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ひらて
ふりがな文庫
“
平手
(
ひらて
)” の例文
其時原口さんは
後
(
うしろ
)
から、
平手
(
ひらて
)
で、与次郎の
脊中
(
せなか
)
を
叩
(
たゝ
)
いた。与次郎はくるりと
引
(
ひ
)
つ
繰
(
く
)
り
返
(
かへ
)
つて、
幕
(
まく
)
の
裾
(
すそ
)
を
潜
(
もぐ
)
つて
何所
(
どこ
)
かへ消え失せた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
来
(
らい
)
の
了戒
(
りょうかい
)
のあざやかな
鉄
(
かね
)
色が、静かに、そして鋭く、眼光刀光が一すじになって詰め寄ろうとしています——
平手
(
ひらて
)
青眼
(
せいがん
)
のかたちに。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平手
(
ひらて
)
で板を叩くような
皷
(
つづみ
)
の音をさせて、鳥打帽子を
被
(
かぶ
)
った
万歳
(
まんざい
)
が
幾人
(
いくにん
)
も来ます。
鉦
(
かね
)
や
太皷
(
たいこ
)
を鳴らすばかりで何にも芸のない獅子舞も来ます。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ピシャン……首領の
平手
(
ひらて
)
が、その部下のほおにとびました。まぬけな部下はほおをおさえて、うしろへひきさがります。
仮面の恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
飯坂
(
いひざか
)
の
前途
(
さき
)
の
山
(
やま
)
からの、どん/\と
出
(
で
)
ますだで。——いゝ
磨砂
(
みがきずな
)
だの、これ。」と、
逞
(
たくま
)
しい
平手
(
ひらて
)
で、ドンと
叩
(
たゝ
)
くと、
俵
(
たはら
)
から
其
(
そ
)
の
白
(
しろ
)
い
粉
(
こ
)
が、ふツと
立
(
た
)
つ。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
「あア、あア、」とやがて
平手
(
ひらて
)
で左の肩を
叩
(
たた
)
きながら、「何しろ流動物ばかりだから、腹に
堪
(
こた
)
えがなくて
直
(
じ
)
き
労
(
つか
)
れる。カラキシ意気地がなくなッちゃった。」
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その瞬間をすかさず倉地はかまれていた手を振りほどくと、いきなり葉子の
頬
(
ほお
)
げたをひしひしと五六度続けさまに
平手
(
ひらて
)
で打った。葉子はそれがまた快かった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
この人に自分は、最初二枚を指した。二枚は局
半
(
なかば
)
にして相手が、駒を投じた。
其後
(
そのご
)
飛香落から
平手
(
ひらて
)
までに指し進んだ。この会所に、三好さんと云ふ老人がゐた。
将棋
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「これは困った」と甚兵衛はひとりごとを言いながら、振り向いて馬の首筋を
平手
(
ひらて
)
で
撫
(
な
)
でてやりました。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
平手
(
ひらて
)
に盛った
宇流志禰
(
うるしね
)
の白い色、
本陀理
(
ほだり
)
に入れたにいしぼりの高い匂いが、自分に絶望しかけて凡欲の心に還りつつある翁の眼や鼻から餓えた腸にかぐわしく染みた。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
おせんを
首尾
(
しゅび
)
よく
逃
(
にが
)
してやった
雨
(
あめ
)
の
中
(
なか
)
で、
桐油
(
とうゆ
)
から
半分
(
はんぶん
)
顔
(
かお
)
を
出
(
だ
)
した
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
は、
徳太郎
(
とくたろう
)
をからかうようにこういうと、
我
(
わ
)
れとわが
鼻
(
はな
)
の
頭
(
あたま
)
を、二三
度
(
ど
)
平手
(
ひらて
)
で
引
(
ひ
)
ッこすった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
更に自分にも一服との
所望
(
しょもう
)
ありしかば、
妾
(
しょう
)
は
覚束
(
おぼつか
)
なき
平手
(
ひらて
)
まえを立ておわりぬ。
貧家
(
ひんか
)
にこそ生い立ちたれ、母上の慈悲にて、
聊
(
いささ
)
かながらかかる
業
(
わざ
)
をも習い覚えしなりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
兼吉
(
かねきち
)
が
尿板
(
にょうばん
)
のうしろを
通
(
とお
)
ろうとすると、一
頭
(
とう
)
の牛がうしろへさがって立ってるので通れないから、ただ
