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廉
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やす
ふりがな文庫
“
廉
(
やす
)” の例文
「そんな冗談を言わないで、一枚おみやげに買ってください。だんだん暖かくなると毛皮も売れなくなる。今のうち
廉
(
やす
)
く売ります。」
鼠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「とても
廉
(
やす
)
く仕切るので、
素人
(
しろうと
)
の商売人には
敵
(
かな
)
わないよ。復一、お前は鼎造に気に入っているのだから、代りにたんまりふんだくれ」
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一着の厚い上衣はたいがいの目的のためには三着のうすい上衣の用をし、
廉
(
やす
)
い着物はまったく購買者に適した値段で買いえられる。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
しかも何物にも換え難い一粒種の愛嬢の命が買えるのだ。「こんな
廉
(
やす
)
い取引はない」と、太っ腹の布引氏は忽ち思案を定めたのである。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
今日
(
けふ
)
牧野事務員に託してマルセイユ迄
行
(
ゆ
)
く仲間
丈
(
だけ
)
甲板
(
デツキ
)
用の
籐
(
たう
)
の寝椅子を買つて貰つたが、一個一円五十銭づつとは
廉
(
やす
)
い事である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
「しっかりやるにも何にも、小学程度の読み書き
算盤
(
そろばん
)
丈けですから、策の施しようがないんです。あれでは俸給も
廉
(
やす
)
い筈ですな」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
多くの家具を腹の立つほど
廉
(
やす
)
く売払っても、老婆の給料まで
悉皆
(
すっかり
)
払って行くことは
覚束
(
おぼつか
)
ない、いずれ名古屋から送る積りだ、とも言った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「すると、何時の間にかおもしろくなつて、つい
俄師
(
にはかし
)
の気持になられまんがな。
廉
(
やす
)
いもんだつせ、本は古本屋で五十銭だしたよつてな。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
帳元へ這入らねえと
商
(
あきねえ
)
は出来ねえ訳でごぜえますが、それを御存じねえから、
成
(
なる
)
たけ
廉
(
やす
)
く売るので、遠くから買いに来るようになったので
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
爺様に、頭の髪さ赤い
布片
(
きれ
)
でも縛って、少しの間、
廉
(
やす
)
ぐ売って歩いで見ろ——って言われたごとあったが、俺なあ婆様、そうして見だのしゃ。
蜜柑
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
栄蔵は、木なりを見て来た「
政
(
まさ
)
」に、年も食って居る事だし、虫もついて居ないのだから、
廉
(
やす
)
く見つもっても七八十円がものはあると云った。
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それは出来るだけ
廉
(
やす
)
く、しかも責任ある仕事をさせることが出来た。むろん、街の請負師の間でそういう競争がなされることを予期していた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
天秤商人
(
てんびんあきうど
)
の
持
(
も
)
つて
來
(
く
)
るのは
大抵
(
たいてい
)
屑
(
くづ
)
ばかりである。それでも
勘次
(
かんじ
)
は
廉
(
やす
)
いのを
悦
(
よろこ
)
んだ。
彼
(
かれ
)
は
其
(
そ
)
の
僅
(
わづか
)
な
錢
(
ぜに
)
を
幾度
(
いくたび
)
か
勘定
(
かんぢやう
)
して
渡
(
わた
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
それから水瓜、
甘藍
(
キャベツ
)
、
球葱
(
たまねぎ
)
、球葱は此辺ではよく出来ませんが、青物市場であまり
廉
(
やす
)
かったからI君が買って来たその
裾分
(
すそわ
)
けという事でした。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「いやこれは大変、浪さんはいつそんなにお世辞が
上手
(
じょうず
)
になったのかい。これでは
襟
(
えり
)
どめぐらいは
廉
(
やす
)
いもんだ。はははは」
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
千両の茶碗を叩きつけたところは
些
(
ちと
)
癇癪
(
かんしゃく
)
が強過ぎるか知らぬが、物に
囚
(
とら
)
われる心を砕いたところは千両じゃ
廉
(
やす
)
いくらいだ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
とあまりに度はずれな
廉
(
やす
)
さに
吃驚
(
びっくり
)
してしきりに蒲団を
弄
(
いじ
)
り廻している私の側へ来て、親父も愉快そうに蒲団を撫でます。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
何んしよまア。かう米が
廉
(
やす
)
