿殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
だから或る時などは、それのみを楽しむために、私は
故意
(
わざ
)
とよそっぽを見ながら歩いたりした。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
可哀相なは慎次で、四五枚の札も守り切れず、イザとなると
可笑
(
をかし
)
い身振をして
狼狽
(
まごつ
)
く。それを面白がつたのは
嫂
(
あによめ
)
の清子と静子であるが、其
狼狽方
(
まごつきかた
)
が
故意
(
わざ
)
とらしくも見えた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
幾らか頂戴したら早く引きますと云わぬばかりに
故意
(
わざ
)
と
鈍
(
のろ
)
く引出し、天神の
中坂下
(
なかざかした
)
を突当って、
妻恋坂
(
つまごいざか
)
を曲って
万世橋
(
よろずばし
)
から美土代町へ掛る道へ先廻りをして、藤川庄三郎は
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
別に
故意
(
わざ
)
とするわけではなかつたが、自然にそらぞらしい素振りをつくり、老婆の言葉を莫迦らしいものに思ひ乍らも、内心厭な・陰惨なものを意識せずにはゐられなかつた。
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
私は最初、女の無邪気な意地悪から、悪戯に言ふのだと思つたので、
故意
(
わざ
)
と勿体ぶつた様子などして、さも貴族らしく返事をした。だが或る時、彼女は真面目になつて話をした。
夏帽子
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
宿泊帳には
故意
(
わざ
)
と偽名を
書
(
しよ
)
したれば、
片岡
(
かたをか
)
氏
(
し
)
も
妾
(
せふ
)
をば
景山英
(
かげやまひで
)
とは
気付
(
きづ
)
かざりしならん。
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
故意
(
わざ
)
と気のつかない風を装つてゐることなどが、
朧気
(
おぼろげ
)
に少しづつのみこめて来た。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
源吉は、耳を澄ますと、陰のボックスから、男の笑い声にもつれて、京子の「くッくッくッ」という嬉しそうな笑い声が、
故意
(
わざ
)
とでないか、と思われるほど、誇張されて、響いて来た。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
常子は形勢を察したので
扉
(
ドア
)
のところに行つて「鶴子さん」とさう呼んだ。……彼女が呼び終るまで
故意
(
わざ
)
と不機嫌な顔を
崩
(
くづ
)
さずにゐた信徳は、それで気が済んだやうに又眼を書類に落した。
朧夜
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
爾
(
そ
)
うすると貴様の再遊に都合が
宜
(
よ
)
かろうと
云
(
いっ
)
て、
故意
(
わざ
)
とその手紙に封をせずに
明
(
あ
)
けて見よがしにしてあるから、何もかも
委細
(
いさい
)
承知して丁寧に告別して、宿に
帰
(
かえっ
)
て封なしの手紙を
開
(
ひらい
)
て見れば
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
おれが市ヶ谷の
上
(
かみ
)
屋敷から持ち出して
故意
(
わざ
)
と市ではたいた品物、それも、ほンの
意趣返
(
いしゅがえ
)
しの
悪戯
(
わるさ
)
にしたことなので、
相良金吾
(
さがらきんご
)
という家来が仲間にやつして入り込んで来たのも万々承知の上で
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恐
(
おそ
)
らくぼくを笑わそうとして、無理におどけてみせてくれるのだと、ぼくは考えあなたの
故意
(
わざ
)
とらしさが悲しく、あなたに似合わない
大胆
(
だいたん
)
さが苦々しくて、ぼくにはそのとき、あなたが大変
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
他
(
た
)
の
數多
(
あまた
)
の
鳥
(
とり
)
の
中
(
うち
)
には
故意
(
わざ
)
と
聞
(
きこ
)
えよがしに
窃笑
(
ぬすみわらひ
)
をしたのもありました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
己があらけない
貌
(
かお
)
だちに
故意
(
わざ
)
と人を軽ろしめ世に
倦
(
う
)
みはてた色を装おうとしていたものとみえて、絶えずたださえ
少
(
ち
)
いさな、薄白く、鼠ばみた眼を細めたり、眉をしわめたり、口角を引き下げたり
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
階下
(
した
)
からラジオ・ドラマの放送があり、都会で型にはめて作った例の
田舎
(
いなか
)
言葉でお
喋
(
しゃべ
)
りをしているのが、こんな山の中で聞いていると、一層
故意
(
わざ
)
とらしく、いつも同じような型の会話だけの芝居が
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
光っては崩れ、うねっては崩れ、逆巻き、のた打つ浪のなかで互いに離れまいとつないだ手を苦しまぎれに俺が
故意
(
わざ
)
と振り切ったとき女は
忽
(
たちま
)
ち浪に呑まれて、たかく名を呼んだ。俺の名ではなかった。
葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
故意
(
わざ
)
と単調に幽寂な味を見せようとしたものでした。
画道と女性:――喜久子姫御用の「春秋屏風」その他――
(新字新仮名)
/
上村松園
(著)
“故意”の解説
故意(こい)とは、一般的にはある行為が意図的なものであることを指し、法律上は他人の権利や法益を侵害する結果を発生させることを認識しながら、それを容認して行為することをいう。
(出典:Wikipedia)
故
常用漢字
小5
部首:⽁
9画
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“故意”で始まる語句
故意々々