平手
(
ひらて
)
で
軽
(
かる
)
く牛のしりを打ったまでなのを、牛をだいじにする花前は
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「あら、其様に見詰めちや嫌ですよ。何か、くツついてゐて」と
平手
(
ひらて
)
でツルリと顏を
撫
(
な
)
でる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
十左は言葉まで改め、これまで「
平手
(
ひらて
)
」と呼びすてにしていたのを「そこもと」と云った。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
またおかあさんは、夜、林太郎をだいてねるたびに、その頭を
平手
(
ひらて
)
でなでながら
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
良人
(
をつと
)
の
名
(
な
)
は
小松原東二郎
(
こまつばらとうじらう
)
、
西洋小間物
(
せいやうこまもの
)
の
店
(
みせ
)
は
名
(
な
)
ばかりに、
有
(
あり
)
あまる
身代
(
しんだい
)
を
藏
(
くら
)
の
中
(
なか
)
に
寐
(
ね
)
かして、さりとは
當世
(
たうせい
)
の
算用
(
さんよう
)
知
(
し
)
らぬ
人
(
ひと
)
よし
男
(
をとこ
)
に、
戀女房
(
こひにようばう
)
のお
律
(
りつ
)
が
手
(
て
)
ばしこさ
奧
(
おく
)
も
表
(
おもて
)
も
平手
(
ひらて
)
に
揉
(
も
)
んで
うらむらさき
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
十月の
素袷
(
すあわせ
)
、
平手
(
ひらて
)
で水っ
洟
(
ぱな
)
を
撫
(
な
)
で上げながら、突っかけ草履、前鼻緒がゆるんで、左の親指が少し
蝮
(
まむし
)
にはなっているものの、
十手
(
じって
)
を後ろ腰に、
刷毛先
(
はけさき
)
が
乾
(
いぬい
)
の方を向いて、とにもかくにも
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
平手
(
ひらて
)
同志くらゐでやると、
賑
(
にぎや
)
かではあるし、ひどく味のあるものである。
手数将棋
(新字旧仮名)
/
関根金次郎
(著)
「なアに、奧さん、まア、お聽きなさい」と、義雄は
平手
(
ひらて
)
で
空
(
くう
)
を打ち
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
父親は
平手
(
ひらて
)
で額を
撫
(
な
)
であげながら、黙っていた。父親の気は、まだそこまで決まっていなかった。
行
(
や
)
って見たいような商売を始めるには、
資本
(
もと
)
が不足だし、
躯
(
からだ
)
を落して働くには年を取り過ぎていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
赤シャツの
農夫
(
のうふ
)
は馬に近よって
頸
(
くび
)
を
平手
(
ひらて
)
で
叩
(
たた
)
こうとしました。
耕耘部の時計
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「そりゃ、どうしてですか? もちろん
平手
(
ひらて
)
ですよ。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
平手
(
ひらて
)
もて
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やがて
日永
(
ひなが
)
の窓に赤くなった
耳朶
(
みみたぶ
)
のあたりを、
平手
(
ひらて
)
で支えて、右の
肘
(
ひじ
)
を針箱の上に、取り広げたる縫物の下で、隠れた
膝
(
ひざ
)
を斜めに
崩
(
くず
)
した。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、
平手
(
ひらて
)
打ちに、刃物をたたき落とそうとしましたが、計って立ったことなので、お蝶は、すばやく返した短刀を逆手に斬りつけました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
然
(
さ
)
うで、
然
(
さ
)
うで、
名
(
めい
)
ぶつで。」と
振向
(
ふりむ
)
いて、
和笑
(
にやり
)
としながら、
平手
(
ひらて
)
で
又
(
また
)
敲
(
たゝ
)
いて、
續
(
つゞ
)
けざまにドン/\と
俵
(
たはら
)
を
打
(
う
)
つと、
言
(
い
)
ふにや
及
(
およ
)
ぶ、
眞白
(
まつしろ
)
なのが、ぱつ/\と
立
(
た
)
つ——
東京
(
とうきやう
)
の
埃
(
ほこり
)
の
中
(
なか
)
で
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
突然
(
とつぜん
)
平手
(
ひらて
)
で
臑
(
すね
)
をたたくと、くすぐったそうにふふふと
笑
(
わら
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「みごとだった。