うては良い衆も難儀するし、
小前
(
こまへ
)
のもんも仕事が無うて、米の廉いには代へられんなア。……こんな時に高い税の配布を
太政官
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
なるほど
貴嬢
(
あなた
)
のおっしゃる通り家庭料理の本意は原料の
廉
(
やす
)
い品物を
美味
(
おい
)
しく
拵
(
こしら
)
えて食べるのと、棄てるような者を利用してお料理に使うのですね。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
君達も知つてるだらうが近頃縁日夜店に出てゐる大道競売屋、あれだよ。
口上
(
くちさき
)
で
欺騙
(
ごま
)
かして
廉
(
やす
)
く仕入れたいかさまものをドシ/\売附けて了うのだ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
しかも、江戸の人気は、一時、広海屋方に集まって、あれこそ、
廉
(
やす
)
い米を入れてくれた恩人と持て
囃
(
はや
)
されるであろうよ。一人は泣き、一人はよろこぶ——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
暗闇は
廉
(
やす
)
いものだ。そして、スクルージはそれが好きであった。が、彼はその重い戸を閉める前に、何事もなかったか検めようとして、室々を通り抜けた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
それよりは家賃を
廉
(
やす
)
くして
私等
(
わっちら
)
が自力で一杯も飲めるようにしてくれた方がほんのこと
難有
(
ありがて
)
えや。へこへこ御辞儀をして物を貰うなあちっとも
嬉
(
うれし
)
くねえてね。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これを商人に
譬
(
たと
)
えていえば、物品を
廉
(
やす
)
く買って
貴
(
たか
)
く売りたいというのがその希望であろうが、時に相場が下がったり、品物が
毀損
(
きそん
)
したりして
甘
(
うま
)
く行かぬ事がある。
我輩は何故いつまでもすべてに於て衰えぬか
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
そして
廉
(
やす
)
く買おうとすることにも甚だしきはない、他人の女の人はただ美しく過ぎるが、陶器だけは何とかして手に入れることが出来ないかと、心を砕く、事実
陶古の女人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
いろいろ価の
廉
(
やす
)
い日用品、食料品を商ふ市で、主に労働階級の者を相手にしてゐるやうである。川魚を
天麩羅
(
てんぷら
)
にして売つてゐたり、
著
(
き
)
類の競売などは幾組もある。
イーサル川
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
岡田先生は何事でも三段論法で断言されるのであったが、私に教えて言われるには、『商売を繁昌させるのは難かしいことではない、良い品を
廉
(
やす
)
く売ればよろしい』
一商人として:――所信と体験――
(新字新仮名)
/
相馬愛蔵
、
相馬黒光
(著)
わずか、三百円で、姉の女優としての素質が、ハッキリ認められるのなら、こんなに
廉
(
やす
)
いことはないわ
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
材料に無理がある時、器は自然の
咎
(
とが
)
めを受ける。また手近くその地から材料を得ることなくば、どうして多くを産み、
廉
(
やす
)
きを得、
健
(
すこ
)
やかなものを作ることが出来よう。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「
姐
(
ねえ
)
さん、勘定だよ。何? 百二十文。酒が一本付いているぜ、それも承知か。
廉
(
やす
)
いや、こりゃ」
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
校長は
瘠
(
や
)
せた白い狐で
涼
(
すず
)
しそうな
麻
(
あさ
)
のつめえりでした。もちろん狐の洋服ですからずぼんには
尻尾
(
しっぽ
)
を入れる袋もついてあります。仕立賃も
廉
(
やす
)
くはないと私は思いました。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
往昔
(
むかし
)
の寺子屋を
其儘
(
そのまま
)
、学校らしい処などはちっともなかったが、其頃は又寄宿料等も
極
(
きわ
)
めて
廉
(
やす
)
く——僕は家から通って居たけれど——
慥
(
たし
)
か一カ月二円位だったと覚えて居る。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
売り立て品の数々を挙げ、師匠の「山茶図」が八千二百円では
廉
(
やす
)
すぎる、と頻りに言った。
痀女抄録
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
上等のオランダ麻で
拵
(
こしら
)
えた、いい襟であった。オランダと云うだけは確かには分からないが、番頭は確かにそう云った。ベルリンへ来てからは、
廉
(
やす
)
いので一度に二ダズン買った。
襟
(新字新仮名)
/
オシップ・ディモフ
(著)
パアマネント一つかけるのにもなるべく
廉
(
やす
)
い美容院へ行くと云う風だったのであるが、最近は又、化粧の仕方から
衣裳
(
いしょう
)
持ち物の末に至るまで、
際立
(
きわだ
)
って派手で
贅沢
(
ぜいたく
)
になっていた。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
