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延
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ひ
ふりがな文庫
“
延
(
ひ
)” の例文
依って我輩は東西両洋文明の大勢を
踪索
(
そうさく
)
して、
延
(
ひ
)
いて現下の世界の大勢に及ぼし、以て今後に於ける我が国民の覚悟を促そうと思う。
日本の文明
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
家庭の平和と純潔とを乱せば一身の破滅ばかりでなく、
延
(
ひ
)
いては一家の協同生活を危くし、社会の幸福をも
害
(
そこな
)
う結果が予想せられる。
私の貞操観
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
『新撰菟玖波集』の修撰のことから
延
(
ひ
)
いて、宗祇と宮廷との関係を生じたのは、これはひとえに実隆の取成しによったもののようだ。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
が、今はもう、秋もくれがたであります。野原の草は一面に枯れて、赤白く年寄りの髪の毛を
延
(
ひ
)
いた様に、ほおけ拡がって居ます。
トシオの見たもの
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それが現在の浅草に於ける芝居、活動の観覧料の標準となり、
延
(
ひ
)
いて日本全国の活動や何かの料金にも或る影響を与えている訳である。
街頭から見た新東京の裏面
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
▼ もっと見る
この風
延
(
ひ
)
いては今日にまで伝わり、田舎者の事務に熟練して腹のしっかりした者は、年々引き上げられて大家の相続人になった。
家の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「それが、平次のしたことと判ってみねえ、入智恵をした与力の笹野様をはじめ
延
(
ひ
)
いては御奉行朝倉様の御迷惑になるだろう」
銭形平次捕物控:012 殺され半蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
抽斎は三人を奥の四畳半に
延
(
ひ
)
いた。三人の言う所によれば、貴人は明朝を待たずして金を獲ようとして、この使を発したということである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
如何
(
いか
)
に
南北朝
(
なんぼくちょう
)
の戦乱が、
我邦
(
わがくに
)
の武備機関を膨脹せしめ、
而
(
しこう
)
してその余勇は、漏らすに
由
(
よし
)
なく、
延
(
ひ
)
いて
支那
(
シナ
)
辺海を
擾
(
みだ
)
したるよ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
媼は我を
延
(
ひ
)
きて進み入りぬ。小屋の
裡
(
うち
)
は譬へば大なる
蜂窩
(
はちのす
)
の如くにして、一方口より出で兼ねたる烟は、あたりの物を殘なく
眞黒
(
まくろ
)
に染めたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
食後ナイエル夫人は亡夫の肖像を掛けた一室へ僕等三人を
延
(
ひ
)
いてカンキナ
酒
(
しゆ
)
の小さな
杯
(
さかづき
)
を勧め、自身はピヤノに
向
(
む
)
いて二三の
小歌
(
こうた
)
を
好
(
い
)
い声で歌つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
一刻も自分を忘るゝ事の出來ぬ自己主義の、
延
(
ひ
)
いて其處から出た現實主義物質主義に凝り固まつてゐる阿米利加に禁酒令の
布
(
し
)
かれたは故ある哉である。
樹木とその葉:16 酒の讃と苦笑
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
延
(
ひ
)
いては、欧米各国民と日本国民との相互の理解を容易にすると云ふ利益がある。或は国際間の平和も、これから促進されると云ふ事があるであらう。
手巾
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
日本アルプスでは誤った設備の為に、例せば一の上河内を失うと、一つの損失に
止
(
とどま
)
らないで、
延
(
ひ
)
いて全体の損失となってしまうことを考えて頂きたい。
日本アルプスの五仙境
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
余ノ
吟咏
(
ぎんえい
)
ヲ好ムヤ二十年来作ル所千余首ヲ下ラズ。去月望、都下ノ大災
延
(
ひ
)
イテワガ
廬
(
ろ
)
ニ及ベリ。炎威惨虐ニシテ百物蕩尽セリ。稿本マタ一紙ヲ留メズ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
...
臣
(
しん
)
竊
(
ひそか
)
に
起
(
き
)
の
(九九)
留心
(
りうしん
)
無
(
な
)
きを
恐
(
おそ
)
る」と。
武矦
(
ぶこう
)
即
(
すなは
)
ち
曰
(
い
)
はん、「
奈何
(
いかん
)
せん」と。
君
(
きみ
)
、
因
(
よ
)
つて
武矦
(
ぶこう
)
に
謂
(
い
)
つて
曰
(
い
)
へ、「
試
(
こころ
)
みに
(一〇〇)
延
(
ひ
)
くに
公主
(
こうしゆ
)
を
以
(
もつ
)
てせよ。 ...