平手
(
ひらて
)
、みごとだったよ」
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その時原口さんはうしろから、
平手
(
ひらて
)
で、与次郎の背中をたたいた。与次郎はくるりと引っ繰り返って、幕の
裾
(
すそ
)
をもぐってどこかへ消えうせた。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ピシャリと、
敵
(
てき
)
の
平手
(
ひらて
)
が、すぐに
蛾次郎
(
がじろう
)
の
頬
(
ほっ
)
ペタを
張
(
は
)
りつけたが、蛾次もまた、足をあげてさきの
脛
(
すね
)
を
蹴
(
け
)
とばした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ともはや
頸
(
えり
)
のあたりがむずむずして来た、
平手
(
ひらて
)
で
扱
(
こい
)
て見ると
横撫
(
よこなで
)
に蛭の
背
(
せな
)
をぬるぬるとすべるという、やあ、乳の下へ
潜
(
ひそ
)
んで帯の間にも一
疋
(
ぴき
)
、
蒼
(
あお
)
くなってそッと見ると肩の上にも一筋。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分は
平手
(
ひらて
)
でお重の頭を一つ張りつけてやりたかった。けれども家中騒ぎ廻られるのが
怖
(
こわ
)
いんで、容易に手は出せなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
最早
(
もは
)
や
頷
(
えり
)
のあたりがむづ/\して
来
(
き
)
た、
平手
(
ひらて
)
で
扱
(
こい
)
て
見
(
み
)
ると
横撫
(
よこなで
)
に
蛭
(
ひる
)
の
背
(
せな
)
をぬる/\とすべるといふ、やあ、
乳
(
ちゝ
)
の
下
(
した
)
へ
潜
(
ひそ
)
んで
帯
(
おび
)
の
間
(
あひだ
)
にも一
疋
(
ぴき
)
、
蒼
(
あを
)
くなつてそツと
見
(
み
)
ると
肩
(
かた
)
の
上
(
うへ
)
にも一
筋
(
すぢ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平手
(
ひらて
)
で
狒々
(
ひひ
)
の横顔をなぐりました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
じゃらじゃらするものを再び帯の間に押し込んだお延は、
平手
(
ひらて
)
でぽんとその上を
敲
(
たた
)
きながら、津田を見て微笑した。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてふくれた頬っぺたを
平手
(
ひらて
)
で二三度
叩
(
たた
)
いて見る。何のまじないだか分らない。この時吾輩は何だかこの顔に似たものがあるらしいと云う感じがした。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「小夜の
考
(
かんがえ
)
ぐらい小野には分っているはずださ」と先生は
平手
(
ひらて
)
で頬を打つように、ぴしゃりと云った。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分は
俯向
(
うつむ
)
きながら、今に兄の
拳
(
こぶし
)
が帽子の上へ飛んで来るか、または彼の
平手
(
ひらて
)
が頬のあたりでピシャリと鳴るかと思って、じっと
癇癪玉
(
かんしゃくだま
)
の破裂するのを期待していた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕は予期しない瞬間に、
平手
(
ひらて
)
で
横面
(
よこつら
)
を力任せに打たれた人のごとくにぴたりと
止
(
と
)
まった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
圭さんは、何にも云わずに、
平手
(
ひらて
)
で、自分の坊主頭をぴしゃぴしゃと二
返
(
へん
)
叩
(
たた
)
いた。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「先生私はその説には全然反対です」と東風君はこの時思い切った調子でぴたりと
平手
(
ひらて
)
で
膝頭
(
ひざがしら
)
を叩いた。「私の考では世の中に何が
尊
(
たっと
)
いと云って愛と美ほど尊いものはないと思います。 ...
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女がその手をぴしゃりと
平手
(
ひらて
)
でたたいて、御気の毒様もう約束済ですと云う。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こうですかと細君は
平手
(
ひらて
)
で吾輩の頭をちょっと
敲
(
たた
)
く。痛くも何ともない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“平手”で始まる語句
平手中務
平手中務政秀
平手打
平手造酒
平手酒造
平手構
平手汎秀
平手造酒猛虎