持ツて来ます爺やから取りましたのでございますが、さう申しては不躾ですけれども、十
仙
(
せん
)
に二枚でございます。家にじツとしてゝ取ります方が、
何
(
ど
)
の位お
廉
(
やす
)
いか知れませんです。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
それから鶴の形のしたお菓子を呉れた。湯で菓子を貰ふなぞは東つ子に取つてそれこそ前代未聞だ。坊つちやんの時代には湯銭は
廉
(
やす
)
かつた。流しをつけて『八銭で済む』と書いてある。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
船もよいし、リヴァプール汽船会社のよりは賃金も
廉
(
やす
)
い。もしお前がここへ来てくれて、ジョンストン
館
(
ハウス
)
へ投宿するなら自分は何等かの方法で、お前に会う手段を講ずるつもりである。
臨時急行列車の紛失
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
彈
(
はじ
)
き
葉
(
ば
)
のあさみどりなる、内
紅
(
あか
)
く紫くろき、
層
(
かさ
)
厚く七重八重なる、葉牡丹は大いにうれし。牡丹とも見ずや葉牡丹、
値
(
ね
)
は
廉
(
やす
)
きその株ながら、株立つとこの庭も
狹
(
せ
)
に、豐かなり乏しともなし。
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
僕は薄気味が悪くなって、もう何も話す元気がなくなったので、
早
(
そう
)
そうに立ち去ってしまった。もちろん約束通りに一週間分の
間代
(
まだい
)
を払って来たが、そのくらいのことで逃げ出せれば
廉
(
やす
)
いものさ
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
此
(
こ
)
の雑誌も
九号
(
くがう
)
迄
(
まで
)
は続きましたが、
依様
(
やはり
)
十号から
慾
(
よく
)
が出て、会員に
頒布
(
はんぷ
)
する
位
(
くらゐ
)
では
面白
(
おもしろ
)
くないから、
価
(
あたひ
)
を
廉
(
やす
)
くして
盛
(
さかん
)
に
売出
(
うりだ
)
して見やうと
云
(
い
)
ふので、
今度
(
こんど
)
は四六
倍
(
ばい
)
の
大形
(
おほがた
)
にして、十二
頁
(
ページ
)
でしたか
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その時価よりも十銭近く
廉
(
やす
)
いという実際の利益を十分に嬉しく感じながらも、一面では、寺内内閣の施設さえ早く宜しきを得ていたら、こうした心にもない恩恵を受けなくても済むものをと思って
食糧騒動について
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
H教授の話では、その三つの工場はどれも、水運がよく電気が
廉
(
やす
)
く理想的な立地条件にある工場で、こういう工場ばかりを
狙
(
ねら
)
うところに、案外問題解決の
鍵
(
かぎ
)
が潜んでいるようだということであった。
千里眼その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
斯く語りつゝ、男は又から/\と笑ひて云ふ。
廉
(
やす
)
き價なり。この宿の客人に、
還錢
(
かんぢやう
)
のかく迄廉きことは、その例少からん。都よりの馬のしろ、六日の
旅籠
(
はたご
)
を思ひ給へ。われ。我志をば既に述べたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
優善は
廉
(
やす
)
い野菜を買ったからといって、県令以下の職員に分配した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
病毒少くして
揚代
(
あげだい
)
廉
(
やす
)
ければ醜業婦の
能事
(
のうじ
)
は
畢
(
おわ
)
るなり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そりゃあ値段も
廉
(
やす
)
いし、虫の仲間では一番下等なものかも知れませんが、松虫や鈴虫より何となく江戸らしい感じのする奴ですよ。
半七捕物帳:07 奥女中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
甘藷
(
さつまいも
)
は
廉
(
やす
)
いからとか、七面鳥の肉は
高価
(
たか
)
いからとかいふ、その値段の観念に
煩
(
わづら
)
はされないで、味自身を味はひ度いといふのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
とんと
手前
(
てまい
)
商いのことは知りません、家来がやると申すので始めましたのだけれども、
廉
(
やす
)
う売るのを咎めるのは
些
(
ち
)
と
訝
(
おか
)
しいように心得ます
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
リゼットは二日ほど
廉
(
やす
)
葡萄酒
(
ワイン
)
の
外
(
ほか
)
は腹に入れないことを話した。廉葡萄酒だけは客のために
衣裳戸棚
(
クロゼット
)
の中に用意してあった。
売春婦リゼット
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“廉”の解説
廉(れん)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
廉
常用漢字
中学
部首:⼴
13画
“廉”を含む語句
一廉
不廉
廉々
廉価版
破廉恥
清廉
廉恥
廉直
廉立
維廉
孝廉
廉売
御廉
廉價
廉価
廉子
廉物
廉潔
低廉
破廉耻
...