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
われ等は盆踊より
延
(
ひ
)
いて、人間に於ける動物的慾情の消長に及び、その根本的本能の性のいかに吾人人類の上に烈しく恐るべき勢力を有せるかを嘆きぬ。
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
釧路川と太平洋に
挾
(
はさ
)
まれた半島の岬端で、東面すれば太平洋、西面すれば釧路湾、釧路川、釧路町を眼下に見て、
当面
(
とうめん
)
には海と平行して長く
延
(
ひ
)
いた
丘
(
おか
)
の上
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
その婿趙文挙
酷
(
ひど
)
く寡婦を好み、自分の妻を妹と
詐
(
いつわ
)
り、
延
(
ひ
)
き入れて同宿せしめ中夜にこれに就くに翀大いに呼んで従わず。趙無理やりその衣を剥げば男子なり。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
事は
些細
(
ささい
)
ながら、家の面目と責任というようなことへ
延
(
ひ
)
いて行くことも考えていないはずはないでしょう。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かかる
次第
(
しだい
)
にして小栗等が仏人を
延
(
ひ
)
いて種々
計画
(
けいかく
)
したるは
事実
(
じじつ
)
なれども、その計画は造船所の設立、陸軍編制等の事にして、
専
(
もっぱ
)
ら
軍備
(
ぐんび
)
を整うるの
目的
(
もくてき
)
に外ならず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
取扱方の同様なのを
延
(
ひ
)
き伸ばして行くと、つまり取り扱われるものが同様だからと云う妙な結論に到着してくる。自分はふらふらとそこへ到着していたと見える。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
乃
(
すなわ
)
ち先ずコレを我牧農の小村落に実施し、
延
(
ひ
)
いて他に及ぼさんことを期し、コレを積善社と名づく。
関牧塲創業記事
(新字新仮名)
/
関寛
(著)
我出版界のため、我読書界のため、
延
(
ひ
)
いては我学界のため、我経済界のため、黙過すべからざる重大の社会問題として、一円本流行の害毒を列挙すること左の如しである
一円本流行の害毒と其裏面談
(新字新仮名)
/
宮武外骨
(著)
主人は己を
延
(
ひ
)
いて、
梯
(
はしご
)
を一つ登つた。その着てゐる長い上衣の裾が、大理石の階段の上を曳いて、微かな、鈍い音をさせる。己の靴の踵がその階段を踏んで反響を起す。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
多年軍需相として、重要な内政の一面に才腕をふるっていた李厳の退職は、何といっても、蜀軍の一時的休養と、
延
(
ひ
)
いては国内諸部面の大刷新を
促
(
うなが
)
さずにはおかなかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かつこの問題は一歩を進めると、彼のいう
骨
(
ほね
)
っぽいとは何を意味するかという疑問も起こり、
延
(
ひ
)
いては近ごろ称せらるる硬教育もいかなるものであるか、疑問として胸に浮ぶ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
延
(
ひ
)
きて東洋全体に自由主義を及ぼし、ついに世界各国に政法を立てんと希望したるは板垣氏の『無上政法論』に明らかなり、しかして改進論派は人智の劣等国力の微弱を自信し
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
但だ予は
此
(
か
)
くの如くに神を見、而してこれより
延
(
ひ
)
いて天地の間の何物を以てしても換へがたき光栄無上なる「吾れは神の子なり」てふ意識の
欝
(
うつ
)
として
衷
(
うち
)
より湧き出づるを覚えたり。
予が見神の実験
(新字旧仮名)
/
綱島梁川
(著)
こゝに於て王
起
(
た
)
って入り、珙を宮中に
延
(
ひ
)
きて
詳
(
つばら
)
に
相
(
そう
)
せしむ。珙
諦視
(
ていし
)
すること
良
(
やや
)
久しゅうして
曰
(
いわ
)
く、殿下は
龍行虎歩
(
りゅうこうこほ
)
したまい、
日角
(
にっかく
)
天を
挿
(
さしはさ
)
む、まことに異日太平の天子にておわします。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
万年草
(
まんねんそう
)
御廟の
辺
(
ほとり
)
に生ず
苔
(
こけ
)
の
類
(
たぐひ
)
にして根蔓をなし長く地上に
延
(
ひ
)
く処々に茎立て高さ一寸
許
(
ばかり
)
細葉多く
簇
(
むらがり
)
生
(
しょう
)
ず採り来り貯へおき年を経といへども一度水に浸せば
忽
(
たちまち
)
蒼然
(
そうぜん
)
として
蘇
(
そ
)
す此草漢名を
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
姉なる人が全盛の
余波
(
なごり
)
、
延
(
ひ
)
いては
遣手
(
やりて
)
新造
(
しんぞ
)
が姉への世辞にも、美いちやん人形をお買ひなされ、これはほんの
手鞠代
(
てまりだい
)
と、くれるに恩を着せねば貰ふ身の有がたくも覚えず、まくはまくは
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
我々朋友ばかりではない、
延
(
ひ
)
いて高等中学の
名折
(
なをれ
)
にもなるのだから、是非あの美人を君が妻君にするやうに、これは我々が心を
一
(
いつ
)
にして
結
(
むすぶ
)
の神に
祷
(
いの
)
つた酒だから、辞退するのは礼ではない。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
