太古たいこ)” の例文
太古たいこ遺跡ゐせき發掘はつくつに、はじめてくだしたのは、武藏むさし權現臺ごんげんだいである。それは品川しながはたくからきはめてちかい、荏原郡えばらぐん大井おほゐ小字こあざこと
その簡単かんたんさまは、太古たいこ移住民族いじゅうみんぞくのごとく、またかぜただよぐさにもて、今日きょうは、ひがしへ、明日あすは、みなみへと、いうふうでありました。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
壯快だなあ、なあに、鯉の生作いけづくりだつて、仕事がキレイなだけだもの、太古たいこは鰻だつて生で横つかじりにしたかもしれやしない。
夏の夜 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
服牛乗馬は太古たいこからの事で、世法から云えば保胤の所為の如きはおろかなことであるが、是の如くに感ずるのが、いつわりでも何でもなく
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
すなは太古たいこ國民こくみんかならずしもいし工作こうさくして家屋かをくをつくることをらなかつたのではない。たゞその心理しんりから、これを必要ひつえうとしなかつたまでゞある。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
何の屈曲もなく鉛色と銀色のふた色で太古たいこの石棒のような単純な形をしているこの魚は、向う意気ばかり強くて、愚直な性質の生物に思えました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
葉子は荒神に最愛のものを生牲いけにえとして願いをきいてもらおうとする太古たいこの人のような必死な心になっていた。それは胸を張り裂くような犠牲だった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
此処は遠い太古たいこの市、ここに一人の武士がいる。この武人は、恋か何かのイキサツから自分の親父を敵として一戦を交えねばならぬという羽目に陥る。
FARCE に就て (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ふたりがだんだん森をわけてゆくと、樹木は太古たいこのかげこまやかに、落ち葉は高くつみかさなったまま、ふたりのひざを没するばかりにくさっている。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
向う河岸を山谷堀に通ふ猪牙ちよきの音の繼續したのも暫し、やがて向島の土手は太古たいこのやうな靜寂せいじやくに更けて行きます。
スコットランドのネスのまん中あたりで、長いくびをひょっくり出していて、土地の人に見つけられたというあの太古たいこの怪獣である恐龍! この恐龍を
恐竜艇の冒険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
太古たいこの神がみのこらずが、その大きな広間をとおっていきましたか。古代こだい英雄えいゆうが、そこでたたかっていましたか。
抑〻そもそも婚姻の事たる太古たいこひといまだ罪を犯さざりし時より神の制定し給えるものにて、主エスはガリラヤのカナに催されし婚筵こんえんつらなり、最初の奇蹟を以て之を祝し給い
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この刺激の強い都を去って、突然と太古たいこの京へ飛び下りた余は、あたかも三伏さんぷくの日に照りつけられた焼石が、緑の底に空を映さぬ暗い池へ、落ち込んだようなものだ。
京に着ける夕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
激しく放尿しながら、何もかも太古たいこの出来事であったようなむなしい感傷にとらわれた。私は手で首筋を意味なくたたきながら便所から戻って来た。天願氏が居なかったのだ。
風宴 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
が、我々自身の中にある無数の我々の祖先たちや一時代の一国の社会的約束は多少かういふ要求に歯どめをかけないことはない。しかしかういふ要求は太古たいこ以来我々のうちに潜んでゐる。……
機関車を見ながら (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つゝしんでおもんぱかるにかみ御恵みめぐみあまねかりし太古たいこ創造さう/″\時代じだいには人間にんげん無為むゐにして家業かげふといふ七むづかしきものもなければかせぐといふ世話せわもなく面白おもしろおかしくくつ日向ひなたぼこりしてゐられたものゝ如し。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
段畑と段畑が作っている溝の中に、この太古たいこの山村には似てもつかぬ、二本の鋼鉄の道が、奇怪な大蛇の様に、ウネウネと横たわっていた。日に八度、その鉄路を、地震を起して汽車が通り過ぎた。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
太古たいこの土のをぐらき眠のしたに隱れゐて
それでは、野見宿禰のみのすくね獻言けんげんしてつくした埴輪はにわ土偶どぐうとはべつに、すでに三千ねんぜん太古たいこおいて、土偶どぐうつくられてつたのですね
しも太古たいこにおいて國民こくみんが、地震ぢしんをそれほどにおそれたとすれば、當然たうぜん地震ぢしんくわんする傳説でんせつ太古たいこから發生はつせいしてゐるはずであるが、それはとん見當みあたらぬ。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
一人は太古たいこからかれない泥沼の底の主、山椒さんせううをでありたいといひ、ひとりは、夕暮、または曉に、淡く、ほの白い、小さな水藻みづもはなでありたいと言ふ、こんな二人。
こんな二人 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
太古たいこのことで、ほしや、はなや、とりや、すべてのものにたいして、人々ひとびと不思議ふしぎかんじていた時代じだいであります。だから、このおうさまのおいになったのも無理むりはないことでした。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その野獣的な彼らの形相ぎょうそうに、また太古たいこのままの好戦的な性格まるだしの有様ありさまに、僕はいささかひるみはしたけれど、ここで決心を曲げては万事ばんじ水の泡と思い、こっちも負けずに大声を張りあげた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
頻々ひん/\たる地震ぢしんたいしても、古代こだい國民こくみん案外あんぐわい平氣へいきであつた。いはんや太古たいこにあつては都市としといふものがない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
それから三千ねんぜん往古わうこかんがへながら、しんくと、不平ふへい煩悶はんもん何等なんら小感情せうかんじやううかぶなく、われ太古たいこたみなるなからんやとうたがはれるほどに、やすらけきゆめるのである。
このあおみがかったあなのあいているいしは、太古たいこ曲玉まがたまであって、ひかるのは、ダイヤモンドでありました。トムきちは、宝石商ほうせきしょうみせにいるあいだに、これとおなじものを一たことがあります。
トム吉と宝石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
居ながらに風景を貪るくせからなのか、それとも、空ばかり眺めくらしてゐた太古たいこの、前生人ぜんしやうびとからの遺傳か、それこそ一足ひとあしから千里せんりも飛ぶやうな空想が、私にはなかなか役にたつ遺産で、私の心を
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
大體だい/\おいてその大部分だいぶぶん太古たいこより傳來でんらいせる日本固有にほんこいう言語げんごおよ漢語かんごをそのまゝれたもの、またはこれを日本化にほんくわしたもので、一西洋各國せいやうかくこくたとへばえいふつどく西せい
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
歴史れきしても最初さいしよから伏羲氏ふくぎし蛇身じやしん人首じんしゆであつて、神農氏しんのうし人身じんしん牛首ぎうしゆである。ういふふう支那人しなじん太古たいこから化物ばけもの想像さうざうするちから非常ひぜうつよかつた。是皆これみな國土こくど關係くわんけいによることおもはれる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)