各藩の有為な人物をも
延
(
ひ
)
いて、身をもって時代に当たろうとしたのも彼だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
第七
窖蔵
(
こうぞう
)
ノ氷雪夏月鳥魚諸肉ノ
敗餒
(
はいだい
)
ヲ防ギ
水漿
(
すいしょう
)
ヲ冷ヤシテ
収儲
(
しゅうちょ
)
晷
(
とき
)
ヲ
延
(
ひ
)
クコトヲ得イハユル氷雪冬時コレヲ蔵シ夏時コレヲ開キ食肉ノ
禄
(
ろく
)
喪祭賓客用ヒザルコト無シコレ
亦
(
また
)
輔相
調爕
(
ちょうしょう
)
ノ一事トコレナリ
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
河岸の連中のいまゝでより一層肩を入れるようになったのは勿論
延
(
ひ
)
いて
大根河岸
(
だいこがし
)
だの
多町
(
たちょう
)
だの、およそ由良を贔負にするそうしたさかり場からとも/″\幕だの
幟
(
のぼり
)
だのがかれへまで来るようになり
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
主人
(
あるじ
)
のエルは喜んで私を応接間へ
延
(
ひ
)
いて、「過日は別荘の方へ
御立寄
(
おたちより
)
下すったそうでしたが、アノ通りの田舎家で
碌々
(
ろくろく
)
お構い申しも致さんで、
豪
(
えら
)
い失礼しました」と
鄭寧
(
ていねい
)
な挨拶、私は
酷
(
ひど
)
く痛み
入
(
い
)
って
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
男子の獣行を
恣
(
ほしいまま
)
にせしむるは男子その者の罪に止まらず、
延
(
ひ
)
いて一家の不和不味と為り、兄弟姉妹相互の隔意と為り、其獣行翁の死後には単に子孫に病質を遺して其身体を虚弱ならしむるのみならず
新女大学
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
延
(
ひ
)
いて江戸文学の
礎石
(
そせき
)
の一つとなったものである。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
歸依
(
きえ
)
の
根
(
ね
)
を
延
(
ひ
)
けばや
下
(
した
)
に
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
延
(
ひ
)
いては物理学、博物学等にも及ばなければならぬのであるから、物質的文明を開いたものは医者であったというも決して過言ではない。
東西両文明の調和を論じて帝国の将来に及ぶ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
延
(
ひ
)
いては一国の歴史との交渉点も見出さるる訳であるから、将来の青年に対する訓育的の効果は決して少なくはないと思う。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
列のかしらは軍装したる国王、紅衣のマイニンゲン夫人を
延
(
ひ
)
き、つづいて
黄絹
(
きぎぬ
)
の
裾引衣
(
すそひきごろも
)
を召したる妃にならびしはマイニンゲンの公子なりき。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
然れども太平の酔客は、
霜天
(
そうてん
)
の
晨鐘
(
しんしょう
)
に目を
醒
(
さま
)
すを欲せず。
延
(
ひ
)
いて寛政五年露船
松前
(
まつまえ
)
に来り、我が漂民を護送して通商を請う。幕府これを
斥
(
しりぞ
)
く。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
博士に
延
(
ひ
)
かれて一家に入れば、その中庭に大なる枯井あるを見る。井の裏には
螺旋梯
(
らせんばしご
)
を架したり。博士われ等を顧みて云ふやう。見給へ人々。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
が、彼が正秀の慟哭を不快に思ひ、
延
(
ひ
)
いては彼自身の涙をも
潔
(
いさぎよ
)
しとしない事は、さつきと少しも変りはない。
枯野抄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そんな事よりでもあろうか、パーシー人は、人死すれば右様の犬(本邦の俗四つの眼と呼ぶ)を
延
(
ひ
)
いてその屍を視せ、もはや悪鬼が近付かずとて安心すという。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
……ソ……そこだて……そこがトテモ面白いこの話の眼目になるところで、
延
(
ひ
)
いては大正の今日に於ける
姪
(
めい
)
の
浜
(
はま
)
事件の根本問題にまで触れて来るところなんだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
けれども、ただ客を
延
(
ひ
)
いては話を聞くだけで、丹後守自身には何もこれと自慢めいた話はない。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
赤木さんは屋上の展望台へ私達を
延
(
ひ
)
いて長春全市の説明をされ、濱田氏は愛蔵の支那古陶器を携へて来て示され、本城氏も多年蒐集された古銭の代表的な物を持参して見せられた。
満蒙遊記:附 満蒙の歌
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
“延”の解説
延(のび)とは中世日本において枡の大小差から発生する計量上の増加分のこと。斗出(はかりだし/とだし)とも。
(出典:Wikipedia)
延
常用漢字
小6
部首:⼵
8画
“延”を含む語句
蔓延
延長
延々
延引
背延
身延
生延
延宝
夜延
延暦寺
延暦
延享
延金
延若
保延
延期
間延
延棒
銀延
引延
...